星の光の下で 映画「ホビット 竜に奪われた王国」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:より大人向けになったのかも
あらすじ
ホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)は、魔法使いのガンダルフ(イアン・マッケラン)や屈強なドワーフの一行ととももに、邪悪な邪悪な竜スマウグがいる隠れ家に向かっていた。
狙うは、スマウグが守っている宝の中にある、団結に欠かせないとされる宝玉「アーケン石」。その場所に向かうまでのタイムリミットは刻一刻と迫っていた。
J・R・R・トールキンによるファンタジー小説「ホビットの冒険」を原作とした、全3部作のうち第2部にあたる映画作品です。
<前作のレビューはこちら>
本作は完全な続編であり、前作の鑑賞はほぼ必須です。
後日談「ロード・オブ・ザ・リング」を観ているとより楽しめる、ファン向けの要素も大いにありますので、ロード〜3部作も一度は観ておいたほうがよいでしょう。
とはいえ、前作やロード〜の(多くの観客が忘れたであろう)設定には一応の説明がはいりますので、直前の予習は必要ないのかもしれません。
本作の感想をかいつまんで言えば、
・前作よりドラマが大人向け!
・アクションの面白さも前作以上!
・長さを感じさせない!
ということです。
前作はコミカルなシーンがやや多く、ロード〜に比べると良くも悪くも子どもが楽しめる内容でした。
本作はややシリアスよりな作品になり、キャラクターが織りなすドラマはより深く、複雑になっています。
相変わらず上映時間は2時間43分とべらぼうに長いのですが、それを感じさせないサービス精神に溢れていました。
1シーンごとの尺を長く取り、美しい風景を俯瞰して見せ、多くの人間ドラマも省略せず、最新鋭のCGも惜しげもなく投入され、時にはユーモアを交えて展開するという「贅沢」さはこの映画の長所でしょう。
それにしても冗長さを感じる部分が多いことは残念でしたが、ファンタジー世界に酔いしれたい方にとっては必見の内容と言っていいでしょう。
個人的に、今回はキーリ(エイダン・ターナー)のイケメンっぷりにほれぼれしました。

憂いを帯びた表情には世のイケメン好きがハァハァすること必死です。イケメンを守ってあげたくなるお姉さん方は絶対に観ましょう。
他にもロード〜でも登場したレゴラス(オーランド・ブルーム)が大活躍することも嬉しいところ。
ちなみにタイトルにもなっている「竜」の声を演じていたのはベネディクト・カンバーバッチだったりします。しかもモーションまで担当しているという徹底ぶりでした。
3Dはごく自然な使われ方をしているので、より世界観に没入したいかたは3Dの選択がよいでしょう。
3Dのインパクトとしてはそれほどではないため、色鮮やかな世界(発色)を楽しみたい方は2Dでも良いのかもしれません。
そうそう、本作の一番の欠点は終わり方がエグすぎることですね。
映画史上最高レベルの「次回に続く」的な終わり方で、劇場では「えっ」って感じのどよめきが聞こえました。
これで最終作の公開が延期されているとか、何の生殺しかと思いました。
ちなみに、本作は公開からわずか3日でDVD&Blu-Rayの発売が決定しました。
![]() | イアン・マッケラン 3980円 powered by yasuikamo |
発売日や特典は未定ですが、これも最終作の劇場公開に合わせたための戦略でしょう。ああ、最終作が待ち遠しい!
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
〜指輪は僕のものだ〜
ガンダルフとトーリンが「アーケン石」と「忍びの者(ビルボ)」についての打ち合わせをした後、物語は前作の続き(12ヶ月後)からはじまります。
一行は「皮を変える男」であるビヨルンと出会います。ビヨルンは怪物に変身してしまうと殺されかけない凶暴性を持っていましたが、人の姿に戻ると話の通じる男でした。
彼はアゾグ率いるオークたちに家族を殺されており、ドワーフも嫌っていました。
ガンダルフを除いた一行は、エルフの森の中へと足を踏み入れます。
そこに現れたのは巨大なクモの群れ。唯一太陽を見るために木の上に行っていたビルボは難を逃れていましたが、すぐに糸でぐるぐる巻きにされて捕まってしまいます。
しかしビルボは隙を見て剣を刺して逃げ、持っていた指輪をはめて、その姿を消す能力を利用します。
ビルボは剣でクモを「貫き(STING)」、そのときにクモが言ったSTINGということばから、そのまま剣を「つらぬき丸」と名付けます。
「ひとつの指輪」を落としたビルボが、再び手にするために比較的小さいクモを滅多刺しにするシーンが恐ろしかったです。
彼は直前にガンダルフに指輪のことを報告しようとするも思いとどまって「(見つけたのは)勇気だよ」とごまかしましたし、「指輪は僕のだ」と言った後には複雑な表情を浮かべていました。<この表情・・・
これはロード〜の主人公と・フロドの姿と重なるばかりではなく、終盤のトーリンの独善的な姿ともシンクロしています(後述)。
〜川下りアクション〜
クモの襲撃から逃れた一同でしたが、エルフたちに捕まってしまいます。
トーリンはエルフの王スランドゥイルが、かつてドワーフたちを助けずに傍観した(後ろを向いた)ことが許せず、交渉は決裂します。
彼らを救ったのは、いつものようにピンチに現れてくれるビルボでした。
ビルボは牢屋を抜け出した皆を、樽の中に押し込んで川へと流しました。自分が取り残されちゃって、何度もジャンプして床を開けようとするビルボが可愛かったですね。
そして川を下る一行×それを追うエルフ×襲撃をかけるオークという三つどもえの戦いが幕を開けます!<下りながら斬る!
<水門を開けたあとにジャンプ
<弓でジャンプアタック
<イナバウアー避け
中でも最高だったのが、
「(BGMがなくなり)樽が陸に上がったり、樽の中に入ったドワーフが回転しながら攻撃する」
「レゴラスが樽に入ったドワーフ2人を足場にして攻撃する」
くだりでした。ここだけでももう一度観たい!
〜湖の街で〜
一行はバルドという船主と出会い、竜の隠れ家のふもとの王国を目指します。
その手段は「樽に入って魚詰め」。一行は後にもトイレから家に入って隠れるし・・・絶対やりたくない。ていうかお風呂入った?
街の頭領は人望もカリスマ性もない感じでしたが、武器をパクろうとしていた一行を迎え入れてくれました。バカでよかった。
キーリは足に負ったけが(毒が仕込まれた矢)のために、トーリンに足手まといと言われ街に残されます(弟のフィーリや、デイルも残ります)。
一行ははなれ山の扉の前へ訪れますが、日が沈んでも扉が開くことはありませんでした。
実は「最後の日(Light)」とは月の明かりのことで、それに気づいたのはビルボでした。
何度も一行の窮地を救ってきたビルボでしたが、ここでは「諦めない心」が皆を救ったのです。
〜トーリンのキャラクター〜
ビルボは「白くて輝いていて特別だよ」というアバウトな説明(笑)をされたアーケン石を探すため、竜を起こさないように気をつけながら散策するのですが・・・お約束通り竜は起きてしまいます。
慇懃無礼な勢いで竜を誉め称えるビルボでしたが、竜はしたたかでその(仲間がいないという)ウソを見破ります。
一方、バーリンはトーリンにビルボを助けに行かないかと諭されます。
トーリンは「盗人(Thief)ひとりのために危険は冒せない」と言い、バーリンに「あなたが恐ろしい、昔は一人のために助けようとしていたのに・・・彼の名前はビルボだ」と責めるもの言いをしました。
トーリンは手負いのキーリを置いてきたときも「たった一人のために危険は冒せない」と言い、
後にビルボに会ったときにも、その無事に安堵するのではなく、執拗にアーケン石はどうしたと聞いていました。
トーリンは目的を達成するために、徐々にほかのことをも厭わないような性格になっていったのでしょう。
亡き父のことがあるとはいえ、その独善的な行動は仲間を窮地にさらしてしまうのかもしれません。
〜I see fire〜
一行はビルボを守るため、協力して行動します。
最終的にしたことは、「竜をドロドロに溶けた金のプールに沈める」ということでした。
これで万事解決・・・と思いきや、竜は何事もなかったのようにプールから脱出し、街を目指します。
竜が「我が名は炎、我が名は死だ(I am fire, I am death)」と宣誓し、ビルボが「僕たちのせいだ」と言ったところで映画は幕を閉じました。
完
えっと・・・早く続きを観させてください・・・これで半年以上お預けとかマジで勘弁してほしいです。
しかし、続くエド・シーランによる楽曲「I See Fire」が名曲すぎたために、少しは溜飲を下げることができました。
![]() | 2900円 powered by yasuikamo |
映画のために書き下ろされた楽曲で、歌詞はシンプルながら映画の内容とシンクロしているところが見事です。
<歌詞と翻訳/Ed Sheeran ; I See Fire A LA CARTE>
〜星の光〜
本作で好きだったのは、キーリとエルフの女性タウリエルの「お互いが気になっている」関係です。
牢で出会ったとき、キーリとタウリエルはこう話していました。
「今夜は星の下での宴が行われているわ」
「俺にとって星は冷たい光だ。遠くて届かない」
「光は記憶よ。素晴らしいものなの」
後にタウリエルが治療中のキーリを救ったとき、キーリはその手を握ることができました。
届かない場所にあると思っていても、それは以外と近く、暖かいものであるのかもしれません。
それはきっと素晴らしい光であり、記憶でもあるのでしょう。
余談ですが、タウリエルが原作小説には登場しないという事実には驚きました。最終作でも重要な人物となりそうです。
ちなみに、レゴラスも原作のホビットの冒険シリーズには未登場のようです。
〜次回作への期待〜
バルドが「黒き矢」を使い、竜に(文字通り)一矢報いることを期待しています。
それはバルドにとって尊厳を守るものであり、街を救うことなのですから・・・この絶望的な状況の「光」になることを期待しています。
あと、サウロンに出会ってしまったガンダルフおじいちゃんがどうなってしまたが気がかりですね。
おじいちゃん死んじゃわないかなー。まあロード〜でも生きているんだから心配していないけどさ(ヒドい締め)。
平日のレイトショーで見ましたが凄まじい混みよう…
シリーズの人気を実感できた気がします。
>本作の一番の欠点は終わり方がエグすぎることですね。
エグかったですね……
あまりに唐突で少し身を乗り出してしまいましたw
元々2部構成だったものを3部構成に分割したというのは聞いていましたが、
まさかあそこまで唐突にぶっちぎってくるとは……予想を遙かに上回っていました。
指輪物語第2部みたいに余韻を残すような終わり方を期待していたのですが、
ストーリーの構成上、あの辺りしかタイミングがなかったのでしょうね。
第3部も延期とのことですが…更によりよいものになると期待します!
>レゴラス
指輪物語でもアクション担当だったレゴラスは今回も無双してましたね。
とりあえず目の前で矢をつがえて放つくらいなら剣を使うべきでは……
ってツッコミは多分野暮なんでしょう。だってレゴラスだもの(ェ
今回のレゴラスは指輪物語の頃に比べて気性が荒かったりドワーフに敵意むき出しだったり
顔に似合わず相当ワイルドな感じですが如何にしてあんなクールになるんでしょうかね……
オークのボルグとの決着もまだなのでその当たりで心境の変化が生じるような、
大きな出来事が起きるのでしょうか?
タウリエルとの三角関係も気になるところですね。
タウリエルとキーリが良い雰囲気なのは既に理解しているでしょうし、
かと言って今のレゴラスがそう簡単に引き下がるわけもないので……
後に尾を引かず、ドロドロしないような綺麗な結末を期待します。
タウリエルがオリジナルキャラクターであるのと同様に、
レゴラスも原作ではホビットシリーズには未登場のため、
この三角関係は完全に映画独自のストーリーのようですね。
尚更三人の行く末が気になるところです。
>「竜」の声を演じていたのはベネディクト・カンバーバッチだったりします。
これは原語版も観に行くことになりそうです……
> レゴラスも原作ではホビットシリーズには未登場のため、
それは知りませんでした。追記させてください。
三角関係は気になりますよね。レゴラスはわかっていそうだし。
> >「竜」の声を演じていたのはベネディクト・カンバーバッチだったりします。
> これは原語版も観に行くことになりそうです……
マジで渋すぎる声でした。
最終回つずきもできたらみにいきます みにいって良し ◎
いつも楽しく読んでいます!
ストーリーの中でどうもよくわからない箇所があるんですが、もしわかれば教えて下さい。
冒頭の酒場でのガンダルフとトーリンの会話で、ビルボが誘われた要因の一つがオーケン石を盗む為なのがわかり、石がないと王位継承者の証がない→ドワーフ7士族が集まらない→竜と戦えない ということだったと思うんです。
でも石がなくてもトーリンは王族だと認められてるし、仲間は集結して竜を倒す旅に出ましたよね。石を奪うことが目的ならわかりますが、竜を倒して国を再興させることが目的な訳で、竜を倒してあの山を奪い返せばオーケン石も手元に戻るわけですよね。
ならばあそこで竜を起こさずオーケン石を盗む理由って何なんでしょうか。。
石が強力な武器になるとか…?石があると更に仲間が集まるということでしょうか(?_?)
十分に楽しかったのでよくわからないままでもいいんですが、見落としてたか忘れてる説明ありましたら教えて下さい(>_<)
> 冒頭の酒場でのガンダルフとトーリンの会話で、ビルボが誘われた要因の一つがオーケン石を盗む為なのがわかり、石がないと王位継承者の証がない→ドワーフ7士族が集まらない→竜と戦えない ということだったと思うんです。
> でも石がなくてもトーリンは王族だと認められてるし、仲間は集結して竜を倒す旅に出ましたよね。石を奪うことが目的ならわかりますが、竜を倒して国を再興させることが目的な訳で、竜を倒してあの山を奪い返せばオーケン石も手元に戻るわけですよね。
> ならばあそこで竜を起こさずオーケン石を盗む理由って何なんでしょうか。。
> 石が強力な武器になるとか…?石があると更に仲間が集まるということでしょうか(?_?)
ググってみると、オーケンではなく「ア」ーケン石でした。
オーケンだと実在する石になります。失礼しました。
さて、アーケン石なのですが、以下のWikipediaにその意義が載っています。
しかもこれは次回作の多大なネタバレです!閲覧注意!
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%B3%E7%9F%B3#.E3.80.8E.E3.83.9B.E3.83.93.E3.83.83.E3.83.88.E3.81.AE.E5.86.92.E9.99.BA.E3.80.8F.E3.81.AB.E3.81.8A.E3.81.91.E3.82.8B.E3.82.A2.E3.83.BC.E3.82.B1.E3.83.B3.E7.9F.B3
ネタバレを見たくない方へ言うのなら、アーケン石の意義は次回作でわかる、とだけ言えますね。
・・・こんな回答でよろしかったでしょうか?
そしてごめんなさい、ヒナタカさんにネタバレさせるハメになってしまいましたね…余計な質問してしまってすみませんでした。。
>
> そしてごめんなさい、ヒナタカさんにネタバレさせるハメになってしまいましたね…余計な質問してしまってすみませんでした。。
いえいえ、あの記事はどこかで読んでいたものでした。すでにネタバレ部分を見ていたのですよ。
お気になさらずに。
バーリンはそんな君主のフォロー役、トーリンの尻拭いに徹ているという感じでしょうか。
映画化するにあたって年齢などの設定変更でバーリンは老け、トーリンはイケメン化し、原作既読組の私には第1部でのトーリンは大分マイルドな性格に描かれていると感じました。
それ故に、今作の終盤におけるトーリンの唐突な冷たい言動に違和感が少々…。
しかし、トーリンは元々こんな感じですので、映画でこの先どんなことが起きようともできるだけ大目に見てあげてくださいませ…。
ちなみに原作のギムリは映画とは180度異なって超紳士的なんですよ笑
>巨大なクモの群れ。
友人のご長男(4歳)がすっかり蜘蛛嫌いになってしまったそうで。「アメイジングスパイダーマン2」への自爆テロか!?
>レゴラス
「ONE PIECE」のように強敵に立ち向かう!系の作品に慣れている友人のご長男(4歳)は逃げてばかりのトーリン一行にご不満だったようですが、一人アベンジャーズなレゴラス様には大興奮のご満悦だったそうです。
>竜をドロドロに溶けた金のプールに沈める
あの王様の像が動き出してスマウグにパンチかましたらどうしよう・・・と馬鹿な期待してしまいました。
だってもうすぐ公開の「どらえもん」が・・・
>おじいちゃん死んじゃわないかなー。
友人のご長男(4歳)は魔法を全く使ってくれないおじいちゃんに一番ご不満だったそうです。
わざわざ別行動取って何しに行ったのか今一理解出来ませんでした。「敵」の正体を確かめる偵察だけのつもりだったけど捕まっちゃった・・・とかでしょうか。
>終わり方がエグすぎる
次回は初っ端からデストロイでしょうか。でも湖の街の人達はバルドの忠告聞かずにお宝山分けや王国復活後の利権に目が眩んでトーリン達を突撃させたのですから、彼らの失敗を責めないで欲しいです・・・。
>それは知りませんでした。追記させてください。
>三角関係は気になりますよね。レゴラスはわかっていそうだし。
どうぞ!是非追記願います(^_^)
>マジで渋すぎる声でした。
映画秘宝のホビット特集で同紙のアフレコ&モーション撮影風景の写真が掲載されていたのですが……
竜のモーションってどうやるんだと思ったらこんな風にしてんのか!って感じでしたw
これは近々原語版見てモーションも再確認しなければ!