宮崎駿の遺言? ジブリ最新作「風立ちぬ」の4分間の特別予告編+事前情報

宮崎駿監督作品なのにタイトルに「の」が入っていなかったり、
主人公声優にエヴァの庵野秀明監督を起用したり、
大きな話題を振りまいている本作ですが、それに限らず本作の宣伝方法は特殊です。
現在、多くの劇場で4分間という長い時間を使った予告編が公開されているのです。
一部の劇場では映画の本編終了後に流されてしまって余韻泥棒などと言われている予告ではありますが、その内容は深く、面白いものでした。
本日はその予告で流れた台詞とテロップ、そして事前情報をちょっと書き出してみます。
↓以下は予告の内容のネタバレです。
~予告の内容~
4分間、まるまる荒井由実(松任谷由実)のひこうき雲が流れます。
まず主人公・堀越二郎(役作りをしていない演技の庵野秀明)がこう言います。
「だーれが風を見たでしょう。だーれも風を見やしない。けれど木の葉を震わせて、風は翼を震わせて、風は通りゆく、あなたのもとへ通りませ」
二郎は紙ひこうきを投げ、風に乗った紙ひこうきは少女・菜穂子のもとへと届きます。
その後は震災で壊れた街並み、街をゆく人々、銀行へ駆けつける人々、飛行機の製図をする人々、戦争の様子、学生と思われる二郎と菜穂子の姿が描かれます。
以下はテロップの内容です(公式ページの「ストーリー」にあるものと同じ)
大正から昭和へ、1920年の日本は、不景気と貧乏、病気、そして大震災と、まことに生きるのに辛い時代であった。
そして日本は戦争へ突入していった。
当時の若者たちは、そんな時代をどう生きたのか。
イタリアのカプローニの時空を超えた尊敬と友情、後に神話と化したゼロ戦の誕生、薄幸の少女との出会いと別れ。
この映画は、実在の人物堀越二郎の半生を描く。
堀越二郎と堀辰雄に敬意を表して。
さらに零戦が墜落し、堀越二郎が墜落したゼロ戦を見るシーンが映し出されます。
菜穂子は、最後に二郎にこう言います。
「震災のとき、本当にありがとうございました。里見菜穂子と申します」
この予告では、菜穂子が血を吐いてしまうショッキングなシーンもあります。<菜穂子
これは当時は不治の病であった結核の症状でしょう。
大きな入道雲が映し出されていることもありましたが、その後には暗雲が立ち込めているシーンもあります。
本作はフィクションではありますが、楽しいファンタジー作品ではなく、1920年当時の厳しかった時代を描いているのです。
~事前情報~
本作の主人公のモデルは、宮崎駿が敬愛する実在の航空技術者の堀越二郎です。
そして作品には同名の堀辰雄の中編小説の内容(結核の要素など)が盛り込まれています。
また、関東大震災の場面の絵コンテを描いた翌日に東日本大震災が起きたのですが、内容を変えることはなかったそうです。
映画「ヒミズ」は震災の影響を受けて全く別の内容になりましたが、現実の大きな出来事にも左右されない本作には、その意志の強さを感じられます。
キャッチコピーは、はじめはポール・ヴァレリの詩「海辺の墓地」からの「いざ、生きめやも。」でしたが、後に「生きねば。」という、より力強いものに変わっています。
さらに、物語で紡ぎたいことは反戦や当時の若者への鼓舞ではなく、自分の夢に忠実にまっすぐ進んだ人物だそうです。
これは、まさに宮崎駿が真に作りたかった映画と言えるのではないのでしょうか。
プロデューサーである鈴木敏夫は、6月8日に放送された「世界一受けたい授業」でジブリファンにとって楽しい情報ばかりを伝えていましたが、「風立ちぬ」については「こう言ったら怒られるかもしれないけど、僕自身はこの映画は宮崎駿の遺言だと思っている」と言っていました。
「遺言」とまで言えるほどのメッセージが込められているであろう本作は、現代の人々にどのように映るのでしょうか。
公開日を楽しみに待とうと思います。
私の行き付けシネコンでは、泥棒は泥棒でも映画泥棒よりも先でしたので大丈夫でした。
というか、宮崎監督&泥棒だけに「ジブリは大変なものを(ry」なんてネタが出てくるんだろうなぁ…。
> 震災で内容を変えることはなかった
むしろ、「これは今こそ必要な映画になる」と確信したのではとも思います。
一方で予告編を観る限り、地震そのものの描写は写実的ではなく抽象的な演出のようですね。
> 宮崎駿の遺言
くだんの番組は私も観ました。とても興味深い話が聞けました。
ちなみに裏番組の酷道スペシャルとどちらを観ようか悩んでいたのは秘密です。(笑)
みてみたくなりました
日本の手技術は昔から宝、匠ですから
劇場で見ましたが(上映前)、ジブリは吐いた血まで美味しそうに見えます