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愛なんてない 映画「ニンフォマニアック Vol.1」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はニンフォマニアック Vol.1です(遅れました)。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:意外と笑える(ドン引きしながら)


あらすじ


行き倒れていた女性・ジョー(シャルロット・ゲンズブール)は、初老の男セリグマン(ステラン・スカルスガルド)に拾われ、自分の生涯を語り始める。
その昔、ジョー(ステイシー・マーティン)は15歳のときにバイク好きの青年ジェローム(シャイア・ラブーフ)に処女を奪われる。
やがて印刷会社に就職したジョーは、そこでジェロームと再会するのだが……。




※このブログは18禁ではないですが、映画が描いている内容はそりゃあもう性的なので未成年者の方はなるべく読まないでね!
※vol.2の感想は<コチラ>

メランコリア」「アンチクライスト」のラース・フォン・トリアー監督最新作です。
タイトルの意味は“色情欲”。
少女時代からセックスに溺れた女性の姿を描く、「Vol.2」と合わせて4時間を超える大作となっています。

トリアー監督の特徴と言えばとりあえず女性をいじめぬくスタイルで、だいたいの作品で女性が(主に性的に)ヒドい目に合います。
ダンサー・イン・ザ・ダーク」はその最たるもので、ハッピーな映画が好きな人から死ぬほど嫌われているのも致し方ないでしょう。

でも自分はトリアー監督の作品が大好きです。
それは登場人物たちが、ふつうの人が思う“幸せ”とは違うものを目指しているように思えるからです。

幸せというのは主観的なものであり、ほかの人から見れば「それって絶対に不幸じゃん……」と思っても、本人からしてみれば違うこともあるのではないでしょうか。
本作「ニンフォマニアックVol1」でもそれは同様で、最初から最後まで「愛なんていらねえ、セックスがあればいいんだ」という女性の姿を描いているのです。
……いやあ幸せとはとても思えませんね(←客観的考えかた)

また、本作は意外と笑える作品になっています。
その理由のひとつが、主人公の行動がいちいち“例え”られること。

本作のプロットは、男が主人公の話す過去の物語を聞いていくという「アマデウス」スタイルです。
男はさぞかし破天荒すぎる女性の性遍歴を聞いてドン引きするかと思いきや意外とノリノリで聞いていて、哲学的な例えで彼女の物語を解釈しようとするのです。
その例えは納得できそうで、おいおいとツッコミたくなるところもあったりして……そのバリエーションの多さも楽しむべきでしょう。

また、あまりエロを期待して観る作品ではないと思います。
確かに性描写はR18+指定納得の過激さなんですが、それほど男性の性的興奮を呼び起こすような撮られかたをしていないように思いました。
メインとなるのはひとりの女性の人生であり、哲学的な考察。誰かの“生きかた”についてあれこれと考えてみたい人にこそ、おすすめと言えます。

余談ですが、公式サイトのキャラクターのページ(←クリック注意)もヤバいですよねえ……
登場人物がみんな裸でエクスタシーな表情を浮かべているのは想定の範囲内ですが、下までスクロールしていくと白目を剥いているおじいちゃんまでいますから。このページでなんとなく笑えたら、本編でも笑えると思います。

難点は哲学的な考察が多いので、劇的な展開を求める人にとっては退屈に感じてしまうかもしれないこと。
特殊な“愛”の形を描いているという点も含めて、意外と「her/世界でひとつの彼女」にも似ている作品かもしれません。
あとは映画がいいところで終わってしまうのも寂しいですね。「Vol.2」の公開は11月1日からなので、「Vol1」と同時に公開しているときに立て続けに観てみるのもアリかもしれません。

映画というのは多種多様な人生を切り取って見せてくれるものであり、楽しいだけでなく、恐怖、悲劇、絶望なども描ける媒体です。
本作のように、セックスばかりしていてどんどん身を滅ぼしていく(ように見える)女性の悲劇(?)を描いている映画も、ある意味では貴重ですし、観る価値は確かにあるはずです。

描写は確かにえぐ〜いものばかりですが、トリアー監督作品の中ではこれでもけっこうとっつきやすいほうだと思います(笑えるし)。
それでも上級者向けであることは間違いないので、「ダンサー〜」か「ドッグヴィル」で、トリアー監督のアクの強さを知ってから観ることをおすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓









セリグマンは、顔に痣を作っている女性・ジョーを見つけ、家へとつれて帰り……彼女からとんでもない話を聞くことになります。

〜1「釣魚大全」〜

幼いジョーは、“カエルごっこ”をしたり、登り棒で登ったときに性的興奮を感じていました。ロリコン大歓喜
彼女は、いっしょに森を散歩してくれる医者の父親(クリスチャン・スレーター)のことが大好きでした。
15歳になったジョーは、J(シャイア・ラブーフ)に処女を奪われます。
17歳になったジョーは、幼なじみの女の子B(ソフィー・ケネディ・クラーク)といっしょに、“キャンディ”を賭けて、列車にいた男たちとセックスをしていきます。

17歳のジョーたちが男たちを漁るときに、ステッペンウルフの「Born to be wild」が流れるのがシュールであり、また格好よかったですね。<和訳はコチラ>
確かにこのときの彼女たちはワイルドでした。

セリグマンは17歳のジョーの行動をフライ・フィッシングに例えます。
セリグマンは、“これから妻と排卵日にセックスをしようとしている男性”をジョーが誘うときに「引きすぎてもいけない、なるべく自然に見せる必要がある」ともっともらしい例えかたをしました。
しかもセリグマンは、ジョーのオー○ルセックスについて、「ずっと精子を出していなかったら腐っちゃうかもしれない、むしろいいことをした」と全肯定。この映画にはツッコミが不在なのかと絶望した瞬間でした。


〜2「ジェローム」〜

ジョーが印刷会社に就職したとき、偶然にも自分が処女を捧げたJが上司となりました。
彼女は、Jことジェロームを一旦拒否しますが、想いを手紙に綴りました。
しかし、ジェロームは秘書の女の子と駆け落ちしてしまいます。

ジョーはこの章の前に、「つぎの章では私の人間性が否定的な要素はないわ」と言っていたのに、初っぱなからセックスしまくっていた男たちみんなに「イッたのは初めてよ」とウソをついていました
いやー、いきなり人間性を否定したくなったんですけど。男のひとりには「みんなそう言うよ」と見抜かれていたし。

特筆すべきは、ここでジョーが一度だけジェロームのセックスを誘いの断ったことと、手紙を当てるという“恋”にも思える行動をしていること。
ジョーはセックスサークルの女の子にも「セックスに必要な要素は愛よ!」と言われていましたし、セックスだけを男に求めていたことに疑問を感じていたのかもしれませんね。


〜3「H夫人」〜

ジョーは、さらに多くの男と関係を持っていきます。
中年のH氏と別れたH夫人(ユマ・サーマン)が部屋に押し掛けてきたために、ジョーは修羅場に陥ります。

何が怖いって、H婦人が子どもたちを連れて「あなたは一晩に何人の人生を破壊すればいいの。私は20年かけて築いたのに」と訴えてくること。
しかもこの後に浮気予定だった“A"もとばっちりでこの修羅場に参加することに……
子どもたちが不憫でしかたがありませんでした。


〜4「せん妄」〜

ジョーの父が入院します。
彼女は、ベッドで死の淵にいる父を見て、性的興奮を覚えてしまいます。

ジョーは「父が死んで感情を失った」とも後に語っています。
感情イコール“愛”だとすれば、この後に彼女が愛を取り戻すことはないのでしょうか……


〜5「リトル・オルガン・スクール〜

ジョーはジェロームと再会します。
ジョーは以前のようには“感じなく”なってしまったことを見せて、Vol.1は幕を閉じました。

ジョーはさまざまな男たちと体を重ね合わせて、“三重奏”を感じていたはずなのですが、その興奮もなくなってしまうのです。


〜フィボナッチ数〜

フィボナッチ数とは、1、1、2、3、5、8、13と、前のふたつの数を足してできる数のこと。
セリグマンが、ジョーの初体験で突かれた回数をフィボナッチ数といっしょだと気づくのは何やねんと思っていましたが、これは彼女の性経験が“自然の理(ことわり)”であることを示したものなのかもしれません。

フィボナッチ数はピタゴラスの定理黄金比とも関連しており、花びらの数や、ヒマワリの螺旋の数にも表れるという、自然にある“法則”であり“秩序”です。

彼女の性経験がそうした秩序に基づくものであれば、それは人間的な複雑な感情によるものではない、もっと言えば“しかたがない”ことだとも言えるのではないか―
フィボナッチ数は、彼女の性遍歴を肯定するためのものであるようにも思えるのです。

しかし、彼女はフィボナッチ数に関連していたはずのバッハ(BACHの綴りの画数がフィボナッチ数)の演奏法でも“感じなくなって”しまいます。
彼女は今後、“自然の秩序から外れた”ために、さらに身を滅ぼしてしまうのかもしれません。


〜トネリコの木〜

ジョーの父は、森の中を散歩しながらトネリコの木のことをジョーに紹介していました。

ジョーの父曰く、トネリコの木は枯れずに栄養をたくわえて、ほかの木から羨望を集める存在でした。
作中では、トネリコの木は北欧神話のユグドラシル(世界樹)にも例えられており、まるで“生命”のような印象もあります。

一方、ギリシア神話においては、陸地のニュンペー(ニンフ)に、“メリアス”というトネリコの木の精霊がいます。
ニンフォマニア(Nymphomania)の語源は、まさにニュンペー(Nymph)です。

トネリコの木が示しているのは、ジョーという人間自身だったのかもしれません。
トネリコの木がほかから栄養を奪うように、ジョーはH婦人の幸せを奪いました。
しかも、トネリコは彼女の病気であるニンフォマニアの語源と関連が深い木だったのですから……

ジョーは、他人の幸せを奪い続けるニンフォマニアのまま生き続けるのでしょうか。
彼女が口にしていた「私の罪は夕日に多くを求めすぎたことなのかも」の意味も、まだわかりません。
その答えと、彼女が“愛”を手に入れれるかどうかは、Vol.2でわかることなのでしょう。


参考↓
佐藤秀の徒然幻視録:ニンフォマニアック Vol.1~森を感じる時
ニンフォマニアック──奇才が描く過激なセックス狂のおはなし | GQ JAPAN
今週末見るべき映画「ニンフォマニアック Vol.1、 Vol.2」 (1/3)|アート|Excite ism(エキサイトイズム)(←Vol.2のネタバレもあるので注意)
「強い欲望+嫉妬=愛」シャイア・ラブーフが語る『ニンフォマニアック』制作の裏側|- webDICE

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

2014-10-21 : 映画感想 : コメント : 1 : トラックバック : 0
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非公開コメント

トネリコの木にそんな意味があったなんて
やはり他人のレビューを見ると色々な事に気づかされます 個人的には最初と最後に流れた
(予告でも使われてましたが)メタルの曲が最高でした!! アレを聞きながらの予告でテンション
最高潮に上がりましたね
2014-10-22 00:25 : URL : 編集
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