まだ若いものには譲らない 映画「ラストスタンド」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:超B級じゃないっすか
あらすじ
シュワちゃんと仲間たちが逃走中の麻薬王に立ち向かう話。
「グッド・バッド・ウィアード」「悪魔を見た」のキム・ジウン監督最新作にして、往年の大アクションスターアーノルド・シュワルツェネッガーの主演復帰作です。
シュワちゃんももう御年65歳。
作中で「年かな」という自虐ネタを披露するほど、かつての骨肉隆々な肉体はさすがに衰えを見せています。

正直この映画でシュワちゃんの体を見たときは、「ずいぶん(見た目が)小っちゃくなっちゃったなあ・・・」と少しショックでした。
作中「すげえ筋肉だな?鍛えてんのか?」と問われるシーンがあるのですが、一切その腕の筋肉が見えることはありません。たぶん、その長袖の下の腕にはかつての丸太のような太さはないのでしょう。
しかし、この映画では「かつて都会での仕事に嫌気がさして、平和な田舎町に勤める保安官」という役をシュワちゃんに当てはめているので、違和感がありません。
さらにシュワちゃんが年をとったことを自虐するだけでなく、ちゃんと「老い」ということをドラマに焦点を当てているのです。
これはかつてシュワちゃんの映画に慣れ親しんだ人ほど、感慨深い描写でしょう。
さて本作は、その大スターを主演に迎えたとは思えないほどのコッテコテのB級アクション映画になっています。
ストーリーは↑のあらすじどおりシンプル極まりないですし、劇中では頭の悪そうな銃撃戦が盛りだくさん。
さらにはR15+指定も納得のグロ描写もありと、序盤にシックでシリアスな展開があるとはいえ、この手の「なーんにも考えずに観れる」アクション映画が大好きな人にはごほうびみたいな内容になっています。
大体「軍隊まで持っている麻薬王一味を、数人の素人たちが迎え撃つ」という設定が素敵ですよ。
さらにシュワちゃんを含めその迎え撃つキャラたちもB級感が丸出しです。以下に紹介してみます。






うん、シュワちゃん以外弱そう。
このキャラの誰が生き残り、活躍するのか?そんなところにワクワクすれば幸せになれると思います。
難点は、このメンバーとFBIの面々との描写が交互に展開するために序盤がややもたつくこと、敵の魅力が薄いことでしょうか。
やっぱりシュワちゃんにはTー1000くらいにマジで強そうな敵と戦って欲しいところ。
いくら年老いているからって、あんな貧相な敵相手じゃあシュワちゃんが圧勝するところは目に見えていますwいいけど。
ちなみに本作は、残念ながらアメリカで大コケでした。
日本でも同時期にアクション大作「アイアンマン3」「藁の楯」が公開されているのでかなり不安です。
藁の楯とは犯罪者を護送するという設定が盛大にかぶっちゃってるし・・・。
さらに主演復帰作が控えているシュワちゃんのためにも、是非ともヒットして欲しいところです。
終盤のバカみたいな銃撃戦、シボレー同士のカーチェイス、そしてシュワちゃんの(ちょっともっさりしているけど)アクションなど魅力が満載な本作は、古きよき「西部劇」が好きな人に大プッシュでオススメします。
あ、そうそう。キャッチコピーに「武器ナシ、応援ナシ、あるのは4人の仲間と奇策のみ!」とありますが、これはウソで実際は武器はありまくりです。策も大したもんじゃないし。
是非、おもちゃのように殺戮兵器を使うキャラ達を観て楽しんでください。
ちなみに本編中、麻薬王役のエドゥアルド・ノリエガが興奮しすぎて「くそったれアーノルド」と本名を叫ぶシーンがあるそうです。
自分は聞き逃していたのですが、これから観る人はそのシーンを探してみてください。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
~爆走するジェット機~
映画は謎の黒い車が317キロでラスベガス郊外を爆走し、警官が「無灯火のジェット機がいるよ~」と無線で報告するシーンからはじまります。
その正体は麻薬王「コルテス」が乗ったZR1コルベットでした。
モーターショーで盗まれた「怪物」であると、FBIの車に詳しい捜査官が教えてくれます。
この車の詳細は公式ページでも確認ができます。
この正体がわからない敵をはじめに出して、不安感を煽るのは上手い手法です。
~麻薬王・コルテス~
FBIは「パブロ・エスコバル以来の大物」と称されるコルテスを護送します。
しかしその途中、上からクレーンでコルテスの乗った輸送車が奪取されます。
その後、コルテスは部下の素早い仕事であっさりと逃げおおせてしまい、警官の一人も射殺され、女性捜査員も人質にとられてしまいます。FBIがマジ無能だぜ。
FBIは囚人服と同じオレンジの服を来て走っていた男を誤認逮捕してしまいます。
FBIの司令官・バニスターは「いくらもらってやった?」と聞きますが、たぶんこの男はコルテスとは無関係で、本当にオランダのサッカーチームのユニフォームを模した服を着ていただけなんでしょうね。
この後コルテスは待ち構えていた警官を全滅させ、自らの車をジャンプ台にさせてSWATの車をひっくり返すなどやりたい放題です。<車体が低いとはいえ、それは無茶だろ
一方FBIはこの時速300キロ超で走る車がヘリでも追えず、見失ったりとやられたい放題。発信機でもつけろよ。「まきびし」まけばいいじゃん。
コルテスは「姪に殺されかけ、自分を守るために姪を殺した」ことを、人質に見せかけた共犯者の女性捜査官に口にしていました。
彼が警官に「子どもが生まれるんだってな」と言いながら資金距離から撃ち殺したことも、肉親に対しての不信と、トラウマのためなのかもしれません。
終盤、コルテスは共犯者の女性捜査官に運転しながらキスをします。前見ろ。
さらにコルテスは女性を走行中の車からほっぽり出すのでした。
これもコルテスが誰も信用していないことを示しているのでしょう。
~ジェリーの死~
銃の反動で鼻を怪我してしまう間抜けな保安官・ジェリーは「俺・・・ここじゃなく都会で仕事をしたいんだ」と絵に描いたような死亡フラグをレイ(シュワちゃん)に言います。
シュワちゃんは「お前の気持ちはよくわかる、俺も昔は都会に憧れたが、今はそう思わん。しかし願うのなら、力になろう」と言います。
しかしジェリーは、街の毎日牛乳を届けてくれたおじいさんの死体を見つけたあと、麻薬王のために待機していた傭兵部隊に撃たれてしまいます。
レイとフィギーがトラックに乗って、ジェリーと紅一点のサラを救出してくれますが、ジェリーは程なくして息を引き取ります。
レイは鼻を怪我したとき「服にしみがつく」と血のことを気にしていました。死ぬ前にも保安官の服を着で汚れないかと心配していました。
田舎町に嫌気がさしていたようなジェリーですが、保安官としての誇りもあったのです。
ジェリーの親友であったフランクは、廊に入れられながらも「もう途中で投げ出したりしない、ジェリーは親友だった」と言います。
レイはフランクの廊を開け、ついにレイ、フランク、サラ、フィギー、そして武器を大量に所持していたディカンスという、麻薬王とその特殊部隊を迎え撃つ5人のチームが出来上がります。
~大銃撃戦~
街で5人は車を横並びにしてバリケードをはり、ディカンスは電柱を愛用のトラック「ヘンリエッタ」に倒してさらに動かないようにしました。
レイは朝食を食べていた住民に「家から出るな」と言いますが、住民たちは「もう朝食を頼んじまった」と危機感がありません。平和な街だからなんでしょうね。
そして「ブレル」率いる特殊部隊たちがやってきます。
同時に現れたのは看板娘の「クリスティ」。ブレルに撃たれそうになっているクリスティを守るため、フィギーは身を乗り出して銃を撃ち、助けます。
そして敵のバズーカ砲をなんとか逃れたフィギーは、マシンガンを手に取り特攻するのです。<超かっけえ
しかし当然ながら狙撃兵に撃たれてしまうフィギー。
サラも狙撃で援護しますが、かばいきれません。
そこに現れたのは黄色いバス。
バスはフランクが運転しており、反転して停車すると、レイは「ナチス殺し」の異名を持つガトリングガンをぶっぱなすのです。<ぶっぱなしたときの台詞は「ソマートン(町の名前)にようこそ」
威力は抜群で、真っ二つになってしまう敵さえいました。
さらにレイはバスに飛び乗ってきた男を銃であっさりと殺し、はずみで食堂に突っ込んでしまい「年かな」と言うも、食堂のおじいさんに「まだまだこれからじゃろ」と言われて復活します。
フランクは屋上から敵に体当たりして落ちながら至近距離と拳銃を撃ち、サラと共闘しサングラスの男がぶっ殺したあと2人はキス。この安っぽいロマンスシーンもB級っぽいです。
ディカンスはでっかい盾を持って銃撃を交わしながら「おもちゃの赤い鉄砲」みたいなのを敵に放ちます。
逃げようとする(なんで?)敵がその弾を食らうと、花火のように爆発し、敵はバラバラになってしまいまします。どんな弾だよ。
*以下のご指摘を受けました
あれは照明弾では?
当然当たれば超痛いですから、思わず背中を向けたところに直撃、バックパックの弾薬・爆薬やなんかに引火して吹っ飛んだってトコでしょう。
町の連中もだまっておらず、おばあさんが家に侵入した敵をショットガンで撃ち殺すシーンもありました。
おばあさんはレイに「ギッタギタにしてやって!」と言います。これがギャップ萌えか。
そしてレイは、ブレルの乗ったバスの下に潜り込みます。
ブレルの耳を撃ったあと、レイはブレルに銃を突きつけます。
レイは「何者だ?」と問われて「ただの保安官さ」と答えるのです。<一度はこういう台詞を言ってみたい
そんなわけで盛大に特殊部隊をぶっ殺した一同。
おばあさんを含め、ちゃんと正当防衛で処理されたのかとっても気になりますね。
おばあさんはFBIに「敵が勝手に中に入ってきたのよ~」と訴えていました。
~とうもろこし畑の決闘~
麻薬王・コルテスの乗った車がとうもろこし畑にさしかかったころ、赤いシボレーが畑から姿を現し、追突してきます。<畑から追突!
ここから、カーチェイスなのに相手の姿が全く見えないという「探り合い」の戦いが幕を開けるのです。
最期は両者ともが車が故障し、コルテスは歩きながら渓谷にかけられた橋を目指します。
そして、そこにはレイが立ちふさがっているのでした。
~ラストスタンド~
コルテスは「良くも俺の車を!」と、橋に待ち構えているレイは「よくも俺の休みを!」と言い合います。怒るとこそこかよ。
「俺たち移民の面汚しめ!」と言うのはシュワちゃん自身が移民だからですね。
レイはコルテスに手錠を放り、自分で手錠をかけるか、かけられるかを選べと言います。
しかし、コルテスは手錠を足蹴にし、レイを金で買おうとします。当然レイはそれをよしとはしません。
さらにコルテスは「もうジイさんだろ、あんたは終わっている。俺はこれからだ!」と言いながらレイに体当たりします。
そしてはじまる肉弾戦!<顔面パンチ
<ジャーマン・スープレックスもキメます。
しかしコルテスは隠し持ったナイフで切りつけレイは窮地に追いやられます。
しかしレイはナイフを奪い、ナイフをコルテスに突き立て、半ばゴリ押しのまま勝利するのでした。
レイはまさに「最後に立つ者(ラストスタンド)」でした。
~レイのキャラクター~
さらにコルテスは「わかった、2000万ドルだそう!」と言いますが、レイは「名誉は売らない」と応えます。
レイは「30分後ろを向いて麻薬王をやり過ごそう」と言っていたフィギーにも「(保安官の)バッジが泣いているぞ」と言っていました。
レイはかつては仲間を7人亡くしており、サラに対しても「俺は君以上に(戦うことに対して)震えている」と言っていました。
これはレイが、名誉と、仲間を守るために奮闘する物語でもあるのです。
~オチ~
戦いが終わり、やっとやってきたFBIの司令官・バニスターは内通者であった女性捜査官を逮捕します。
バニスターは「奴の隣は慣れているな」と言いながら、捕まっているコルテスの隣で彼女を拘留するのです。
そしてバニスターはレイに対して「あんたを見くびっていたよ、簡単にはあきらめない、たいしたもんだ」と言います。そう言うお前は全然大したことなかったよね
フィギーもディカンスも無事に生き残っていました。
そして「バカ町長」が「私の車に何をした!」とボロボロになった赤いシボレーのことを言い、レイが序盤と同様「バカめ」と言ったところで映画は幕を閉じます。
悪い奴はぶっ殺されてor捉えられて、駐車禁止のところに車を止めたヤツもしっぺ返しを受けるのです。
そんな勧善懲悪にもほどがあるステキな作品でした。
アメリカで、コケたのですか!
シュワちゃんも、離婚訴訟を控え(?)て、お金がいるから、老骨にムチ打ち頑張っているのかな?と応援して見てました。
> アメリカで、コケたのですか!
> シュワちゃんも、離婚訴訟を控え(?)て、お金がいるから、老骨にムチ打ち頑張っているのかな?と応援して見てました。
藁の楯は未見ですが本当設定は似ていますね。
シュワちゃんはすでに3本主演復帰作が決まっています。
シュワちゃんは家政婦に×××なことをしたり最近の素行にはうんざりでしたが、見直しました(何様)
シュワルツネッガーならどんな無茶でもOKという魔法にまだ少しかかったままの人なら面白く見られます。
話が変わりますが、顔や所作がイーストウッドっぽくなってきてますね。
細かい補足ですけども、ディカンスの撃った「赤いおもちゃみたいな銃」、あれたぶん照明弾ですよ!海難事故とかで打ち上げるやつ。
当然当たれば超痛いですから、思わず背中を向けたところに直撃、バックパックの弾薬・爆薬やなんかに引火して吹っ飛んだってトコでしょう。
シュワちゃんは今後、こういうシブめの役で行くんでしょうかね。