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子どもに聞かせる物語 映画「美女と野獣(2014)」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は美女と野獣(2014)です。


個人的お気に入り度:4/10

一言感想:恋愛の“過程”がないのはちょっと……


あらすじ


少女ベル(レア・セドゥ)の一家は、船が嵐で遭難したために破産する。
船の一隻は見つかったものの、借金のカタとして押さえつけられてしまったばかりか、ベルの父(アンドレ・デュソリエ)は吹雪の中にあったバラを盗んでしまう。
ベルはバラを盗んだ父の身代わりとして、野獣(ヴァンサン・カッセル)の城に囚われの身となる。
ベルは、野獣がもともと王子の身であったことと、その姿が変わった理由を知るのだが……




ジェヴォーダンの獣」「サイレントヒル」のクリストフ・ガンズ監督最新作であり、原作は1757年のボーモン夫人による短篇です(最初に書かれたのはヴィルヌーヴ夫人の長編)。

ボーモン夫人
562円
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こちらからも無料で読むことができます→<青空文庫-ラ・ベルとラ・ベート(美し姫と怪獣)>
バレエや舞台版も幾度となく公開されていますが、その作品群でとくに有名なのは1991年のディズニーアニメ作品でしょう。

ディズニー
4104円
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このアニメ版は、原作を大胆に脚色していました。
それはベルが発明家という設定であったり、かわいいマスコットキャラだったり、傲慢なために野獣に変えられてしまったという理由だったりします。
親しみやすく、ミュージカルならではの魅力の満載が満載。ディズニーの名作のひとつに数える人は多いはずです。

さて、今回の2014年版はディズニーアニメ版とはぜんぜん違います。
近いのは、1946年に制作されたジャン・コクトー監督の実写映画版でしょう。

ジャン・マレー
330円
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2014年版とジャン・コクトー版では、ベルにふたりの姉と3人の兄がいるという設定や、一家が財産を失ってしまうという過程が共通しています。
これは原作からあった描写。このふたつは原作になるべく忠実に作られた、多大なリスペクトを捧げている作品と考えていいでしょう。

2014年版で何よりも優れているのは、その美しい画の数々です。
ゴシックルネサンスを合わせ持つ美術、ロスリン・チャペルといった実際の建築物も参考にした装飾の美しさには圧倒されました。

古城<行ってみたい

このバラに囲まれた城は、大友克洋監修のオムニバスアニメ映画「MEMORIES」の一遍である「彼女の想いで」を参考にしたそうです。
また、宮崎駿作品のような“自然”が建物に浸食してくるような画もたっぷりとあります。
クリスフトフ・ガンズ監督自身も「人間の自然のつながりを描きたい、日本の精霊信仰をルーツとする宮崎駿作品に似たテーマが見られる」と語っており、影響を多大に受けているのです。


しかし……この映画は、物語としてまったくおもしろくないので困ってしまいました。
なぜなら、美女(ベル)と野獣の恋愛の過程が描写不足すぎるからです。

なぜベルが見た目が醜い野獣に惹かれていったのか?
野獣はどのようなベルに対してどのような想いでいたのか?
それらがさっぱりわからないのです。
主人公ふたりの心理描写は、意図的に排除されているとさえ感じられるほどでした。

また、ガンズ監督自身は、いままでの作品群であまり触れられていなかった「王子(野獣)が呪いをかけられた理由」についてを描きたかったと語っています。
しかし、この本作オリジナルといえる要素もあまり共感できるものではなく、作品の足を引っ張ってしまった印象でした。

キャラクターの魅力も薄味です。
これも、人間臭い心理描写が圧倒的に不足しているためでしょう。
せっかく登場させた(ディズニー作品にいない)ベルのきょうだいがステレオタイプなキャラづけ(粗暴なキャラか、やさしいか)に留まっているのは残念としか言いようがありません。

正直、前半の家族の描写、中盤のベルが城内をうろちょろしている展開は退屈でしかたがありませんでした。
画の美しさもあいまって、疲れているときに観るといい感じの睡眠導入剤になりそうです。


そんなわけで、典型的な「画はすごくいいけど、話がね……」と多くの方が思ってしまう内容になっているのであまりおすすめできないのですが、公式サイトのギャラリーページレア・セドゥのおっ○いでうっとりした人には劇場で観る価値は十分です。

ディズニー版とジャン・コクトー版と観比べてみるのもまた一興。どんなかたちであっても、古典が現代によみがえり、そのために多くの人が優れた作品に触れる機会が増えるというのは、歓迎すべきことです。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 今回は短めです。










〜野獣にツンもデレもなかった〜

この物語において、野獣というキャラの魅力はもっとも重視すべきポイントであると思います。

<ディズニー映画版>
・王子は横暴すぎたふるまいをしていたせいで、しっぺ返しとして魔法使いに野獣にされてしまう
・野獣は心やさしいベルと交流して、しだいに粗暴さがなくなっていく

<ジャン・コクトー版>
・野獣は自分の醜い姿を嫌っていて、ベルに見てほしくないと願う
・野獣は「ねえねえ、ちょっとずつ交流していい?(←イメージ)」な感じでベルに近づこうとする
・ベルは次第に野獣の心のうちを知っていく

ジャンコクトー版<ジャン・コクトー版では、目覚めたベルに「見ないでくれ」と頼んでいた野獣

うんうん、人間臭い弱さがありますし、守ってあげたくなる魅力がありますね。
ところが2014年版ではこうです。

<2014年版>
・野獣はベルの後ろにぬぼーっと現れて脅かす→ベルは驚いているだけ。
・野獣はもともと婚約者の王女がいた、リア充にもほどがある王子だった。
・王子は王女との約束を破って、王女が姿を変えた黄金のシカを誤って撃ってしまう→ベルは「かわいそうだなあ」と思う(たぶん)。

このときの自分の気持ち↓


少なくとも、「ベルは野獣のことをどう思っていたか」「野獣はベルのことをどう思っていたか」は必要な描写でしょう。
「弱さ」を見せないと、まったくキャラクターが魅力的にならないのだとよくわかりました。

また、美女と野獣の物語にもっとも大切なはずの「人の心は、姿形でわからない」というメッセージもあまり目立っていません。
このメッセージがもっとも現れたのがエンディング曲というのはなあ……。


〜クライマックス〜

ラストバトルで唐突に2体の巨人が出現し、人間たちを踏んずけていったのは驚きました。
なんとなく「ジャックと天空の巨人」の巨人を思わせますが、じつは「大魔神怒る」のオマージュだったんですね。

本郷功次郎
1588円
powered by yasuikamo

アニメだけでなく、日本が誇る特撮作品が、こうして現代の作品にも影響を与えているというのはうれしいですね。

野獣が悪人に“黄金の矢”で刺される→森からツタが触手のように襲って来る→ベルが矢が抜くと、なぜか巨人が崩れ落ち、ツタも枯れる→“魔法の泉”の中にいた野獣はもとの姿に戻る
というのも設定があやふやで、どうにも納得できない展開でした。

黄金の矢が示しているのは、エロス(キューピッド)の矢であり、転じてふたりの愛の証なのでしょうね。


〜子どもに聞かせる物語〜

2014年版は「ベルと野獣の顛末は、子どもに聞かせる物語だった」という劇中劇の手法が取り入れられています。

ベルは最後に「兄たちは印刷所に就職して、姉たちは双子の兄弟と結婚したわ」と物語に付け加えて、自身は外にいた王子(もと野獣)と熱いキスを交わしました。

ここで、ベルの物語はほんとうはなかった、おとぎ話であったことが示唆されているのではないでしょうか。
子どもに読み聞かせた以外のことでは、ファンタジーらしい描写はいっさいありません。
ベルのきょうだいのその後が現実的だったのも、ベルがおとぎばなしとしての物語を考えていなかったためでしょう。

ちなみに、ジャン・コクトー版の冒頭は、こんな文言からはじまっています。

子どもたちは 大人の話を信じて疑いません。
これは1本のバラの花から始まる、不思議な物語です。
怒りから両手から煙を放つ野獣と、その城に住む野獣の心に恋心をもたらす美女。
子どもはそんなおとぎ話を真剣に信じるのです。
皆さんも子どもに帰ってみませんか?
それでは例の呪文を唱えましょう “開けゴマ”


子どもは……<子どもは大人の話を信じるのです。

2014年版では、この文言を踏まえて、「子どもに物語を聞かせる」という手法を取り入れたのでしょう

大人にも童心にかえって、おとぎ話を楽しんでほしい。
そのメッセージは、本作でも確かに感じられました。

参考(いずれもネタバレ注意)↓
佐藤秀の徒然幻視録:美女と野獣(2014)
「不幸せな妻」が描いた珠玉のおとぎ話――『美女と野獣』 | おやすみ、ヘミングウェイ
美女と野獣 - Wikipedia
美女と野獣 (1946年の映画) - Wikipedia
美女と野獣 (アニメ映画) - Wikipedia
美女と野獣 (2014年の映画) - Wikipedia

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

2014-11-08 : 映画感想 : コメント : 1 : トラックバック : 0
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No title
チャンピオンREDのインタビューでガンズ監督の原作とジャン・コクトー版への敬意とディズニー版が正統のように扱われている事への遺憾、そして何より日本映画への愛に打たれ観に行きました。

>一言感想:恋愛の“過程”がないのはちょっと……
この辺、男の子にはちょっと退屈かもしれませんね。けっこう入っている劇場に予告が始まってから入ったのですが、終わってから男性が自分一人だった事にビックリ!&恥ずかしさにそそくさと帰りました。
でも、女の子でも幼稚園~小学生くらいの小さな子は退屈かもしれません。中学生くらいの女の子達がいまして「綺麗だった」と喜んでいましたけど。

>画の美しさもあいまって、疲れているときに観るといい感じの睡眠導入剤になりそうです。
前日徹夜の後に観に行ったので、夜のシーンが多いのがきつかったです・・・。

>公式サイトのギャラリーページやレア・セドゥの
「スリーピーホロウ」で上○を強調するドレスの妖艶な美しさに目覚めた自分は、これの為に睡魔と闘い目を暗視カメラにしました!
世界中の上○強調ドレスマニアは新たな伝説を目にするだけでも観賞の価値有りかと・・・

>〜野獣にツンもデレもなかった〜
ガンズ監督は日本映画マニアなのに、まだまだ修行が足りませんね。全国のツンデレ愛好家の方は、ガンズ監督に自分の聖書を送ってください!
あと、白状しますとケモナーな自分には野獣がビーストモードでもイケメン過ぎて・・・
2014-11-09 10:29 : 毒親育ち URL : 編集
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『ガールズ&パンツァー 劇場版』
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『進撃の巨人 後編』
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<2014年下半期>
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『貞子3D』
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<2011年下半期公開>
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