着物萌えと素敵な喫茶店描写の最前線 漫画「ちろり」レビュー
喫茶店にはただコーヒーを飲む、ごはんを食べるという目的だけでなく、そのお店の雰囲気や交流を楽しむような楽しさがあると想うのです。
本日はそんな喫茶店の楽しみ方が好きな人におすすめしたい漫画「ちろり」をご紹介します。
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時は文明開化のなされた明治時代。
そして漫画の内容は、主人公の女の子「ちろり」が喫茶店の仕事をしたり、いろいろな人たちの交流が描かれるというものです。
第1話は「喫茶店の仕事をはじめるまでの朝」が描かれていました。
↓
ちろりは朝の身支度をします。
なんと、こんな風に主人公が着物を着る描写だけで6ページ使いました。
こんな風に雑巾をしぼる描写だけで1ページ使いました。
さらには、喫茶店の内装を見せるために1ページを使うのです。
そんな感じで日常のわずかな時間を1話まるまる、贅沢なコマ割りで描いてしまうのです。
日常の所作というものは毎日繰り返すものであり、そこまで気を配らないものです。
しかしそこに目を向けてみれば、美しさや尊さが感じられるのではないでしょうか。
この描き方が本当に素晴らしく、何度も読み返してしまう魅力がありました。
出てくる登場人物、物語もバリエーションに富んでいて、飽きさせません。<根は優しいです
ツンデレぎみのおじいさんが出てきたり、<顔が赤い
主人公に恋する男の子が出てきたり、<高飛車です
主人公をライバル視するお嬢様が出てきたり、<この作品ではコーヒーのことを「カヒー」と言います
神経質だけど心優しい男が出てきたり、
そんなエピソードや登場人物がすべて可愛らしいのです。
難点は贅沢にコマを使っているために読み終わるのが早いことでしょうか。
しかし本棚にずっと置いておきたくなる魅力があるので損をした気にはならないはずです。
作者は「着物愛」がすさまじい方のようで、以下ではその熱い気持ちがあらわれていますので必見です↓
<コミックナタリー - [Power Push] 小山愛子「ちろり」着物愛を熱弁、描き下ろしのコーヒー講座付き>
読んだあとは着物フェチに目覚めてしまうかもしれません。
映画であれば「バグダッド・カフェ」「かもめ食堂」、
漫画であれば「乙嫁語り」「ヨコハマ買い出し紀行」「よつばと!」あたりが好きな人はきっと気に入ると思います。
読んでいると、ほっと一息つける素敵な作品です。
明治時代のレトロな空気を感じられる、老若男女分け隔てなく楽しめる漫画として大プッシュでおすすめです!
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最後に自分がもっとも好きだったシーンをご紹介します。

これは喫茶店に集まった人たちが、みんなで「花火の光」を見るシーンです。
この後の主人公のところにも光が当たったシーン、主人公が水を飲み干すシーンも素晴らしい描写なので、是非読んで欲しいです。きっと喫茶店に行きたくなりますよ。
レビュー参考↓
正直どうでもいい [漫画]そこは明治の港町。優しさと季節の風を感じる癒し漫画『ちろり』1巻