ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- : スポンサー広告 :
Pagetop

怪獣映画であり反戦映画 初代「ゴジラ(1954)」ネタバレなし感想+お気に入りシーン

前回の「機動警察パトレイバー」に引き続き、映画「パシフィック・リム」のギレルモ・デル・トロ監督が敬愛する作品をご紹介します。
それは「怪獣映画」の元祖であり頂点、シリーズ第1作目の「ゴジラ」(制作:1954年)です。

宝田明
2980円
powered by yasuikamo

個人的お気に入り度:9/10

一言感想:これが60年前の映画って・・・


あらすじ


太平洋沖で漁船が次々に沈没するという事故が起こり、船の遭難地点に近い島でも家屋が崩壊する。
生物学者の山根(志村喬)は島へ調査に出かけ、そこで伝説として語られていた怪獣「ゴジラ」を目撃する。




これはすごい!
この作品がなぜ大絶賛され、長年神格化されているかがわかりました。
自分が子供の頃に見た「ゴジラ」は「ほかの怪獣と戦う人間にとってイイヤツ」な印象だったのですが、この初代のゴジラは全く違います。

ゴジラはただ街を破壊し、容赦なく人を殺します。
そして人間の所業により生み出された存在です。
ゴジラは恐怖の対象であり、人類の破壊の歴史そのものでもあるのです。

本作が生み出されたのはなんとおよそ60年も前のこと。太平洋戦争が終結してから10年とたっていません。
破壊がもたらす悲劇がしっかりと描かれており、当時の人にとっては辛く苦しい戦争のことを思い返すものだったでしょう。

この作品は現代にも通じるメッセージ性を持っています。
放射能の危険性を案じるシーンは福島の原発事故を思わせますし、破壊(戦争)は人類の歴史上幾度も繰り返されていたことです。
「水爆」という話題が出くるのはビキニ環礁と核実験が行われていたことの非難の意味も込められているのでしょう。
それを「怪獣」という存在を利用して表現しきってしまうのです。

演出も文句のつけようがなく、白黒で撮られた画やミニチュアで撮られたセットも効果的で、娯楽映画としても先が気になる展開が続く・・・と隙のない完成度を誇っています。

そして人間ドラマとしても面白いです。
科学者として、人として良心の呵責があるがゆえの決断には心揺さぶられました。

日本のゴジラシリーズは徐々に人気が右肩下がりになり、現在は続編が作られていません。
この先もこの初代のようなスピリットを持った作品は生まれてこないのでしょう。

ハリウッド版「GODZILLA」なんて初代のメッセージ性なんてガン無視でしたからね(別物としては好きだけど)
ちなみにハリウッド版新作「GODZILLA」が2014年に公開が控えています。色んな意味で期待しています。

とにかく、「ゴジラ」は白黒の古臭い映画だと思って敬遠してしまうのはあまりにもったいない名作です。
当時の人々の「熱量」を感じられるはずです。

以下、中盤までのシーンが少しネタバレ↓ 未見の方は要注意




この映画の面白いところのひとつに、はじまって20分間は全くゴジラが登場しないことがあります。
あるのは壊れる家屋の画、船が沈められたという情報、足跡などの「証拠」ばかりなのです。
その証拠で観客をとことん不安にさせておいて、やっと姿を現すまでの「じらし」がとても上手いと感じました。
そのために、実際にゴジラの頭部が見えたときの恐怖が増大されているのです。

ゴジラが登場する直前に、生物学者の山根が言ったことばがまた効果的です。

確かにジュラ紀の生物だ!

「私は見た、確かにジュラ紀の生物だ!」と・・・観客はここでかつての「恐竜」がこの場にいるような感覚を味わうのです。


山根の主張には切ないものを感じます。
彼は生物学者のためにむやみにゴジラを殺すことをよしとはしません。
しかし周りは被害の拡大を恐れゴジラの抹殺を図ろうとする・・・山根はこれに疑問を持ち、こう言います。

水爆の被害を受けているのにもかかわらず

「水爆の被害を受けているのにもかかわらず、生きている生物の秘密をなぜ探ろうとしないんだ」と・・・
しかし彼の考えは周りに理解されません。実の娘にさえ「お父さん、どうかしちゃったんです」と言われるのです。
山根の主張もわかるのですが、現状の災害を食い止めるためにゴジラを抹殺しようとする人々の気持ちも当然と言えるものでしょう。
この2つの主張があってこそ、ラストに山根博士が言う台詞が重いものになっていると思います。


もうひとりの主人公と言えるのが科学者の芹沢です。
芹沢は研究の結果、ゴジラを抹殺できるほどの「兵器」を作り上げたのですが、悪の手に渡ることを恐れて発表しようとはしないのです。

武器として使用するに決まっている!

しかし山根の娘だけにはこの秘密を告げます。
芹沢は「絶対に秘密にしてください」と念を押していたのですが、ひょっとすると「秘密を誰かに話して欲しい」という無意識の希望があったのではないかとも思わせます。
この兵器を使えばゴジラを葬ることができる、しかし使えば人類がまた破滅の道に進んでしまうのではないか・・・その二律背反に悩む彼の葛藤、そして決断は見ごたえがありました。


ゴジラが街を襲う画も面白く、とても怖いものがあります。
白黒なので、ゴジラが吐く炎の「赤」は表現できないのですが、その「熱さ」を鉄塔を溶かすことで表現したりします。

熱で曲がる鉄塔<ドロドロに

ちなみにこの鉄塔は飴細工で作られていたりします。

テレビ塔から中継をする人々のナレーションも恐怖を煽ってくれます。

もう対比する暇もない!

ここはいいから逃げろよ!とツッコミたくなってしまいますが、同時に報道のプロ根性を見れるシーンでもあります。


そしてゴジラが去っていた「後」の出来事も描かれています。
けが人は病院に運ばれ、親をなくした子は泣き、子どもが放射能に汚染されていることがわかる・・・まるで震災が起こったあとの出来事のようです。

放射能の測定を受ける子ども・・<放射能の測定を受ける子ども

本作はフィクションでありながら、現代にも通ずるリアリティを持っているのです。


ちなみに「パシフィック・リム」に出てくる「Kaiju」も、ゴジラと同じく太平洋の海底から現れた存在です。
デル・トロ監督の「怪獣愛」を感じられるであろう「パシフィック・リム」の公開が待ち遠しくて仕方がありません。

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2013-07-29 : 旧作映画紹介 : コメント : 7 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

No title
6才の時に見ました、怖かったです。
それと隻眼の科学者の登場、モウ悪魔的世界でした。
もう、原爆も水爆も吹き飛ばすくらい、ゴジラの動きに圧倒されました。
アノ鉄塔が破壊されるシーンは、アメ細工で鉄塔を作り、それに熱を当てて、破壊シーンを作ったとか父親から聞いてましたが本当でしょうか?
先年作られたハリウッド製の「ゴジラ」だったかに、この映画の一部(志村さんが出るシーン)が使用されたような記憶があります。

それと、「KAーIJU」は英語になったのでしょうか?
パシフィック・リムの予告編の冒頭、「KAIJUUが海底から出てきた」と聞こえるのですが?

私は、初期の東宝空想科学映画(確か、こんな呼び方をしたと思います)では、「ゴジラ」と「地球防衛軍」が大好きです。
そう言えば、「地球・・」に出てくる、ロボット怪獣モゲラはゴジラに似ているなあ~~
2013-07-29 08:34 : sakura URL : 編集
No title
こんにちは。私コレは高校生の頃「ゴジラ復活フェスティバル」(83年頃だったかな。古い話でスイマセンm(__)m)で上映されたとき劇場へ見に行きました。今思うとラッキーだったなと思っています。

そのときが初見だったのですがものすごいインパクトを受けましたし、あきらかに他のゴジラシリーズとは一線を画した別の映画という印象でしたね。

ヒナタカさんも書いておられるように戦後まだ9年という程度のブランクの中劇中で語られる「また疎開先を探さなきゃ」と言った台詞の異常なリアリティや、被爆への恐怖みたいな物が生々しく伝わってくるのは凄いことだと思いました。

こんな映画たぶん二度と無いでしょうね・・・
2013-07-29 13:11 : しろくろshow URL : 編集
Re: No title
>sakuraさん

>アノ鉄塔が破壊されるシーンは、アメ細工で鉄塔を作り、それに熱を当てて、破壊シーンを作ったとか父親から聞いてましたが本当でしょうか?

検索してみるとおっしゃるとおり飴細工だそうです。いい発想だなあ・・・(追記します)


>しろくろshowさん

> こんにちは。私コレは高校生の頃「ゴジラ復活フェスティバル」(83年頃だったかな。古い話でスイマセンm(__)m)で上映されたとき劇場へ見に行きました。今思うとラッキーだったなと思っています。

いやあそれはうらやましい・・・・スクリーンで見るとより感動があると思います。
「また疎開先を探さなきゃ」という台詞、確かにありました。当時の雰囲気を感じられるという意味でもすごい映画です。
2013-07-29 20:59 : ヒナタカ URL : 編集
No title
初代ゴジラは本当に好きな映画ですのでコメントさせて頂きます。
それ以降のゴジラ映画と初代ゴジラが大きく異なるのは大量の人が確実に死んでいる様を見せ付けられることですね。ヒナタカさんが取り上げられてるテレビ塔が倒れ死んだであろうTVクルーもしっかり映すし、ゴジラの放射火炎によって銀座が火の海に包まれたシーンは忘れられません。
また終戦から僅か九年で良くぞこんな反核メッセージを含んだ作品を撮れたなと思います。寧ろ日本だったからこそ撮れたのかも知れませんが。
デル・トロ監督は好きな怪獣映画に「サンダ対ガイラ」や「バラゴン」を挙げているので、本多猪四郎監督フリークなのは間違いないし、初代ゴジラは予習としても必見ですね!
『パシフィック・リム』、公開がホントに楽しみですね!
2013-07-30 21:24 : 民朗 URL : 編集
Re: No title
> それ以降のゴジラ映画と初代ゴジラが大きく異なるのは大量の人が確実に死んでいる様を見せ付けられることですね。ヒナタカさんが取り上げられてるテレビ塔が倒れ死んだであろうTVクルーもしっかり映すし、ゴジラの放射火炎によって銀座が火の海に包まれたシーンは忘れられません。

コメントありがとうございます。
そういえば子供のころに見たゴジラにはあまりその印象がありませんでした。


> デル・トロ監督は好きな怪獣映画に「サンダ対ガイラ」や「バラゴン」を挙げているので、本多猪四郎監督フリークなのは間違いないし、初代ゴジラは予習としても必見ですね!
> 『パシフィック・リム』、公開がホントに楽しみですね!

その2つはややマイナーなのにそれもあげているとは!
怪獣映画に詳しく日本が大好き!というのは本当にうれしいです。
2013-07-31 12:02 : ヒナタカ URL : 編集
1年以上前のレビューにコメントするのもあれですが、山根博士の発言でラストに繋がる最も重要なものは、ゴジラを如何にして抹殺すればよいか尋ねられた際の返答の「それは無理です!水爆の洗礼を受けながらも尚且つ生命を保っているゴジラを何をもって抹殺しようとするのですか!?」です。
山根博士はちゃんと頭では分かっていましたが、動物学者である自分の性分故に葛藤していました。
2014-08-18 00:37 : URL : 編集
↑「――何をもって抹殺しようというのですか!?」の間違いでした
2014-08-18 00:40 : URL : 編集
Pagetop




« next  ホーム  prev »

最新の記事

最近のおすすめ映画

sully ポスター
イーストウッド、真骨頂
こえのかたちぽすたー
生きてくれて、ありがとう
怒り映画ポスター
信じていいのか

広告(同じウィンドウで開きます)


Twitter...

反響のあったorおすすめ記事

<初めて来られた方へ(ブログの説明)>
<著者プロフィール>
こちらでも記事を執筆中↓
<ヒナタカ | シネマズ by 松竹>

ご連絡の際は、以下のメールアドレスまでお願いします(☆を@に変えてください)
hinataku64_ibook☆icloud.com

2015年ベスト映画20
2015年ワースト映画10

2014年映画ベスト20
2014年映画ワースト10

2013年映画ベスト20
2013年映画ワースト10

2012年 映画ベスト20
2012年 映画ワースト10

2011年 映画ベスト20
2011年 映画ワースト10

映画パロディAVタイトルベスト10
映画邦題ベスト10&ワースト10
Yahoo!映画のステマ評価ワースト5
レビューサイト「Filmarks」の優れた点&ちょっと微妙なところ
剛力彩芽のゴリ押しっぷり
真のレゴムービーの日本版予告編


<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

守銭奴すぎるバンナムの課金ゲーム

検索フォーム

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

カレンダー

プルダウン 降順 昇順 年別

04月 | 2017年05月 | 06月
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -


ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。