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恋は盲目じゃない? 「箱入り息子の恋」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

遅ればせながら、映画箱入り息子の恋を劇場で観ました。

星野源
3918円
powered by yasuikamo


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:本気で応援したくなる恋だった!

あらすじ


市役所に務める健太郎(星野源)は、これまでの35年の人生で一度も女性と付き合った経験がなかった。
未だに実家に暮らし、趣味は貯金とTVゲーム、友達づきあいもないという健太郎のために、父(平泉成)と母(森山良子)は親同士が子どもに代わって相手と合う「代理見合い」に出席する。
一方健太郎は、雨宿りをしていた盲目の女性・菜穂子(夏帆)に出会うのだが・・・




ものすんごくよかった!
心の底から応援したくなる、素晴らしい恋愛映画でした。

本作で紡がれるのは、35歳のイケていない男が、はじめて恋をした盲目の女性のために奮闘するという物語です。
もうこの設定だけで心がわしづかみなのですが、その設定が無理にならない役者の演技が本当に素晴らしいです。

星野源さんが演じる、不器用で挙動不審な主人公はもう完璧です。
夏帆さん演じる盲目の女性は台詞がなくても、その表情や仕草だけで雄弁にその心情を語ります。
さらに主人公の両親に平泉成と森山良子、ヒロインの両親に大杉漣と黒木瞳という豪華なキャスティングがなされています。
役者のファンにとっても必見の映画といえます。

主人公は、いつも筆記用具をきちんと同じ場所にそろえる「緊張面さ」、ご飯の前は執拗なまでに手を洗うという「潔癖性」を見せつけます。
その他のやりとりもみると、彼は軽い自閉症の傾向があったのではないかと思われます。

決まりきった仕事しかしない、休日は家でゲームばかりする、予定外のことに上手く対応できない・・・そんな主人公が恋をして、そのことに全力投球する姿は、それだけで感動を呼ぶのです。

シナリオのほうはリアリティを追求するというよりも少しだけファンタジー風味で、後半の展開は賛否両論だと思います。
でも自分は気に入りました。ほんの少し現実離れしたとしても、自分も恋をしたいと思わせる力がある映画だと感じたからです。

ちなみに市井昌秀監督は「無防備」というR18+指定の映画を撮った方ということもあり、本作もG(全年齢指定)としてはちょっとアダルトなシーンもあったりします。
しかし、いやらしさを全く感じない、美しいシーンに仕上がっています。
性描写に抵抗がある方でも、問題なく見ることができるのではないでしょうか。ぜひその「触れあう」描写に注目してみてください。

恋は盲目」とは言いますが、本作ではヒロインが視覚障害者だったからでこそこの恋が発展した、というのも面白いです。
序盤のお見合い場面で、主人公が「見えているもの」のことを問いかける場面は観る人の心に訴える力があります。

本作は障害者だけでなく、様々な欠点を持つ方にとって、とても勇気が出る内容です。
ちょっと残酷な視点を持ちながらも、優しい目線で不器用な人たちを見つめている本作が大好きです。
笑えて泣ける恋愛映画を観たい方すべてにおすすめします。

↓以下は結末も含めて思い切りネタバレ、未見の方は絶対に読まないでください。本作を見ている人は少ないと思いますが、ラストについては書きたかったので。野暮なつっこみもあります。
















~視覚障害者(盲目)だからでこそ~

菜穂子の父は、お見合いの席で健太郎に「13年も昇進できないのか?」などとなじります。
健太郎の母は「何も知らないでなんなんですか!」と怒り、帰ろうとしますが、健太郎はここで自分の意志をしゃべりはじめます。
「菜穂子さん、あなたはどう思っているんですか」と―
これに菜穂子は「私は気の合う方であれば・・・障害とどうつきあうかは、その後かな」と言います。

さらに健太郎は続けます。

「今井さん(菜穂子の父)は、菜穂子さんの気持ちを否定しているのではないでしょうか。同情をしてほしいとということでしょうか。
僕は障害を持っていませんが、欠点なら山ほどあります。まず、人の目を見て話すことができません。今井さんは人に笑われたことはありますか、変だと言われたことはありますか。
人は社会に出ると、学歴や出世で値踏みをされる。そういうランク付けをしているのは目が見えている人だけです。菜穂子さんはそんなことしません。今井さんと菜穂子さんは、見ているものが違うのではないでしょうか」

この台詞には健太郎の価値観、長年連れ添った父よりも菜穂子のことが「見えて」いること、そして健太郎がどういう想いで人生を送ってきたか―それが全てわかるのです。

この後健太郎は自分の部屋で物をめちゃくちゃにして暴れるのですが、菜穂子の母は健太郎のことを気に入りました。
菜穂子本人だけでなく、頑固で偏屈な価値観(学歴や仕事重視)で人を見る夫を持つ菜穂子の母にとっても、健太郎はとても新鮮な存在だったでしょう。


~知ること~

強烈な印象を残したのは「ヤリ○ン」と職場で噂されている職場の女の子でした。
彼女は健太郎と菜穂子のキスシーンを見て、健太郎を飲みに誘うので「ああ、こいつが修羅場を作って2人の中をめちゃくちゃにするんだな」と思っていました。

しかし、そんなことは全くなく、彼女は一途で一生懸命な女の子だったのです。
「ヤリ○ン」と言われようが、目当ての男にアタックして「さわんなブス」と言われてもめげないのです。
彼女は、菜穂子に会えなくなった健太郎に「バカだなあおまえは、彼女に聞いてもないんだろ?もっとブザマでいいじゃん。私はあきらめないからね」と言いました。

これにはやられました。自分も同僚の噂を聞いて「とんでもない女」という印象しか持っていなかったのですが、こんなにイイヤツだったなんて・・・
これは作中で言われる「見た目(この場合は噂)で判断することの愚かさ」というテーマを観客に訴えかけてくるものです。

最後に妻とゲームをしている健太郎の父が、たびたび家に出没する近所のおばさんに「やったこともないのに決めつけてはいけませんよ」と言うのも、テーマを如実に表したものでしょう。

人のことは、ちゃんとその人のことを知ろうとしなければ、わかるものではありません。


~事故~

中盤にびっくりしたのは健太郎が事故にあってしまうという展開です。
これは個人的にちょっとがっかりしていて、「事故なんかおこさなくても」ドラマは作れるのに・・・と思っていました。
後に健太郎が言う「僕は一度も休んだこともなく、まじめに働いてきました。でもどうしてもはずせない用事ができたので、早退させてください!」という台詞も薄いものになっている気がします(あの病体だと、仕事を休むざるを得ないと思うのです)。

でも、最後にベランダで起こる2回目の事故はちょっとスッキリしました。
一度目の事故は健太郎と菜穂子の仲を引き裂くものでしたが、2回目の事故は2人の関係を修復するものとして働くのです(たとえ2人が手を取り合うことができなくても)。

恋をすると(物理的にw)傷だらけになってしまうこともある。
だけどそのことで恋が前進することもある。
そんなことを教えてくれるように思えます。


~牛丼~

作中屈指の名シーンが、菜穂子がかつて健太郎と食べにきた牛丼を一人でほおばるシーンでしょう。
健太郎も彼女のあとをつけ、彼女の正面の向いの席に座ります。このとき声を出すとバレちゃうので、健太郎はメニューを指さして注文をします。

菜穂子は健太郎と同じように「いただきます」のしぐさをして、健太郎に教えられたように紅ショウガを牛丼に入れ、泣きながら牛丼を食べているのを見て……健太郎はついに「菜穂子さん!」と呼んでしまいます。
牛丼を食べるだけで、こんなに泣かせてくれる映画があったでしょうか!(ないよね)

でも菜穂子はいつの間にかいなくなって空振り(笑)でした。
健太郎も中盤にあっという間に職場から消えるイリュージョンをしていましたね。

ちなみに吉野家で撮影されたこのシーン、1階を貸し切ることができず2階を使うしかなく、1階に見えるように光の加減を調節してつくられたそうです。
どう見ても1階にしか見えない・・・なんとも制作者の執念を感じました。


~カエル~

健太郎の部屋にあった水槽の中にいるカエルは、健太郎の分身とも言える存在です。お互いがお互いの姿を見つめていました。

最後に、健太郎は得意のカエルの鳴き声の真似をして菜穂子に気づいてもらいます。
その後に触れあい、セックスをしたあと、カエルは水槽の外に出ることができるのです。

「井の中の蛙」とは外界を知らないことのたとえですが、それは35年間彼女もおらず、人付き合いもなかった健太郎をも指すことばです。
カエルが外に出れたのは、その健太郎の状況をも表しているのでしょう。

野暮なつっこみをするのなら、セックスの前にシャワー浴びないの?と思ったことでしょうか。
あんだけ全速力で夜になるまで走って汗だくなのはちょっとキツいぞ。まあ借りられないから仕方がないw


~ラスト~

最後に、菜穂子は再び満身創痍となった健太郎からもらった手紙を読みます。
それは点字で書かれているもので、観客にとっては何が書かれているかはわかりません。ただ、彼女は楽しそうに笑っていました。

しかし、菜穂子の顔からは笑顔が消え、すこしこわばったような表情になります。ここで映画は幕を閉じました。

中盤に健太郎が「好きです」と告白したときも、菜穂子はこわばったような表情をしてから笑いました。
菜穂子はこのとき「ことばにしてくれてうれしい、私は表情やしぐさを目で見ることができないから」と言いました。

このことから察するに、最後の手紙には健太郎が「気持ちをことばにした」文章が書かれていたのではないでしょうか。
それは「好きです」と同じくらい、顔がこわばってしまうけど、菜穂子にとってうれしくて仕方のないことばだったのでしょう。

たとえばそれは―「結婚しよう」だったのかもしれません。

箱入り息子の恋 (ポプラ文庫 日本文学)
市井昌秀 今野早苗
ポプラ社 (2013-03-05)
売り上げランキング: 55,303

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2013-07-14 : 旧作映画紹介 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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非公開コメント

名作ですね
>牛丼を食べるだけで、こんなに泣かせてくれる映画があったでしょうか!(ないよね)


ほんと、そのとおりですね。あれはすごかった。


>たとえばそれは―「結婚しよう」だったのかもしれません

なるほど、そういうことですか。
わかりました。
2014-02-09 19:08 : しき URL : 編集
いい観察!納得!

そしてありがとう!
2016-02-13 14:34 : あなた URL : 編集
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『メン・イン・ブラック3』
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<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
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