愚者の末路 映画「キャビン」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

個人的お気に入り度:9/10
一言感想:アホや・・・ほんまアホやでこの映画
あらすじ
山小屋に行った大学生5人が次々に殺される、とってもありふれたホラーです(半分ウソ)
大好きです!
もうこのバカッ。アホッ。なんてくだらない映画なんだ!(褒めことば)
とりあえず、まだ観ていない人にはこれだけ言えます。
①B級スプラッターホラー映画が大好きな人は観に行け
②ホラー映画の「あるある」もふんだんなので、たくさん観ているとより楽しい
ということ。
作中には「13日の金曜日」「悪魔のいけにえ」「死霊のはらわた」っぽいシーンがあるのです。
もうこれだけでニヤニヤが止まりません。
事前情報はそれだけで十分。
これはネタバレ厳禁な映画なのです。
そして注意しなければいけないのは、日本版の予告編がネタバレしすぎであること。
自分は残念ながら劇場で予告を観てしまったので、記憶を消してから観たかったです(それでも楽しかったけど)。
キャッチコピーの「あなたの想像力なんて、たかが知れている」は好きなんですが、予告編で想像しえない範囲も見えちゃっているので台無しです。
あとバカな映画とは書きましたが、意外なテーマ性もあったりします。
まあそれよりも展開がアレなので、テーマなぞ刺身のツマみたいなもんです。
興味を持ったのであれば、あとは上映劇場一覧を確認して観に行けばそれでOKです。
悪趣味なグロ描写はふんだんであるし、好き嫌いの分かれる作品ではありますが、上記の①と②の条件にあてはまるのならば最高に楽しい時間を過ごせるでしょう。
もう終わってしまった劇場もありますが、近くで上映していたらぜひ!
以上!
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し ね ま 絵 日 記
以下、オチまで含めて盛大にネタバレです。 本当に面白い映画なので絶対に未見の方は読まないでください↓
しつこいようだけど、これ以上は映画を観ていない方は読まないで まだ引き返せます。
~すべてはいけにえを捧げるためでした~
山小屋に訪れた若者グループがゾンビに襲われる展開・・・かと思いきや映画のはじめから「管理室」の人間が姿を見せます。
そして管理室の人間はゾンビを山小屋に放ち、若者たちを血祭りにあげるのです。
その理由は、「いにしえの神(化物)」のいけにえに捧げるためでした。なんだそれ。
もっと確実な方法取れよとか、殺したあと「壁画」に血が流れて行っているけどどこから回収しているんだよ(擬似的なものでしょうけど)とかいろいろツッコみたいんですが、これはホラー映画の展開をおちょくるためのものでしょう。
なにせ、いけにえに捧げるために管理室の人間ががんばり、若者たちが次々と殺されることが、そのままホラー映画の展開になっているのですから。
管理室の人間が「女の子のヘアダイにバカになる薬を混ぜた」とか「登場人物が寒いと言えば温度をあげる」とか「エロい展開にするためにフェロモン入りの霧を出す」とか「エロい展開を管理室のみんなが興味津々で見る」とかバカバカしすぎて笑いが止まりませんでした。ホラー映画を作るのって大変ですねー(棒読み)
個人的に大好きだったのが、
バカになるガスをまく→チャラ男に「別々に行動したほうがいいね」と言わせる→インテリキャラが「名案だ」と言う流れでした。アホや。確かにホラー映画ってなぜか別々に行動するけどさ。
思えば意味ありげに出てきた「マジックミラーの部屋」は、こうしたハイテク管理室ができる前の、監視のために用いられたものなんでしょうね。
しかし、管理室の人間がこうして人殺しに関わり、ときには嬉々として若者たちの行動を見て、あまつさえ「賭け」に興じるのは、「ホラー映画を観て笑っているお前もおなじ穴のムジナだよ」と言われているかのようでした。
~ホラー映画のオマージュ~
そもそもの山小屋という舞台、ガバっと地下室の扉が開いたり、謎の声が聞こえたり、ラテン語の呪文が出てくるのは「死霊のはらわた」、
途中で出会ったガソリンスタンドの老人は「悪魔のいけにえ」、
若者たちが泳いでいた池は「13日の金曜日」ですね。
ほかにも終盤で出てくるエレベーターは「CUBE」っぽい。
「CUBE ZERO」では本作と同じような「管理室」が出てきたりします。
ホラー映画をイジっているという意味では「スクリーム」も思わせます。
さらに言えば、管理室の人間がカートに乗り、赤い字でタイトルが現れるのは「ファニーゲーム」とそっくりです。
ほかの元ネタ参考→町山智浩 電撃参戦!映画は『キャビン』 | まちおこし
~日本も登場~
さらに管理室は日本のものも登場。
ジャパニーズホラー風な「幽霊」が、京都の小学校にセッティングされていたようです。
「日本の成功率は100%だぞ!」という台詞は、日本のホラーのオチに登場人物が全員死ぬパターンが多いからかもしれませんね。
日本の子どもが幽霊の魂をカエルに転生させる(?)ことに成功してハッピーエンドになり、管理室の人間が「ファッ〇ユー!」と言うのにも大笑い。心が荒んでいるなあ。
「日本が休暇をとると思うか?」という台詞も好きです。やっぱりそういう認識だよね。
~まさかのあの人が登場~
映画ファンに向けられているサービスがもうひとつ。
ラスボスとしてシガニー・ウィーバーが登場することです。
出てきた瞬間爆笑したのですが、エンドクレジットで「Sigourney Weaver as Director」と表示されるのも面白かったですね。彼女が(ホラー映画の)監督という意味なのでしょう。
「エイリアン」シリーズで、シガニーは「リプリー」というキャラクターを演じ、人間という種のために戦っていました。
そんな彼女が人類のために究極の選択をさせる(「愚者」を殺すか否か)というのも面白いです。
タイトルはネタバレになるので書きませんけど、最近でも同じようにシガニーがオチ担当のように使われた映画がありました。仕事選ばないですね。
~回収された伏線~
実は意外と伏線が巧みに使われた作品でした。
・立ち寄ったガソリンスタンドで、老人が金髪女性を「淫乱だろ」と侮辱する
彼女は後に本当に「淫乱」という設定でいけにえに捧げられていました
・飛んでいた鳥が見えないバリアにはじかれる
後にチャラ男がバイクでジャンプした時にもはじかれてしまいます。
・トラクターのドアには「手形」がついていた
あとでインテリキャラが「どんな時も君は落ち着いていて」と死亡フラグを言った瞬間に、ゾンビが彼を殺します。
・「日記」にはゾンビ一家が苦痛を与えることが好きなことが記されていた
デイナ(処女)は「苦痛が好きだって?」と言いながらゾンビを倒します。
・ハッパを吸っていた装置(たためば水筒に見える)を使ってゾンビを倒す!
マーティ(愚者)がこれで二度もゾンビを撃退するのが痛快でした。
・エレベーター内に残っていたゾンビの手が警備員を捕まえる
マーティが「やるな、ゾンビ!」と言ってくれたのも嬉しかった。
・出てくる化物を「半魚人」に賭けていた管理室の人間が、本当に半魚人に食われる
これもゲラゲラ笑いました。
また、冒頭で管理室の人間が言っていた「女房が子どもが生まれてもいないのに、棚に蝶番をつけるんだよ」という台詞は、「ちゃんと準備をしておけば大惨事を防げたのに」という皮肉なのかもしれません。トンネル爆破してなかったもんね。
あとは管理室で賭けに参加していなかった黒人男性の最期が、単なる自爆というのは地味に残念でした。
どうせなら「善人」として、主人公たちの仲間として活躍してほしかったです。
~愚者~
ハッパを吸うシーンで登場したおバカキャラ・マーティはキーパーソンでもあります。
彼は「愚者」としていけにえに捧げられていたのですが、実は誰よりも「まとも」な人間として描かれているように思えます。
金髪女性やチャラ男がいつもと様子が違うことに気づいたのも彼だし、ラテン語を読むなと言ったのも彼だし、「別行動しよう」という提案に「マジかよ」と至極当然な反応をしたのも彼、監視カメラの存在に気づいたのも彼、「処女」のデイナを救ったのも彼でした。
さらに言えば、管理室が壊滅したのも、いにしえの神が復活して世界が終わりを迎えるのも彼のためです。
マーティは序盤で「携帯も届かない山奥」に向かう際、「人はブログやSNSを使ったり、常に監視されたりしている。一度人類は滅ぶべきだね」と言っていました。
この台詞は後の展開を全て暗示していました。
さらにマーティは中盤に「リトル・ニモ」を読んで「夢の中だからってメチャクチャだぞ!」と言っていました。
この映画の展開のトンデモさにも、彼はツッコミを入れていたのです。
~怪物たちの大虐殺!~
作中で最高だったのが、生き残った2人が管理室に潜り込み、デイナ(ヒロイン)が「パーティの始まりよ!」と言いながらボタンをポチっと押したことにより、化物が全部放たれて辺り一面血みどろになるという展開でした。
とりあえずツッコませて。セキュリティ甘すぎまーす!
でもB級映画が好きな自分にとってはごほうびみたいな展開でした。
なぜならこの大虐殺では、
狼男とか、
超巨大キングコブラとか、
セノバイト(っぽいの)とか、
顔がおぞましいキバ付きの口になっているバレリーナ少女とか、
ピエロとか、
ユニコーンとか、
エクソシスト(っぽいの)とか、
さらにはスケキヨ(っぽいの)
などなど、ホラー映画の主役級らしきキャラがたくさん出てくるのです。<髪型がカワイイ
エレベーターがさらに到着して怪物追加→さらに大惨事になるのも最高でした。
ジャパニーズホラーにリスペクトを捧げている本作ですが、総じて考えるとこの映画、ちっとも怖くないですね。もはや完璧にギャグだもんね。
ネタバレ参考↓
『キャビン』 すきなものだけでいいです
あのシーンだけで映画一本分ぐらい満足しちゃいました。
「実はマーティがvirgin(昔女の子とキスしただけでそれっきりというセリフがあった)で
デイナが愚者(教授と不倫してた&カートに従兄弟がいないことを知っていたのにキャビンに行った)だった」
という解釈を見ました
だからこの作戦は破綻するべくして破綻したのだと
ちょっと考えすぎ?とは思うけど結構説得力がある解釈だと思います
日本のパートも雰囲気はよかったけどジャパニーズホラーとしては破綻してると思いました
確かに日本のホラーでは登場人物は全員死亡が常ですけど
舞台が小学校でキャストが子供の場合誰も死なないことの方が多いですからw
人類滅亡は最初から決まっていたのかもしれませんねえ
そんな私の視点からいえば、くだんの予告編は「苦手な人は注意して!」というアナウンスなのだと解釈しました。
もっとも、こうした映画が好きな方にしてみれ「ば好意的に解釈し過ぎだ」とか「そんな予告は大きなお世話じゃヴォケ」なのでしょうけれども。
べんずさん、kokonutsさん、シオン=ソルトさん、ありがとうございます。
> エレベーターの「チーン♪」って音がなんか気持ち良かったですw
その後にさらに血みどろになるのも、倫理的に笑っちゃだめなんでしょうが大笑いしました。
> 「実はマーティがvirgin(昔女の子とキスしただけでそれっきりというセリフがあった)で
> デイナが愚者(教授と不倫してた&カートに従兄弟がいないことを知っていたのにキャビンに行った)だった」
それも面白いですね。無効では処女も童貞も「VIRGIN」ですしね。
>そんな私の視点からいえば、くだんの予告編は「苦手な人は注意して!」というアナウンスなのだと解釈しました。
間違いなく好き嫌いの分かれる作品です。
一応あの予告も、一番肝心のところはネタバレしていないのは良かったです。