神への反抗 映画「プリズナーズ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:宗教色が強いなあ・・・
あらすじ
ペンシルヴェニア州で小さな工務店を営むケラー(ヒュー・ジャックマン)の幸せな日常は突如として一変した。
感謝祭の日、6歳の娘のアナと、その友人の子どものジョイのふたりが姿を消したのだ。
警官のロキ(ジェイク・ギレンホール)は青年アレックス(ポール・ダノ)を容疑者として拘束するが、物的証拠は何も出てこなかった。
アレックスの釈放に納得がいかないケラーは、常軌を逸した行動をおこす。
傑作ミステリー「灼熱の魂」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督最新作です。
本作の売りのひとつが、ヒュージャックマンとジェイク・ギレンホールという、実力と人気を兼ね備えた俳優がW主演をしていること。格好いいことはもちろん、誘拐事件に立ち向かう人間を鬼気迫る演技で魅せてくれました。
ふたりとも時間経過とともにどんどん疲れていっているように見えることもすごい。役への没入感は並々ならぬものでした。
脇役もヴィオラ・デイヴィス、マリア・ベロなど実力派が勢揃い。ポール・ダノに至ってはもはや原型がわからなくなるほどの役柄を演じきっています。
役者の演技を堪能したい人にとっては、必見の内容でしょう。
しかし、本作を役者のファンに気軽におすすめできるかと言えば、それは否。
とても重苦しく、観ていて辛い描写が満載だからです。
主人公のケラーは自分の娘を誘拐され、その無事のためならどんな手段をもいとわないようになっていきます。
はじめはケラーに同情し、その行動に理解できていたのですが、やがて感情移入を阻むほどに常軌を逸していきます。
もともと悪人でない主人公が、どんどんと悪いほうの選択をしていくのは、観ていられないほどに辛いものがありました。
好き嫌いのわかれる点のもうひとつが、宗教色が濃いことです。
ケラーが敬虔なキリスト教徒であり“主の祈り”を捧げていること、もうひとりの主人公の刑事の名前が北欧神話の神である“ロキ”であること、そして終盤にわかる真実など……それら宗教的なメタファーが数多く登場するのです。
これは日本人にはいまいちピンとこない感覚であるので、観終わってもモヤモヤが残ってしまう人が多いのかもしれません。
しかし、本作にはそのあたりの難点が気にならないくらいのミステリーとしてのおもしろさがあります。
子どもふたりはどこに誘拐されているのか?
誰が真犯人なのか?
誘拐した理由は?
そのあたりの疑問の答えをなかなか出さず、ときにはちょっぴりとだけ見せたりして、結末までグイグイと引っ張ってくれます。
上映時間は2時間32分と長尺なのですが、その長さを感じさせません。
また、映画のテクニックとして「登場人物が知らないことを観客が知っている」ということがあるのですが、本作はそのテクニックの極地とも言えるシーンばかりです。
心の中で「おいおい、そこはダメだって~」「何で気づかないんだよ!」とツッコミを入れるほどじれったくもあり、否応無しにドキドキしてしてしまいます。
本作の予備知識として入れておくのは、あらすじ程度でじゅうぶん。前述のとおりミステリーとしての側面が強い作品なので、観る前のネタバレは厳禁です。
残念だったのが、事件の解決の経緯に違和感を覚える部分があったこと。宗教的な描写にひっぱられるあまり、物語の整合性に欠いている印象がありました。
本作は細かいことを気にせず、主人公の気持ちにとことん入り込んで観たほうがよいでしょう。
また、本作は子どもがいる人こそに観てほしい作品です。
子どもが誘拐されてしまった登場人物の苦しさがよりわかるでしょうから。観た後は、当たり前のように子どもがいる生活が、きっとかけがえのないものに思えるはずです。
ゴールデンウィークに観るには重過ぎる内容なのかもしれませんが、演出の緩急のつけかたが上手いこともあり、意外と疲労感はなく観れました。
PG12指定だけにエグいシーンもあり、作品のジャンルはホラーと言ってもいいほど怖いので、お気をつけを。
また、タイトルの「prisoners」の意味は“囚人”。複数形になっているとおり、prisonerにあたる者は作中で何人も登場します。
誰が囚われ人であったのか、観たあとに考えてみることをおすすめします。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
まずは野暮な不満点から。
~警察は無能です~
何が残念って、警察の捜査の仕方が素人目に観てもずさんすぎることです。
容疑者であるアレックスの家(伯母・ホリーの家)に家宅捜索が入らないのはおかしいのでは?
あれほどアレックスが疑われれば、たとえウソ発見器に反応が出なくても家はしらみつぶしに捜索されるはず。でも実際に警察やケラーが探しているのは林の中。これは変だよ。いろいろとがんばっているロキ刑事が不憫になりますね。
ホリーも、なんであんなにすぐ見つかりそうな場所で子どもを監禁しているんだよと・・・
*以下の意見をいただきました
ホリー宅の家宅捜索をしたような描写があったと思います。ロキも訪問していました。でもそのとき子どもふたりは穴の中にいたのでばれなかったのでしょう。
また、ラストでケラーが入れられた場所(地下道にふたをしてその上に車を置く)もすぐ見つかりそうなもんです。
なんであれしきに何日もかけるんだ。
神父が殺して地下に隠していた死体は、なぜ鑑識にかけても身元がわからなかったのでしょうか。
また、ケラーはホリーの家に娘が監禁されていると確信したはずなのに、家に入って彼女に対して背を向けたりするのも違和感がありました。
アレックスにあれほどの拷問をしたケラーなら、すぐさまにでもホリーを尋問しそうなものだけど・・・
おばあちゃんのホリーに銃をつきつけられてケラーが言いなりになっているのは、娘を救いたいがためなのでしょうが、ヒュー・ジャックマンの屈強な肉体があればすぐに銃を奪えてしまえそうに見えます。
~ケラーの名前が示すもの~
「keller」には“貯蔵庫”や“地下室”といった意味があります。
これはケラーが用心深く、用意周到な性格をしていた示していたのでしょう。
シカを撃っていた息子のラルフには「どんなときにも落ち着け」とアドバイスをし、“地下室”には氷結防止用のアルカリ剤を置き、アレックスの拷問の場所もじゅうぶんに準備(もともと住んでいた父親の家)していました。
また、kellerは三重苦を背負ったヘレン・ケラーの名前でもあります。
彼のこれからの苦しみを暗示していたのかも・・・
~ロキの名前が示すもの~
北欧神話のロキにはトリックスターという呼び名もあります。
その呼び名のとおり物語を動かす存在であったロキ刑事ですが、(その名に「終わらせる者」という意味もありながら)彼が事件を終焉に導いたわけではありません。
思えば、ロキはフリーメイソンの指輪をはめていました。
初登場時には、干支について話していました。
また、彼のファーストネームは「David」で、その語源はダビデ。ダビデはイスラム教では予言者のひとりとなっています。
ロキ刑事は、ケラーのようなキリスト教徒とは違う(または多神教)のではないでしょうか。
結局、真実にたどり着いたのはキリスト教徒であったケラーです。
これは真犯人の思惑とは違うものになっています。
~神への反抗~
真犯人・ホリーの犯行の動機は、「神への反抗」でした。
正体を現した彼女は、ケラーにこう話していました。
「これは神に対する戦いなの。人の信仰心を失わせて、悪魔にさせるというね」
ホリーは、自分の息子がガンで死んでしまった悲しみを癒すことができず、神というものに敵対心を燃やし、ほかの子どもを“道連れ”として誘拐しようとしていたのでしょう。
そして、誘拐した子どもの親が悪魔になることを期待し、それこそが忌み嫌っていた神へ抗うことになると思っていたのです。
なんという身勝手な理由でしょうか。
ケラーは、確かに子どもを誘拐されたことにより、アレックスを拷問にかけるという悪魔のような所業をしました。
しかし、ケラーはアレックスを拷問したとき、「神よ、我が罪を許したまえ」と祈っています。
ケラーは、決してキリスト教への信仰心は失っていなかったのです。
そして、信仰心を失わなかったケラーは真実を見つけ、神に対抗をしていたはずのホリーのもくろみは頓挫するのです。
なんとも、皮肉的です。
~神父が殺した男は?
結末でモヤッとするのは、神父が殺して地下室に放っておいた、16人も少年少女を殺害したと告解した男の正体が結局わからずじまいになっていることです。
これはおそらく、ホリーの失踪していた旦那だったのでしょう。
ホリーの行動理念は「神への反抗」でしたが、もともと夫の犯行を見過ごしていたところもあるのかもしれません。
*以下の意見をいただきました
神父が殺した男はホリーの旦那で確定です。ホリー宅の写真に、迷路模様(テイラーが書いていたもの、地下室の死体が持っていたもの)のペンダントをした男が映ってて、ロキがあっ!って顔をしています。「神への挑戦」ってのはホリーと地下室の死体の男が共通して発している言葉ですよね。
死体はミイラ化してたので、歯型情報で合致するものがない(歯医者に行ってない)とお手上げなのかな?
また、ロキ刑事が神父の家を訪れたとき、神父は酒に酔って床に倒れていました。
これと同じように、中盤でケラーが酒に酔ったフリをしてアレックスを拷問していることをごまかそうとしていました。
これは「神に背く行為」を示しているのでしょう。
罪の告解を聞くはずだった神父は人を殺して酒に逃げ、悪魔的な所業をしたケラーも酒に逃げたフリをするのですから。
~ロリコン男の真意は?~
いまひとつわからないのは、中盤で捕まった男・テイラーの目的です。
彼のしたことでわかっているのは、子どもたちの衣服を盗み、豚の血をつけたことだけでした。
テイラーはロキ刑事の拳銃を奪って自殺してしまったため、真実はわからないのですが、おそらくホリーの傀儡のようになっていたのでしょう。
ホリーはテイラーを操り、豚の血をつけた衣服が発見されることにより、ケラーとその友人のバーチ夫婦が絶望することを期待していたように思えるのです。
ではなぜテイラーが言いなりになったか?ということなのですが、これは共犯者にさせられたためでしょう。
アレックスは「“彼”は来なかった」とつぶやいていましたし、蛇の入った箱に入ってあったメモ「迷路を解けば帰してやる」の内容をジョイは知っていました。
彼は単独では子どもをさらっていないとは言え、子どもの服を買って、マネキンで“変なこと”をしていた変態ロリコン男には違いなかったのでしょう。
ホリーに協力することがなければ、彼は人畜無害であったと思うのですが・・・
*以下の意見をいただきました
蛇は聖書上でサタンと同一視されているのでまさに悪魔の所業だったわけですね…
衣類の血にも豚の血を使っていたのも何か宗教的な印象を感じました。
*以下の意見をいただきました
自分はこう解釈していました。
テイラーはジョイと同じく逃走に成功したかつてのホリー夫妻の被害者で、薬によって当時の記憶を失ってしまい長年のその欠落に苦しんでいて自分に何が起こったのかを知ろうとしていた。
事件当時の記憶を取り戻そうと、憶えている限りの犯人が自分にした事
・迷路を解かせる
・箱に閉じ込める
・蛇をけしかける
・他の被害者の遺体(に模した)マネキンを埋める。
等を再現して記憶を取り戻そうとしていた。ドーヴァー家とバーチ家に忍び込んだのは、この事件の犯人が自分の時と同じではないかと考え、被害者の情報を集めに行ったのではないかと考えていました。
でも、それだと感謝祭でロキ刑事から逃げたり、自殺の理由に辻褄が合いませんね。警察やケラー夫妻に最初から身分を明かして協力すべきですしね。
*もうひとつの意見もどうぞ
テイラーがホリーと旦那の被害者ということは確定ですよね。ほかにも以下の点を考えました。
・テイラーは自分がされたこと(断片的に記憶がある)をマネキンに対して実行する模倣犯
・夜中におうちに侵入したのはアナとジョイの服を盗み出すため(靴下はかたっぽ落としたので、店で買った)
~関係ない?~
この映画でもっとも気分が悪くなったのは、ケラーのアレックスに対する拷問ではなく、友人のバーチ夫婦の対応でした。
夫のフランクリンは人の道から外れたことをするケラーを責めますが、決して自分はアレックスに手を出そうとはしません。
妻のナンシーも、一度はケラーを責めますが、アレックスの腫れあがった顔を見て「娘はどこなの?」と聞いたばかりか縄をほどこうとしました。
ケラーは、フランクリンに「お前がそう思うのなら、逃がせばいいさ」と木枠を壊すためのハンマーを渡して選択肢を与えていました。
フランクリンは一度は木枠を壊そうとするものの、妻の「やめて、ジョイのことを考えて」「私たちは手出しをしないわ」「ケラーにやらせるのよ」ということばに丸め込まれます。
彼らは、ケラーに拷問をさせるだけしておいて、自分たちは関与していないかのようにふるまったのです。
ケラーは、「誰かがやらないと2人が死ぬんだ」と、(間違った)責任感を持っていたのに・・・
自分の子どもがただ助かることを優先し、目の前の悲惨な出来事に見てみぬフリをし、なおかつ自身たちは関係ないと主張するという、とてつもない醜さを感じました。
~いいひと~
ジョイとアナは無事保護をされ、薬(おそらく筋弛緩剤のようなもの)を腕に打たれたアナもその経過は順調でした。
じつはアレックスはホリーの甥ではなく、26年前にホリーに誘拐されて育てられていました。
彼は今回のことが発端となり、家に戻ることができたようです。
ハッピーエンド・・・に思われましたが、まだ“囚われ人”になっている者がいます。
言わずもがな、ホリーに捕らえられてしまったケラーです。
しかも彼にはアレックスを拉致監禁した事実があるので、たとえ見つかっても刑務所送りの囚人になってしまいます。
ケラーの妻・グレイスはロキ刑事にこう訴えます。
「夫のしたことはアナを見つけるため。私は感謝をしているわ。夫は善人よ」
あれほどのことをしても、グレイスは夫を「子どもを見つけるため」と肯定するのです。
思えば彼女は、序盤に「きっと家出よね」とロキ刑事に訴え、部屋に誰か(実際はテイラー)がやってくれば「きっとアナだわ」と、都合のいいように解釈しようとしていました(この気持ちは痛いほどわかるのですが)。
子どもが無事であれば何でもいい、そのためなら人の道から外れた行動を肯定してもいいとー
グレイスもまた、そういう常軌を逸した考えに“囚われて”いました。
~ラスト~
地下道に幽閉されたままのケラーは、娘のアナが探していたホイッスルを吹きます。
そのか細い音を、ロキ刑事は聞くことができました。
前述のとおり、ケラーは発見されたとしても投獄をされてしまいます。
しかし、アレックスを拉致監禁した罪は償うことができるでしょう。
彼がいつか自由になり、アナのもとへ帰れる日を、待ち望みたくなりました。
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とにかく怖かったです。
娘を助けるためなら監禁・拷問も厭わないケリー、
それを見て見ぬふりをするバーチ夫婦、
娘のためだからと言うグレイス、
とてつもない身勝手な理由で子供を誘拐したホリー……
登場人物の殆どが狂気を含んでいて話が進行するにつれホラーでも見ているような感覚になりました。
ホリーに関してはアレックスがアナたちを誘拐したことを匂わせる発言することも計算尽くのように思え、
単なる悪魔崇拝の黒幕に留まらない狂気を感じました。
秀逸だと思ったのが「見せない部分」があったことです。
板張りにされ熱湯シャワーを浴びせられたアレックスは悲鳴を上げますが、
観客が分かるのは悲鳴とパイプから差し込む僅かな光から判別できる右目の辺りだけ。
その前にケリーからこれでもかと言うほどに殴られ腫れ上がった顔を見せられているため、
板張りの闇の中ではもっと悲惨なことになっていると考えてしまいゾッとしてしまいました。
ジョイがケリーを眼にして思い出した監禁中の様子も全容を見せるわけでなく、
不気味なBGMにあわせてフラッシュバックのように描写するのが恐怖心を煽りました。
アナ、ジョイが感じた恐ろしさがこれでもかと言うくらい伝わる演出で、
あのシーンは今思い出してもホラー映画のような恐ろしさを感じます。
ボブ宅で見つかった収納箱も中身を想像してしまう恐ろしさを感じました。
こういったあえて見せない部分が恐怖心や不安感を煽るのに一役買っているように思いました。
>警察は無能です
驚くほど無能でしたね…
森の中を探すのはまぁ理解はできますがアレックス宅を監視しろとロキが進言したのに
さらっと反故にするとかそれでも官職の人間かと思えて仕方ありませんでした。
ただ、この演出は「警察は真相にはたどり着けない」ということを暗示しているのではとも思えました。
ヒナタカさんの仰るとおり、キリスト教徒とは違うロキは結局真相にたどり着くことは出来ませんでした。
ロキは警察サイドにおけるメインキャラクターでもあるので、イコール警察は真相にたどり着けない……
と言うことの暗示だったのではないでしょうか。
うーん…言っててかなり強引だなぁ……;
>蛇
蛇は聖書上でサタンと同一視されているのでまさに悪魔の所業だったわけですね…
衣類の血にも豚の血を使っていたのも何か宗教的な印象を感じました。
>ラストのホイッスル
罪を犯したケリーも、アナを救うという気持ちは紛れもない本物だったはずです。
そんなアナのホイッスルが、間接的にケリーを救う形になったのはグッと来ました。
ケリーは自分のしたことを償い、娘を想う優しい父として再会してほしいばかりです。
超・私見ですがロキ=ジェイク・ギレンホールの拳銃の構え方が格好良すぎて惚れました。
ボブを追う途中、柵を跳び越えるときも「直前まで構えてる→ホルスターに収めて柵を跳び越える→着地して直ぐさま抜く」がVery cool!!
> 秀逸だと思ったのが「見せない部分」があったことです。
> 板張りにされ熱湯シャワーを浴びせられたアレックスは悲鳴を上げますが、
> 観客が分かるのは悲鳴とパイプから差し込む僅かな光から判別できる右目の辺りだけ。
> その前にケリーからこれでもかと言うほどに殴られ腫れ上がった顔を見せられているため、
> 板張りの闇の中ではもっと悲惨なことになっていると考えてしまいゾッとしてしまいました。
その前に晴れ上がった顔を見せていますから余計に・・・
> ジョイがケリーを眼にして思い出した監禁中の様子も全容を見せるわけでなく、
> 不気味なBGMにあわせてフラッシュバックのように描写するのが恐怖心を煽りました。
> アナ、ジョイが感じた恐ろしさがこれでもかと言うくらい伝わる演出で、
> あのシーンは今思い出してもホラー映画のような恐ろしさを感じます。
そういった演出の上手さには舌を巻くものがあります。
「あえて見せない」は、ほんとうに怖いですね。
> ただ、この演出は「警察は真相にはたどり着けない」ということを暗示しているのではとも思えました。
> ヒナタカさんの仰るとおり、キリスト教徒とは違うロキは結局真相にたどり着くことは出来ませんでした。
> ロキは警察サイドにおけるメインキャラクターでもあるので、イコール警察は真相にたどり着けない……
> と言うことの暗示だったのではないでしょうか。
> うーん…言っててかなり強引だなぁ……;
キリスト教徒が真相にたどり着くというのが、けっこうミソな作品とは言え、これは・・・でした。
> >蛇
> 蛇は聖書上でサタンと同一視されているのでまさに悪魔の所業だったわけですね…
> 衣類の血にも豚の血を使っていたのも何か宗教的な印象を感じました。
蛇のことをすっかりわすれていました。追記させてください。
> >ラストのホイッスル
> 罪を犯したケリーも、アナを救うという気持ちは紛れもない本物だったはずです。
> そんなアナのホイッスルが、間接的にケリーを救う形になったのはグッと来ました。
> ケリーは自分のしたことを償い、娘を想う優しい父として再会してほしいばかりです。
お互いがお互いを救う関係に戻ってほしいですね。
> 超・私見ですがロキ=ジェイク・ギレンホールの拳銃の構え方が格好良すぎて惚れました。
> ボブを追う途中、柵を跳び越えるときも「直前まで構えてる→ホルスターに収めて柵を跳び越える→着地して直ぐさま抜く」がVery cool!!
個人的には拳銃を構えたときに限って髪がヘタッとなっているのも好きでしたw
宗教は数千年の実績有りな精神安定剤と聞きますが・・・悪化させとるような。いや、良くなった例も多くあるんでしょうし、本作でも性犯罪の前科者らしい神父も子ども達を守ろうと殺人まで犯したりしてましたけども。
>ふたりとも時間経過とともにどんどん疲れていっているように見えることもすごい。
狂気と葛藤が瞳に出ていましたね。演技で出せるものなのかと、役者さん達には驚かされます。
>とても重苦しく、観ていて辛い描写が満載だからです。
「白雪姫殺人事件」と同じく勧め辛いのですけど、全ての人に観て置くべきだと言えます。
ミステリーとしても一級品なのでそこが唯一楽しめる所かもしれません・・・楽しんでしまったら「他人事」と割り切る事になってしまうかもしれませんけど。
>また、本作は子どもがいる人こそに観てほしい作品です。
不信心者で子どもも居ませんが、親しくしている身近な子にこんな事が起こったら、ケラーのようにならないと言い切れないです・・・
>〜警察は無能です〜
無能な署長や冷静さを失ったケラーに振り回されて、一生懸命でなのに報われないロキ刑事が可哀想でした。そんな彼も終盤で致命的なミスを犯してしまうのですが・・・それまでの経緯を思うと責められません。
>アレックスの家(伯母・ホリーの家)に家宅捜索が入らないのはおかしいのでは?
性犯罪者前科者の家にはズカズカ入って机の引き出しとか開けまくってましたよね・・・。
>〜神への反抗〜
なにが土葬しないでだ!さっさとその拳銃で頭打ち抜いてあの世へ行って、好きなだけ文句聞いてもらえ!としか・・・。
>〜ロリコン男の真意は?〜
なるほど。自分はこう解釈していました。
彼はジョイと同じく逃走に成功したかつてのホリー夫妻の被害者で、薬によって当時の記憶を失ってしまい長年のその欠落に苦しんでいて自分に何が起こったのかを知ろうとしていた。
事件当時の記憶を取り戻そうと、憶えている限りの犯人が自分にした事
・迷路を解かせる
・箱に閉じ込める
・蛇をけしかける
・他の被害者の遺体(に模した)マネキンを埋める。
等を再現して記憶を取り戻そうとしていた。ドーヴァー家とバーチ家に忍び込んだのは、この事件の犯人が自分の時と同じではないかと考え、被害者の情報を集めに行ったのではないかと考えていました。
でも、それだと感謝祭でロキ刑事から逃げたり、自殺の理由に辻褄が合いませんね。警察やケラー夫妻に最初から身分を明かして協力すべきですしね。
>〜関係ない?〜
ナンシーがフランクリンに言った「手伝わないで、ケラーにやらせるのよ」に絶句しました。それで無関係で居られると思うのかと・・・
>〜ラスト〜
ケラーの生還をはっきり描かず、観客の想像に委ねる所が良かったです。彼は許されたのか?私は救出されて神でなくバリー(アレックス)に許され、法的にも彼にした罪をしっかり償い家族の元へ帰れたと信じます。
> >また、本作は子どもがいる人こそに観てほしい作品です。
> 不信心者で子どもも居ませんが、親しくしている身近な子にこんな事が起こったら、ケラーのようにならないと言い切れないです・・・
彼に感情移入してしまいそうになることも、また怖いですよね。
> >〜警察は無能です〜
> 無能な署長や冷静さを失ったケラーに振り回されて、一生懸命でなのに報われないロキ刑事が可哀想でした。そんな彼も終盤で致命的なミスを犯してしまうのですが・・・それまでの経緯を思うと責められません。
そうですね、ロキ刑事はがんばっていたので、ちょっとだけ訂正します。
> >〜神への反抗〜
> なにが土葬しないでだ!さっさとその拳銃で頭打ち抜いてあの世へ行って、好きなだけ文句聞いてもらえ!としか・・・。
火葬がいいわ〜とかほんとふざけんなですよね。
> >〜ロリコン男の真意は?〜
> なるほど。自分はこう解釈していました。
> 彼はジョイと同じく逃走に成功したかつてのホリー夫妻の被害者で、薬によって当時の記憶を失ってしまい長年のその欠落に苦しんでいて自分に何が起こったのかを知ろうとしていた。
> 事件当時の記憶を取り戻そうと、憶えている限りの犯人が自分にした事
> ・迷路を解かせる
> ・箱に閉じ込める
> ・蛇をけしかける
> ・他の被害者の遺体(に模した)マネキンを埋める。
> 等を再現して記憶を取り戻そうとしていた。ドーヴァー家とバーチ家に忍び込んだのは、この事件の犯人が自分の時と同じではないかと考え、被害者の情報を集めに行ったのではないかと考えていました。
> でも、それだと感謝祭でロキ刑事から逃げたり、自殺の理由に辻褄が合いませんね。警察やケラー夫妻に最初から身分を明かして協力すべきですしね。
なるほど。彼もホリーの誘拐の犠牲者であったのかもしれませんね。
追記させてください。
>
> >〜関係ない?〜
> ナンシーがフランクリンに言った「手伝わないで、ケラーにやらせるのよ」に絶句しました。それで無関係で居られると思うのかと・・・
彼らは罰せられないのかなあ・・・
> >〜ラスト〜
> ケラーの生還をはっきり描かず、観客の想像に委ねる所が良かったです。彼は許されたのか?私は救出されて神でなくバリー(アレックス)に許され、法的にも彼にした罪をしっかり償い家族の元へ帰れたと信じます。
これは帰れたでしょうね。意外と希望のあるラストでよかったです。
こちらを読むまでは、全く考えもしていませんでした。
キリスト教が関係しているのはわかりましたが、フリーメイソンの指輪も気づきませんでしたし、なるほどーと興味深く読ませていただいました。
トラバさせていただきますね。
失礼しました。
いつも読んでいます!
こちらからリンクを貼らせていただきますね。
自分も犯人の動機については、「そりゃねーよ」と思っていました(笑)
色んな情報がバラバラと出てきて、「あれ?これなんだったっけ?なんか関連があったような…?」っていうモヤモヤしたものが終盤で一気に結びついていく、という快感を味わえる作品でした。
全体的に怖かったけど…
もう一回観に行って色々確認したいです。
下記に気づいた部分を列挙しました。
■ホリー宅の家宅捜索
したような描写があったと思います。ロキも訪問してたし。でもその時は二人は穴の中にいたのでばれなかったのでしょう。穴もすぐ見つかるんじゃ?というのは確かに疑問ですが、廃車(っぽいもの)の下なので盲点だったのかも…?でも動かした跡とか付きそうですよね。
■神父が殺した男
→ホリーの旦那、で確定です。ホリー宅の写真に、迷路模様(テイラーが書いていたもの、地下室の死体が持っていたもの)のペンダントをした男が映ってて、ロキがあっ!って顔をしています。「神への挑戦」ってのはホリーと地下室の死体の男が共通して発している言葉ですよね。
死体はミイラ化してたので、歯型情報で合致するものがない(歯医者に行ってない)とお手上げなのかな?
■テイラー(ロリコン男)
→ホリーと旦那の被害者ということは確定ですよね…他の点については以下が私の理解で、
・ホリーの共犯者ではない
・自分がされたこと(断片的に記憶がある)をマネキンに対して実行する模倣犯
・夜中におうちに侵入したのはアナとジョイの服を盗み出すため(靴下はかたっぽ落としたので、店で買った)
・彼にとっては犯行は”本物”の犯行であり、アナとジョイの誘拐も自分がしたと思い込んでいる。だから追いかけられると逃げる。
・長年ホリーの薬を飲まされた結果、その辺↑の判断がつかなくなっている。
確かに家宅捜査っぽいシーンもありましたが、あんなさらっとした捜索じゃだめだよなあ…と想ってしまいます。