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この一瞬を大切に 映画「6才のボクが、大人になるまで。」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は6才のボクが、大人になるまで。(原題:BOYHOOD)です。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:これこそ、唯一無二の体験


あらすじ


メイソン(エラー・コルトレーン)は、母オリヴィア(パトリシア・アークエット)と姉サマンサ(ローレライ・リンクレイター)とともに、テキサス州の小さな町で生活していた。
メイソンが6歳のとき、オリヴィアは祖母が住むヒューストンへの引っ越しを決める。彼らの転居先に、離婚してアラスカに行っていた父(イーサン・ホーク)が1年半ぶりに帰ってくるのだが……




ウェイキング・ライフ」、「スクール・オブ・ロック」のリチャード・リンクレイター監督最新作です。

本作のいちばんの特徴は、12年という時間をかけて、複数の同じ役者を追いかけることで作られた、ということです。
つまり、映画が進むごとに作中ではどんどん時間が進み、いつしか6歳だった少年が、本当に成長していく様子が描かれているのです。

また、その時代のテレビゲームやベストセラー小説、時事ネタが登場するのも魅力のひとつ。これが「あったなあそんなこと」と、“懐かしさ”に浸らせてくれるのです。
この点では日本の青春映画の傑作「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を思いだしました。こちらも、スーパーファミコンやスラムダンク(漫画)など、1990年代全般のアイテムがたくさん登場しているのです。

この体験ができるのは、すごく貴重だと思います。
漫画「ドラゴンボール」やドラマ「おしん」で主人公が子どもから大人になっていくことが見れたように、2時間40分という長い上映時間をかけてひとりの少年の12年の人生を見ることができるのですから。

しかも、演じているのが同じ役者であるため、シーンが切り替わるごとに「あ、顔つきが変わっている」などと“人の変化”というものをリアルに感じられるのです。
日本人であれば、同じ役者を10年単位で追い続けた「北の国から」を思いだす人が多いでしょう。
子ども時代を描いたジュブナイル作品はたくさんありますが、さらに大人になっていく“青春時代”を丸ごと体験できるこの映画は、ほかにはない魅力に溢れています。

また、リンクレイター監督は「“ビフォア”シリーズ」においても、3部作で18年という時の流れを、同じ役者を追うことで描いていました。

イーサン・ホーク
4156円
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イーサン・ホークは「6才のボクが、大人になるまで。」と「“ビフォア”シリーズ」の両方に出演しています。
彼は「6才~」ではいい感じのダメオヤジ(でも根はとってもいいやつ)を演じているので、「“ビフォア”シリーズ」を観ているとそのキャラのギャップに驚けるのかもしれません。


難点は、物語の大きな起伏があまりなく、「“ビフォア”シリーズ」と同じく会話劇が中心であるため、人によっては退屈してしまうかもしれないことです。
当たり前の日常を、当たり前に描いている作品なので、それも致し方ないのかもしれません。

しかし、そうした劇的な事件が起こらないからでこそ、“ふつうの人生”としてのリアリティを感じます。
リンクレイター監督は、こうも述べています。

「子どもに起きる変化は多すぎて十分に語りつくせない。だから、子どもが経験するものすべてを盛り込むつもりで脚本を執筆した」

本作で描かれている出来事は、一見するとどうでもよさそうなことにも思えます。たとえば兄弟でケンカをしたり、引っ越しをしたり、悪友とエロ話をしたり……
本作は、それらを少年時代のかけがえのないと捉え、ひとつひとつを大切に描いたのでしょう。

また、何気ないセリフが後の展開への伏線になることや、隠されたメッセージもあります。
細かい描写に気をつけながら観ると、退屈せずに観ることができるでしょう。

くり返しになりますが、もう一度書きます。
12年という長い人生を凝縮して体験できるのは、(現在、映画館では)この映画だけの魅力です

物語の終盤で描かれるテーマは、「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」と同じく、多くの人が「もっと大切に日々を過ごしたい」と思わせてくれるすばらしいものです。
物語のテーマに感動したい方、いままでにない映画体験をしたい方にとっては、必見の内容と言えるでしょう。

また、今年(2014年)には少女の24年の人生を追った「夢は牛のお医者さん」というドキュメンタリー映画も公開されています
長い時間を追いかけて作品を作るというのは、本当に大変なはず。こうした作品が世に出るのであれば、映画館でこそ観たいと思いました。


あとね、子ども(途中で大人になるけど)たちがめっちゃかわいいです。
外国の美少年、美少女好きにとっても見所が満載です。

とくに、主人公メイソンの姉・サマンサの小生意気さはたまらないものがあります。成長するに従ってただのイヤなヤツになっていっている気もするけど
ちなみに、サマンサを演じたローレライ・リンクレイターは、監督の娘さんだったりします。その配役は監督が望んだわけではなく、彼女の希望だったとか。監督にとっても、娘の成長を映画作品として残すことができて、きっとうれしかったことでしょう。

また本作はPG12指定で、思春期特有のエロ話、未成年の飲酒シーンがあります。
それ以外にはほとんどエロもグロもないので、ご安心を。

最大の欠点は、上映劇場が全国で11館しかないことですね。
このほかにはない“体験”ができる人が限られてしまうのは、はっきり残念と言えるものでした。

ぜひ、近くで上映していたらご覧ください。
万人向けの内容ではないですが、映画館でじっくり体験してこその感動が、この映画にはあります。当然、おすすめです!

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓










〜その時代で登場したネタ〜

本作は2002年に撮影が始まっています。作中に登場した、時代を象徴するものを振り返ってみましょう。

Xbox(2001、2002年に発売)
ゲームボーイアドバンスSP(2003年に発売)
・野球選手のロジャー・クレメンス(2004年から球団・アストロズと契約を結ぶ)
ハリー・ポッターと謎のプリンス(2006年発行)
Wii(2006年発売)(プレイしていたのはWii Sports
バラク・オバマジョー・バイデン(2009年にオバマはアメリカ大統領に)

ほかにも、ドラゴンボールの「魔神ブウ篇」がテレビで流れていましたね。

また、メイソンの父は「スターウォーズの続編があったら、ハン・ソロ船長をシスにする」とかほざいていました。
父は「シスの復讐」が公開されたのが2005年で、スターウォーズ・サーガが完結したのが寂しかったんだろうな……
マジで作られることになった2015年公開の『スター・ウォーズ エピソード7』が楽しみですね。


〜ダメな父親〜

父が15歳の娘に「コンドームを絶対につけろよ!」と教えていたのはいいんだか悪いんだか。
娘を演じていたのは、前述の通り監督のリアル娘なのですから、娘に対して公開セクハラをしているようなもんですね(ひでえ)。

ほかにも、このダメオヤジはメイソンにあげると言っていたはずの車を、すっかり約束を忘れて売っぱらっちゃったりしています(しかも悪びれない)。

でも、レーンつきのボーリングで遊びたいと言うメイソンに、「人生はそんなに甘くないぞ!」と諭す彼はちょっとだけいい父親に見えました。

甘くないぞ<人生はもっと厳しいんだぞ!



〜古典的条件づけとオペラント条件づけ〜

母の再婚相手だった、アル中のビルは大学で古典的条件づけを教えていました。
古典的条件づけとは、刺激を提示し続けると、それに直接的には関係のない刺激であるのにも関わらず、生体的な反応が誘発されるというものです。

ビルは、何もしていない子どもに対して「俺が嫌いか!メイソン!」と理不尽な怒りかたをしていました。
彼は“子どもがそこにいる”という、本来の怒りとは関係のないものでも反応(怒り)が誘発されていたのでしょう。

一方、大学で教鞭を取ることになった母はオペラント条件づけの講義をしていました。
オペラント条件づけとは、自発的な学習を促す行動のための刺激を加えるということです。

母は、“(おそらく)受動的に”離婚と再婚をくり返してしまったため、自発的に行動をしたいと願ったのでしょう。
自発的な行動があれば、人生を変えることができるのかもしれません。


〜母の行動〜

母は、二度も離婚をしてしまいました。
その“選択”は幸せとは言えないものだったかもしれませんが、彼女のやったことが、実を結んでいることがありました。

母が「あなたは頭がいいのだから、英語の勉強をするべきよ」と諭していた配管工の男が、後に本当に大学で勉強してお店の経営者になっていたのです。
たとえ人生がうまくいかない、自分の選択に時間がない人でも、他人の人生をよい方向に導くことができるのかもしれません。

また、母はメイソンが大学に巣立っていくとき、涙ながらにこう口にしていました。

「もっと先のことかと思っていた」

母はこの前に「子育ては終わりよ!」と言っていたのですが、大事にしていた息子が離れていくことに寂しさを覚えずにはいられなかったのです。
この母の想いは、子どもが巣立っていくのを見届ける親すべてが共感できるものでしょう。


〜話の要点〜

終盤、父はメイソンに「バンドとか、得意なものがあれば女は寄ってくるぜ」「恋愛っていうのはすべてタイミングなんだよ」と教えていて、メイソンに「それで、この話の要点は?」とツッコミをもらいます。
父はこのとき「要点なんか気にするな、そのときそのときでしゃべっている」と答えます。

一方、メイソンが子どものとき、父は車の中で「話に要点があること」を求めていました(以下の動画でもその会話を見ることができます)。



父は、長い年月を生きることで、再婚などを経て、息子と向き合ったことで考えかたが変わったのでしょう。
要点をまとめて、急いで話す必要はない。
ただただ自分の伝えたいことを伝えればいいのだと。

この「そのときそのときを楽しむ」ということは、メイソンの最後のことばにも表れていました。


〜つねにある時間〜

大学に合格したメイソンは、知り合って間もないルームメイトとビッグベンド国立公園に向かいます。

公園へ

はしゃいでいるルームメイトを見て、メイソンが言ったのはつぎのことばでした。

「すべての時間が広がっている」
「一瞬は、つねにいまある時間のことだ」


メイソンは、いまの一瞬を大切にしたいと願っています。

しかし、一瞬とは忙しく体験しなければならないようなものではなく、つねに「いま」に体験できるものなのだと—
そう、彼は教えているのです(これまでの一瞬の出来事があったからこそ、いまのメイソンはすばらしい光景を見ることができました)。

観たあとは、「いま」の一瞬を、大切に噛み締めたくなる映画でした。

おすすめ↓
#181 6才のボクが、大人になるまで。/時間も家族も途切れない。 | Tunagu.
[イーサン・ホーク]「6才のボクが、大人になるまで。」出演 撮影に12年「途中から契約なしで参加」 | マイナビニュース
【インタビュー】イーサン・ホーク 12年間にわたる“家族”との撮影『6才のボクが、大人になるまで。』 | シネマカフェ cinemacafe.net
6才のボクが、大人になるまで。 | タルティーン司令部戦略課室長日誌

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

2014-11-18 : 映画感想 : コメント : 3 : トラックバック : 0
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非公開コメント

No title
映画ファンの方が総じて評価されておられるので、観て参りましたよ。
http://blog.hangame.co.jp/agc_tailltea/article/42227072/

いやぁ、これは確かに映画好きが感嘆の声を上げる映画です。よく作った、よく作り上げることができたと、思わざるを得ません。

2014-11-20 18:35 : シオンソルト URL : 編集
納得の名作
時間を主題にメイソンとその家族の軌跡を描く名作。父親演じるイーサン・ホークがイイ。「ブラック・アルバム」聴いてみたくなる~
2014-12-02 20:53 : raga URL : 編集
No title
>12年という時間をかけて、複数の同じ役者を追いかける
遅れて地元にもやって来たので観賞して来ました。確かにこりゃ凄い!あの、ちっちゃかった姉弟が立派な青年に!お父さんとお母さんが年相応に老けて行く!これが三時間程で追体験出来るんですから。

>また、その時代のテレビゲームやベストセラー小説、時事ネタが登場するのも魅力のひとつ。
日本でも作って欲しいですね。主にアメリカ近代史なんですけど、あったあったこんな事・・・と懐かしいこと。

>〜ダメな父親〜
本当に個人的な事ですが、劇中の二人の父に自分の父の悪かった所と良かった所が見えて悲しくも懐かしさを感じました。
私の父はウェルブロックのように酒癖が悪くそんな父が大嫌いでしたが、シラフの時はメイソンのように子ども達にかまう時もあったので。

>〜母の行動〜
>母は、二度も離婚をしてしまいました。
それでも切れない良縁も出来ているのが良かったです。離婚後も父方のお祖父ちゃんお祖母ちゃんだけでなく、お父さんの再婚相手家族と交流してるとか凄いです。
2015-03-03 01:52 : 毒親育ち URL : 編集
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