前半ストイック、後半テキトー 映画「アウトロー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:アウトローどころかめっちゃええやつやん・・・
あらすじ
真昼のピッツバーグ郊外。無差別に5名が射殺されるという事件が発生した。
警察は元軍人のジェームズ・バー(ジョセフ・シコラ)を逮捕するが、彼は「ジャック・リーチャーを呼べ」とメモに書いた後、囚人たちに殴られ意識不明となってしまう。
その後ふらりと現れた「流れ者」のジャック・リーチャー(トム・クルーズ)は弁護士のヘレン(ロザムンド・パイク)とともに事件の真相を追う。
トムクル様主演最新作にして、「ユージュアル・サスペクツ」の脚本家として知られるクリストファー・マッカリー監督作品です。
本作の原題は主人公の名前である「ジャック・リーチャー」。
リー・チャイルドによる同名のシリーズ小説の名であり、本作はその9作目(邦訳5作目)にあたる「One Shot」を原作としています。
![]() | リー・チャイルド 840円 powered by yasuikamo |
「アウトロー」という思わせぶりな邦題になったのは、なじみがない日本人にも興味が持てるタイトルにしたかったという配給側の戦略なのでしょう。
しかし実際映画を観てみると、この邦題は本編のイメージとはそぐわないものでした。
「アウトロー」とは「無法者」であり、「危うさ」を感じることばです。
しかしこの映画に出てくるトム様演じる主人公は全然危険な印象がありません。
それどころかわりといいやつでした。
彼は定職にもつかず、宿はなく、必要最低限のものしか持ち歩かない
しかも口ではなんだかんだ悪態はつくけど、実は知り合った者のことを何よりも想っているというツンデレぶり。
トム様が演じる新しいキャラクターとして、かなり好きになれました。
ストーリーはシンプルで、トム様と相棒の女性弁護士が突如起こった銃乱射事件の真相を突き止めるというものです。
冒頭のスタイリッシュかつ衝撃的な事件のシーン、それを反芻して見せるなど、「謎解き」にかかわる画はとても面白く、見ごたえがあります。
また、この映画には音楽がほとんどありません。あるのはストイックかつシャープな画です。
派手さはないのでトム様のアクションを期待すると肩すかしでしょうが、この大衆向けの映画とは思えない落ち着いた雰囲気も気に入りました。カーチェイスも迫力満点です。
そんな感じで前半は非常に楽しめたのですが、後半はびっくりするくらい面白くない。
展開がいくらなんでも雑すぎだし、目新しさはないし、悪役は魅力がないし・・・勢いでごまかそうとしているようにしか思えず、ラストバトルの無茶さはもう失笑モノでした。
ここまで最後に行くにつれてテンションが下がってしまうのはある意味貴重です。
でも決して悪い映画ではないです。
あまりに地味で新鮮味がないためか、全米でも日本でも微妙なヒットでしたが、続編への期待も持てると思います。
トム様の50歳とは思えないステキな上半身裸が拝めるので、ファンは必見ですよ。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
~事件の真相~
驚いたのが冒頭の「スコープから被害者を覗いて射殺」のシーンから真犯人の顔が見えていること。
まるで「刑事コロンボ」のように、はじめから犯人の顔がわかっているのです。
でもこれでよいのでしょう。謎解きで重要なのは、「無差別に殺した理由」である「なぜ」なのですから。
真相は、「オーラインという女性が手放さない建設会社の権利を奪うため」というものでした。
保育士の女性や不倫をしていた女性を無差別に殺したのは、ただカムフラージュをするためだけ。
一発だけ外していたり、薬莢を残したり、わざわざ駐車のために使ったコインを残したのは、全てジェームズ・バーに罪をなすり付けるためでした。
ジェームズ・バーはジャック・リーチャーの洞察力から、真相を見抜いてくれると信じ、「ジャック・リーチャーを呼べ」と書いていたのです。
そのとおり、ジャックはバーが「殺しがしたいから軍に入った」ということだけでなく、バーの腕前や、「路地裏の狙撃しやすいところでターゲットを狙う」ことも知っており、そのために真相を突き止めることができました。
バーがかつての敵とも言える男・ジャックをそのために呼ぶというのは、皮肉めいたものを感じます。
ジャックがバーのことを「友達じゃない」と言ったことは真実ですが、ジャックはそんなバーのために悪をくじくために行動します。
そんなジャックのことが大好きになりました。
~イケメンジャックの行動~
ジャックはさらに自分につっかかってきた少女・サンディの職場に行き「この街から逃げろ」と行ったり、サンディが亡くなったときには「いい娘だったのに」とつぶやき、罪のない人たちとサンディを殺した上にバーをハメたクズ野郎のために射撃場まで行く。本当こいつ大好きです。
面白いのはジャックが弁護士ヘレンの前で上半身裸になり、ヘレンに「服を着て」と言われて、「ここにある」とシャツを手に持って答えること。シャツ1枚しかないの?
そんなジャックですが、敵のアジトに行ったときは後ろにいる刺客に気づかずに後頭部を強打され半分失神するという間抜けな姿をさらしました。
このときの敵2人も「俺がやる!」「いいや俺が!」と潰し合いをしているのもなんだかなあ・・・
最後に銃を突きつけた敵を簡単にひねり、「俺は車泥棒か?」と聞き「好きなだけ使ってくれ!」と言わせるのも好き。悪党には容赦がないのです。
カーチェイス後、ジャックが車を捨ててしれっとバス乗り場に行き、となりにいる一般人(?)のお兄さんが帽子をかぶせて助けてくれるのもいいですね。そりゃ警察に追われているとはいえ善人っぽいもの。
さらにヘレンが誘拐された時には、「はじめは女は好きにしろ」と言っておきながら、やっぱり気になってもう一度電話をかけ「気が変わった、貴様を殺す」と言うのです。<好きにしていいよ
<ガチャン!
<やっぱちょっと待って
<お前を殺す
はじめから許さねえって言ったらいいじゃん。
*以下のツッコミをいただきました。どうもすみません!
ヘレンが誘拐された時の電話は、誘拐犯対応のやりかたですよ。
犯人を怒らせるが、何度も電話を切ることによって交渉できないと思わせこっち側が有利に持っていく手法です。
「交渉人」でも使われてた手法ですよ。
~裏切り、そしてラストバトルへ~
ジャックに「ヘレンのお父さんか、警察の『エマーソン』のどちかが裏切り者だ」と言われ疑心暗鬼になるヘレンですが、その10分ちょっと後でエマーソンが裏切り者であることがわかります。もう少し引っ張ってもよかったんじゃ。
そしてこの映画最大の謎は、エマーソンが自分が裏切った動機について、ヘレンに「後でわかる」とほざいたくせに結局わからずじまいで退場したこと。続編でわかるんですか?
ラストバトルでは、なんと「射撃場にいたおじいちゃん」(ロバート・デュヴァル)が仲間になります。そんな相棒っぽくなかったやん!いいけど。
おじいちゃんは武器としてジャックにナイフ(ナタ?)だけを渡します。ジャックは「冗談だろ?」と言いますが、冗談じゃありませんでした。
ジャックはヘレンからパクった車に低い姿勢で乗り、本拠地に攻めます。
車にはマシンガンの弾がバシバシ当たっています。普通は乗らずにおとりに使うと思うんだけど・・・よく弾が当たらなかったな。
その後は武器がナタだけなのに、敵をポンポンと倒し、ボスキャラには奪った銃を捨てて素手で喧嘩をするジャック。一気にB級映画っぽくなったな。
部下に指をちぎらせようとした冷酷なラスボスのおじいさんも、あっさりジャックが殺したので消化不良。
このラストバトルはいくらなんでもテキトーでした。嫌いじゃないけど。
~ラスト~
最期は意識が戻ったバーが、ジャックのことを「法などには縁がなく、正義に生きる男・・・」と語り、ジャックがバス車内のトラブルのために席を立ち上がったシーンで幕を閉じます。
やっぱりジャックはお人好し。法には縁がなくても、全然アウトローっぽくないのでした。
おすすめ↓
<『アウトロー』 すきなものだけでいいです>
目的は、「無差別狙撃を装った、特定殺人」
別に狙撃犯を特定する意味はないように、思いましたが。
Golgo13の影響があるのかな?
R.ヂュバルさんは、得な役柄でした。
あの浴室の乱闘シーンは、御都合主義すぎて、だんだん面白味が削がれてゆきました。
> あの浴室の乱闘シーンは、御都合主義すぎて、だんだん面白味が削がれてゆきました。
とりあえず主人公が無敵な感じですから・・・
ラストの素手で敵をたおしたのは、サンディが殴られて殺されたしかえしのためだと思いました。
犯人を怒らせるが、何度も電話を切ることによって
交渉できないと思わせ
こっち側が有利に持っていく手法
「交渉人」でも使われてた手法ですよ
日本の映画も”交渉人 真下正義”でパクってましたよ
この手法を、バーの電話でやってのけた主人公に
プロ感に感動してました。
正月に映画三昧したなかで1番面白かったです。
確かに地味だけど、プロ感がよかったですね
ラストの素手は、プロらしくないかな~
> 犯人を怒らせるが、何度も電話を切ることによって
> 交渉できないと思わせ
> こっち側が有利に持っていく手法
> 「交渉人」でも使われてた手法ですよ
> 日本の映画も”交渉人 真下正義”でパクってましたよ
> この手法を、バーの電話でやってのけた主人公に
> プロ感に感動してました。
>
どうもすみません!その通りです。追記します。
私が悪人と
だれが証人してくれるかな?
といってヘレンのことを見ましたが、ヘレンもグルだったのでしょうか?