今の政治家に観せたい 映画「デーヴ」ネタバレなし感想+お気に入りシーン
本日はその影武者ものの傑作映画「デーヴ」(制作:1993年)をご紹介します。
![]() | ケビン・クライン 1487円 powered by yasuikamo |
個人的お気に入り度:9/10
一言感想:もはや名シーンしかない!
あらすじ
派遣会社で働いていたデーヴ(ケビン・クライン)は、大統領のそっくりさんだった。
普段から大統領のモノマネをしていた彼だが、突如政府から大統領の替え玉を申し込まれる。
替え玉は短期間で済むつもりであったが、その夜に大統領が脳卒中で重態になってしまい、デーブは替え玉を続けることになってしまう・・・
これは素晴らしい!面白い!
脚本が抜群に上手く、笑え、切なく、勇気をもらえる、まさに映画らしい映画でした。
主人公のデーヴは心優しく、職を求めている人だけでなく、子どももほおっておけない人です。
その彼が大統領として周りの人にどのような影響を与え、そして世の中をも変えていくか、そこが見所になっています。
「王になった男」でもそうでしたが、一般の「国民の意見に近い」人が大統領の替え玉になったというのがミソ。
だからでこそ、デーヴは替え玉ながら、人々に愛される大統領になっていくのです。
脚本は全てにおいてスキがありませんが、自分は主人公が「派遣会社で仕事を紹介している仕事(ハローワーク)」についているという設定が大好きでした。
この仕事をしていたからでこそ、終盤の「政策」を打ち出したことがとっても嬉しいのです。
ここまでの名作が、いささか知名度がないのはもったいなく思います。
ぜひ、大切な人と観てください。
以下はちょっとだけネタバレです 予備知識なく観たい方は要注意↓
替え玉となったデーヴは、ちゃんと「勉強」します。<誰だっけ・・・
等身大のパネルを使ってお偉いさんの顔と名前を覚えようとするのでした。
すごく準備がいいね。
大統領のモノマネが宴会芸となっているデーヴは、側近の2人よりも「大統領のクセ」に詳しかったりします。<ここで左手で指差すんだ
替え玉が、そもそも大統領のマネが得意だったというのもいいですね。
ちなみに脳卒中で倒れた大統領は不倫をしており、大統領夫人とは心が離れまくっています。
世間では大統領の脳卒中は軽くて問題がなかったとウソを言っているので・・・<そのまま死ねばよかったのに
夫人は大統領(デーヴ)の顔を見るやいなや、「死ねばよかったのに」と言うのでした。
ちなみに夫人を演じているのはシガニー・ウィーバー。さすがの貫禄です。
ほかにも映画には豪華キャストがいます。
デーヴは精力的に色んなPR活動に参加するのですが・・・
!?<デザートにドーナツはちょっとね
<デーヴ「腕相撲しても?」
<軽くひねられる
なんとシュワちゃんが本人役で登場。
映画の中でも大統領と話をするなんて・・・このあたりからカリフォルニア州知事を志していたんでしょうか。
ほかにも映画には実際の人物がたくさん登場するため、エンドロールは「HIMSELF(本人役)」ばかりになっています。<多すぎ
素敵なシーンはほかにもたくさんあります。
デーヴは夫人とともにドライヴに出かけ、そこで警察に捕まってしまいます。
当然「大統領だ!」と騒がれるのですが、デーヴは機転をきかせてこの場をやりすごします。<モノマネ役者なんだ。
なんと「夫婦でモノマネをやっているんだ」と言うのです。
この後の歌唱シーンも大好きでした。
デーヴはニューディール政策以来となる革新的な法案として、「完全雇用を目指す」ことに乗り出します。<仕事を得た人の顔を観たことはあるか
彼は「仕事を得た人の喜びの顔は素晴らしい」と会見で言うのでした。
これもデーヴが「仕事を紹介する仕事をしていた」ためだよなあ・・・
そして終盤にはこうも言います。
「私は国民に雇われた身だ。税金を使い、国民が私を雇ったのだ」と・・・<雇われた身だ
デーヴは偉ぶることなく、こうして身をわきまえるのです。
自分の保身ばかりに走る政治家の方々に見せたくて仕方がありません。
そして最も素晴らしい伏線は、ボディーガードの人の「大統領を命をかけて守る」ということばでしょう。<「大統領のために死ねるのか?」「ああ」
デーヴは「じゃあ、(替え玉の)僕のためにも?」と聞きますが、このときはボディーガードは答えません。
このやりとりの伏線は、最高の形で回収されることになります。
そのときボディーガードが言ったことばは、映画屈指の名言と言っても過言ではありません。
ラストの爽快感はもう最高。
デーヴとその周りの人たちが、きっと大好きになるはずです。
まぁアメリカの政治なんてそう簡単にうまく行くわけないよね…とちょっとツッコミ入れたくはなりますが…。
でもラストシーンはホント最高。心がとっても暖かくなりますよね。
ヒナタカさんがこの映画を紹介してくださって嬉しいです。
久しぶりにまた観ようっと。
この映画は、アメリカの良心というか、ハリウッドの良心みたいな作品だと思うのです。
しっかりと作りこまれた脚本、セリフが無くても、目線だけで伝わる役者の演技、こだわりのセット。ハリウッド映画の本来の姿だと思っています。
最近は、こんな映画が少なくなってきてる気がします。
このレビューのおかげで、でBlu-rayが出てるのを知りました。早速買わなくちゃ。ありがとうございます。
マイナーな作品だと勝手に思っていたので、好きだと言ってくれる方がいて嬉しいです。
本当に人に勧めたくなる作品でした。