ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- : スポンサー広告 :
Pagetop

ずっと覚えている 映画「思い出のマーニー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は思い出のマーニーです。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:アニメでできる、最高の感情表現


あらすじ


12歳の少女・杏奈(アンナ)は、ぜんそくの療養を目的に、親戚の大岩夫婦が暮らす海沿いの村にやって来た。
ある日、アンナは湿っ地(しめっち)の屋敷に住む、きれいなブロンドの少女・マーニーと出会う。
上手く人と付き合えなかったアンナは、マーニーとはとても仲よくなることができた。しかし、ふたりの周りではつぎつぎと不思議な出来事が起きて……




借りぐらしのアリエッティ」の米林宏昌監督最新作です。

本作は「アリエッティ」「コクリコ坂から」などとは違い、宮崎駿高畑勲がまったく作品に関わっていません。
本格的なスタジオジブリの“世代交代”を感じさせるとともに、新たなチャレンジとも言うべき作品でもあるでしょう。

原作はジョーン・G・ロビンソンによる同名の児童文学です。

ジョーン・G・ロビンソン
1512円
powered by yasuikamo

映画が原作ともっとも違うのは、その舞台です。
原作の舞台はイギリスのノーフォーク群の架空の街・リトルオーバートン (モデルはバーナムという地方)でしたが、映画の舞台は北海道の釧路地方になっています
映画の作品の年代ははっきりしていませんが、作中で「いまどき手紙なんていいじゃない」という台詞があり、旧式の携帯電話(コードレスホン?)が登場することから1990年代~現代と考えていいでしょう。

「アリエッティ」も舞台を日本に変えており(こちらも原作はイギリスの児童文学)賛否を呼びましたが、この「思い出のマーニー」は日本を舞台したことにあまり違和感がなく、むしろ物語にいい効果を与えているように思いました。

主人公のアンナは、社会とうまくなじめない少女です。
そして、アンナが出会う不思議な少女・マーニーもとある悩みを抱えています。

米林監督は、「大人の社会のことばかりが取り沙汰される現代で、置き去りにされた少女たちの魂を救える映画を作れるか―」ということを自分に課しています。
この物語は少女たちのふれ合いを通じて、現代に普遍的にある、少女たちの悩みと成長を繊細に綴った作品なのです。
その年代の子どもはもちろん、かつてそうであった女性(もちろん男性にも)観てほしい作品であると思いました。


本作が何より優れているのが、巧みな心理描写です。
主人公のアンナがまわりとなじめないこと、“ふつう”になれないことはわかりやすい説明がされるのですが、この映画はたとえそれらの説明がなくても、表情や演出だけでアンナの心理状態を知ることができるでしょう。

アンナはマーニーは会話をしていくうちに、いろいろな想いが変わっていきます。
原作にあったこの繊細さ、おもしろさをアニメという題材で見事に描いていることに、感動しました。
ジブリ史上、もっとも“心の揺れ動き”を重視した作品と言えるでしょう。


また、本作はじつはミステリー要素が強い作品でもあります。
アンナがはじめてマーニーに出会ったとき「あなた、ほんとうの人間?」と聞いたように、少女・マーニーはどこか浮世離れした、幻のような存在です。
彼女は何者であるのか?どうして湿っ地の屋敷に住んでいるのか?
そうした情報をはじめはごく少なく提示して、徐々に真実を解き明かしていく過程も巧みでした。

この謎を解き明かす過程は原作とはちょっと違っているのですが、自分は映画版の描きかたのほうが好きです。
本作はなるべく予備知識を入れず観ると、よりミステリー要素を楽しめるのではないでしょうか。
また、本作のWikipediaのあらすじには結末のネタバレが思いきり載っているので、作品に触れる前に読まないことをおすすめします。


「湿っ地屋敷」をはじめとした、美しい画の数々もすばらしいものでした。

しめっち<これは行ってみたい……

北海道の地では度重なるロケハンが行われており、美術監督して種田洋平が関わっています。
田舎のゆったりとした雰囲気を感じたい人にも、ぴったりな作品です。

プリシラ・アーンによる主題歌「Fine On The Outside」もすばらしかったですね。



プリシラ・アーン
831円
powered by yasuikamo
プリシラ・アーン
2400円
powered by yasuikamo

<歌詞><和訳>
「これからも外側(Ouside)にいたっていい」という歌詞は、主人公アンナの想いとマッチしています。

今回は英語歌詞の主題歌でしたが、プリシラ・アーンは「Natural Colors」をはじめたアルバムで、日本語で日本の名曲をカバーしていたりします。


Priscilla Ahn
3450円
powered by yasuikamo

<参考>
中にはジブリの名曲まで!
2013年末に三鷹の森ジブリ美術館でミニコンサートを実施したことから今回の起用となったそうですが、これ以外は考えられないほどの人選だったと思います。


本作は、ジブリ初のWヒロインにより、男女の恋とは違った形の“愛”を描いています。
ディズニー映画の「アナと雪の女王」や「マレフィセント」でも、Wヒロインでその愛を描いたように、近年は王子様とお姫様の恋なんかではなく、もっと普遍的で身近な“愛”を描くのがトレンドなのかもしれません。
これは(子どもにとっても)現実的な問題が多い現代ならではの風潮なのかも……いいことであるとも思うのですが、いまの子どもが夢見るばかりではいられないような印象も受けて、ちょっぴり切なくなりました。

また、本作は各所で百合(ガールズラブ)っぽいという感想を聞きますが、個人的にはそこまのものでもないと思います。
確かに、原作より百合要素はグレードアップしていますし、本作のボツコピーに「ふたりだけのいけないこと」(←これはアウトだろ)があったように、製作者側もそれを意識しまくっていたところはあるようです。
しかし、映画を最後まで観ると、単純な「女の子どうしの愛情(友情)」だけを描いている作品ではないと気づけるはずです。あ、でもやっぱり百合要素を期待する人にもおすすめします(どっちだよ)。


本作は、「天空の城ラピュタ」にあったような、“胸躍る冒険”“敵との激しいバトル”などはまったく描かれません。
それどころか、「となりのトトロ」の空を飛ぶシーンのような、“子どもの夢を叶える”ような要素すらありません。
アニメならでは、ファンタジーならではの“楽しさ”を感じたい人にとっては、本作をイマイチに感じてしまうのかもしれません。
主人公の性格は暗く、物語も決して楽しいことばかりではないのですから……

でも、自分はこの映画が大好きです。
原作にあった少女の繊細な心の変化は余すことなく描かれていますし、ほんの少しの物語の変更は、物語を改悪することなく、むしろ完成度を高めているように思いました。

中盤までは伏線を張り、主人公の心のうちを描く描写が続くので、あんまり小さい子だと退屈してしまうかもしれませんが、それも大切なものです。
家族でも、デートで観ても、観賞後に「あれはこういうことだよね」「あのときのあの気持ちはわかるなあ」といった、登場人物の心の変化を語り合う楽しみもあるでしょう。
好き嫌いのわかれる作品でもあるでしょうが、“繊細な心の変化”を大切に思うすべての人に、おすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 原作との違いも少しだけ書いているので、未読の方はご注意を。










~アンナの思う“ふつう”~

「この世には目に見えない魔法の輪がある。
輪には内側と外側があって、私は外側の人間。
でも、そんなことはどうでもいいのだ」


映画のはじめ、アンナはこう思いながらひとりでスケッチを描いていました。
まわりの女の子たちは「本当につきあっていたんだ~」と楽しそうに恋愛事情を語り、先生がスケッチを見せてくれとアンナに頼むも、アンナは拒否し、さらにぜんそくの発作を起してしまいます。
そこでアンナはこう思いました。
「わたしは、わたしが嫌い」

アンナが“おばちゃん”と呼ぶ育ての親の頼子は、「あの子、いつもふつうの顔をしているんです」とアンナに感情が見えないことを嘆いていました。

後にアンナは七夕の短冊に「これまでもふつうにいられますように」と書きます。
その内容をむりやり読んだ太った女の子のことを、アンナは「ふとっちょブタ」と呼んでしまいます。
女の子はここで、「ふうん、あんたの言うふつうの意味がわかったわ。でもむだよ、あんたは、あんたのようにしか見えないんだから」と言いました。

勝手に見ないで<勝手に自分に関わることを嫌うアンナ

アンナの望む“ふつう”とは何でしょうか。

原作では、アンナが「内側の人が、外側にいるわたにし興味を持つと、怒ったりどなったりせずに、ふつうの顔になるようにする」ということが書かれています。

アンナは“ふつう”の顔でいることで、“内側”の人たちを遠ざけようとしていたのです。なんの問題も起さず、アンナに興味を示さなくてすむように―

でも、近づいていた女の子に“ふとっちょブタ”と悪口を言い、アンナはふつうの顔ができなくなってしまいます。
そうして、けっきょくふつうになることができず、相手を嫌いになり、相手も自分を嫌ってしまうのです。
(しかも「あんたはあんたでしかない」と、無理をしてふつうになろうとしていることを見抜かれています)
そうした自分を知り、アンナは「わたしはわたしが嫌い」と言っているのです。

この「わたしが嫌い」というのは映画版オリジナルの描写です。
原作のアンナはもう少し達観していて、「内側の人を空想上のものと思う」という描写までされています。

この変更点は賛否あるとは思いますが、自分は映画版のほうが好きです。
アンナの「ふつうになれない」想いが浮き彫りになるとともに、後半の心の変化もより大きくなっているのですから。


~マーニーの思う“恵まれている”~

アンナは森の中で、「わたし、あなたならよかった。わたしはもらいっ子で、親はわざと死んだんじゃないってわかっているけど、割り切れなかった」と告白します。
マーニーは「それなら、あなたを養女にして、育ててくれた人こそ本当に親切でしょう」と答えます。

アンナは、育ての親の頼子が、自分を育てるための“割当金”をもらっていたことを知っていました。
マーニーはそのことに「それとあなたを愛しているかどうかは別よ」と言うのですが、「こんなことを気にしている自分も嫌い!」と心の内をさらします。
ここでも、アンナは自分が望む“ふつう”になることができなかったのです。

一方、マーニーも(アンナは恵まれた女の子であると思っていましたが)、じつはかわいそうな女の子でした
父は仕事が忙しくしょっちゅう家を空け、母親は海外旅行にばかり出かけ、置いてけぼりにされたマーニーは“ばあや”とメイドの“ねえや”にいじめられていたのです。
表向きはパーティーをしていたり、楽しそうにしているように(アンナには)見えたのに……
“わざと”ねえやふたりにサイロ(原作では風車小屋)に閉じ込められそうになったことすらありました。

マーニーはそのような意地悪をされたことはあるかと聞き、アンナは「ないわ、わざとなんてもちろんない」と答えます。
マーニーは「わたし、あなただったらよかったのに」と、アンナが恵まれていることをうらやましく思い、「わたしたち、いれかわちゃったみたい」と付け加えました。

いままで、周りを嫌う自分も嫌いだと言っていたアンナでしたが、ここでは自分がいかに恵まれているかを、マーニーに教えてもらいました。

いかに誰かをうらやましいと思っても、本当にその人がうらやましいのか(幸せなのか)は、その人を知るまでわからないことなのでしょうね。


~真実~

マーニーがいなくなってしまったあと、マーニーは湿っ地屋敷に新たに住むことになった女の子のさやかとともに、老女の久子さんに真実を聞きます。

マーニーはかわいそうな少女時代をすごしましたが、幼なじみのカズヒコと結婚しました。
しかし、カズヒコは病気で亡くなってしまい、自身も療養のために、マーニーは娘のエミリを全寮制の学校に預けなくてはならなくなります(原作では、戦争が起こったためでした)。

再びマーニーがエミリと再開したとき、エミリは独善的でわがままな女の子になっていました。
エミリとその夫は交通事故にあい、マーニーと仲直りをすることなく亡くなってしまいました。
エミリの子ども(マーニーの孫)をこの世に残したまま―

マーニーもまた、エミリを亡くした心労のために、数年前に亡くなっていました。

老いたマーニー<老いたマーニー

現代のアンナは、頼子が持っていた湿っ地屋敷の写真を見て、真実に気がつきます。
久子さんの話の、残された子どもが、自分自身であること。
そして、マーニーが自分のおばあちゃんであったことを―
(アンナの瞳に青が混じっていたことも、青い瞳を持つマーニーの血を受け継いだためだったのですね)

久子さんは、かわいそうなマーニーの思い出を語ったのち、「マーニーはあの屋敷が好きだった。鳥だけが自分の心のよりどころだった。幸せになろうと、ずっと前を向いていたわ」と付け加えていました。


~思い出~

この真実でわかったことは、マーニーがアンナの“空想上の人物”でなかったことです。
晩年のマーニーは、まだ赤ちゃんとさほどかわらなかったアンナに、自分の少女時代のことを語っていました。
アンナがマーニーと過ごした出来事は、かつてマーニーから語られた出来事そのものだったのです。

マーニーがかつて本当に体験した出来事と、アンナが体験した出来事と違うのは、そこにアンナという女の子がいたことです。
老いたマーニーは、アンナにじゅうぶんな愛情を注ぐことなく亡くなってしまいました。
しかし、マーニーの“思い出”は湿っ地屋敷にのこったままです。そのマーニーの思い出は、アンナに、アンナが愛されていること、恵まれていることを教えてくれたのです。

マーニーにとっても、思い出の中でアンナともに楽しく過ごせたことは、その魂を救ったことにもなるのでしょう。

マーニーの笑顔<心から笑顔になったマーニー


~タイトルの意味~

本作のタイトルが「マーニーとの思い出」ではなく、「思い出のマーニー」である理由も、その思い出が“かつて”のものだったからなのですね。

ちなみに原題は「When Marnie “Was” There」。
タイトルから、じつはマーニーがいたのは過去であることを示していたのです。


~本当にあった出来事?~

アンナがマーニーとともに体験した出来事は、かつての少女だったマーニーが実際に体験したことに間違いないでしょう。
しかし…じつは原作では、作中の「アンナが花売りとしてパーティーに参加したこと」が本当はなかったこととして語られています
シーラベンダーは花粉が飛ぶから、家に入れることを許可されなかったのです。

映画では、この花売りのエピソードも本当にあったこととして語られていました(アンナの役目をしたはずの女の子は、顔が見えなくなっていました)。
これは、少女時代のマーニーがもう少し幸せであってほしいという、製作者の希望なのでしょう。

ちなみに、マーニーが幼なじみの男の子(カズヒコ)とダンスをする場面は原作にもありますが、アンナが「ずいぶんと仲がいいのね」と明らかにマーニーに嫉妬するシーンは映画オリジナルです。おかげでより百合っぽくなっています。

また、パーティでは、アンナはたくさんの大人からお金をあげようとされていていました。
これはアンナが嫌っていた「養女としてお金を受け取ること」とリンクしている出来事なので、アンナにとってはいいこととは思えなかったでしょうね。


~野暮な不満点~

原作から省かれていてちょっと残念だったのが、アンナを運んでくれる無口なおじさんの描写でした。

原作でこのおじいさんは「ワンタメニー(one to many)」という名の、きょうだいが多すぎて愛されなかったキャラクターとして出てきます。

アンナとマーニーが一人っ子であったことと関係するエピソードなので、映画でも描いてほしかったですね。
原作ではこのおじさんは大活躍し、映画よりもたくさんしゃべっています。


~アンナがいなくなった理由は?~

序盤、アンナは自分がいま住んでいる大岩夫婦のことを思いだそうとし、なかなか思いだせないでいると……目の前からマーニーが消えていたことに気づきます。
マーニーもまたアンナを見失っていたようで、「どこにいっていたの?」と心配していました。

これはマーニーが、アンナの思い出(老いたマーニーから聞いた話)があるからこそ存在しているという証拠なのでしょう。
アンナがマーニーのことを考えなければ(ほかのことを思いだそうとすると)、マーニーはそこにはいないのです。

その後アンナがマーニーのことを忘れて大岩家で過ごしていたあと、アンナはマーニーと1週間も会えなくなっていました。
片方をなくしていたズックの靴を目印に置いたとしても……
アンナがかつての思い出を思いださなければ、マーニーはそこにはいないのですから。


~アンナがサイロに行った理由は?~

マーニーとアンナがサイロに向かったとき、マーニーはアンナではなく、幼なじみのカズヒコを呼んでいました。
それはかつて、カズヒコがマーニーをサイロに探してきて、救ってくれた思い出がアンナの頭の中にあったからなのでしょう。

カズヒコ と マーニー<アンナとマーニーがともに出て行く

アンナは「怖さ」を克服するために、マーニーをサイロに連れて行こうとしていました。
では、かつてのマーニーがサイロに行った理由とは?

じつはこれ、原作でもわかっていないことなのです。
原作では、マーニーはひとりで風車小屋(サイロ)に向かっています。

原作ではアンナを含めた子どもたちが、「なぜマーニーはそこに行ったのか」を推理する場面が出てきます。
答えはそこにはないのです。
ただ、映画でのマーニーはサイロで「誰にもばかにされたくない」と言っていました。やはり、彼女は「怖さ」を克服したかったのでしょう。これからいかにばあややねえやに意地悪をされようとも、強く生きれるように……


~マーニーが最後にいなくなってしまう理由は?~

マーニーはサイロにアンナを残したまま、姿を消してしまいました。

アンナはと、屋敷にいたマーニーは叫びながらこう会話をします。

「大好きなアンナ!」
「どうしていなくなったりしたの!どうして裏切ったりしたの!」
「だって、あなたはあのときにいなかったもの!わたしはこれから去らなければいけないわ!だから、許してくれるって言って!」
「もちろん許すわ。永久に、あなたことを忘れない!あなたのことが大好きよ!」


なぜサイロでは、アンナはいなくなってしまったのでしょうか。
なぜ、マーニーはこれから去らなければいけないのでしょうか。

それは、アンナが、サイロで起こった出来事を知らず、それ以上のマーニーのことを知らなかったためなのでしょう。
アンナは、そのマーニーの思い出がないためにサイロからいなくなってしまったのです。
またマーニーも、これから永久にいなくなってしまわざるを得ないのです(それ以上の思い出はないのですから)。

最後にアンナはマーニーを許し、そして永久に忘れないと言いました。
マーニーはすでに亡くなっているので、これからの思い出をつくることはできません。
しかし、その思い出はずっと残るのです。永久に―


~マーニーはどうして日記の一部をやぶっていたの?~

これはわかりません(原作にもない描写でした)。
その破られた日記の内容は、カズヒコのことばかりでした。
ひょっとすると、マーニーはカズヒコととの思い出はとても幸せなものであり、そこだけを“切り取って”おきたかったのかもしれません。


~ふたりだけの空間~

映画では、中を見ることをかなわなかった“小屋”が出てきます。

ふたりの小屋<ふたりだけの小屋

マーニーが窓から顔を出し、アンナをおどかしてはいましたが、中の様子や、ふたりが何をしていたかはわかりません。
これは、観客にもわからない「ふたりだけの秘密」なのでしょう。

秘密は、マーニーとアンナだけでなく、アンナとさやかの間でも守られたこと。
その秘密は、ほかの人には明かさなくてもいいのです。


~不幸の原因と、愛されること~

原作には、こういうことばがあります。

「これは誰が悪いとか、あれが誰が悪かったとか、ものごとはそんなに白黒はっきりできるものじゃないわ。責任はどこにでもあったかもしれないし、どこにもなかったかもしれない。不幸がどこで、いつはじまるかなんて、誰にいえますか?」

「不思議なことだけど、愛されるということが、重要なわたしたちが成長していくのを助けてくれる大切な条件なひとつなのですよ。だから、ある意味ではマーニーは成長することができなかったのね」


マーニーは家族や周りのひとから愛されなかった(または愛されなかったと信じていた)かわいそうな少女でした。
彼女がつらい人生をすごしたのはそのせいでもあり、またそのためだけではないと、はっきりとは言えるものではのでしょう。

しかし、マーニーから愛さていることを教えてもらったアンナは―
きっと成長し、幸せになれるのでしょう。


~巡り会い~

アンナは、マーニーと出会ったことにより、やさしい大岩夫婦のところで暮らし、さやかとも出会うことができました。
そして、自分がおばあちゃんのマーニーに愛されていたことも―
(太った女の子に謝ってくれたことも、ほっとしました)。

アンナは、頼子がお金をもらっていたことを告白したとき「言ってくれてうれしい」と答え、その後は頼子を「母です」と紹介してくれました。
(愛情を持って育ててくれた家族がいたことは、マーニーにとってとても恵まれたものでしたものね)。

アンナは、マーニーから巡り会いの大切さも知ったのでしょう。
巡り会ったひとたちに、“ふつう”の顔でいる必要なんてありません。

アンナは、湿っ地の屋敷から手を振るマーニーを見ます。
ときおり笑顔を見せるアンナには、これからの幸せを確かに感じさせました。

おすすめ↓
『思い出のマーニー』 - 空中キャンプ
#162 思い出のマーニー/魔法の輪の内側に気づくこと | Tunagu.
【マーニーの正体ネタバレあり!】私にはマーニーが6人いた~感謝を込めてネタバレありガチ感想~ - A LA CARTE

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

2014-07-20 : 映画感想 : コメント : 5 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

No title
男性にももっと観て欲しい良作のですが、かなり入ってましたけど連休中日のサービスデーだってのに、子どもが少女だけ・・・というか大人も女性ばかり、男性は私含め3人程で女子高に紛れ込んだようなアウェー感でした。
(男の子はポケモン、仮面ライダー&スーパー戦隊、プレーンズへ流れていて、来週以降観てくれるかもしれませんけど)

>また、本作はじつはミステリー要素が強い作品でもあります。
女の子同士の交流に感情移入し辛かったのですが、これには男性視聴者としても大満足でした。

>いまの子どもが夢見るばかりではいられないような印象も受けて、ちょっぴり切なくなりました。
本当にこれ。「アナと雪の女王」や「マレフィセント」での愛の描かれ方はとても素晴らしいと思いつつも寂しさを感じます。
しかし、ブラック企業や行政の怠慢が罷り通ったり、子ども達が夢を見られないような時代を作ったのは私達大人の責任なので年寄りの愚痴でしかないのかもしれません。
そんな中、悩める今の子ども達へ、こうした作品を作り始めたクリエイターの方々には年寄りの懐古を押し付けたりせずに応援したい気持ちもあり、複雑な思いです。

>〜アンナの思う“ふつう”〜
この辺「千と千尋のかみかくし」での千尋の現代っ子ぶりを思い出して「中二病?」などと思ってしまいました。想像以上なアンナの境遇には、若者の深刻な悩みをこんな単語で片付けようとするのも老害化かな?と自己嫌悪に・・・。

〜マーニーの思う“恵まれている”〜
妬みや僻みに囚われやすい世の中「隣の芝生」と「理想の普通」を教えてくれる良いシーンだと思います。

もしも、女性に生まれ変わったらまた観てみたい!出来ればこれの男の子版を・・・と考えていたら「虹色ほたる」を観たくなってしまいました。
2014-07-20 22:25 : 毒親育ち URL : 編集
No title
思い出のマーニーの感想読みました。
凄く読みやすく、面白かったので参考にさせていただきます。

私は原作を読んでいないものなんですが、〜本当にあった出来事?〜で挙げられているパーティーのシーンは原作ではなかった事として語られているんですね。でも映画ではそのシーンを入れて製作者の意図が感じられると書いています。その中で
>(アンナの役目をしたはずの女の子は、顔が見えなくなっていました)。

とありますが、私はこのアンナ役の子が男の子に見えました。見間違いかもしれませんが。
そして〜野暮な不満点〜で
>原作でこのおじいさんは「ワンタメニー(one to many)」という名の、きょうだいが多すぎて愛されなかったキャラクターとして出てきます。(略)映画よりもたくさんしゃべっています。

とあります。私はこのパーティーのシーンで出てきた花売りの子がこのおじいさんではなかったのかと思っています。原作のおじいさんとこの映画のおじいさんは別人なのかなーと感じました。ただ製作者側の意図がわかっていませんが(笑)

でも、
「この世には目に見えない魔法の輪がある。
輪には内側と外側があって、私は外側の人間。
でも、そんなことはどうでもいいのだ」
や、最後の〜巡り会い〜であるように巡り会い、人との関わりもテーマの一つだと思います。そのなかで花売りの子や映画版おじいさんもマーニーを通して巡りあった人なのかもしれないと思いました。
2014-07-23 02:00 : 通りすがりの名無し URL : 編集
思い出のマーニー感想
途中からいなくなったりサイロでのカズヒコと呼ばれたり何だろうと思ったので
自分は原作を読んでないので考察ありがたいです

王子様とお姫様の恋とかじゃなく身近な愛…確かに近年はそうなってきましたね
世知辛い世の中だ…

当初の予想ほどの百合ではなかったです
もちろん面白かったと思うのですが、宮崎駿からの脱却を意識しすぎかと思いました
アリエッティは宮崎駿が企画脚本に関わってたので結構動きがありましたが今回は地味でしたし
宮崎駿や高畑勲以外のジブリ映画(耳をすませばは良かったですが)表情や動きに感情があまり感じられない気がします
ジブリ解散なんて噂もありますし今後が気になります

主役2人の声優は結構上手いかもと思う場面と下手だとおもう場面がありました
アフレコやってるうちに上達したのかな
2014-07-25 22:25 : デルピッポ URL : 編集
No title
しんみりとしたお話でしたね…。私もこの映画が大すきです!
原作知らないので途中杏奈がマーニーに「何処行っちゃったの?」て言われたり、さよならしなければならない理由がちと「?」でした。考察を読んですっきりしました。

マーニーの正体についてですが、杏奈の良い意味での「裏」の部分、良心的な存在かもしれないなと思います。「アナと雪の女王」のエルサの本心がオラフに表現されているように、本当は自分のことを愛したい杏奈の想いがマーニーとして現れているのかもなー…なんて妄想が広がりました。

マーニーがばあややねえやにわざと意地悪されていると聞いた時に「許せない!」と怒っていたので、杏奈は本来真面目な女の子なんでしょうね。今までのジブリヒロインと変わり、清く正しく強く凛々しい少女ではなく、捻くれた部分や繊細な部分が年相応らしく良かったです。暗いキャラクターはゲド戦記のアレン以来でしょうかね。
2014-07-28 22:25 : ナベ URL : 編集
No title
> 日本に舞台を変更

これはむしろ良かったと思っています。
日本に置き換えたことによって、ミスリードがより強くなっていると感じました。


> ミステリ要素が強い作品
> あんまり小さい子だと退屈

このお蔭で、精神的な部分の理解が難しい子どもでも、じゅうぶんに楽しめる作品だと思っています。
特にミステリ要素に関しては、台詞ではなく、単に日記に書かれている文章もあって、よりスクリーンを注視している観客にはそれだけヒントが提示されるものとなっている。

あと、何気に“鉄”や“ボート”がよく描けているので、その辺りを楽しむマニアックな子もいるかも…とか。
ボード部の人に言わせると、杏奈のボートの漕ぎ方は、本気で初心者のやる漕ぎ方なのだとか。


> 本当にあった出来事?

それを言ってしまうと、もっと大きな謎(矛盾?)が浮かび上がってしまいます。

「杏奈は何故、屋敷の間取りを細かに知っていたのか?」

幾つかの仮説を考えることはできますが、私は、杏奈は昔、屋敷に来たことがあるのではないかと解釈しています。
マーニーの時代の後、屋敷は持ち主が転々としたとはありますが、そこは具体的ではありません。
ところで杏奈が孤児になったとき、里親をどうするかという段で人形を抱えて部屋の隅の椅子に座る杏奈の図がありました。このときの建物が、私には洋館っぽく感じられました。
ひょっとするとこの時に杏奈をどうするかということと、屋敷の利権をどうするかということが交わされたのではないか。そんなふうに考えてみました。


> サイロでカズヒコの名を呼ぶのはそこにいたのは杏奈ではなかったから

ああ!
それは気付きませんでした!
そうか、だから破かれていない日記にはこれ見よがしに最後に「あの男の子」なんて書いてあったのか!


> マーニーはどうして日記の一部をやぶっていたの?

ヒナタカさんの説も含めて、納得のいく答えはあまりないような気がします。
何故ならば破られていない日記も、破ったページも、屋敷にあったからです。

むしろ作者が謎を先に残すために、思わせぶりにそうしただけのような、そんな気もします。
(『ひぐらし』で圭一の遺書が切り取られていたのも、実際のところは作者の都合だろうと思っている人)


> ふとっちょブタ

♪ブタはデブ、ブタはデブ、ブタはデブじゃありません
♪体脂肪ならモデル並

(イオンシネマ利用者でないと判らないネタかも…)

2014-08-01 22:09 : シオンソルト URL : 編集
Pagetop




« next  ホーム  prev »

最新の記事

最近のおすすめ映画

sully ポスター
イーストウッド、真骨頂
こえのかたちぽすたー
生きてくれて、ありがとう
怒り映画ポスター
信じていいのか

広告(同じウィンドウで開きます)


Twitter...

反響のあったorおすすめ記事

<初めて来られた方へ(ブログの説明)>
<著者プロフィール>
こちらでも記事を執筆中↓
<ヒナタカ | シネマズ by 松竹>

ご連絡の際は、以下のメールアドレスまでお願いします(☆を@に変えてください)
hinataku64_ibook☆icloud.com

2015年ベスト映画20
2015年ワースト映画10

2014年映画ベスト20
2014年映画ワースト10

2013年映画ベスト20
2013年映画ワースト10

2012年 映画ベスト20
2012年 映画ワースト10

2011年 映画ベスト20
2011年 映画ワースト10

映画パロディAVタイトルベスト10
映画邦題ベスト10&ワースト10
Yahoo!映画のステマ評価ワースト5
レビューサイト「Filmarks」の優れた点&ちょっと微妙なところ
剛力彩芽のゴリ押しっぷり
真のレゴムービーの日本版予告編


<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

守銭奴すぎるバンナムの課金ゲーム

検索フォーム

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

カレンダー

プルダウン 降順 昇順 年別

08月 | 2017年09月 | 10月
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30


ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。