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人間の行動 映画「フューリー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はフューリー(2014)(遅れてすみません)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:戦場の熱き友情→仲間がむしろヒドい


あらすじ


1945年4月、アメリカ連合軍はナチスがはびこるドイツに総攻撃を仕掛けようとしていた。
ウォーダディー(ブラッド・ピット)たちアメリカ兵士たちは、フューリーと名付けたアメリカ製の中戦車“シャーマンM4”に乗り戦地に赴く。
フューリーの乗組員に、いままで人を殺したことがない新兵・ノーマン(ローガン・ラーマン)が加わるのだが……




エンド・オブ・ウォッチ」「サボタージュ」のデヴィッド・エアー監督最新作です。
ブライアン・デ・パルマ監督の同名の作品とは無関係です。

本作は史実をもとにしているものの、物語自体はフィクションです。
戦地に赴くアメリカ兵4人の心の変化と窮地を描く、骨太の戦争映画となっていました。

映画を観ても信じられないのは、この映画で描かれるのがたった1日の出来事であるということ(正確には丸2日経っているようなのですが)。
戦場での“濃い”人間ドラマ&戦闘が本作のいちばんの見所と言ってよいでしょう。

物語で上手いのは、若き新兵を主人公と言えるポジションで活躍させていること。
観客のほとんども実際の戦争に触れていないので、「はじめての戦争」に怯える新兵にとても感情移入をさせてくれるのです。

この新兵は、「はじめての人殺し」「戦車を使っての乱射」も余儀なくされます。
兵士としては成長してくものの、人を殺したくないという想い(人間性)は次第にうすれていく……その変化が非常に哀しくも、恐ろしいものでした。

また、ポスターや予告編で「戦場で築かれる男たちの友情!」みたいなものを期待していましたが、ぜんぜん違いました。むしろ仲間たちのほうがク○野郎どもでした
てめー戦場だからってそんなこと強要してんじゃねーよと怒りたくなります。
でも、それも戦場という狂気により引き起こされたものです。

この狂気は「ハート・ロッカー」にも通じるものがあります。
全編を通じて「戦争では人殺しは当然」という理論が一貫しているので、良くも悪くも気分が悪くなる映画と言ってよいでしょう。

戦車マニア(?)にとってたまらないのは、本物のティーガー戦車M4中戦車を博物館から借り入れて撮影に用いたことです。
本物の戦車どうしの戦闘は、狭い戦車内部の乗組員の描写も相まってかなりの緊張感がありました。



個人的に違和感があったのは、曳光弾による攻撃が描かれていることです。
具体的には“放たれた弾丸がピカピカと光る”のですが、これがSFチックというか、スターウォーズでも観に来たんだっけ?と思わせてしまうほどで、演出過多に思えました。

宗教観がクローズアップされているのも、日本人にはピンとこないかもしれません。
日本ではなぜかG(前年齢)指定ですが(本国ではR指定)、多少なりとも殺傷シーンやグロテスクな描写、性的な話題があるので、お子様の鑑賞にも向いていません。
会話シーンが多く、人によっては退屈に感じてしまう人も多いでしょう。
そもそもの戦争という重い題材も含めて、万人が楽しめる内容とは思えませんでした。

しかし、登場人物の心情の変化、宗教観に着目してみるととてもおもしろい映画です。
乗組員のひとりが「俺たちが生きているのは神の思し召しか?」と疑問に思うシーンがあるのですが、映画はこのことを肯定しているようにも、否定しているようにも見えます。
ラストシーンでの画や、その直前の乗組員の想いなどを、いろいろと思い返してみることをおすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓












〜野暮な不満点〜

ひとつだけ書きます。
最後の戦いで、戦車内に手榴弾を投げ込まれながら、仲間たちの死体が原型を留めているのはかなりの違和感がありました。
序盤の戦車内にべっとりと残されていた肉片、「国のために戦うことを拒否した臆病者」という看板ともに吊るし上げられた女性、肉体損壊などの残酷描写があった本作で、ここで手を抜いた(あえて無惨な死体を描かなかった)ことは、はっきり残念と思えました。


〜新兵・ノーマンの成長〜

ノーマン(ローガン・ラーマン)が“兵士”として成長していく過程は見ていて辛いものがありました。

・僕はただのタイピストだったなのに手違いで戦場呼ばれちゃった
・戦車内に残された肉片を見てオエー
・子どもを撃てなかったせいで仲間が焼死してしまう
・ドン(ブラッド・ピット)に銃を握らさせて、ドイツ兵を無理矢理撃たせる
・フューリー号に乗って乱射⇒その後にドンに告げた感想が「楽しかったです」
・ドイツ人の女の子・エマと出会って脱童貞
・エマに近寄ろうとするクーンアス(ジョン・バーンサル)には「彼女に近づくな」と言う
・エマの突然の死を悲しむが、ドンに連れ戻される
・フューリー号の突撃で大活躍しべた褒めされる
・ついには“マシン(machine)”というあだ名がつく
・ただひとり、生き残る

濃い1日を過ごしすぎだろ

弱々しかった彼は、朝食の時間を台無しにしようとしているクーンアスに「彼女に触れるな」と言います。
ノーマンはエマの手相を見ていたり、ピアノを演奏しようとしたり、セックス以外での彼女のへの人間らしい“愛”があったように思えます。

そこはノーマンの成長と、彼の人間性が垣間見えてうれしかったのですが……
エマがあっけなく死んでしまったことにより、この出来事も彼が“戦うマシン”へと近づいていった結果につながったのかも……と思うと切なくなりなりました。

※以下の意見をいただきました。
ラストにただ独り生き残って、銃を手から離せないまま
「英雄だぞ」と言われるも放心したまま車に乗せられる「マシン」のままのノーマンの戦後を思うと悲しさと虚しさが込み上げます。



〜理想〜

ドンは自殺したドイツ兵たちの前で、こうノーマンに告げます。

「理想は平和だが、歴史は残酷だ(Ideals are peaceful, history is violent)」

ドンは平和を理想としていたのでしょう。

仲間にドイツの女性たちとの朝食を台無しにされそうになったとき、彼は憤りをあらわにしていました。
馬のことが好きだったドンは、かつて馬を助けられなかったことを悔やみ、映画の冒頭では兵士だけを殺して馬を助けました。

しかし、ドンは「任務」ということを建前に、ドイツ兵を殺し、ノーマンに殺しを強要させます。
一見すれば、彼の行動は矛盾しているよう……だからでこその「理想は平和だが(本当はこんなことはしたくない)、歴史は残酷だ(でもそうするしかない)」なのでしょう。

クーンアスも後に、「悪かったな。俺たちはク○だが、お前は違うよ」とノーマンに言ってくれます。
彼もまた、自分の行いに疑問を感じながらも、戦争という状況が“そうせざるを得ない”状況に身を投じていただけにすぎなかったのかもしれません。
(ドイツの捕虜の女性を輪姦する彼らの行動は、とても肯定できるものではありませんでしたが)

※以下の意見をいただきました。
ドンのキャラクターが「父性」を強調していたように感じました。「ウォー・ダディ」とあだ名やフューリー号を「家」と言ったり、アメリカとかドイツとか平和とか戦争とか以前に一家の長として、平時な異常とも言える行動を取っても部下=息子達を守る事を最優先にしているといった感じで。



〜私を遣わせてください〜

ドイツ兵を迎え撃つ“籠城戦”をしているとき、仲間のバイブル(シャイア・ラブーフ)は、旧約聖書のイザヤ書6章を読み上げていました。

バイブルはこの前に「俺たちが生きているのは神の思し召しか?」と疑問に思っていましたが、ここでは「私を遣わせてください」と言っています。
イザヤとは聖書の中でもっとも偉大な預言者のひとり。バイブルは、自分の運命(死ぬこと)に恐れを抱きつつも、自分の使命の大切さ(戦うこと)を選んだのでしょう。


〜行いによって〜

ドンは最後にこう言っていました。

「日々の行いは世の中のものとして、永遠に生きる」

ドンたちの行動により、ノーマンは生きることができました。
ドイツ兵のひとりが、ノーマンの姿を確認しながらも見逃したことも、人間による“行い”のひとつです。
そう考えると、この映画は「神への思し召し」なんてものではなく、「人間の行動」が重要であると描いているようです。

宗教を完全否定しているのか?と思いきや、映画のラストカットでは、フューリー号を中心とした十字路がまるで“十字架”のように見えました。
これは、
(1)そういった人間の行動も神によってコントロールされているものという皮肉にも、
(2)最後に神によりフューリーの乗り組み員たちが救済を得たようなシーンにも、
(3)理不尽な神へのfury(怒り)にも、
思えます。

おすすめ↓
フューリー(2014) - みんなのシネマレビュー
町山智浩が戦争映画「フューリー」を解説 - YouTube
佐藤秀の徒然幻視録:フューリー~プライベート・ノーマン

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2014-12-09 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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No title
朝10時に見に行って暗澹たる気持ちになってました。
どす黒い気持ちとやるせなさがじんわりと広がる映画でしたねー
ラストにただ独り生き残って、銃を手から離せないまま
「英雄だぞ」と言われるも放心したまま車に乗せられる「マシン」のままのノーマンの戦後を思うと悲しさと虚しさが込み上げます。
2014-12-09 21:31 : ひぃ URL : 編集
No title
多忙と体調不良の中の更新ありがとうございます!
(Twitterも参考にさせてもらってます!)
巷ではガールズがパンツァーで大洗町が大変な事になってるようですが、ワタクシ男の子でありながら実は戦車にあまりトキメキません。
何故かって、ガンダム世代ですから!なにせ生まれて初めて見た戦う戦車がモビルスーツのやられ役でしたもので・・・。
(全国の戦車マニアの皆さん、ごめんなさい!でもガンタンク大好き、MSイグルーの連邦軍編も大好きです!!)
そんな私ですが、ブラッド兄貴と博物館から本物の戦車を借りて来てという撮影に心惹かれて観て来ました。
(でもチャンピオンREDのインタビューによると、レプリカ戦車を作るよりも本物を借りた方が安かったからだとか・・・)
結果・・・ブラッド兄貴と戦車戦に燃え燃え出来ればいいやあ・・・ミーハーな気持ち観に行ってしまい申し訳ない!

>戦場で築かれる男たちの友情!
>むしろ仲間たちのほうがク○野郎どもでした。
「たった5人で300人」の予告は「物量でドイツ軍をつぶしたアメリカ軍が言ってもなあ・・・」と正直冷めていましたけど、アメリカ軍の外道さの方が際立っていた驚きました。

>曳光弾
知りませんでした!
第二次世界大戦中にレーザー兵器が実用化されていたとかのトンデモ設定かと思ってしまいました。でもやっぱりピカピカさせ過ぎらしいですね・・・。

>〜理想〜
これやノーマンへの関わりに、ドンのキャラクターが「父性」を強調していたように感じました。「ウォー・ダディ」とあだ名やフューリー号を「家」と言ったり、アメリカとかドイツとか平和とか戦争とか以前に一家の長として、平時な異常とも言える行動を取っても部下=息子達を守る事を最優先にしているといった感じで。
2014-12-10 00:24 : 毒親育ち URL : 編集
Re: No title
> >〜理想〜
> これやノーマンへの関わりに、ドンのキャラクターが「父性」を強調していたように感じました。「ウォー・ダディ」とあだ名やフューリー号を「家」と言ったり、アメリカとかドイツとか平和とか戦争とか以前に一家の長として、平時な異常とも言える行動を取っても部下=息子達を守る事を最優先にしているといった感じで。

なるほど、追記させてください。
ちなみに「ガールズ&パンツァー」も本文中ネタにしようと思っていたのですが、さすがにやめましたw
2014-12-10 00:25 : ヒナタカ URL : 編集
Re: No title
> 「英雄だぞ」と言われるも放心したまま車に乗せられる「マシン」のままのノーマンの戦後を思うと悲しさと虚しさが込み上げます。

それもすごくやるせなかったですよね……追記させてください。
2014-12-10 00:30 : ヒナタカ URL : 編集
No title
>弱々しかった彼は、朝食の時間を台無しにしようとしているクーンアスに「彼女に触れるな」と言います。

記憶だけであまり自信はないのですが、「彼女に触れるな」と言ったのはノーマンではなくドンだったような…ノーマンも言ったんでしたっけ…。
2014-12-11 23:55 : KAYUKAWA Junji URL : 編集
Re: No title
> >弱々しかった彼は、朝食の時間を台無しにしようとしているクーンアスに「彼女に触れるな」と言います。
>
> 記憶だけであまり自信はないのですが、「彼女に触れるな」と言ったのはノーマンではなくドンだったような…ノーマンも言ったんでしたっけ…。

ぜんぜん自分も自信がないのですが、どちらも言っていていた気が……まちがっていたらすみません。
2014-12-12 01:07 : ヒナタカ URL : 編集
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