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復讐の神 映画「オンリー・ゴッド」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はオンリー・ゴッド(原題:Only God Forgives)です。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:賛否両論映画の極地すぎる・・・


あらすじ


ジュリアン(ライアン・ゴズリング)タイのバンコクでボクシングジムを経営しながら、その裏で麻薬商売に手を染めていた。
ジュリアンの兄ビリーは16歳の少女をなぶり殺し、その父親の報復により殺害されてしまう。
ジュリアンは事情を理解して父親を許すが、母親のクリスタル(クリスティン・スコット・トーマス)は復讐に燃えていた。




ブロンソン」「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフン監督最新作です。

本作はこれ以上なく「賛否両論」の評価を受けています。
その好き嫌いの別れっぷりは凄まじく、カンヌ国際映画祭で上映されたときにはスタンディングオベーションとブーイングの両方が飛び交ったとのだとか。
そのことを宣伝材料としているだけあって、大衆向けの娯楽映画とは全く違う内容でした。

なぜ賛否両論なのか、その理由を以下にあげてみます。

①意味わかんない
まあ理由のほとんどはコレでしょうね。
台詞の数はごく少なく、夢と現実が交錯し、展開そのものも抽象的です。
「ドライヴ」はわかりやすい映画だっただけに、戸惑う方は多いでしょう。
意味がわからない=つまらないと考えてしまうのは安易ではありますが、そのような印象を持つ方がいるのも当然です。

②雰囲気が独特
常に不安をあおるような演出・展開がされています。
赤を基調とした「夢」の画、夜のバンコクの街の「現実」の画は美しく仕上がっています。
重低音の音楽はおどろおどろしさを加速させるものでした。

Only God Forgives
1398円
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③暴力描写が過激
凄惨な暴力シーンが多く、グロテスクな描写が苦手な方にはとてもおすすめできません。

④「間」が長い
登場人物が「ただ歩く」シーンが多めです。
そのほかでも役者の表情のみで物語る場面があり、人によってはやや退屈に感じてしまうかもしれません。

これら①〜④の特徴全てが人を選びまくる要素であることは間違いないでしょう。
本作に似ている監督には、以下が思い浮かびます。

アレハンドロ・ホドロフスキー→意味わかんない、グロい。
ウォン・カーウァイ→色彩感覚が似ている。
スタンリー・キューブリック:→恐怖描写、奥に向かうカメラワークは「シャイニング」っぽい。
デヴィッド・リンチ→意味わかんない、色彩感覚が似ている、重低音の音楽もそっくり。

いやあ・・・本当万人向けじゃない監督ばかりですね。

さて、個人的にはこの作品はかなり気に入りました。
面白いのは、「これの意味はなんだろうか?」と、抽象的なシーンの意味をあれこれと考察できることです。

その「深読みすると面白い」キャラクターのひとりが、情け容赦のない元・警官のチャン(ウィタヤー・パーンシーガーム)でしょう。

警官刀を持つ<普通のおっさんに見えるけど・・・

こいつは全編大活躍どころか、下手をすると主人公よりも目立っていました。
彼の趣味(なのか?)を披露するシーンでは、劇場が微妙に居心地の悪そうな雰囲気になっていました。

痛烈な印象を持つキャラクターのもうひとりは、主人公の母・クリスタル(クリスティン・スコット・トーマス)です。

赤い母親<すでに怖い

初登場時から性格がすげえ悪いので、主人公に同情してしまいました。

このインパクトがありすぎるキャラクターのおかげで、本作にはちょっと笑ってしまう要素もあったりします。
そのおかしみからくる笑いも、展開の意味不明さのおかげで乾いた笑いへと変わってしまうのだけど・・・

おすすめかどうかと問われればおすすめできないのですが、「ドライヴ」にハマった方や、上記の似ている作風の監督が好きな人には劇場で観る価値があります。
上映時間は90分とコンパクトですので、それほど疲労感はなく観れるでしょう。

また、原題は「only god forgives」となっています。
「神のみの許し」というタイトルが示すものが何であるのか、観ながら考えてみてみるのもよいでしょう。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓










〜ゲスな母親・クリスタル〜

ジュリアン(主人公)は兄を殺した男を、許してしまいます。
しかし、母親は「殺しをしないこと」を許しません。

母親・クリスタルは兄が少女を暴行した事実にも「事情があったのよ」と肯定するばかりか、「逆の立場だったら、あの子はヤツの首をここに持ってきたろうね!」とまで言うのです。
クリスタルは街のチンピラに依頼をして、少女の父親をけしかけた元・警官を殺すために無関係の人たちまでを虐殺してしまいます。

3人で食事をしたときには、ガールフレンドのフリをしたマイのことを「精子搾取機」と呼んだり、アソコの大きさまで持ち出して「兄に嫉妬していたのよ」と言ったりします。
マイの名前を間違えたときには「無礼な態度を許してね」と殊勝な物言いをしていましたが、それも一瞬のことで、すぐに暴言ばかりを吐きます。

外に出たマイはたまらず「よく我慢できるわね」と文句を言います(当たり前だ)。
しかし、ジュリアンはマイを壁に押しつけ、その服がいらないんなら脱げ!と声を荒げるのです。

脱ぐんだ!<脱げ!

とんでもない性格のクリスタルでしたが、それでもジュリアンにとってはたったひとりの母親です。
彼女の言うことは「絶対」であり、それはジュリアンが彼女の報復を見過ごしていた原因でもあるのでしょう。


〜容赦のない元・警官のチャン〜

チャンは元・警官であるのに、やっていることはヤクザのようでした。
マシンガンを放ったチンピラを刀で倒し、目をえぐったり耳に串を刺す拷問までするのですから。

両腕ぶっさし<両腕に鋭い串を・・・・

チャンはクリスタルが仕向けた刺客を返り討ちにしたばかりか、ジュリアンとも拳の勝負をします。

ゴズサン腕かまえる<FIGHT!

結果は、ジュリアンのほうがボコボコになり完敗でした。

チャンの存在は「復讐の神」のようでした。
彼は少女の父親に報復をさせましたが、自身が報復されることはなく、ジュリアンを含む刺客たちを返り討ちにしてきました。
最後には、復讐の化身であるクリスタルの喉を刀で突いて殺してしまいます。
まさに無敵、全ての登場人物の上に立つ存在です。

また、警官が「少女の父親が死んだ」とジュリアンに知らせたとき、チャンは「そいつは違うぞ」と言っていました。
これは「お前が報復を望めば、自分が相手をするぞ」という意思を示すシーンなのでしょう。


〜ジュリアンの復讐〜

ジュリアンはボコボコにされたあと、チャンの家で見張りをしていた警官を殺し、仲間とともにチャンたちを殺そうとしていました。
しかし、いざ仲間が家に入ってきた小さな女の子を殺そうとしたときー
ジュリアンは女の子を救うため、仲間を撃ち殺したのです。

殺させない<女の子を守ったジュリアン

ジュリアンが家の地下へと向かうと、母親・クリスタルのいるアパートへとワープしました。
彼は、チャンが刀でクリスタルを切り刻むことも目にします。
ジュリアンは、クリスタルの腹の傷口の中に握った拳を押し込みました。

どこかの森の中で、ジュリアンが両腕を差し出し、その腕をチャンが斬り落とそうとしたところで、映画は終わりました。


〜罪と罰〜

この物語は、ジュリアンの「罪」、そして「罰」を描いているのでしょう。

ジュリアンは復讐に乗り気ではありませんでしたが、母親の復讐を見過ごしています。
さらに「復讐の神」の暴力に負け、警官を殺してしまいます。
ジュリアンと母親の罪とは、「報復をしたこと」または「報復のために無関係の人を殺した」ことです。

しかし、ジュリアンは最後に女の子が殺されることをよしとはしませんでした。
彼は自らの(母親の)罪の愚かさを知り、その行為を許せなかったのでしょう。

ジュリアンは自分が犯した罪の罰を受けること望み、神から罰を受けること(=腕を斬り落とされること)を許されたのではないでしょうか。

映画の序盤で、殺された少女の父親がチャンに腕を斬り落とされたとき、「赤い迷宮」にいるジュリアンは同じように腕を斬り落とされるイメージを見ています。
これは「報復の先にあるもの」を予見していたのでしょう。


〜母親のことば〜

ジュリアンがチャンに負けた後、クリスタルはこう言っていました。

「お腹にいたとき、彼にお前を堕ろせと言われた。結局産んだわ。
お前がよくわからない。きっとこの先も・・・
私はビリーをひいきして、そしてこの罰を受けるのね。
私を守る人は誰もいないわ。
お願い、あの男から私を守って。
あなたをこれからは世話をするわ。新たな母親としてね」


このことばを聞き、ジュリアンは警官を撃ち殺してしまいました。
ジュリアンは、愛している「新たな母親」への希望を持ち、守りたいと願ったのでしょう。


〜母親への愛〜

ジュリアンが死んだクリスタルの傷口に拳を入れたのは、自分もその痛みを知りたかったのか、または母親への歪んだ愛のための行為のように思えました。

彼は序盤に、マスターベーションをする女性をまじまじと見ていたり、ショーガールに手をのばしていたりしていました。

マスター女<じっと見る

このときにジュリアンが握る拳は、まるで男根のようです。
彼は愛情だけでなく、近親相姦的な欲情を母親に抱いていたのかもしれません。

しかし、母親は自身が言ったように兄をえこひいきしていました。
ジュリアンが母を愛するも、彼は母親の愛情を受けてはいませんでした。
ここに物語の悲劇を感じます。

映画のはじめ、ジュリアンはボクサーの少年に「お前は兄より強い」と励ましていました。
それは自分の境遇を重ね合わせて言ったものに違いありません。


〜カラオケ〜

笑ってしまったのが、チャンがカラオケを歌うシーンです。
スポットライトを浴びて気持ち良さそうに歌う上、けっこう美声でした。
歌の字幕は表示されなかったので歌詞の内容(タイ語)はわからなかったのですが、この曲のタイトルは「You're My Dream」だそうです。

チャンの歌はレクイエムのようでした。
作中で人が死んだときに流れ、その死を悼むように歌われているのです(男の耳を串で貫く拷問をしたときには、その歌声は届いていませんでしたが)。

映画の最後にも、彼の歌は披露されます。
それは復讐に加担し、悲劇に見舞われ、そして死を迎えた登場人物たちに捧げられたものであったのかもしれません。


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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2014-01-31 : 映画感想 : コメント : 3 : トラックバック : 0
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No title
観終わったあと、なんだかもう一回「麦子さんと」を観たくなりました・・・
クリスタル程酷くないにしても、誰でも親や教師から兄弟、同級生(時にはテレビに出ている天才児なんかとも・・・)と比較された記憶が有る人は、ジュリアンに同情を、クリスタルに怒りを他人事でなく感じてしまうと思います。

>情け容赦のない元・警官のチャン
こういう一見普通のおじさんが・・・なキャラに弱いので、恐い人なのに彼の出てくるシーンが一番楽しめました。クリスタルが下衆過ぎるのも手伝って、殺しも筋が通っているように思えました。

>原題は「only god forgives」となっています。
>「神のみの許し」
>チャンの存在は「復讐の神」のよう
「サイレント・ヒル」でもありましたが「それでも子に取って親は唯一神」という意味かと、観賞中は「ジュリアンかわいそう」「クリスタルむかつく!」「チャンかっこいい!」の三つで頭がいっぱいになってしまっていましたが、なるほどこういう解釈もあるのですね。
2014-01-31 22:38 : 毒親育ち URL : 編集
No title
初めまして。
毎回楽しみに拝見しています。
僕もこの映画大変ツボに入りまして、最近立ち上げたブログの方で感想書いてみました。よろしければ、リンクしてもいいでしょうか?

 この映画、かなり賛否が分かれていますね。個人的に『ドライヴ』より監督の過去作である『ヴァルハラ・ライジング』に近い感じがしました。

>また、原題は「only god forgives」となっています。
>「神のみの許し」というタイトルが示すものが何であるのか、観ながら考えてみてみるのもよいでしょう。
 個人的に「forgives」も重要だと思うので、邦題にも入れてほしかったです。
 
 今後もヒナタカさんのブログ更新楽しみにしています!
2014-02-01 22:35 : マーク URL : 編集
Re: No title
> 初めまして。
> 毎回楽しみに拝見しています。
> 僕もこの映画大変ツボに入りまして、最近立ち上げたブログの方で感想書いてみました。よろしければ、リンクしてもいいでしょうか?

リンクを貼らせていただきました!対応が遅くてすみません。
2014-02-21 19:47 : ヒナタカ URL : 編集
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