むしろワースト 映画「バッドサンタ」ネタバレなし感想+お気に入りシーン
よーし、今日はみんなの幸せをねがって、とってもハートフルなクリスマス映画を紹介するぞ☆(死んだ目で)
その映画の名前は「バッドサンタ」(製作:2003年)です。
![]() | ビリー・ボブ・ソーントン 3990円 powered by yasuikamo |
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:主人公が史上最悪にゲスなサンタ映画
あらすじ
中年男性のウィリー(ビリー・ボブ・ソーントン)は不幸な人生を送ってきていた。
彼はクリスマスの時期にデパートでサンタの格好をして子どもの相手をしていたが、その勤務態度は最低最悪。長年の相棒もほとほと愛想がついていた。
しかも、ウィリーの本当の生業は「金庫破り」の泥棒だったのだ。
ウィリーはひょんなことからいじめられっ子の子どもと出会い、彼の家に居候をさせてもらおうとするのだが・・・
はい、すみません、嘘ついていました。
この映画はあんまりハートフルじゃありません。むしろハートフルボッコです。
この映画の第一印象を言うのであれば、とにかく「ヒドい」です。
なにがって、主人公の男のクズっぷりです。
こいつはサンタのかっこうをしてデパートで働いていまですが、その勤務態度はほめられたものではない・・・どころか、これ以上なく最低です。
しかも、その正体は金庫破りをする泥棒なのです。

ほかにもアル中だわ、女性と所かまわずセックスするわで、そのゲスさは他を寄せ付けない勢いです。
間違っても子どもに見せてはいけません。
レーティングはPG12指定となっていますが、R15+でもいいんじゃないでしょうか。
「子ども向けっぽくも見えるけど、中身は下品&ゲス」という印象は、今年の大ヒット作である「テッド」を思わせました。
映画を観慣れている方であれば、このあらすじを聞いて「ふーん、ゲス男がいじめられっ子の少年と交流して改心する物語なんだね」と思うところでしょう。
しかし、ぜーんぜんそうなりません。
改心するのかな?と思わせぶりなところもありますが、ただひたすらに主人公のクズ描写を見せつけるのでびっくりしました。
クズの性格はなかなか治らず、クズのまま話は進んでいきます(むしろクズさはエスカレートしていきました)。
「テッド」のゲスさなんて、こいつに比べたら可愛いものです。
この「子どもの夢を打ち砕きまくるサンタ」像こそがこの映画の面白いところでもあります。
主人公はゲス野郎ですが、そうなったのはひどい人生を歩んできたことが理由です。
これは人生の酸いも甘いも知った大人にこそ染み入る内容でしょう。
主人公はサンタのかっこうをしていますが、当然本物のサンタじゃありません。
その「ニセモノ」であることも、重要な意味を持っています。
いじめられっ子の子どもはなぜその「ニセモノ」のサンタと仲良くしようとしたのか、子どもは後半にニセモノサンタに何と言ったのか、主人公が最後に選択したものとは何か・・・それを考えてみると、なかなかに奥深い物語でもあります。
差別を皮肉ったブラックジョークがあり、物語の大半はダメ人間の日常を淡々と描くシーンなので、スカッとさわやかなコメディを求める人には向きません。
しかし、「テッド」が好きな方、人生に嫌なことがあった大人には是非ともおすすめしたい内容です。
注意点は、主人公はゲス野郎のくせにけっこうモテるので、寂しい男子がクリスマスに観ちゃうとより悶々としちゃうかもしれないことですね。
それでも、「クリスマスに幸せそうな映画を観てられっかよ!」と思うひねくれ者はぜひレンタル店へ。
以下は内容がちょっとだけネタバレ↓ 予備知識をあまり入れずに観たい方はご注意を
主人公・ウィリーはなんだかんだでカタギ(真面目)になりたいと願っています。
相棒の小人症の男は「お前には絶対無理だね」と言いはります。
その結果は・・・<マイアミの店で勝手に酒を飲んで・・・
<おねーちゃんの尻を眺めて
<アル中泥棒サンタに逆戻り
うん、ダメだ。もう改心するように思えません。
子どもたちの前で「サンタさんへのクリスマスのお願い」を聞いているウィリーは、見るからに目立つ太った子どもと出会います。
子どもは「なんでそのおひげはニセモノなの?本物はぬけちゃったの?」と質問をします。
ウィリーの答えはこんなんでした。<性病のせいだよ
子どもに何言ってんだこいつ
しかもウィリーはこの子どもの家に入り込もうとします。<サンタさんきたよ
えーと、後ろにいるサンタさんが銀行強盗が被るようなマスクしているんですけど、気のせいでしょうか。
しかも唯一家にいるおばあちゃんは認知症になっていったので・・・<一瞬チラッと見る
どう見てもサンタじゃないウィリーをスルーします。気づいて、おばあちゃん!
「他に大人がいない」ことを知ったウィリーがどうしたかと言えば・・・<ソリの修理に金が必要なんだ
金庫の金をパクる。うわあこいつ最低。
マジで気分が悪くなってくる勢いですね。
ある日ウィリーは子どもが「いじめっ子を倒してほしい」ことを願っていると知ります。<ゴリラのあいつをやっつけて
ここで「おお!クズ主人公がいじめっ子を倒すための特訓をしてやるんだな」と思わせますが、全然違いました。
この後のウィリーの行動とは何でしょうか。考えてから以下を見てましょう。
↓<ボコボコ
A:自分が物理的に殴る
だめだこいつ・・・早くなんとかしないと・・・
そんなわけで「大人の対応」なんてものが辞書にない主人公なのでした。
でも、ちゃんと特訓のシーンもあるのでご安心を(それもひどい内容だったけど)。
こんだけクズ主人公を見せる映画ですが、ラストの展開はちょっとウルっとくるものがありました。
ウィリーは最後に(ネタバレ反転)「間違ってピンクの象のぬいぐるみを選んじゃうけど、血でにじんでしまったために結果的に子どもがほしがっていた紫の象っぽくなっている」のですよね。
基本的にハートフルボッコながら、ちゃんとハートフルなところもある本作が大好きです。
最後には、ほんのちょっぴりクズ主人公が好きになっているかもしれませんよ。本当ちょっとだけだけど。
もうイエス様のお誕生日も数分前に終わりましたが、これは観たいです!