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愛と攻撃性 映画「エンダーのゲーム」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はエンダーのゲーム(原題:Ender's Game)です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:映画にはしにくい物語だったよね・・・


あらすじ


エンダー(エイサ・バターフィールド)は禁断のサードとして生まれたために、世間から蔑まれ孤独な少年時代を過ごしていた。
しかし、彼はたぐいまれな才能を持ち、宇宙戦争を「終わらせる者」の宿命を背負っていた。
エンダーは少年戦士たちととももに、防衛軍ベースキャンプのバトルスクールに送られ、過酷な訓練を受け続ける。




同名のオースン・スコット・カードによる小説の映画化作品です。

オースン・スコット・カード
798円
powered by yasuikamo

原作はネビュラ賞ヒューゴー賞をダブル受賞をするという快挙を成し遂げ、「セカイ系」の作品に多大な影響を与えた作品とされています。
セカイ系とは「主人公が世界を救う」「主人公の孤独な戦い」という要素が入った作品のことで、日本人であれば「新世紀エヴァンゲリオン」を思い浮かべるでしょう。

実際に、本作の主人公のエンダーはエヴァのシンジくんに似ているところもあります。
彼らは「戦いたくない」という思いを抱えており、なぜか女性にはモテて、周りからは「あなたが必要」と持ち上げられ、わりと性格もよくありませんw

この映画で多くの人が拒否反応を覚えるのが、このエンダーのキャラクターでしょう。
こいつは主人公のくせに、シンジくんばりのイヤな性格ばかりを見せるので全然共感できないのです

原作にはエンダーの機転や洞察力が丹念に描かれているのですが、映画だけでは彼の能力の具体的な描写に乏しくなっています。
主人公のどこがの秀でているのかわからないのに、周りはさんざん彼のことを「すごい子どもだ!」と言い、さらに出世をしていく・・・
ここからもう置いてけぼり感が否めません。

説明不足なのはエンダーのキャラクターだけではありません。
彼がたてる作戦の内容も、映画を観ただけではよくわからないのです。
映画の戦闘シーンは具体的な状況がわかってこそアツくなれるものですが、この映画の戦闘シーンはまるで「観客席から観たルールも知らないスポーツ」のようでした。

作中の用語すら説明不足です。
例えば主人公が呼ばれている「サード」とは、人口過剰による少子化政策のために2人の子どもしか許されない時代に、その2人が優秀な子供の場合のみ許される3番目の子どもという意味なのですが、作中ではさっぱり説明されません。
SFになじみのない方には、これも脱落してしまう原因になるでしょう。


なんでこうなってしまったのか・・・それは2時間の映画におさめるために端折りすぎたせいでしょう。
原作は少年兵の成長を交えた壮大な物語が描かれるのですが、映画版はそれをダイジェストにしたような感覚でした。

本作は長らく「映像化不可能」と言われていました。その理由は映像面のことばかりではありません。
大衆やスタジオが好む「単純な物語」とは違うため、製作チームは自分たちで制作費を出資しなければならない状況に陥っていたそうです。
参考→<伝説のSF小説『エンダーのゲーム』がついに実写化 - ぴあニュース - 朝日新聞デジタル&M>

つくられた映画は、まさに万人向けとはほど遠いものであり、本国での興行成績も芳しくありませんでした。
「そもそも映像化することが難しかった」故の結果と言えるでしょう。


ネガティブな面ばかりを書いてきましたが、本作には良いところもたくさんあります。

そのひとつが、とても奥深いテーマを持っていることです。
エンダーという名前はアンドリューの別名だそうですが、「終わらせる者」という含意があります。
前述の通り、エンダーは本心では戦いたくない(相手を殺したくない)と考えている少年です。
しかし周りは彼の才能を見出し、戦争の終結のための攻撃に参加をさせようとしています。
その先にある結末には、確かなメッセージ性がありました。

もうひとつが映像面のクオリティです。
宇宙での戦闘シーンには新鮮な驚きはないものの、かなり細かいところまで作り込まれています。
ゼロ・グラビティ」のような「無重力状態」の戦闘も、見応えは抜群でした。

映画ファンにとっては、豪華キャストも魅力のひとつでしょう。
ハリソン・フォードベン・キングズレーといったベテランをはじめ、多数の実力派の若手俳優が集結しています。
ヒューゴの不思議な発明 」のエイサ・バターフィールド、「リトル・ミス・サンシャイン」のアビゲイル・ブレスリン、「トゥルー・グリット」のヘイリー・スタインフェルドと、有名作の主演を務めていた彼らの「成長」を観ることができるのです。
個人的に注目株だったのが、イヤ〜な性格の上官・ボンソーを演じたモイセス・アリアスでした。
年齢不詳の見た目はもちろん、その演技力のインパクトもすさまじいものでした。


お子様や、単純明快な娯楽作を求める人には全く向きません。
しかし、SFが好きな方や、主人公とともに哲学的な考えをしたい方にはハマる魅力が充分にあります。
エヴァンゲリオンの原点が観たい方、わかりやすいSFに飽き飽きしている方は、ぜひ劇場へ。

余談ですが、以下の予告編ではエンダーが「僕は戦いたくない」言った直後に「撃てー!」とほざくのでチグハグ感が否めませんw
<「エンダーのゲーム」TVスポット(ストーリー編 15秒) - YouTube>
いや、そういう映画なんだけどね。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓











〜エンダーの矛盾〜

いじめっ子のバーナードはエンダーにタブレット上のゲームで負けてしまい、腹いせにリンチにかけようとします。
エンダーはここでバーナードをぶん殴り、足蹴にして「僕を傷つけると容赦はしないぞ!」と忠告します。
弱々しそうな見た目の主人公が、開始5分でここまで攻撃性を見せるとは思わなかったよ・・・大佐も「若者は道を塞ぐ者をやすやすと排除する」と持ち上げるし・・・

エンダーは「巨人の飲み物」という心理ゲームで、はじめはプレイヤーのネズミに「2択」をさせ、そのつど間違った飲み物のほうを選んでしまいます。
しかし、ネズミは飲み物を提示していた巨人の目に入り、巨人を打ち負かしました。
彼はここで「ルールを破り、暴力で支配できれば勝利となるんだ」と言ってのけます。

主人公とは思えない攻撃性を見せ続けるエンダーでしたが、彼は高圧的な上官・ボンソーを事故で半死にさせてしまうと、大いに動揺していました。

姉(家族)に会いたいがために地球に戻ってきたエンダーは、こう言っていました。
「僕は敵を理解すると、愛しもするんだ」
これは映画の冒頭のテロップにも表示されたもので、エンダーの性格と信念を裏付けています。

エンダーは前述の通り、「自分を傷つける敵には容赦はしない」という危険な攻撃性を持っています。
しかし、「同時に愛する」という矛盾をはらんだ感情を持ち合わせています。
それはエンダーの「戦いたくない」という想いと同様でしょう。


〜ゲームの終焉〜

エンダーは「ドラゴン隊」の隊長となり、フォーメーションを組むことで見事勝利へと導きます。
彼は次々とシミュレーション上の戦闘をこなし、ときどき犠牲を出すも、その果敢さは大人に認められていきました。

シミュレーションの最終幕で、彼は敵の母星を破壊しました。
しかし・・・それはシミュレーションではなく、現実でした。
大人たちはエンダーを騙し、シミュレーション(ゲーム)と見せかけて、本物の戦闘をさせていたのです。

エンダーは戦いに勝利したものの、自身の判断により数千人のも人員が犠牲になり、大量殺戮者となってしまいます。
大佐は「実戦だと知っていたらお前は攻撃したか?単なる防衛で未来が救えるか!」とエンダーに諭します。

エンダーは敵への攻撃性と、愛情を持ち合わせている人間でした。
しかし、大人たちはエンダーの攻撃性のみを戦争のために利用したのです。
本作の悲劇は、まさにここにあるでしょう。


〜女王〜

ゲーム・巨人の飲み物で、エンダーは自分の姉・ヴァレンタインの姿を見つけていました。
彼は姉の後を追い、城の中に入っていきました。
その中枢部にいたのは、姉ではなく自分を蔑んでいた兄のピーターでした。

最後の戦いの後、エンダーはそれが「敵の女王」に見せられた夢だと気づきます。
彼が夢と同じように、星にあった建物の中枢部に向かうと・・・そこには女王がいました。

女王は「次世代の女王」を孕んでおり、エンダーは「僕は滅ぼさない、新しい星を探すよ。約束する」と彼女に告げました。
彼が「僕たちは尊い荷物を運んでいるよ」と、姉にメッセージを告げたところで、映画は終わりました。

この夢と、結末もまた、エンダーにある「愛」「攻撃性」を表現したものでしょう。
姉のヴァレンタイン=愛するもの
兄のピーター=自分を傷つけるもの
であり、それは最後の女王の姿とシンクロしているのです。

エンダーが最後に選んだのは、大人たちに強要された暴力ではありませんでした。
平和の道を選んだ(尊い荷物=女王を別の星に運んだ)エンダーは、これからどういう成長を遂げるのでしょうか。
その未来は、観客それぞれが想像することでしょう。


原作との差異を知りたい方はこちらで(原作が大いにネタバレ)
<かたほなり: エンダーのゲーム>

(以下の文章は小説の軽いネタバレなのでご注意を)
原作を読んだ方にとっては、優秀な姉と兄がインターネットを利用して(30年前の原作なのに!)世論を操作していたくだりがばっさりカットされていたことは不満でしょうね。

おすすめ↓
映画『エンダーのゲーム』感想/ゲーム性とディストピア (2014/2/2) - 909090's

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2014-01-25 : 映画感想 : コメント : 1 : トラックバック : 0
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非公開コメント

SFは大好きなので見に行きました 有名な言葉があるんです 敵のゲートは下だ
小説もざっくりと読みまして 映画の細かい意味がわかりました

ゲームでは血がでないけれど 実際の戦闘では痛みや苦しみがあります 原作だと惑星が爆発しますが
映画では炎に包まれるだけです
2014-02-03 15:23 : 見ました URL : 編集
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『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
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『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
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<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

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『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
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『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

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