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失敗してもいい 映画「ホドロフスキーのDUNE」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はホドロフスキーのDUNE(原題:JODOROWSKY'S DUNE)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:あたまおかしい(ほめことば)


あらすじ


映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキーは、フランク・ハーバートの小説『DUNE』を原作とした大作SFを製作するはずだった。
しかし、その計画は撮影を目前にして頓挫する。それはなぜかー
ホドロフスキーや、プロデューサーのミシェル・セイドゥーは、その一連の騒動を語る。




みなさまは、アレハンドロ・ホドロフスキー監督をご存知でしょうか。
アナと雪の女王」で久しぶりに映画館に行ったんだ〜などと宣う、映画をあまり観ない一般の方はまずご存知ないでしょう。

まあ簡単に言えば、あたまがおかしい作品ばかり撮っている方です

たとえば、代表作のひとつ「エル・トポ」では、しょっぱなから全裸の少年が馬に乗って登場します。

<主人公の後ろに全裸の少年が……

「ホーリーマウンテン」はもっと狂っていて、中盤で錬金術を使ってウ○コを金に変えるという小学生並みの発想のシーンが出てきます。

<このビジュアルからすでに異質

しかもエログロもてんこ盛りで、作品のレーティングはどちらもR15+指定。真っ赤なペンキのような血がドバドバ出てきます。
カルト映画というジャンルの一人者と言える、上級者向けにもほどがある監督なのです。

そんな頭のネジが10本くらい吹っ飛んでいる監督が作ろうとしていたのが、SFの名作として知られるフランク・ハーバートの小説「DUNE」を原作とした映画作品でした。なんと、それはまだ1977年の「スターウォーズ」が世に出る前のことだったのです。

「DUNE」は映画史に残る大作になるはずでしたが、結局世に出ることはなく、お蔵入りとなってしまいます。
その理由を解き明かすのが、この「ホドロフスキーのDUNE」という作品なのです。

……とまあ、前提でここまで言えば、なんでこの企画が頓挫したか、だいたいわかりますよね。
原因は、間違いなくホドロフスキー監督自身にあるのです。

ホドロフスキーの映画作りの情熱は並々ならぬですが、そのやり方はイッちゃっています。
この監督が「DUNE」の映画作りにおいてどれだけムチャクチャをやったかは、観てのお楽しみです。


本作はドキュメンタリー作品ですが、そうとは思えないほど破天荒で、展開の起伏ありありで、なおかつ笑える作品に仕上がっています

自分はドキュメンタリー作品は少し苦手で、その理由は「人々が話し続けるのが退屈」という身勝手すぎるものでした。
この作品もドキュメンタリー作品の例に漏れず、人が事実をつぎつぎにカメラの前でしゃべりまくる作風です。

しかし、一向に退屈することはありませんでした。
それは、(企画がポシャるという)ゴールが明確なストーリーラインがあることと、エピソードのひとつひとつがいままで聞いたことがないくらいに狂っているからでしょう。
映画が作られる過程を丁寧に追うことはもちろん、なおかつ「ホドロフスキー監督はつぎはどんなあたまがおかしいことを言うんだろう」とワクワクできるのです。

最高だろ?<気さくだけど、どうかしています

ホドロフスキーの言動がアレすぎて、劇場からはクスクス、ときには劇場が割れんばかりの爆笑が起こりました。
これは映画製作の裏側を覗きたい映画ファンこそ、きっと楽しめる作品でしょう。

また、意外とよかったのが音楽。この手のドキュメンタリー作品はそもそもBGMが一切ないということもあるのですが、本作ではアンビエント風な楽曲がとても心地よく、作品にリズム感を与えています。
ドキュメンタリー作品が苦手だという方にも、受け入れられやすいのではないでしょうか。


誤解を恐れずに言うなら、映画だけでなく、優れた芸術作品を世に出す人はどこか気が違っているところがあるのだと思います。
多くの人員を使い、お金を使い、自分が作りたいものを持てる力を振り絞って作るなど、ふつうの人にはできるものじゃありません。
しかもホドロフスキー監督は明確に「ビジネスよりも芸術が絶対に優先」という心情を持って映画作りに励んでいます。
こうした考えがあるからこそ、人々の記憶に残る作品が作れるのでしょう。


これはおすすめです。
もちろんホドロフスキー監督や映画作りにまったく興味がないという人には積極的に観てとは言えませんが、それらを知りたいという人にとってはものすごくおもしろく観れるはずです。

予備知識として入れておいたほうがいいのは、
・前述の「エル・ポト」や「ホーリーマウンテン」
・ホドロフスキーが敬愛していたバンド・デシネ作家のジャン・ジロー(ペンネームは“メビウス”)
・「オンリー・ゴッド」などの作品で知られる映画監督ニコラス・ウィンディング・レフン
デヴィッド・リンチが監督した映画「デューン/砂の惑星
くらいでしょうか。

<あれ?映画作られている?

そのほかでは、およそ芸術やサブカルチャーに詳しくない人でも知っている人物がゴロゴロ出てきたりします。

さらには、この映画にはものづくりをしている人すべてに観てほしいメッセージがあります
予告編の最後で宣言されている「あなたに勇気を与える映画」はダテではありません。
何かひとつのものをやり遂げたいと思っている人の背中も、きっと押してくれるでしょう。

わずか90分の時間で、元気いっぱいになれる素敵な映画です。
上映劇場は決して多くはありませんが、近くでやっていたら、ぜひ。

以下は結末も含めてネタバレです 鑑賞後に読むことをおすすめします↓








〜スタッフ、豪華すぎ〜

まあ何がびっくりって、ホドロフスキー監督が起用しようとした俳優や美術スタッフの豪華さです。

ひと月前に亡くなったばかりの「エイリアン」をデザインしたH・R・ギーガー(映画の仕事は「DUNE」で初挑戦)ですらマイナーなほうで、ホドロフスキーはサルバドール・ダリミック・ジャガーオーソン・ウェルズにまで声をかけるのですから。

笑いが止まらなかったのが、その勧誘方法。
ホドロフスキーはデビッド・キャラダインがホテルの部屋のビタミンEの錠剤をいきなり全部飲み干したのを見て「君しかいない」と思ったり(なんでやねん)、
ピンク・フロイドのメンバーには「ビッグマック食ってる場合か!」って怒ったり、
ダン・オバノンには上質なマリファナを吸いながら勧誘したりします。どうかしているぜ。

ちなみに、オーソン・ウェルズの役はデブの悪役になる予定でした。

ダン・オバノンを勧誘しようとしたきっかけが、低予算B級SF映画の「ダーク・スター」だったというのもおもしろいですね。

また、サルバドール・ダリは法外な出演料をよこせとほざくのだけど、ホドロフスキーが「映画に出す時間で金を払えばよくね?あ、ダリの出演時間は5分かそんなところね」と解決方法を取るのにも大笑い。
「ビジネスじゃなく芸術だ」とか言いながら、ちゃっかりしているなあ。

あと、話している途中でホドロフスキーが猫をあやすという、いるのかいらんのかよくわからないシーンをはさむのもすごいですね。なごんだけど。


〜俺の好きなようにやるんだよ!〜

「DUNE」は原作つきの作品なのですが、なんとホドロフスキーは「映画は原作から自由になるべきなんだよ!」「原作のドレスを脱がして、原作を犯したんだ!」などとほざきます。
つまり、製作者自ら原作レ○プを公言していやがるのです(ひでえ)。
ぜひ、「ウォルト・ディズニーの約束」のメリー・ポピンズの原作者と対決してほしいですね。たぶん血を見るぞ。

さらに配給会社は上映時間が長くなることをを恐れるのですが、なんとホドロフスキーは「12時間でも20時間でも作るぞ!」と言います
そんなことだからか企画がポシャるんだよ……。でも、「他人の意見を聞いて変えてはダメだ!」とする信条はちょっと格好よくも思えます(←だいぶマヒしています)。


〜元気になる映画〜

そんなこんなで、配給会社はホドロフスキー監督を恐れたため、企画は絵コンテ段階でストップを余儀なくされます(ある意味当たり前)。

企画はデヴィッド・リンチの手にわたり、1984年に映画は世に出ることになりました。
ホドロフスキーは、デヴィッド・リンチの才能を認めながらも、ショックを隠せません。

そんなホドロフスキーの背中を押してくれたのは、彼の息子の「本物の戦士なら見るべきだ(笑)」ということばでした。
息子は空手と合気道をミックスした武術を習ってまで「DUNE」に出演しようとしていたのに、企画が頓挫して「違う人生があったかもしれない」と無念を感じていました(ホドロフスキー監督の最新作に出演できてよかったですね)。

ホドロフスキーは気が沈んだまま、なんとかデヴィッド・リンチ版の「DUNE」を観ますが、だんだん元気が出てきたそうです。
なぜなら、映画の出来があまりにもヒドすぎたから。しょうがないね。このときの監督の満面の笑みは忘れられそうにありません。


〜参考にした作品〜

しかし、ホドロフスキー監督の「DUNE」は決してムダな作品ではありませんでした。
「DUNE」の絵コンテは、「ターミネーター」「フラッシュゴードン」「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」最近では「プロメテウス」の美術にまで、影響をおよぼしていたのです。

スターウォーズも参考<「スターウォーズ」も参考にしていた

ニコラス・ウィンディング・レフン監督が「俺は世界で2つしかないこの絵コンテを読んだんだよ〜」と自慢しているのが微笑ましかったですね。気持ちはわかる。

序盤には、「DUNE」に登場するはずだった広大な宇宙を旅するシーンが、「絵コンテのまま動いて」映像として観ることができました。
これは「コンタクト」のオープニングの、壮大な映像を彷彿とさせるものでした。



この映画がなければ、「ブレードランナー」も「マトリックス」もなかった、原点はここにあるー
ホドロフスキーは最後にこう教えてくれます。

「想像は大きくなるばかりだ。想像は私の精神を目覚めさせてくれた。
これは大きな志を持つ作品だった。志を持たずに生きるなんてイヤだ。
戦うんだ。失敗しても構わない、挑戦するんだ」


ホドロフスキーは自分のイマジネーションを注ぎ込んだ作品を作るという志を持ち、「DUNE」を作ろうとしていました。
結果的に映画は作られることはありませんでしたが、のちの作品にとても大きな影響を与えていました。

完成した作品ばかりに意味があるんじゃない。
自分が作りたいと思った作品に挑戦したことにも、確かな意義があるのです。


〜究極の全肯定4コマ〜

最後に、元気になれるホドロフスキー監督のことばを4コマでお伝えしましょう(予告編そのまま)。

イエス<人生に何が起こってもイエス!

いえすいえす<離れて行ってもイエス!

中止も<「DUNE」の失敗も……

いえすなんだよ<イエス!

失敗は成功の母。なにか失敗したとき、このホドロフスキーのポジティブさを見れば、「また挑戦しよう」と思えそうです。

おすすめ↓
『ホドロフスキーのDUNE』 影響は日本に及んだ! :映画のブログ
ホドロフスキーのDUNE(ネタバレ)|三角絞めでつかまえて

監督の最新作↓
映画『リアリティのダンス』公式サイト

「DUNE」のイマジネーションを受け継いだ作品↓
L'INCAL アンカル (ShoPro Books)
メタ・バロンの一族 (ShoPro Books)

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2014-06-22 : 映画感想 : コメント : 1 : トラックバック : 0
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非公開コメント

こんにちは
面白い映画でしたね。

>ドキュメンタリー作品が苦手だという方にも、受け入れられやすいのではないでしょうか。

ホドロフスキー爺さんの個性によるところも大きいでしょうね。もともと芝居をしていた人なので、人前でおもしろおかしく喋るのがうまい。
他の人のインタビューは「貴重な証言」ではあっても面白くはないのですが、とにかくホドロフスキーは喋りっぱなしでそれが楽しい。
こんなドキュメンタリーは珍しいのではないでしょうか。

私はリンチ版『砂の惑星』も好きなので、あんまりけなしてほしくありませんでしたが(^^;
2014-06-22 17:48 : ナドレック URL : 編集
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『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
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<2014年下半期>
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『複製された男』
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<2014年上半期>
『渇き。』
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『横道世之介』
『脳男』
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<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
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『るろうに剣心』
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『アナザー Another』
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<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
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<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
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『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
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