ド・シリアススプラッター リメイク版「死霊のはらわた」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

個人的お気に入り度:6/10
一言感想:シリアス&クスリはダメ、絶対!
あらすじ
麻薬中毒に陥っていたミア(ジェーン・レヴィ)は、兄のデイヴィッド(シャイロ・フェルナンデス )ら4人の男女ともに森の中の小屋にやってきた。
依存から抜け出そうとするミアの前に、やがて異形の者が迫ってきて・・・
1998年に制作された元祖スプラッター・ホラーのリメイク作です。
オリジナル版とのもっとも大きな違いは、本作がコメディ色がほぼなくなっていることです。
本作にはオリジナル版にはなかった「ヒロインが麻薬中毒者である」というシリアスな設定があります。
そしてオリジナル版で顕著だった「なんだか笑ってしまうバカバカしさ」は本作にはありません。
スプラッター描写はかなりのリアル志向で、「痛さ」をとにかく感じます。
「笑い」の要素が感じられないことは、オリジナル版が好きだった方にとって「否」を突きつける要因になっているでしょう。
しかし、自分はとにかく凄惨な映画を作ろうとするスピリットを感じられたので、大いに気に入りました。
本作で監督を務めたのは新人の方で、Youtubeの動画が高く評価された人物です。
その動画→Ataque de Pánico! (Panic Attack!) 2009 - YouTube
被写体を至近距離で捉えたカメラワーク、、陰影をつけた映像表現は非凡さを感じました。
そして限界ギリギリアウト気味なスプラッター描写がほぼ文句なしの仕上がりです。
腕がブシュー!血がドバー!痛てててててて!な悪趣味スプラッターが好きならとりあえず観に行っても損はないでしょう。
驚くことに、そのスプラッター描写にはCGによる処理が一切使われていません。
オリジナル版の展開を踏襲し、かつ手作りでグッチョグッチョなシーンを作り上げてしまう本作は、確かなリスペクトを捧げているのです。
またヒロインが麻薬中毒者であり、彼女のために小屋に訪れるという設定はなかなかうまいと思います。
「cold turkey(禁断症状を出させる荒療治)」のために外界と隔たれた場所に来るというのは筋が通っていますし、彼女が「何か」に襲われても「幻覚だから」と誤解されてしまうのです(何もあんなに汚い小屋に来なくてもとも思いますが)。
ホラー映画の定石(誰かが言ったことをみんなが信じてくれない)を踏んだ展開にはニヤニヤしてしまいました。
展開は穴だらけでツッコミどころもそれなりな本作は、まじめに考えるよりもグログロを楽しめれる方にこそおすすめしたい映画です。
でもやっぱり、オリジナル版のアホっぷりが恋しいのも事実です。
次回作があるのであれば、1作目を撮ったサム・ライミ監督が好き勝手やってる画を期待しています。
エンドロール後にもオマケがありますので、最後まで観ましょう!
以下、結末も含めて盛大にネタバレです 鑑賞後にお読みください↓
作中で血祭りにあげられてしまうキャラごとに書いてみます。
~オリビア~
オリビアは看護婦さんで、最初に死んでしまった人物です。
彼女は「取り憑かれて」しまったミアに盛大にゲロ血を吐かれます。<出過ぎ
そのあとオリビアが「鏡」を観て邪悪な顔になったシーンも鳥肌ものでした。<ニタァ!
鏡のシーンは「1」「2」でも出てきましたね。今回が一番怖いと思います。
そして、シャワー室で「取り憑かれた」オリビアは、自身の舌を切り取り、エリックに襲いかかります。
さらにオリビアは注射器で何度もエリックをブッ刺し、エリックはなんとかトイレの便器のかけらでオリビアを殴り殺します。
エリックが目の下から「注射針」を抜き取るシーンは痛々しくてキツかったですね。
~ナタリー~
ナタリーは主人公・デイヴィッドの恋人にして、意外なまでに鋼の心を持った人物です。
何せ、地下室に隠されてしまった(取り憑かれた)ミアに誘われるがまま、キスまでされちゃうのですから。<キスは血の味でした。
このときのミアがカッターで自分の舌を「二枚舌」にしてしまうのも痛くて観ていられませんでした。
その後にデイヴィッドに助けられるナタリーですが、腕を噛まれたところが「感染」してしまいます。
ナタリーは、キッチンにあった電動ノコギリで自分の腕を切断してしまうのです。<切れ味悪そう・・・
このときの「取り憑かれた」ミアが「NO NO NO NO NO!」と言うのに萌え、ナタリーが「うるさい」と言い捨てるのが痛快でした。
ナタリーが駆けつけたエリックとデイヴィッドに、「やるしかなくて、でもすっきりしたわ」と言うのもすごいよなあ。
しかし結局「取り憑かれた」ナタリーは、デイヴィッドとエリックに釘打機を撃ちまくります。
結果的にエリックのカラダは釘だらけに・・・エリックは釘打ち機を反対にナタリーの顔に撃ちまくり、デイヴィッドは猟銃を使ってナタリーのもう片方の腕も吹き飛ばします。
ナタリーは正気に戻り、「なぜ顔が痛いの?」と言いながらデイヴィッドに寄り添います。
またナタリーが豹変するのかと思いきや、そのまま彼女は絶命しました。
ナタリーが悪魔から解放されたのは「死者の書」に描かれてあった、悪魔を浄化する方法のひとつ『体の切断』をやりとげたためでしょう。
~エリック~
エリックは高校教師。
「死者の書」を「唱えるな!」と忠告があったのにも関わらずに口に出して読んでしまいます。<だいたいこいつのせい
エリックは全然悪びれる様子がなく、「悪くなっていく一方だぞ」「どこに行っても同じ、逃げる前にみんな殺されるんだ!」などとほざきました。ちったあ謝れよ。
でも彼が、地下室で「取り憑かれた」ミアに殺されかけていたデイヴィッドを助けたシーンはアツかったですね。
エリックがデイヴィッドに告げた最後のことばは「会いたかった、待っていた」でした。
序盤にエリックはオリビアに「デイヴィッドを嫌うふりをしているのね」と言われ、「今回は来たな、驚きだな」と答えていました。つまりエリックはデイヴィッドに対してツンデレだったんですね。
~デイヴィッド~
「(妹のミアを殺すしかないと言われ)人殺しなんかできるか!」と言うデイヴィッドは、エリックに「お前はやるべきことができない臆病者だ」と罵倒されます。
その後、死にかけのエリックに「やるべきことをするよ」と言い、家にガソリンを撒いて地下室のミアも一緒に燃やそうとするデイヴィッドでしたが、ライターの炎を落とすことができませんでした。
そのとき、家のすぐそばの木に雷が落ち、燃え上がります(この燃え上がる木は「2」のオマージュ)。
それを見たデイヴィッドは、「死者の書」に描かれてあった悪魔を浄化する方法のひとつ「生き埋め」を試みます。
デイヴィッドが気絶したミアを埋めようとしたとき、ミアはデイヴィッドに「なぜ私を憎むの?あなたは家を出た、私たちを捨てて、帰らなかった」と言います。
ミアを埋めた後に木の火はふっと消え、デイヴィッドはミアを掘り返します。
デイヴィッドは電気ショックで、ミアを生き返らせることに成功しました。
デイヴィッドは「そばにいてくれてありがとう」とミアを抱き寄せながら言います。
デイヴィッドは病気の母と、まだ幼かった妹を残し、仕事を口実に出て行ってしまったのです。
デイヴィッドは妹とともにいてやらなかったことを後悔していたのでしょう。
そんな彼が、妹を抱き寄せるのです。
デイヴィッドは、小屋の壁に掲げてあった平和だったころの仲間の写真を見つけます。
ほろ苦いハッピーエンド・・・かと思いきや、死んだと思われていたエリックが取り憑かれてしまい、デイヴィッドに襲い掛かります。
デイヴィッドはミアを小屋の外に追い出し、小屋の中のガソリンを猟銃で撃ち、小屋とともに燃え上がりました。
~ミア~
小屋が燃え広がる前に、取り憑かれていたエリックは「『彼』が来る」と言っていました。
小屋の外のミアに、血の雨が降り注ぎます。
そして・・・地面から『彼』が復活します。
その姿は取り憑かれた人間の女性のようでした。
逃げ惑うミアは、離れのチェンソーを手に取ります。
ガソリンを死ぬ気で入れるミア、なかなかかからないエンジン、そして横から何度も差し込まれるナタ!
ミアのひざにナタがさしこまれてしまうのは、本作のもっとも痛かったシーンでした。
ミアは車の下に隠れます。やっとチェンソーのエンジンがかかります。
そして『彼』の足を車の下からぶった切るミア!これは痛快でした。
しかし車が『彼』の怪力によりひっくり返され、ミアの腕が下敷きになってしまいます。
ミアは腕を引きちぎり、なんとか脱出します。
『彼』は「お前の魂を喰らってやる」と言います。
ミアは「これでも喰らいな!」と言いながら、『彼』の顔にチェンソーをブッ刺します。
『彼』の体はもうぐっちゃぐっちゃで血みどろ。ミアも返り血で真っ赤。でも、痛快でした。
ミアが兄にもらったペンダントをつけ、森の中に差し込む日の光を見て、「死者の書」が閉じるシーンで映画は幕を閉じます。
~エンドロール後~
エンドロールの途中で、「カンダール遺跡で、古代シュメール人の『死者の書』を発見した。悪魔は呪文でよみがえるらしい。悪魔は生きている者に取り憑く・・・彼は森で私を探しているのだ」などとナレーションが聞こえてきます。
最後に男性が「イカスね(Groovy)」と言い、こちらを向きました。
実はこの男性は、今までのシリーズの主人公「アッシュ」を演じていたブルース・キャンベルです。
この「Groovy!」という台詞は、「2」の主人公が言った台詞なのです。
ここでファンサービスをかますとは恐れ入りました。
~ツッコミどころ、気になったこと~
・「1」「2」にもあった「女性がツタに襲いかかられる」シーンで、思い切りツタが股間に刺しこまれた気がするんだけど・・・
さすがR18+指定ですね(そこ?)。オリジナル版では森に襲いかかられるだけでしたが、本作では「自分の分身」の幻覚が吐いたツタに襲われていました。
・なんで地下で猫が殺されていたの?
死者の書に悪魔の浄化のしかたが描かれていたから、殺さなくてもいいんじゃ・・・
・「ウイルスに感染してしまってみんなが豹変するんだ!」と言い張るデイヴィッド
まあ、まだそっちのほうが信じられますよね。「ウイルスで自分の顔を切り刻むか?」とツッコみを入れるエリックに笑いました。
・『彼』を良く見ると、胸にふくらみがあったけど?
ミアも『彼』のことを「Bitchi(ク○女)!」と呼んでいました。
『彼』はオープニングで父に殺されていた少女なのではないのでしょうか。
今までと同じように取り憑いていたのは男性で、取り憑かれたのは女性なのだと思います。
・ミアが熱湯シャワーで負った火傷は治ったの?
ていうかしれっと二枚舌も治っているし・・・・まあ、「死霊のはらわた」はそんなもんです。
参考↓
ホラー映画友の会 「死霊のはらわた」リメイク版見てきました!
映画「死霊のはらわた」(★9):ちょっと辛口な映画レビュー - ブロマガ
死霊のはらわた(2013) - みんなのシネマレビュー
ちなみにこちらUSでは7/16にEvil Deadのブルーレイが発売になります。ヒナタカさんのレビューを参考に再見したいと思います。
で、そのブルーレイの特典映像の一部が下記サイトにあったので、暇な時にでもご覧ください。
http://www.deadites.net/2013/05/28/evil-dead-2013-blu-ray-dvd-special-features-detailed/