愛すべきB級 映画「マチェーテ・キルズ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:後半が悪ノリすぎる・・・
あらすじ
マチェーテ(ダニー・トレホ)は アメリカ大統領(カルロス・エステベス)から、メキシコの革命家メンデス(デミアン・ビチル)を殺害されるように命じられる。
メンデスはワシントンをターゲットにミサイルを発射しようとしていた。
装置がメンデスの心臓と連動しているため、マチェーテは解除のために装置の開発者のところへ急行する。
人生で何のプラスにもならない、超ド級の(金かかっているけど)B級映画「マチェーテ」の続編です。
![]() | ダニー・トレホ 800円 powered by yasuikamo |
もともとマチェーテは、「グラインドハウス」という「古き良きB級映画を再現しよう」という企画の中で、「ニセモノの予告編」として世に出たものです。
そのニセモノの予告編が本当に映画化されちゃって、さらにその映画で続編を予告したら、今回の続編もできちゃったという流れなのです。まるで冗談のようですね。
本当に冗談めいているのは、この続編の内容です。
かいつまんで言えば超絶にアホです。
美女・グロ・B級映画的な展開以外には何も無いという潔さで、観た後は自分のIQがだだ下がりになっていることを実感しました。
残念なのは、そのB級バカ展開がイマイチハジキきれていないことです。
登場人物がバンバン殺されていくのは楽しいのですが、クライマックスに畳み掛けるようなカタルシスは感じられません。
レディー・ガガの出演も魅力のひとつですが、その個性を生かした配役であるようには思えません。
メル・ギブソン演じる悪役も、さほど印象的ではありませんでした。
前作はB級の悪ふざけの中にも、移民問題をシリアスに描いている面がありました。
しかし、本作はB級の悪ふざけの一辺倒です。
後半の展開は「なんじゃこりゃ」なので、ついていけない人はとことんついていけないでしょう。
この辺は好みの問題でもありますが、個人的にはB級の中にキラリと光るA級の演出がある前作のほうが好きです。
まあ、でもこの映画はこれでいいんじゃないでしょうか。
前作を観ていなくても話はだいたいわかります(ていうか一切理解しなくてもいい)し、次々と繰り出されるアホ展開を眺めるだけでも楽しめます。
現在公開中の「土竜の唄 潜入捜査官 REIJI」にも似た破天荒ぶりなので、これを観た後に「もうひとつくらい頭の悪い映画を観たいなあ」と思う方におすすめします。
ちなみに一番笑ったのは、映画のはじめの「新作のご紹介(予告編)」でした。
しかもその内容は・・・いや、それ以上言うのはよしておきましょう。あの脱力具合はぜひ劇場で体験してほしいです。
エンドロール後にもおまけがあるので、最後まで観ましょう。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
〜予告編で宇宙へ〜
はじめの予告編のタイトルは「マチェーテ・キルズ・アゲイン・イン・スペース」でした。
そう、マチェーテは宇宙に進出するのです。
彼の「(敵が)神を名乗るなら天を落とすまで!」という宣言がカッコイイですね。
本編の役では死んだはずのレディー・ガガも出演するそうです。
さらにジャスティン・ビーバーがロボ役として出演するんだってさ。
人気があるとこういうイジられ方もされるんですね。
また、銀のマスクの男については「レオナルド・ディカプリオに出演・・・・予定である」とされていました。
その仮面の男、(本編観ていたらわかるけど)メル・ギブソンの役じゃん。
でもぜひレオ様に出演してほしいですね。アカデミー賞受賞も逃したことですし(関係ない)。
〜マチェーテ、○○シリーズ〜
とっても萌える、「マチェーテ、○○」の台詞を一挙ご覧いただきましょう・
「マチェーテ、ツイートしない」
「マチェーテ、ミスしない」
「マチェーテ、一人だけ」(メル・ギブソン演じるルターにお前のクローンも作りたいと言われたから)
「マチェーテ、冗談言わない」
「マチェーテ、皆を愛す」(ミシェル・ロドリゲス演じるルースに嫉妬されたから)
「マチェーテ、予測不能」(予知能力を持つルターが展開を読めなかったから」
カワイイ。カワイイよ。
ちなみにマチェーテ役のダニー・トレホは御年69歳です。これがオヤジ萌えってやつか。
〜アレが必要でした〜
えー、はじめに映画全体にあるツッコミどころを言わせてください。
マチェーテ、弾が当たらなさすぎです。
敵はマシンガンを撃ちまくっているのに、銃を突きつけられているのに、一切弾が当たらずギリギリで逃げれています。まあ弾が当たったところでこいつ死にそうにないけど(首つりにされてもなかなか死なないし)。
開始数分で前作のヒロインが謎の組織に殺された後、マチェーテはアメリカ大統領に革命家・メンデスの殺害を命じられます。
出会ったのは「ミス・サンアントニオ」と呼ばれる女性。彼女はマチェーテを誘惑します。
そのベッドシーンでテロップとして流れたのは「3Dメガネを着用してください」。
持ってねえよ!ちなみにその3D映像というのが赤と青で構成された画なので、必要なのは「赤と青のセロファンが貼られたメガネ」です。<簡単に作れます
今になってこんなアナログな3D方式の映像が観れるなんて思いもしなかったぜ。いや2Dでしか観れていないけど。
余談ですが、「完全なる飼育 メイド、for you」という映画ではベッドシーンで観客がいっせいにメガネをかけ始めるという素晴らしい光景を観ることができました。
本作でもセロファンの3Dメガネを配布してほしかったですね。
〜腸は武器です〜
その後に訪れた娼館では美女どもがマシンガンをぶっ放してマチェーテを襲います。お約束すぎて何の驚きも無いな。
メンデスがお気に入りだという娼婦も連れてアジトに向かいますが、娼婦は手下にあっさりと殺されてしまいます。
メンデスは多重人格者で、マチェーテがあったときはノリノリの狂人になっていました。
「麻薬カルテルにしたって、ぜ〜んぶ米国に責任があるんだぜ!」とほざき、ワシントンをぶっ壊そうとしているのです。
マチェーテを賞賛したと手を挙げた部下はすぐに殺し、自身の心臓に繋いだミサイル発射装置(猶予は24時間)もあっさり作動させたりします。「マッドマン」の名に恥じないイカレっぷりでした。
マチェーテはメンデスを人質に取り、何としてでも装置の開発者のもとへ目指します。
ついでにマチェーテは部下の男の腸を引きずり出し、ヘリのプロペラに腸を巻き込ませて殺すというムチャクチャな戦いをしました。
そういや1作目でも腸をロープ代わりにしていましたね。
〜マチェーテ無双〜
マチェーテのほかの戦い方もムチャクチャでした。
序盤ではナタに電流を流して敵を攻撃したりします。<自分は電流大丈夫
美女にアーミーナイフのようなおニューのナタももらいます<わあ便利そう
後には電流が流れるナタも手にしていました。意味あるのかそれ。
フックショットを有効活用して敵とヘリを効率的に処分します。<ヘリを撃って
<敵を括り付けて
<敵が飛んでって
<どかーん
さらにボートを暴走させて、自身とメンデスは川に飛び込んで・・・<縦になって襲いかかります
<スクリューでブシュブシュ
さらに終盤では「内蔵が飛び出る分子ブラスター」で敵を殺しまくったり、プロペラにフックショットをつけて自分が回転しながら敵の首をポンポンと落としたりとやりたい放題です。
こいつ絶対敵に回したくない。
〜カメレオン〜
実態を持たない殺し屋・カメレオンも賞金のかかったマチェーテとメンデスを狙います。
彼はその名の通りことあるごとに姿を変えます。
ウォルトン・ゴギンズ、キューバ・グッディング・ジュニア、レディー・ガガ、アントニオ・バンデラスというふうに・・・<顔をはがすと
<美女になりました
無理だよ、どうみても男の体格だったじゃん。レディー・ガガに変身するのは無理だよ(ツッコむだけ無駄)。
レディー・ガガのアクションが単なるカーチェイスだったり、アントニオ・バンデラスになったときに移民を嫌う一般人にあっさり殺されてしまったのは消化不良でした。
そもそもこいつ、物語に全く影響していないしなあ・・・
*カメレオンを殺した男たちの中に、前作でドン・ジョンソンが演じていた移民狩りのヴォンの子分がいたそうです。
〜そこから攻撃します〜
マチェーテは、おっ○いマシンガンを放つ娼婦の女にも追い回されます。<この監督にはよくあること
美女は股間にもマシンガンをつけて攻撃していました。ロバート・ロドリゲス監督、それもう「フロム・ダスク・ティル・ドーン」でやった。
*ちなみに彼女の部下には「スパイキッズ」のアレクサ・ヴェガもいました
〜黒幕〜
メンデスは、自身の妻と娘を拷問にかけられた上に殺されたことをきっかけに多重人格者となったそうです。
彼は「国の腐敗に裁きを与えるための革命」を起こそうとしていた人間でした。それが人間の悪意によりゆがめられたのは、悲劇的です。
メンデスはマチェーテに「あんたに理解者はいるか?あんたがやろうとしているのは復讐だ。復讐心は消えることは無いよ」と言っていました。
メンデス自身もまた、復讐心が無くなっていなかったのでしょう。
そんなメンデスはクローン人間の部下にあっさりと殺されてしまい、その心臓は摘出されケースの中でまだ動いていました(んなアホな)。
黒幕はルターと名乗る宇宙開発事業に関わる男でした。
その後はミス・サンアントニオがルターとグルだったことがわかったり、カメレオン(アントニオ・バンデラス)に命じられるがままマチェーテが自身の墓を掘ったり、なんとか基地に戻ったりとわりとどうでもいい感じに話が進みます。
また、ミサイル発射まで6時間だったはずなのに、この間に夜になる→朝になる→夜の襲撃を待つと明らかに丸一日が経過しています。テキトーすぎるだろこの映画。
さらにマチェーテはバーテンダーに変装して敵の本拠地に潜り込みます。
あんなトカゲ顔のバーテンダーがいてたまるか。気付け。
ルターは予知能力を持っているはずなんですが、なぜかマチェーテの襲撃は読めませんでした。もうツッコむのも面倒くさいですね。
〜ラストバトル〜
この辺で気づくのが、徐々にはじめの予告編の内容(そして宇宙へ!)に近づいていっていることです。
船員が宇宙服着ているし、黒幕は宇宙を目指そうとしているし・・・ニセモノの予告編かと思いきや、マジだったんですね。
マチェーテはルースの顔面を火炎放射器で焼き、メンデスは仮面を被ってその顔を隠しました。ダース・ベイダーかよ。
ロドリゲス姉さんことルースはもう片方の目を撃たれて盲目となりますが、ミス・サンアントニオと肉弾戦をはじめます。
最後はルースはサンアントニオが投げた王冠を胸に投げ返して撃破!これは中盤にマチェーテがナイフを投げ返したシーンとも重なりますね。
しかし、ルースはルターの手によりガチガチに固められ、宇宙へと運ばれてしまうのでした。これも「スターウォーズ」で観たことあるような・・・
マチェーテは発射寸前のミサイルに乗っかります(乗り方がカワイイ)。
発射された後は青の配線を切ったらあっさり不発となりました。
前作の敵のオシリスが爆弾の解除要員として再登場したのはなんだったよ(すぐに殺されているし)。
マチェーテはアメリカ大統領に命じられ、ロケットに乗り宇宙を目指すのでした。
〜次回作〜
映画が終わってからも、次回作「マチェーテ・キルズ・アゲイン・イン・スペース」のプレビューが流れました。
エンドロール後にはミス・サンアントニオ役のアンバー・ハードが「股間をぶつなんてアリ?」と言ったり、大統領役のチャーリー・シーが意気揚々と銃を掲げたりするシーンもありました。ちなみにチャーリー・シーンは「カルロス・エステベス」に改名をしたようです。
→改名した訳ではなく、メキシコを舞台にした映画だからあえて本名でクレジットすることを提案した、という事情があったとご指摘を受けました
次回作のプレビューを観ると、
・ルースの片目がなぜ治っているのか?
・果たしてジャスティン・ビーバーはロボ役として出演するのか?
・レオナルド・ディカプリオは出演するのか?
など気になって仕方が無いポイントばかりでした。
今作は残念ながら興行収入が芳しくなく、続編の製作は危ぶまれているのですが・・・ぜひとも続編を実現してほしいものです。ギャラ的にキツいだろうけどね。
〜オマージュ〜
観てわかる通り、終盤は「スター・ウォーズ」のパロディになっています。
スター・ウォーズが大ブームとなった1970年代後半以降、B級なSF作品のフォロワーが数多く登場していました。
本作は、そんな「有名映画をパクった愛すべきB級映画」を再現しようとしたのでしょう。
内容はパロディでも、そこには確かに愛を感じました。
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しかし「カルロス・エステべス」ってかっちょいい名前ですよね…。
そうなのですか!
ご指摘感謝です。謹んで訂正します。
マチェーテのアホ具合最高ですね(笑)
劇場でここまで笑ったのは初めてでした!
カメレオンを殺したのは前作ドン・ジョンソンが演じた移民狩りのヴォンの子分の人でしたね!まだやってんのかよってツッコミ入れたくなりました(笑)
ナースたちも前作の人だったような…とりあえず前作見てればさらに面白いですね!
スパイキッズの姉がガンブラ女の部下になってたりレジェンドオブメキシコを思い出す盲目シーンだったりとまさにロドリゲス一色ですね!
マジですか!
> ナースたちも前作の人だったような…とりあえず前作見てればさらに面白いですね!
> スパイキッズの姉がガンブラ女の部下になってたりレジェンドオブメキシコを思い出す盲目シーンだったりとまさにロドリゲス一色ですね!
ぜんぜん気づかなかったです・・・追記させてください。
こりゃヒドイ!(褒めてます)
前作の
>意外に社会派B級ムービー。
がロバート&ダニーwithハリウッドの悪ノリ軍団のファンの皆様的にイマイチだったのでしょうか。
と思ったら
>今作は残念ながら興行収入が芳しくなく、
個人的にはこっちの方が好きなのでパンフ買って帰れば良かったです・・・。観たいです。「宇宙編」
「ウルフ~」ではっちゃけ切ってくれたレオ様なら出演してくれるはず!?
それにしてもマエチェーテ信者でけっこう埋まった客席からは終始笑いが絶えませんでした(人が悲惨な死に方をしまくるのに)
違いは人が殺されないだけだというのに「ウルフ・オブ・ウォールストリート」時の静けさが嘘のようでした。
やっぱり大きな賞とか取ったりノミネートとか箔付いちゃうと皆お行儀よくなってしまうのでしょうか。