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僕だけが知っている リメイク版「華麗なるギャツビー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は華麗なるギャツビー(2013)(原題:The Great Gatsby)です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:世の中、金ばっかりじゃない


あらすじ


金融マンのニック(トビー・マグワイア)は、とある大富豪の物語を精神科医に話しはじめる。
ニックは宮殿のような豪邸のそばで暮らしていた。その豪邸の持ち主こそジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)だった。
ニックの知り合いの富豪トム(ジョエル・エドガートン)の妻であるデイジー(キャリー・マリガン)は、ギャツビーのことを知っているようだったが・・・




ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマン監督最新作です。

原作はF・スコット・フィッツジェラルド による同名の小説であり、長らく古典として親しまれていた作品です。
今までに2度実写映画化もされている作品で、特に有名なのはロバート・レッドフォード主演の1974年の作品でしょう。

ロバート・レッドフォード
1000円
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自分はこの映画も原作も未見だったので、新鮮な気持ちで本作を楽しむことができました。

1974年版は原作とは異なる解釈で物語が綴られている箇所があり、今回の2013年版はそれよりもだいぶ原作に忠実になっているようです。
参考↓
華麗なるギャツビー(1974年) - Wikipedia(超ネタバレ注意)
【ネタばれ】「勝者は鉄人Fコッポラ コッポラ版との比較」 ユーザーレビュー - Yahoo!映画(超ネタバレ注意)

その作品群を全く知らない自分でもすんなりと飲み込めたので、本作は過去作品を知らなくても問題なく楽しめるでしょう。


本作の舞台は1920年代のアメリカ・ニューヨークです。
第一次世界大戦が終了したばかりの「ジャズ・エイジ(狂乱の時)」と呼ばれる時代で、とにかく世の中はバブル景気に湧いていました。

監督自身が2008年に体験したリーマン・ショックが、1920年代の人々が体験したこととそっくりであることに気づいたからこそ、本作を現代に蘇らせることを決めたそうです。

何せ、その「狂乱の時代」の先には1929年の大恐慌が待ち受けているのです。
その華やかな生活はやがて終わりを迎え、退廃していく・・・本作がきらびやかなビジュアルに対し、もの悲しい雰囲気を感じられるのは、そのためでもあります。

原作者が「グレート・ギャツビー」を執筆したのは1920年のことなので、原作者は大恐慌が起こることを知りません。
しかし、この物語はやがて来る「悲劇」を想定して書かれたようにしか思えません。
原作者は先見の明をもって、この物語を考えていたのではないでしょうか。

セレブレティは毎日のように豪遊し、街中のモラルが低下しまくっていたときに、ギャツビーは多くの「謎」を携えて登場します。

なぜギャツビーはこの時代に大富豪になったのか?なぜ自宅でパーティを行っているのか?彼の正体は?ヒロイン・デイジーとの関係は?
当時のきらびやかな風情に圧倒されながら、そのミステリー要素や、ラブストーリーが楽しめることが本作の魅力と言っていいでしょう。


役者も総じて魅力的で、言わずものがなのレオナルド・ディカプリオをはじめ、狂言回しとしてのトビー・マグワイア、「弱い」立場であるキャリー・マリガンも素晴らしかったです。

ただ上映時間が2時間24分と大変長く、会話シーンばかりで物語の進展がない中盤はかなり退屈でした。
きらびやかな装飾やパーティーのシーンも何度も流されるので、くどさを感じます。
役者の演技も、この冗長さでは少し魅力を削いでしまうような気がします。

ここは監督の個性だと割り切るしかないですが、ほかの監督が撮っていたらどんな作品だっただろう?と想像もしてしまいます。

また本作には3Dで観たい!と思わせるシーンもたくさんあったのですが、会話シーンの比重が大きい作品なので、2Dでもよいでしょう。

「金で幸せをつかもうとした男の悲劇」を描いた本作は、普遍的で、多くの人の共感を呼ぶことでしょう。
本作が再びリメイクされることがあるのなら、それはまた世界中が不景気になったときなのかもしれません。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓














~お茶会~

唯一の「招待状」をもらったニックは、ギャツビーと親密になっていきます。
そしてニックは、デイジーとギャツビーの間に何かしらの関係があること、そしてギャツビーがパーティーでデイジーを待っていたことを知ります。
ニックは彼らのために、自宅で「お茶会」をすることを提案します。

以下、ギャツビーが久しぶりに会うためにドギマギしちゃう描写の数々です。
・前の日には「芝を刈らないと」と言うけど、当日になったら「芝生なんて刈らないよ」と言う
・当日に花束を買い込んで運ばせる
・ケーキも金に物を言わせて運ばせる
・豪雨が降っているのにも関わらず「今日は4時に雨は止むはずだ!新聞に書いていたんだ」
・4時2分前なのに、「遅すぎる」と言って帰ろうとする
・いざデイジーが来た時も玄関に戻って逃げようとする
・せっかく出会ったのに緊張して何も話せない
・キョドってニックの時計を落として壊してしまう
・席を外そうとするニックを呼び止めようとする

うん、カワイイ。ディカプリオ様がキョドる演技は完璧でした。

その後ニックが戻っていた時には、物音に全く気付かずに話し込んでいたギャツビーとデイジーでしたが、対面した時には両者ともどこか険しい表情でした。

喜んでいないキャリーマリガン<喜んでいない?

全然喜んでいないディカプリオ<険しい表情

なぜ彼らが心からの再会を喜べなかったのか・・・それには理由がありました。


~すべては彼女のために~

ギャツビーは、はじめはニックに「両親とも大富豪」「オックスフォード大に行った」などと言っていましたが、それらは(ときには真実を織り込ませた)嘘でした。

ギャツビーはとても貧しい農家の息子として生まれました。
その後に富豪の命を助けたことをきっかけに、彼は上流階級の帰属の仲間入りを果たすことになります。

デイジーとギャツビーは5年前に知り合いましたが、ギャツビーはオックスフォードに向かう戦争のために、彼女に会えなくなってしまいます。

そしてギャツビーの帰還を待てずに、デイジーは大富豪のトムと結婚をしてしまっていたのです。
デイジーは式の当日に、ギャツビーから送られた「帰れなかった理由」を読んで式を取りやめたいと言いますが、できませんでした。

ギャツビーが選んだ道は、「彼女が結婚した大富豪よりもさらに金持ちになり、自分の家のパーティに招き入れること」だったのです。

なんとも回りくどくて不器用な方法ですが、ギャツビーのように夢のために全てを捧げることは誰にでもできるものではありません。


~愛していないと言え~

ギャツビーは「デイジーにトムを愛していないと言わせてみせる」と宣言していました。

デイジーの夫・トムは浮気をしていました。
トムの浮気相手のマートルは、夫とともに旅立とうとしていました。
トムは浮気相手と、(ギャツビーと再会した)妻を同時に失おうとしていたのです。

街のビルの蒸し暑い部屋に来たギャツビーとトムは、口論をはじめます。
ギャツビーは「彼女は君のことを愛したことはない」と、
トムは「愛してあっている!」「愛したことはないのか?山を降りたときに支えたときも、一度もか?」とデイジーに詰め寄ります。

デイジーは涙ながらに応えます。
「ジェイ(ギャツビー)は何もかも望みすぎよ」「彼(トム)のことも愛していたわ」と・・・

トムは「お前の知らない夫婦の話もある」と言い、さらにギャツビーの金回りのことも口にします。
ギャツビーはウルフシャイムというギャング(賭博師)に取り入って「サイドビジネス」をしていたのです。
ギャツビーは友人となったニックにも、サイドビジネスの話を持ちかけようとしていました。

トムは「ギャングの隠れ蓑だ」「血統が違うんだよ」とさらに罵倒をします。
そんなトムの持ったグラスが、ギャツビーのグラスにぶつかったとき、ギャツビーはトムの胸ぐらをつかみました。
殴ることはしなかったギャツビーでしたが、その時の形相はニックには「(噂をされていた)人殺し」に見えたそうです。
ギャツビーはデイジーと話をしようとしていましたが、彼女の心は引いていきました。

ギャツビーは自信を持って「トムを愛していないと言わせてみせる」と思っていましたが、それは彼の傲慢さを体現したものにほかならなかったのです。


~看板の意味~

ギャツビーの車は、トムの浮気相手のマートルをひき殺してしまいます。
そのとき、看板の「目」が事故の現場を見ていました。

「目」が見ていた<不気味な目が見ている。

これは引き払った眼科医院の広告です。
広告というのは華やかなもので、目当ての相手にアピールをする存在です。
ちょうどギャツビーの人生にも似た存在でしょう。

序盤にニックが「自分自身を見ている」と言ったように、これはギャツビーが自分自身を見ていたという描写なのだと思います。
参考→<佐藤秀の徒然幻視録:華麗なるギャツビー(2013)>


~人生の終わり~

浮気相手の夫は、妻をひいた車の持ち主がギャツビーと聞かされて「マートルの間男もギャツビーだったのか」と口にします。
当の『間男』であるトムは、彼を抱き寄せてそれを聞くしかありませんでした。

さらに、マートルをひいたのはギャツビーではなく、デイジーでした。

ニックは、トムとデイジーが「一緒に逃げよう」と話していたことを聞いていましたが、それをギャツビーに告げることはできませんでした。
なぜなら、ギャツビーが「デイジーは朝には電話をくれるさ、デイジーと打ち合わせをして出て行くよ」と希望を持ったことを言ったからです。

ニックはギャツビーの前から去る前に「君の周りはクズばかりだ、君だけが価値がある」と言います。
ニックがこのときに思ったのは「言ってよかった、それが唯一の賛辞になる」ということでした。

そして・・・執事が電話を受け取ったとき、ギャツビーはマートルの夫に拳銃で撃たれ、プールで死んでしまいます。
電話をかけたのは、デイジーではなくニックでした。
ギャツビーが苦心をして一緒になりたいと願ったデイジーは、あっさりと彼の目の前から去ってしまうのです。


~ギャツビーとデイジー~

デイジーは弱く、そして自分に自信のない人間です。
彼女が序盤に自分の娘のことを「女の子にはバカで美しくしていてほしい」と言ったのは、ギャツビーと一緒になれず、大富豪との生活をただ享受していた自身のことをも表しているのではないでしょうか。

デイジーが「ギャツビーにシャツを放り投げられる」シーンで泣いたのは、もう彼との生活に戻れない、失った時間は戻ってこないと思っていたからなのではないでしょうか。

ギャツビーは貧乏から抜け出そうとしていた少年時代に、自身のことを「想像の中の神の子」であると言っていました。
ギャツビーは出会った頃のデイジーとキスをする前に「自由な『神の国』に戻れなくなる」と言っていました。
「神の国」にいることを諦めるほどに、ギャツビーはデイジーのことが好きだったのです。

しかしデイジーは、ギャツビーの葬式に花を手向けることもなく、出て行っていまします。
自身が人を轢き殺したことを悪びれず、その罪の告白もしないままに・・・

あれだけたくさんいたセレブ達も、彼の葬式には姿を現しません。
大恐慌の時代を迎えてニューヨークの街は喧騒だらけになっていき、ギャツビーの豪邸はあっという間に「がらんどう」になってしまいます。

あまりに、ギャッツビーが報われません。


~緑の光~

ギャツビーは桟橋から、対岸に見える「緑の光」を見つめていました。
それはデイジーの家があるところに見えるものです。

緑の光が見える<緑に輝く光

ニックは緑の光のことをこう言います。

「彼は汚れのない夢を抱いていた、緑の光はギャツビーに驚きのことだったろう。
長い道を進んでいた彼にとって、その夢は過去のものとは限らない。
緑の光は、消えていく未来だ。
明日にはもっと手を伸ばそう。
そうすればいつかは手にれられる。
押し戻されながらも・・・・」


ニックがギャツビーの手記をまとめあげ、その「Gatsby」のタイトルに「The Great」と付け加えたところで、映画は幕を閉じます。

ギャツビーは「過去はやり直せる」と言っていました。
しかし実際のデイジーは以前の彼女とは違っていて、どうしても昔のような関係にはなれませんでした。

過去の輝かしい思い出を追い求めているだけでは、できないこともあるでしょう。
だからでこそ、ニックはギャツビーが見つめていた緑の光を「未来への希望」であると考えたのです。


~僕だけが知っている才能~

終盤、ニックは桟橋で会ったギャツビーに「彼に希望を見出す才能を見た」と思います。
ギャツビーはどんな状況にあっても、ただただ純粋に思い人と寄り添うという夢を成し遂げようとしていました。
それこそが、ギャツビーという人間の魅力なのです。

デイジーは、パーティーで出会ったギャツビーに「理想を実現したの?」「(君のためにやったと言われて)完璧よ、その想像力のおかげでね」と、彼の努力や本質を見ていない物言いをしてました。

しかしニックは、唯一対面を気にすることなく彼の葬式に出て、そして唯一その魅力を知った人物なのです。
哀れな人生を送っていたギャツビーに、ニックというかけがえのない親友がいたことが、本当に嬉しく思います。

おすすめ↓
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2013-06-16 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 1
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僕だけが知っている リメイク版「華麗なるギャツビー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「華麗なるギャツビー(2013)」(原題:The Great Gatsby)です。個人的お気に入り度:5/10一言感想:世の中、金ばっかりじゃないあらすじ金融マンのニック(ト
2013-07-02 05:02 : 売れないお笑い芸人のサブカル批評
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非公開コメント

No title
ギャツビーが好き過ぎて、まったく客観的に観れませんでしたわ。笑
3Dも少し気になってるんでタイミングあったら3Dも観てこようと思ってます。
2013-06-16 22:23 : paranoid URL : 編集
ありがとうございます!
ギャツビー観ましたが少し理解できなかった点があったので、これを読んでスッキリしました!
私も映画が好きでレビュー書いてるので、よかったら観にきてください♫
http://comtarou.blog.fc2.com/
2013-06-17 08:39 : COM太郎 URL : 編集
No title
レッドフォードを見た世代です。
こんなにコミカルで、判りやすい映画だったとは!印象が代わりました。
20年代をJazz-Ageともいうかもしれませんが、どっちかと言うと[Roaring Twentities](狂乱の20年代)の方が馴染みがあります。
リズムは、チャールストン。
映画の中では、余り出てこないのが残念でした。
(私も、初めはRallinngだと思ってました)

前作がある意味[完全なメロドラマ]調だったのですが、今回のは時節柄か[お金持ち、ストーカー]の話になっている見たいでした。
デカプリオさん、アノ激情場面は最高演技です。
ギャッツビーを含む中心人物4名の演技は、良かったですね。

ソレと時代考証も素晴らしく、これってアカデミー賞の対象かな?

デカプリオさんは、働きすぎですね。
2013-06-17 08:54 : sakura URL : 編集
No title
ギャツビーは誰よりも純粋ゆえに、あのような運命をたどってしまった…そのことが、とても悲しかったです…。
ニックの存在が、唯一の救いでしたね。

途中は正直、私も退屈だなーと感じました(^^;)
前半の豪華絢爛さは大好きでしたが!!

トラックバックさせていただきます!
2013-06-23 22:57 : ゆーきねこ URL : 編集
長編で退屈そうで
映画館で見るのはキツイカナと考えましたが
カゲヒナタ評をみて
見に行ってきます    ! 
2013-06-28 09:44 : ディカプリオは演技が上手いから URL : 編集
No title
同じくF・スコット・フィッツジェラルドの短編小説をデヴィッド・フィンチャー監督が映画化した『ベンジャミン・バトン』のヒロインもデイジーなのはフィッツジェラルドがデイジーという名前、もしくは名前のモデルになった人物に並々ならぬ思い入れがあったからなのでしょうか...

劇中で耳に残るLana Del Reyの『Young And Beautiful』は歌声もさる事ながら歌詞も秀逸で見事に『華麗なるギャツビー』の世界観を集約しているように感じました。

>あれだけたくさんいたセレブ達も、彼の葬式には姿を現しません。
大恐慌の時代を迎えてニューヨークの街は喧騒だらけになっていき、ギャツビーの豪邸はあっという間に「がらんどう」になってしまいます。

確かレッドフォード版の『華麗なるギャツビー』では過ぎ去った栄華をなごり惜しむように「がらんどう」になってしまったギャツビー邸から、かつて開いたパーティーの残響がきこえてくる...というシーンから映画が始まったような気がします。
2014-09-26 15:08 : yuki URL : 編集
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