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子どもがいないからでこそ 映画版「四十九日のレシピ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は四十九日のレシピです。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:子どもを持たないすべての人に観てほしい!


あらすじ


百合子(永作博美)は夫(原田泰造)の不倫を知り、離婚届を突き付けてきて田舎に帰って来た。
そのときに家にいたのは、ロリータファッションに身を包んだイモ(二階堂ふみ)だった。
百合子は父の良平(石橋蓮司)とともに、イモが亡き妻の乙美から預かっていた「四十九日はみんなで大宴会を」と書かれたカードを見て驚くのだが・・・




百万円と苦虫女」「ふがいない僕は空を見た」のタナダユキ監督最新作です

本作はある特定の人々に明確なメッセージを送っています。
その特定の人とは、子どもを持たない(または産んだことがない)大人たちです。

本作の主人公の百合子は、不妊症のために子どもを持つことができません。
その母親である乙美も、四十九日のレシピを残したまま、子どもを産むことがないまま亡くなってしまいます。

百合子は母親が残したメッセージ「四十九日はみんなで大宴会を」ということばをみたことを契機に、母親の「年表」をつくりはじめます。
しかし、驚くほどに書くべきことが見当たりません。
百合子ははここで「子どもを産んだことのない母親の人生って空白ばかりなのね・・・」とつぶやきます。

子どもを持たないでいると、そのぶん確かに人生の経験が少なくなってしまうかもしれません。
「子どもを産むことこそが女性の役割である」だとか、「結婚もせずに大人になっているなんて」などの価値観がいまだ残っていることも、事実でしょう。

しかし、この作品では「子どもを持たなくても、できることがある」というとても尊いメッセージを送ってくれるのです。
この作品の登場人物と同じように子どもを持たない(持てない)大人たちに、あたたかな視線を送っているだけでも、自分はこの作品が好きになってしまうのです。
作中のことばを噛み締めれば、よりそのことが感じられるでしょう。

役者も総じて素晴らしかったです。
永作博美さんは「八日目の蝉」と同じく「子どもを持つ者に嫉妬する」という役柄ですが、その感情を見事に表現しきっています。ていうか43歳とは思えないほど可愛いです。

「不思議ちゃん」を演じた二階堂ふみもめちゃくちゃキュートです。
ロリータファッションが半端なく似合っていますし、少し舌足らずなしゃべり方も実に魅力的です。

岡田将生は日系ブラジル人(三世)というどう考えても無理がある役どころなのですが、カタコトの日本語も含めてムチャブリに見事に対応しきっています。
役者のファンにとっては、是が非でも映画館に足を運ぶべきです。

ただ、本作はエピソードの積み重ねがやや淡白で、クライマックスの描写も物足りなく感じました。
繊細な描写はこの作品の長所ですが、そのぶん肝心な部分が少しわかりにくく、唐突に感じてしまうところが出てきてしまっているのはやはり短所でしょう。
このあたりは、伊吹有喜による原作小説を読めば、より理解できるのかもしれません。

伊吹 有喜
630円
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また、タイトルには「レシピ」とありますが、映画においしそうな料理の描写はほとんどありません(せいぜい序盤のラーメンくらい)。
南極料理人」のような「観ていておなかが減ってしまう」要素を期待していた自分は、ちょっと肩すかしに感じてしまいました。

興行成績は芳しくないようですが、人生に疲れた大人にこそ観ていただきたい良作です。
観た後は、亡くなった人(そばにいる人でも)「年表」をつくって、その人生を顧みたくなってしまうかもしれません。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓












〜迷ったら川に来るといいよ〜

母・乙美は幼い頃の百合子にこう言います。

「ゆりちゃん、迷ったら川に来るといいわよ。
川はいろんなものの境目(さかいめ)なの。迷う気持ちを水に流して、前に進めてくれるものなのよ」


百合子とその父良平は、四十九日が終わったあとに川に訪れていました。
このときに2人は、それぞれ前に進もうとしていたのでしょう。


〜不倫の現場〜

百合子とイモは、百合子の夫とその不倫相手のいるアパートに行きました。
不倫相手は子どもがいる前で離婚の話をするので、イモは「そんな話をしないで!」と声をあらげます。

イモは公園の砂場で「子どもを産んだ母親が、必ずいい親ってわけじゃないんだしさ」と口にします。
実際に、不倫相手の連れ子と手をつないだ百合子のほうが、よほどいい母親に見えました。

しかし・・・百合子はくしつきの食べ物(アメリカンドッグ)を子どもに食べさせたために、そこにやってきた不倫相手に「くしつきの食べ物をあげるなんて何を考えているの!」と責められてしまいます。
百合子はこのとき「そっか、くしつきの食べ物ってあげちゃいけないのね」と、とても悲しそうにつぶやきました。

百合子は子どもを産まなかったための「経験がないこと」を痛感したのでしょう。
作中で最も悲しいシーンでした。


〜踏み切り板〜

乙美は子どもの頃から病弱の祖父に寄り添い、その後も老人ホームでずっと働いていたために、「そのほか」のことを知りません。
年表が空白ばかりだったのも、そのためでした。

百合子と良平は、乙美が働いていたハウスで、乙美のことを知っているおばあさんと出会います。
おばあさんは、こう言ってくれました。

「みんな、誰かの踏み切り板なんだよ。
過去を飛び越えて、まっすぐに歩いてくれればいいんだ。
そして次の世代に続けていくんだ。私も乙美さんもそうだったんだよ。
『しっかりしなさい』そう乙美さんなら言うでしょうね」


「踏み切り板(テイクオフ・ボード)」になれるのは、子を持つ親だけではありません。
最後にイモを見送った百合子もまた、踏み切り板のような存在になったのでしょう。


〜いろんな顔〜

日系ブラジル人のハル(岡田将生)は、職場でいじめにあい、あまり外に出てこなかったときもあったそうです。
ハルは乙美に「いろんな顔を見なさい」と教えられていました。
彼は百合子にそのことを話してから、こうつぶやきます。

いろんな顔を見ました。それは笑っている顔ばかりじゃなかったです。
嫌な人もいたけど、会わないよりも、面白いです。
そして、僕は笑顔になりました」


ハルは嫌なことも経験しましたが、それ以上に「いろんな顔」と出会ったことにより、笑顔になることができたのです。


〜乙美と良平〜

その昔、乙美はお見合いで断られたことを、良平に話しながら歩いていました。
「顔でしょうか、年齢でしょうか、それとも身寄りがないことでしょうか」と・・・
このとき良平は「いや、そんなことは」を否定をします。

乙美は「私はお母さんってよくわからないんです。でも、自分の子どもじゃなくてもいいので母親になりたいんです。私はいい母親になれますか」と良平に質問します。
良平のはじめの返答は「わからん」でしたが、こう続けてくれます。

「大丈夫、あんたはいい人だ。いや、いい人そうに見える。素晴らしくいい人そうだ。明日、娘と一緒に動物園にいきませんか」

良平はあまり乙美のことを知らないために、あとで「そうに見える」と訂正したのでしょうね。
そんな気遣いが可愛いと思えました。

百合子もまた、良平と乙美と出かけた動物園のことを思い出していました。
彼女にとっても、かけがえのない思い出だったのでしょう。


〜乙美が作ったもの〜

良平は乙美が縁日で売っていた肉まんを食べて、「うまい!」と持ち前の大声で言っていました。
そのおかげで、肉まんは暑い日にもかかわらず飛ぶように売れていきます。
良平は気づいていなかったのですが、これが乙美と良平と出会ったときだったのです。

良平は乙美の作ったカツサンドを、ソースが染み出てしまったために弁当として持っていきませんでした。
しかし、ミカという女の子が作った、同じくらいにソースがたっぷりかかったカツサンドを、良平はおいしそうに食べました。

空欄ばかりの年表を見て、良平は「お前、こんな男と結婚しちまって」と嘆いていました。
しかし乙美は、良平と出会って幸せだったに違いありません。
乙美は、良平においしいと言ってもらえる料理を作っていたのですから。


〜いないからでこそ〜

四十九日の宴会で、良平の姉(淡路恵子)は「子どもがいないと苦労がない分幸せかもね」「こんな坊さんもいないような四十九日じゃあねえ」などと皮肉に満ちたもの言いをします。
ここで百合子は、こう良平の姉に告げます。

「確かに、子どもがいることによる喜びや悲しみは、私には経験できません。それは残念です。
しかし、いないからでこその楽しみや、悲しみもあるのではないでしょうか。見守ってください」


百合子は不倫相手のいるところで、経験がないからでこその悲しみを経験しました。
このときの百合子は、そのことも「いないからでこその悲しみ」として受け取り、前向きになる覚悟をしたように思えました。


〜野暮な不満点〜

残念なのが、良平の姉が四十九日でフラダンスをはじめることが唐突に感じてしまったこと。
なぜフラダンスなのか、それに関する伏線が全くないのです。

それよりもあんだけムカつく物言いをして宴会場から去っていた姉が、おどけてフラダンスの衣装を着て帰ってくるのはやはり解せません。お前この四十九日が非常識だって言ったばっかりじゃねーかよ。
良平が姉の派手な衣装を見てたじろぐのは面白かったですが、それ以上に「何やってんだこいつ」と思わせてしまうのは残念です。
ちょっと謝ってくれればよかったのですけどね。


〜四十九日を経て〜

乙美が料理で「つながる」ことができたのは、良平だけではありませんでした。
四十九日に、乙美を知るたくさんの人たちが来てくれたのです。

ミカという、乙美と一緒にコロッケパンを作っていた若い女の子もそのひとりです。
ミカがそのことを年表に書くと、ほかの人たちも「それなら俺たちにも書けることがあるぞ!」と次々に年表に思い出を書き入れてくれました。

四十九日の大宴会が終わったとき、年表はいろんな人の思い出で埋まっていました。
百合子が「どこにも、空白なんてない」とつぶやくシーンが見れて、本当に嬉しかったです。


〜ラスト〜

最後は不倫した夫が、もう一度やり直したいと百合子に頼み込みます。
良平ははじめは夫に激昂しましたが、「大切に育てた娘です」と頭を下げました。
車に乗った百合子の横顔を映しながら、映画は幕を閉じました。

四十九日を経て、「迷う気持ちを流すための川」に行き、「踏切り板」としてイモを送り出した百合子は、少しだけ、前向きになることができたのでしょう。

たとえ子どもがいなくても、その未来はきっと明るいものであると思えました。

おすすめ↓
「思い出に支えられて、人は生きてゆく。」 ユーザーレビュー - Yahoo!映画
佐藤秀の徒然幻視録:四十九日のレシピ~カラフルな悪夢

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2013-11-18 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 1
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2013-11-19 22:21 : : 編集
No title
僕の勘違いかもしれませんが
乙美さんのことを知っていたおばあさんはハウスの人じゃないんですか?自分たちは踏切板であるから会に誘うべきではないと言ってましたし
勘違いかもしれないので間違っていたらすみません

あと、カツサンドを作ってきたのはミカじゃないでしょうか?


あとフラダンスについては確かに唐突だったかもしれないですが
最後の年表が埋まっていくのには不覚にも泣いてしまいました。
あんな風にたくさんの人に影響を与えて死ねるなら幸せだなと思いました。
今年の映画で一番泣いたと思います。悲しいわけでもないのに。
2013-11-20 17:50 : ほ URL : 編集
Re: No title
いろいろとご指摘すみません。観てから時間がたつと、やっぱり忘れていることが多いですね。
修正させていただきます。
2013-11-20 20:34 : ヒナタカ URL : 編集
No title
劇中、百合子が理不尽にキレずに耐え続ける様子にずっとヤキモキしていましたが、その所為でラストの四十九日の大宴会の快感が凄かったです!
自らのお腹から子どもを産まなかったけれど、百合子をはじめたくさんの子ども達に囲まれたお母さん、乙美さんの人生万歳!

>二階堂ふみ
なにこの小さくて可愛い生物は!?「脳男」や「地獄でなぜ悪い!」等で恐いイメージの女優さんでしたので、びっくりでした!
不倫相手の子のカイトくんと一緒に居る時も可愛くて優しい保母さんって感じてで、とてもサイコパスの殺人鬼や、やさぐれアイドルと同一人物には見えない・・・
2013-11-26 21:17 : 毒親育ち URL : 編集
No title
この感想?は
話の進行通りの順番でしょうか?
2014-03-27 14:12 : URL : 編集
No title
正直、子供のいない私には辛すぎる現実を見せつけられた映画でした。落ち込みました。
2014-10-25 17:56 : 通りがかり URL : 編集
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