「課長島耕作」で描かれたミニシアターの未来が切ない件
「シアターN渋谷」に「銀座テアトルシネマ」などなど・・・・観る人が少なくなったとはいえ、寂しさを感じます。
これはたくさんのスクリーンを共有するシネマコンプレックスが普及したためでもあります。
大衆向けの映画で、大きな利益を得るためには仕方がないところもあるのでしょう。
しかしその昔(1990年代前半)、「今後はミニシアターが日本で普及するはずだ!」と主張していた漫画がありました。
それは「課長 島耕作」です。
↓以下は少しだけ漫画の内容がネタバレしているので注意
会社は映画業界に進出(映画会社を買収)し、その会議でどのような利益が得られるかが語られます。
そのときのアメリカの映画館の形態が語られるのですが、これがまさにシネマコンプレックスなのです。
これは暗くて犯罪が起きやすい危険な場所から、社交的な場所へと転換させることも理由にありました。
ハイビジョンが話題となり、ソフトの形態も大きく変わろうとしていた時代です。
今までよりも安くソフトが複製できるため、映画館の数が増やせるようになるのです。
ここでアメリカ型のシネマコンプレックスの開設を提案するのかな?と思いきや、全くそうなりませんでした。
今後はミニシアターの時代が来ると予見するのです。
こうして「カフェのように映画を楽しむ未来」が期待されていたのです。
しかし実際はアメリカ式のシネマコンプレックスが数多く開設され、ミニシアターの経営は軒並み苦しくなっています。
シネマコンプレックスが悪いというわけではありませんが、やっぱり寂しさを感じます。
「島耕作」シリーズはその時代の背景が見えることも面白さのひとつです。
「社長 島耕作」では東北大震災の話題も出ていますし、その他でも作者の「先見の明」を見ることもできます。
この場合は、その先見の明は大いに外れたわけだけど・・・こんなミニシアターの映画館が主流の世の中も見たかったな、と思います。
さらに作中では、「アミューズメント施設に映画館を置くことで子どもで遊んでクタクタになったお父さんを引き込めるはずだ!」と無茶な提案もされます。
え?遊園地を楽しみにしている子どもをほっぽいて映画を観るの?
こういうツッコミどころがあるのも「島耕作」シリーズの魅力です(たぶん)
「映像を使った西を代表するテーマパーク(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)ができる」という点では的中しているんですけどね。
個人的にはミニシアターで映画を観るのが大好きなので、なくなってほしくないです。
それは大々的に公開されている映画よりも面白い作品が多い(特に日本映画)ということだけではありません。
劇場を取り仕切るスタッフの方々との距離が近く、ディープな映画ファンの方が多くいる雰囲気はシネマコンプレックスにはないものです。
そんなわけでもっとミニシアターを利用する人が増えますように。
参考↓
どこよりも早い!ミニシアターランキング - CINEMAランキング通信
ミニシアター映画館 公式サイト集 【東京都】 - NAVER まとめ
好意的に見るなら、ミニシアターより漫画喫茶やインターネットカフェに近いニュアンスかもしれませんね。
さすがに遊園地に設置は行き過ぎですが。
周りのミニシアターがなくなりつつあるので寂しい反面、シネコンの利便性に頼っている自分もいるんですよね…
もっと積極的に利用していきたいと思います。
個性的な劇場が次々と姿を消して、本当につまらなくなってしまいましたね。
多分、シネコンとはマーケット(客層)が元々違うので、そちらの競合よりも、小劇場にデジタル化に対応する体力がなかったのが衰退の主因かな、と思います。名画座なんかは案外しぶとく生き残ってますし。
シネコンの遊んでいるスクリーンでニッチな作品を上映してくれれば面白いと思うのですが…
ただ問題なのは、それで本当にペイするかどうかは話が別ということでして…。
シネコン以外はエロしかない。そんな世界は嫌だなぁ…。
> カフェのように映画を楽しむ
花太郎のことですね、わかります。
(子どもどころか女性も入れない)
>AKI48さん
> シネコンの遊んでいるスクリーンでニッチな作品を
今月初旬のイオンシネマ統合を記念した無料上映作品を観るに、イオン系には少し期待しています。
震災映画とか、こういう機会で無ければ上映する側も上映しないし、観賞する側も観賞しなかったでしょう。
東日本大震災の時(当方、被災三県在住)、古い個人映画館はすぐに復旧して『ドラえもん』を上映したけど
シネコンは復旧に一か月かかって再開を告知したところでまた大きな地震があって再開中止、
さらに何週間かたってから再開になったんですよね…。
「大きい」って便利だけど、何かあった時の被害も大きい…。