ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- : スポンサー広告 :
Pagetop

科学を超えた想像力 映画「天才スピヴェット」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は天才スピヴェット(原題:THE YOUNG AND PRODIGIOUS T.S. SPIVET)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:変人少年の“内面”を描いたロードムービー


あらすじ


モンタナ州に住む10才の少年T・S・スピヴェット(カイル・キャトレット)は、1年前に弟を事故で失っていた。彼のもとに、優れた発明家に授けられるベアード賞受賞を知らせる電話が届く。
授賞式に出席するため、彼はたった1人でモンタナからワシントンへ旅立つ。




アメリ」「ミックマック」のジャン=ピエール・ジュネ監督最新作にして、「エイリアン4」以来となる英語作品です。
原作は、ライフ・ラーセンによる小説です。

ライフ・ラーセン
5076円
powered by yasuikamo

本作のジャンルはロードムービーであり、家族の心の変化も描いた人間ドラマとなっています。
特徴的なのは、わずか10才の天才少年を主人公としていることと、ジュネ監督初の3D映画ということです。

主人公の少年・スピヴェットは、わずか10才で永久機関(に似たもの)を発明し、その名誉を示す賞を取りに行くため、アメリカ大陸横断の旅に出ます。

物語のミソは、スピヴェットには二卵性双生児の弟がおり、事故で死んでしまったこということ。
身内が亡くなったことによる主人公の“罪の意識”と、“家族の変化”が旅の道中で描かれるため、登場人物の想いが旅を通じてわかるようになっていくのです。

ジュネ監督の作品には、一癖も二癖もある“変人”たちが織りなすドラマが多くあります。
本作も“変人”の家族が登場することは共通なのですが、その“内面”がしっかりと描かれているので、多くの人が共感できる物語となっていました。

個人的にはこのことでジュネ監督の“毒”が失われてしまったような寂しさも感じたのですが、そのぶん万人受けはしやすい作品でしょう。
監督が「感情について真正面から取り組むのは、これが初めて」と語ったように、極めてパーソナルな作品なのです。


また、ジュネ監督ならではの奇抜なビジュアルが楽しくってしかたがありません。
スピヴェットの家の中はちらかっているように見えるものの、さまざまな小道具が映り込む画はポストカードにしたいような美しさがあります。

しかも本作は3D作品で、主人公・スピヴェットの“考えていること”が飛び出すようになっています
原作小説は本編とはべつの膨大な量の書き込みがあることが特徴でしたが、本作でもスピヴェットの頭の中にある“こだわり”や“計算”が3D映像として見ることができるのです。

スピヴェットは、ふつうの人がどうでもよいと感じる「数字」や「旅に持っていく荷物」や「有名人の持論」にすごくこだわっています(作中では、永久機関の記述を残したズィマーラや、“作り笑い”を研究したデュシェンヌなどの名前が出てきます)。
彼は軽い発達障害ぎみなところがあったのでしょうが、そのぶん並外れた記憶力と想像力を持っていました。
この映画は、そんな(いい意味での)変人の頭の中と、考えかたを疑似体験させてくれるのです。

ただ、この3Dはアクション映画にあるような奥行きのある“動き”があまりないため、あまりその効果はない、と思う人もいるかもしれません。
より“妙なことが頭に思い浮かぶ”感覚を体験したいのであればぜひ3Dで、物語が楽しければそれでいいという人には2Dで十分、というくらいのつもりで、どちらかを選択することをおすすめします。


物語の起伏は大きいものではなく、スピヴェットと家族の心の変化が劇的に描かれることもありません。
105分という時間で、あまり気を張らずに観ることができるのは本作の利点ですが、「アメリ」や「ロスト・チルドレン」のような、ジュネ監督の強烈な個性を求めると本作は肩すかしに感じてしまうのかもしれません。

しかし、そのぶんよりリアルな家族の変化が描かれていると思います。
現実でも、家族に想いを涙ながらにぶちまけたりするのではなく、家族がやったことに「あ、そうなんだ」と思いつつも、内面ではけっこう思い詰めている、ということがあると思うんです。

本作が描いているのは、(表面的には)ビミョーな変化にすぎません。
それでも、登場人物のことばからは、劇的な変化が訪れていることが想像できます。
ここをおもしろいと思うか、描きかたが中途半端と思うかで、本作の評価が変わるでしょう。

感情が揺り動かされる重圧な物語ではなく、ほっこりと楽しめる少年の旅路を観たい人にこそ、おすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓











〜松の木の話〜

途中で出会ったトゥー・クラウズという男は、スピヴェットに「松の木の話」をしてくれます。

ほかの木たちはスズメを木の中に泊めることをいやがったけど、松の木だけはスズメを守ってくれた。
神様はスズメを守らなかった罰として、ほかの木を冬に枯れされることにした。


かくして松は常緑植物となったわけですが、スピヴェットは「あなたのおばあさんはウソをついているね、松の葉じゃスズメは守れないよ」と批判します。

スピヴェットは、このとき“想像”の力を信じていなかったのでしょう。


〜マイナスになっていた想像力〜

序盤でスピヴェットが聞いていた講演で、教授は「科学の力では及ばないことがある。そこからは想像力が必要だ」と言っていました(スピヴェットも「僕も想像します!」と宣言していました)。
スピヴェットが永久機関を作ることができたのも、想像力によるところが多かったのでしょう。

しかし、その発明以外のところでは、彼の想像力はマイナスに働いています。

スピヴェットは明け方に出発したときに、父の車が通り過ぎるのを見て、「僕を引き止めなかった」と思ってしまいます。

スピヴェットは旅の途中で、「家族に心配されて、みんなに戻ってきてほしいとつぎつぎに電話口で話される」という想像をしていましたが、けっきょく「そんなことはない」と電話をしませんでした。

さらに、スピヴェットは弟が死んだことに自分に責任があると思い、父の助手席に座るのは体力自慢の弟がふさわしいはず、と自虐的に思っていました。

これらのスピヴェットの想像は、ただ“想像するだけ”で、実行に移さないものでした。
それらはただ、スピヴェットに哀しい想いをさせていたのです。


〜家族の想い〜

しかし、スピヴェットの家族の起こした行動は、彼の想像を超えていました。
母はテレビ放映に駆けつけて、テレビの前でスピヴェットに「あなたのせいじゃない」と言ってくれました(ついでに姉が参加する「ミスコンで知性を問わないのはおかしい」と、TPOをわきまえないことを言う)。
母は、スピヴェットの弟が死んだことで、存在しない昆虫を探し続けるほどに喪失感を抱いていたことも告白してくれました。

父もテレビ局にかけつけ、テレビ的なおもしろさばかりを追求する司会者をぶん殴ってくれました。
朝にスピヴェットの前を通り過ぎたときも、カーステレオの調整のためにしゃがんで見えなかっただけなのです。
スピヴェットは父がいちばん大切にしていたのは弟のほうだと想像していましたが、彼にも同じように愛情が与えられていたーそんな描写なのでしょう。

また、スピヴェットの名前T・SのSが示していたのはSpraw(スズメ)で、これもスピヴェットが「僕が生まれたからスズメが死んだ」と勝手に想像していたものでした。
これはじつは姉がつけた名前え、スズメの生まれ変わりが弟であると信じてのものだったのです。

スピヴェットは、自分が想像したよりも、たくさん家族に愛されていたんですね。

そういえば、スピヴェットは母の日記を読んで「自分は父に愛されていない」という記述に「そんなことないよ」と答えています。
スピヴェット自身も、家族の哀しい気持ちを慰めることができる、やさしい少年だったのです。


〜幸せのための想像〜

スピヴェットは自分で考えたスピーチで、発明した永久機関のことはあまり興味がないように語り、“3つめの要点”のときに弟が死んだことを語り始めました。
彼はそこでも、父がすぐに駆けつけてくれたこと、姉が自分を膝に乗せてなぐさめてくれたことを語っていました。
家族と離れて旅を続けるうちに、彼は発明の賞よりも大切なことに気づいていったのかもしれません。

最後にスピヴェットが発明したのは、生まれてくる赤ちゃんの乳母車を揺らすための永久機関でした(しかも、それは母が故障させまくっていたトースターの生まれ変わり)。
スピヴェットにとって、賞やテレビでちやほやされるより、こんなふうに家族の役に立つほうが重要だったのでしょう。

しかも、最後のこの発明はスピヴェットが「これから発明する」という“想像”になっています。
彼はいままでのマイナスの想像ではなく、家族を幸せにするというプラスの想像ができていたのです。


おすすめ↓
今週末見るべき映画「天才スピヴェット」Excite ism(エキサイトイズム)

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

2014-11-19 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

No title
最近ショタ映画に目覚めたらしいヒナタカ氏。(ぁ

ところで本作を知ったとき、『宇平くんの大発明』を思い出しました。ヒナタカさん世代だと知らないかも…。
2014-11-20 12:45 : シオンソルト URL : 編集
No title
レビューで興味を引かれていましたが、地元に来なくて諦めていたのですが、評判良いのか隣の市にやってきました!
残念ながら3Dは日中しかやっていなくて見れませんでしたが、これは良かったです!

>個人的にはこのことでジュネ監督の“毒”が失われてしまったような寂しさも感じたのですが、そのぶん万人受けはしやすい作品でしょう。
「アメリ」の監督作品というのが効いたのか、カップルと女の子ばかりでしたけど、今年一番の大入りでした!クスクス笑いと小声で「かわい~」が聞こえて、こっちもくすぐったったかったです。
スピヴェットやレイトンと同じくらいの子達にも観て欲しいです。

>〜家族の想い〜
ここ凄い爽快感でした!ママもパパもカッコイイ!
でもジブニセン次長がゲスだったのは残念でした。理解者になってくれそうと思ってまして・・・。
その分、旅先で出会う人達が良い人でほっこりです。シカゴのお巡りさんも乱暴な人でしたけど、家出少年なスピヴェットを保護したいという思いは本物だったと思います。
2015-02-24 00:11 : 毒親育ち URL : 編集
Pagetop




« next  ホーム  prev »

最新の記事

最近のおすすめ映画

sully ポスター
イーストウッド、真骨頂
こえのかたちぽすたー
生きてくれて、ありがとう
怒り映画ポスター
信じていいのか

広告(同じウィンドウで開きます)


Twitter...

反響のあったorおすすめ記事

<初めて来られた方へ(ブログの説明)>
<著者プロフィール>
こちらでも記事を執筆中↓
<ヒナタカ | シネマズ by 松竹>

ご連絡の際は、以下のメールアドレスまでお願いします(☆を@に変えてください)
hinataku64_ibook☆icloud.com

2015年ベスト映画20
2015年ワースト映画10

2014年映画ベスト20
2014年映画ワースト10

2013年映画ベスト20
2013年映画ワースト10

2012年 映画ベスト20
2012年 映画ワースト10

2011年 映画ベスト20
2011年 映画ワースト10

映画パロディAVタイトルベスト10
映画邦題ベスト10&ワースト10
Yahoo!映画のステマ評価ワースト5
レビューサイト「Filmarks」の優れた点&ちょっと微妙なところ
剛力彩芽のゴリ押しっぷり
真のレゴムービーの日本版予告編


<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

守銭奴すぎるバンナムの課金ゲーム

検索フォーム

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

カレンダー

プルダウン 降順 昇順 年別

07月 | 2017年08月 | 09月
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -


ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。