ごり押しお気楽アクション映画「2ガンズ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:6/10
一言感想:観た後に何にも残らない(ほめ言葉)
あらすじ
デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグがコンビを組んで銀行強盗をするんだけど、あの組織とか組織とかあの組織とかが盗んだ金を奪おうとしてしっちゃかめっちゃかになる話。
仲が良く、趣味の悪い男同士で、何も考えずに観られる映画がないかなーとお探しであれば、これをチョイスすればとりあえずはOKです。
仲が悪いんだか良いんだか微妙なコンビが、撃ち合ったりギャグをかましたりするだけの単純娯楽作です。本当これ以上書くことがなくなってしまう勢いです。
本作は4300万ドルの大金を、4つの組織それぞれが奪い合うというプロットです。
三つ巴ならぬ四つ巴の攻防が描かれ、さらに一癖も二癖もあるデンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグのコンビが戦いの中心に配置されています。
こう書くと複雑すぎて混乱する内容に思われるかもしれませんが、全くそんなことはありません。
キャラクターの描写はシンプルにまとまっていますし、個性豊かなので対立の構図は把握しやすいでしょう。
単純に楽しめる内容にするために、わかりやすい編集と構成がなされているのは優れた点であると思います。
問題はシンプルかつライトすぎて、キャラクターに奥行きが感じられないことです。
また、相手を陥れるための知略や戦略は皆無と言ってよく、敵も味方もほぼごり押しで相手に立ち向かっています。
そのごり押しっぷりもギャグにしているのはよかったのですが、知的なゲームを期待するとがっかりすることは間違いありません。
このことも「楽しければそれでいいや」と広い心を持てば問題ないでしょう。
また、日本ではなぜかG(全年齢)指定ですが、動物が傷つけられるシーンがあり、銃殺のシーンが非常に多いのでPG12指定と思って観ることをおすすめします。
だいたい主人公たちがすることが銀行強盗なので、教育上悪いことこの上ないですしね。

ちなみに本作は「やられたらやり返す」という展開ばかりの映画です。だいたい1.5倍返しくらいしています。
映画「42」で「やりかえさないこと」にフラストレーションを持たれた方は、これを観てストレス解消をするのもいいかもしれません。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
本作で登場する組織ごとに書いてみましょう
~DEA~
DEAとはボビー(デンゼル・ワシントン)が属する麻薬取締局です。
ボビーとスティグは税関で逮捕されます。
ボビーはマフィアの犯罪の証拠であるコカインを押収できずにいたので、そこにいたボビーの上司のジェサップに責められます。
ここでボビーはスティグから聞いた銀行強盗の話題を出し、マフィアをマネー・ローンダリングの罪で起訴をすればよいと持ちかけます。
ついでに一緒に銀行強盗をするスティグには濡れ衣を着せるつもりでした。
デンゼル・ワシントンは「フライト」に続きクズ野郎を演じていて素晴らしいですね。
しかし実際に銀行強盗をすると・・・想定したよりもはるかに多い額の金がそこにはありました。
しかも待ち合わせをしていたはずのヒロイン・リースはそこにいませんでした。
さらにスティグに裏切り者だと言われ、肩を撃たれ、金を持ち逃げされてしまうのです。
~海軍~
スティグ(マーク・ウォールバーグ)が属している組織です。
海軍はスティグに4300万ドルを奪い取ることを命じました。
しかし海軍は裏切り、スティグは「上官に刃向かった上に無断逃亡」のレッテルまで貼られます。
終盤にボビーとスティグは海軍の基地へ行き、入口を車で強行突破します。
さらにスティグは会議室にごり押しでたどり着きます。
しかし上官は「事なかれ主義」でぜんぜん取り合ってもらえないのでした。
ボビーは金庫を開けろと軍人に銃を突きつけながら言いますが・・・金庫の中に金はありませんでした。
この軍人の名前は「ハロルド」。ヒロイン・リースが恋人であると語っていた「ハーヴィー」は、実は海軍の人間だったのです。
彼女はカネを得るために、海軍と協力して元恋人のボビーをハメようとしていたのです。
金はどこに?
その答えは、リースが知っていました。
~CIA~
4300万円はCIAが不正に入手していた金でした。
CIAの人間・アールは消えた金のありかを探し、途中でボビーが治療を強要した獣医に「ロシアンルーレット」をさせるなど容赦のなさを見せつけます。
アールはボビーの上司・ジェサップの家に行きました。
そこにやってきたボビーをふん縛ったあと、アールはジェサップをあっさり撃ち殺しました。
もちろんロシアンルーレットも試みますが、ボビーは2回とも不発で難を逃れました。
しかしアールは「金を持ってくるなら無罪放免だよ」とボビーをあっさり逃がすのでした。
容赦ないのか肝要なのかさっぱりわからん。
~マフィア~
マフィアはコカインのCIAに密輸のルートを教える対価として、仲介料を貰うという協力関係を結んでいたようです。
マフィアのボス・パピはボビーとスティグにいきなり拉致られたあとにふん縛られますが、海軍が率いる殺し屋の強襲のどさくさに逃げおおせます。
「顔が広い」パピは仲間を引き連れ、反対にボビーとスティグを拘束します。
さらに逆さに吊るし、「種牛」に彼らを攻撃させるのでした。
(ボビーとスティグは、このとき種牛の突進を受けないために、驚異の腹筋力を見せます)
さらにリースも捕まっていることがわかり、2人はパピに言われるがまま、海軍の基地にごり押しで金を奪いに向かいます。
しかし、基地に金はありませんでした。
~ヒロインの死~
ボビーはパピからの電話を取り、「金ならある、彼女に手を出すな」と嘘をつきます。
しかし・・・無残にリースはパピに撃たれ、絶命します。
リースの死体を観て、足がもつれてしまうボビーがなんともリアルでした。彼は泣いたりはしません。
彼らは今は恋人同士ではなかったので、そんなもんですよね。
ボビーはかつて彼女と抱き合ったベッドの下を見ます。
そこには、ボビーとスティグが奪った金がありました。
~ラストバトル~
ラストバトルの舞台はパピの農場です。
今までの組織が一同に集合しました。
ボビーは金を乗せた車で乗り付け、あっさりとCIAに渡したかと思いきや・・こうスティグに言います。
「心配するな、作戦がある。名案だぞ。『雨降り作戦』だ」
そしてボビーは後ろの車に向かって爆弾を投げ、車を爆破!<ドーン
あたり一面に「金の雨」が降る中、二人は背を向け合いながら銃を撃つのでした。
いやーなんというごり押しっぷりでしょうか。
スティグが「これが名案か?」とツッコミ、「意表をついたのさ」とボビーが答えるという、海軍の基地にスティグが突っ込んだ時と役割が正反対になっているのがおかしかったですね。
戦いのあとに2人がちゃんとお金を手作業で拾っているのも好きです。
(このシーン、2人のほかに謎の拾っている他人がいたように見えたけど、気のせい?)
~仁義~
ボビーは「今の時代に仁義なんてない」「もしお前(スティグ)が死んでも報復などしない」と冷めた物言いをしていました。
しかし、最後に銃を突きつけられたボビーは、同じく銃を突きつけられているスティグに「仲間だよな?」と訊きます。
スティグの答えは「もちろん」でした。
2人は同時に敵に銃を撃ち、生き残りました。
スティグが「これで俺らはファミリーだな」と、中盤に言っていた「相棒(Partner)」を上回りそうな関係であると言っていたのも嬉しかったです。
また、スティグはもともと情に厚い男ですが、ボビーはそれを相手に求めてばかりです。
もうちょっとボビーがスティグのために行動するシーンも欲しかった気がします。
(ボビーは銀行強盗中、泣いている子供をなだめるというやさしい面も見せるのですけどね)
*「仁義」について以下の意見をいただきました
大儀の為に尽くすが信条の国家公務員だった二人が御上に捨て駒にされた挙句、最後に守ったのはこれ。ここはとても良かったです。
~仲の良い2人~
中盤の、ボビーとスティが車をパクってカーチェイス→肉弾戦をするところは痛快でした。
(パクった車の後ろに乗せられたパピはゲロ吐いて可哀想だったけど)
こいつらは絡み合ったあと「1、2、3で離すぞ!いいな!」とお互いに言いますが、「3」になっても2人ともなかなか離そうとはしませんw2人とも最低だなあ。
その後にスティグが軍隊を無断逃亡した状態であることを語り、ボビーが「同僚に殺されかけたことは?」と言い、スティグが「そこは負けている」と言うのもよかったですね。
~格言~
ボビーは「ドーナツの名店前で銀行強盗はするな」という使いどころがなさすぎる格言を口にしていました。
これは「大きいことをするときに、近くに目のつくものがないほうがいい」という意味だと思うのだけど・・・
後にCIAのアールがそれを知っているのにもびっくりしました。
悪い奴らからすれば、常識的なことなのかもしれませんね。
ていうかボビーはこう言いながら、映画のはじめにドーナツの名店前で思い切り銀行強盗していたけどな。
銀行の目の前のカフェを火事にさせるというのは、捜査のかく乱にならず、注目されてしまうだけのようにも思ってしまいます。
*以下の意見をいただきました
> 「ドーナツの名店前で銀行強盗はするな」っていうのは、その旨いドーナッツ目当てに警官がよく来るからそんな店の近くでアホなことなんかすんなよ。
> って意味じゃないですかね
> 店を焼いたのも、目立つ事よりも強盗した時に警官とやり合って無駄に犠牲者を出したくなかったから、とか
*炎上したカフェと、ロシアンルーレットにかけられた獣医がそのまま放置されているのも気になりますよね。
この人たちにも何かしら仕返しをして欲しかったところです。
~ラスト~
最後はボビーとスティグが「ドーナツのまずい店」で、また銀行の金を奪おうとしているシーンで幕を閉じます。
ボビーはこのとき「誰が4300万ドルだと言った?」と言い、スティグは「その半分?200万か?」と聞き返します。
4300万の半分が200万って・・・スティグは計算ができないのか、はたまた動転しすぎたのか?
ボビーがパピの農場に持ってきた金は4300万ドルの全てではなく、ボビーはちょっと懐にせしめていたのかもしれませんね。
~ウィンク~
ボビーは序盤にウェイトレスにウィンクし、中盤に顔なじみの女の子にもウィンクをしていました。
しかし最後に訪れたカフェでは「今のは痙攣だよ」と言います。
裏切られ続けたボビーは、そうして愛想を振りまくことに、ちょっと疲れたのかもしれませんね。
~まとめ~
とりあえず思ったのが、登場人物が全員悪い奴ばっかりということ。
特に主人公2人は人の車をパクりすぎです。
ヒロインなんか「あいつ(ボビー)がフッたんだからせめてカネだけは奪おう」って感じだったのですから・・
しかし、最後にカネをボビーと寝ていたベッドに下に置いておくあたり、それは本意ではなかったのかもしれません。
*ヒロインは最後に、ダイイングメッセージ として「指輪」を残していました。
それでボビーは金の在処を知ったのです。
カフェ放火が一番許せなかったです。
エピローグでお店に再建資金の大金が届くとばかり思っていましたが・・・
>~仁義~
大儀の為に尽くすが信条の国家公務員だった二人が御上に捨て駒にされた挙句、最後に守ったのはこれ。ここはとても良かったです。
って意味じゃないですかね
店を焼いたのも、目立つ事よりも強盗した時に警官とやり合って無駄に犠牲者を出したくなかったから、とか
カフェ放火が一番許せなかったです。
エピローグでお店に再建資金の大金が届くとばかり思っていましたが・・・
そうそう、あのカフェ放火は完全にとばっちりなので最悪ですよね。
仁義を守るのはいいんだけど、ここはちょっと・・・
> 「ドーナツの名店前で銀行強盗はするな」っていうのは、その旨いドーナッツ目当てに警官がよく来るからそんな店の近くでアホなことなんかすんなよ。
> って意味じゃないですかね
> 店を焼いたのも、目立つ事よりも強盗した時に警官とやり合って無駄に犠牲者を出したくなかったから、とか
なるほど、そうですね。
記事に追記させてください。
あれを見てモーテルに行ったのです。
> あれを見てモーテルに行ったのです。
それでボビーは金の在処を知ったのですよね。
失念していました。追記させてください。
モウ、最後は、「あの二人だけ、仲良くね」と祈ってました。
「警察官にはドーナツ無料もしくは割引」というサービスをすることが多いです
何しろ銃で武装した強盗がスナック感覚でご来店する国なので…
ギャグになるくらいだから日本で見る「警察官立ち寄り所」看板よりは効を奏しているのでしょうね