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あなたの詩 映画版「くじけないで」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はくじけないでです。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:武田鉄矢のダメ息子がハマり過ぎ


あらすじ


柴田トヨ(八千草薫)は夫に先立たれ、無気力になっていた。
そんな折、無職でギャンブルばかりしている息子・健一(武田鉄矢)は、新聞の詩の広告を見てトヨに詩を書いてもらうことを思いつく。




柴田トヨによる同名の詩集を原作とした作品です。

柴田トヨ
680円
powered by yasuikamo

映画には続編となる詩集「百歳」の内容も含んでいます。

自分もこの本が大好きです。
短い詩の中でも、柴田トヨという人の優しさが伝わってきます。
お年を召した方にこういうことを言ってあげたい、こういう人の接したかたをしたいと、生きるヒントをもらうことができました。

詩集という、ひとつの物語として成り立たないものを映画化するにあたり、本作は数多くの工夫を凝らしています。
その工夫のひとつが、主人公の息子をダメ人間として描いていることです。
この映画の息子・健一は職を転々とし、なおかつ競輪場へ通い詰めるギャンブル好きです。
子どもに対して大人げない言動をしたり、無職なのにいばりちらしたりと・・・なかなかひどい(褒めことば)ものでした。

ダメ人間として描くことにより、母親の息子を思いやる気持ち、その無償の愛がより際立っています。
作中にも登場する「くじけないで」の詩もそんなダメダメな人(だけではないけど)に寄り添う内容であるので、より共感できるようになっています。

そのダメ人間を演じるのが武田鉄矢というのが、いい配役であると思いました。
本作で武田さんは「今のは金八先生に見えたのでやり直しです」と、何回もダメ人間を演じるためのダメ出しをもらったそうです。
その甲斐あって、ちゃんと本当のダメ人間に見えました。
武田さんがハローワークのお姉さんと話すシーン、母親に小遣いをせびるシーンのダメさだけでも観る価値があります。

ほかの役者もとても魅力的です。
柴田トヨを演じる八千草薫さんは可愛いですし、壇れいさんはとても奇麗であるし、ほかにもでんでん芦田愛菜までも出演するなど、とても豪華です。
個人的にはお医者さんの配役にちょっと笑ってしまいました。

もうひとつ本作で特徴的なことは、回想シーンの比重がとても多いことです。
回想シーンは現在の物語と平行して描かれるのですが、この構成が少々特殊です。
これにより主人公の内面をより深く知ることができるため、上手い手法であると思いました。

難点は、上映時間が2時間15分と長めなことです。
繊細な描写が魅力的な作品ですが、展開のヤマやタニがあまりないので、やはりダレてしまう方も多いと思います。
また、映画を観慣れていない方には、特徴的な構成に少し戸惑うかもしれません。

自分が観た回のお客さんは見事なまでにお年を召した方ばかりでしたが、若い人にもぜひ観てほしい作品です。
作中に提示される「人生の先輩」からのメッセージは、きっと心に響くでしょう。

この映画の最も素晴らしいところは、原作にあった詩の内容が、作中の物語と密接にからんでいることだと思います。
「この詩はこういう人に向けられたものなのか」「これは自分の状況に似ているな」などと、物語を通じて詩の新たな解釈を与えてくれます。

原作ファンの方は、ぜひ劇場へ足を運んでみてください。
もちろん原作を読んでいなくても楽しめますよ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 著作権の関係上、作中の詩は一部のみを書いています。ご了承ください。












〜特殊な構成〜

本作の回想シーンは、どんどん過去に戻っていくという特徴的な構成がとられています。
回想シーンは、物語が進むにつれて以下のように展開します(年代が間違っていたらすみません)。

平成元年:健一が亡くなった人の法事だと偽って、母に小遣いをせびる
昭和45年:しずこが健一のもとに嫁に来る
昭和27年:子どものころの健一が電柱に登って泣く
昭和28年(ここだけ時代が進んだ?):トヨは子どもの健一に「強い男は、人の痛みがわかる人だよ」と諭す
昭和20年7月20日:父はトヨに嫁に来てくれと頼むが、空襲が来てしまう
大正8年:子どもの頃のトヨは、火の中に捨てられた手紙を拾うため、手にやけどを負ってしまう

そして物語は
2009年:詩集を自費出版する
に帰着します。

まるで「メメント」のようでした。
この構成にもしっかり意味があると感じました。

たとえば昭和27年に、健一の父は、子どもの健一が電柱に捕まって泣いているのを見て「誰に似たんだあいつは」と言っていました。
昭和45年では、しずこが「健一さんは私を守るって言ってくれたんです」とトヨに告げるシーンがあります。
昭和20年では、父が「みんなを幸せにするつもりです、お前をもらうまでてこでも動かない!」とトヨに
結婚を頼むシーンがあります。
父と息子(健一)は、愛する者を幸せにしたいと考えていることが共通していたのです。
昭和27年の時点では「息子はほんとう誰に似ているんだろう?」と思わせておいて、後に時間をさかのぼって見せることで「似ているところがあった!」と気づかせるのです。

昭和28年にトヨが言った「強い男は、人の痛みがわかる人だよ」というのも、昭和20年に自身が殴られているを止めてくれた父のことがあったからでしょう。

ほかにも昭和20年では、父がトヨの腕のやけどを気にするシーンがあります。
大正8年にさかのぼったときに、なぜそのやけどを負ったのかがわかるようになっています。

物語が、健一の父がトヨのことを忘れてしまった(認知症になった)シーンから始まり、後に元気だったころの姿を見せるということには、切なさを感じました(このときにトヨは寂しそうな顔をしていました)。
映画の最後に、詩集を自費出版して、トヨが笑顔になった姿を見せてくれてよかったです。

現代では、健一が母の詩集をみて「俺が知っている柴田トヨって人は、ほんの一部だったんだなあ」とつぶやくシーンがあります。
この回想シーンは、健一が母の足跡をどんどん辿っていたものと捉えることもできます。


〜ダメ人間・健一〜

どんだけ健一がダメ人間か箇条書きしてみましょう。

・無職
・競輪場に通い詰めている上、常連の客の予想に乗っかり盛大にスってしまう
・学校のウサギの面倒を見ていて、そのにわか知識を偉そうに先生やパチンコ店員に教える
・子どもに「バカチンバーカ」と言って泣かせる
・半年以上ハローワークに通い詰めて、「俺20回以上職を変えていてさあ、24くらいまで覚えているんだけど」などと言って、ハローワークのお姉さんが頭を抱える
・なんとか印刷場で働き始めるけど、クビになったこと&詩集が発行できなかったことを知ると上司に食って掛かる
・妻が「お義母さんと暮らすため」にためていたお金をおろして競輪場に行く

うん、ダメだ。
最後に競輪場でおろしたお金を使うことがなくて(1枚しか券を買わなかった)、本当によかったです。

でもダメなところばっかりでもありません。
たとえば、子どものころの健一は、トヨへのはじめてのプレゼントとして「肩たたき券」をあげていました(トヨはそれを大切にしまっていました)。
健一は、不登校の女の子と友達になって、その父親(ピエール滝)に彼女の想いを代弁したりします。ランドセルを背負って女子小学生と手をつなぐ武田鉄矢は不審者にしか見えないなあ
健一は、詩を作ることに「才能がないんだもの」と弱気になったトヨに「短気はダメ!」と言ったります(短気なのはむしろお前だけど)。

そして、お母さんのトヨはどこまでも健一の味方です。
しずこが健一の言動に怒っているときは「戦争はいやよ。かたっぽが馬鹿になればそれですむ」と言い、
「俺はブルーカラーじゃないんだ!」と言い張る健一には「あなたはできる子なんだから」と言い(父にはそれはできない子へのなぐさめだと言われるけど)たりもします。

ときにはトヨがしずこを慮り、「あの子で大丈夫?」「イヤじゃない?」と言ってくれるのもよかったですね。
さらにトヨは「あなたが健一の味方になってくれて嬉しいわ」とまで告げます。
気配りができる、本当にいい人です。なんであんなダメ息子が産まれたんだ

健一も、決して自分のダメさを顧みないわけではありません。
「俺、小説家にも、父親にも何にもなれなかったなあ」と涙ながらに口にします。
(健一は子どもが流産したのは、しずこを働かせすぎた自分のせいだと悔やんでいました)

トヨはそんな健一に「お前は健一、甘ったれで短気の健一、おっかさんの健一だよ。お前はいつだって、おっかさんの一番だよ」と、ダメダメだけど大切に思っていることを言ってくれます。
親にとって、ダメな子ほど可愛いものなのでしょうね。

トヨの詩にある「はじめはビリでも、ここぞというときに追い込んでくる馬が好き」というのも、健一に向けたものなんでしょうね。


〜でこぼこ道でも〜

医者を演じているのが上地雄輔であることにちょっと笑ってしまいました。
彼は、患者さんが亡くなり、生前に深夜だからと遺族が連絡をしぶったことを知ります。

彼は車の中で泣いてしまいますが、トヨにもらっていた「道(あなたに)」というタイトルの詩を読みます。
「好きな道なら、でこぼこ道だって歩いていけるわー」と続くその詩が、彼の仕事に対する想いと重なったのでしょう。


〜忘れる勇気〜

不登校の女の子の母親は、男を作って出て行ってしまいました。
健一は「あの子の心配事はあんただよ、顔色をうかがっているんだ。別れた奥さんのこと、もっと話してやればいいんだよ」と父親に言います。

健一が父親に手渡したのは「あなたにⅡ」という詩でした。
それは「愛した人を追いかけて苦しめるより、忘れる勇気を持つことが大切よー」と続きます。
嫌なことは忘れてしまい、未来を見据えることも、また勇気なのでしょう。


〜トヨの詩〜

トヨ、父、健一の3人での帰り道ー
そのときに詠まれた「思い出Ⅱ」という詩は、「3人でもどる道、キンモクセイのにおいー」と続くものでした。

トヨは家で、昔の健一、しずこ、父、自身の母、そして子どものころの自分が集まった、幸せそうな団らんを見ます。
そのときに詠まれた「本当は」という詩は、「深夜、こたつに入って詩を書き始めた。わたし、本当はと、一行書いて、涙があふれたのー」と続くものでした。
この詩にある「コオロギ」について、芦田愛菜ちゃんが100点満点のコメントをしています。

物語の最後に詠まれたのは「目を閉じて」という詩でした。
「目を閉じる。お下げ髪の私が元気にかけまわっている。空を流れる白い雲。どこまでも流れる菜の花畑ー」
その詩の内容と同じ風景が、スクリーンには広がっていました。

エンドロールの途中から映し出されたのは、本物の柴田健一さんが、101歳でこの世を去ったトヨさんのお墓参りにきたときの写真でした。

トヨさんはもうこの世にいません。
しかし、トヨさんが生き抜いた人生がいっぱいにつまったその詩は、たくさんの人を幸せにして、これからも人を勇気づけるのでしょう。

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2013-11-20 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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非公開コメント

No title
>武田鉄矢のダメ息子がハマり過ぎ
ダメ人間なんだけど根はクズではない、絶妙なラインだったと思います。
でも、近所にこんな人が住んでて付き合いが薄いと「クズ野郎・・・」と思ってしまいそうです。
原作未読ですが、エンドロールでの実在のトヨさんの息子さんは立派な社会人に見えました。自分のこんな描かれ方を許したのかと思うと凄いです・・・。

>柴田トヨを演じる八千草薫さんはは可愛いですし、
すべてのシーンに癒されましたが、不登校のゆめみちゃんとの関わりが最高でした!
自分も怒ったり悲しんだりしてる時には、こんなお婆ちゃんに諭して欲しいです。

>繊細な描写が魅力的な作品ですが、展開のヤマやタニがあまりない作品ですので、やはりダレてしまう方も多いと思います。
もっとトヨさんの半生の描写の方がメインだと思っていましたので、この辺は少し物足りなかったです。

辛い時にはトヨさんの言葉を思い出し、自分より不幸な人を探して自分はマシなどでなく、自分の人生の楽しかった思い出で乗り越えたいです。
2013-11-20 22:25 : 毒親育ち URL : 編集
Re: No title

> 原作未読ですが、エンドロールでの実在のトヨさんの息子さんは立派な社会人に見えました。自分のこんな描かれ方を許したのかと思うと凄いです・・・。

それは自分も思いました。
本物の息子さんは夜間学校を出たことくらいしかわかることがなかったです。
それでもご本人は「こんなやつだと思われては困る」と思っているかも・・・とよけいな邪推をしてしまいます。
2013-11-21 00:14 : ヒナタカ URL : 編集
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