展開がすべて奇跡 映画『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
ようし、こういうおめでたい日はみんなにおすすめの映画を紹介しちゃうぞ☆(死んだ魚のような目で)
そんなわけで『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』の感想です
個人的お気に入り度:2/10
一言感想:逆MIRACLE(映画の出来が)
あらすじ
榮倉奈々がわかりきっている恋心をなかなか伝えられなかったり、相葉雅紀がいつもニコニコMr.ゴメンナサイだったり、ハン・ヒョジュが片言でイケイケ女を演じたり、生田斗真が顔以外でもハイスペックっぷりを発揮する話。
※メタメタにイジっているのでこの映画が好きな人には本当にごめんなさい。
はい、すみませんでした。嘘ついていました。おすすめできません(珍作としては楽しかったけど)。
coco 映画レビューで18%という低評価は大納得でした(自分も下げているけど)。
本作は破壊屋さんのこの映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞2014で現在2位という人気ぶりを見せています。
クリスマス!素敵な奇跡の恋!ジャニーズ主演!というターゲットがわかりやすい映画にして、映画ファンからは無視されている映画ということがよくわかりますね。
“誰映”の投票のコメントで「毎年この手の映画を作らないと誰かが死ぬんでしょうか」というのがあったのは笑いました。
で、ハナからバカするつもりで観に来ましたが(←作品に対して失礼なのでマネしてはいけません)、中盤まではけっこうおもしろかったです。なぜなら、「ベタなラブコメ展開」をこれでもかと詰め込んでいるから。
・曲がり角でぶつかっちゃった人が運命の人だった!
・幼なじみのことが本当は大好きなんだけど、自分を「恋の練習台」にしてまで応援しようとする。
・初めてのデートに誘おうとがんばる!
ここまで「ラブコメあるある」と実写で描くと、吹っ切れて楽しく観れてしまうものなんですね。けっこう感動しました(いや本当に)。
しかし大きな問題がふたつあります。
ひとつは主人公(相葉雅紀)をちっとも応援する気になれないこと。
お人好しでいつもニコニコしている悪意のない善良キャラ……という設定(のはず)なのですが、こいつは作中で犯罪行為をくり返していやがります。
それがとがめられるシーンは一切なく、さも「いいもの」であるように描くのはさすがに受けいられませんでした。ニコニコしている相葉君をたまに殴りたくなったのは自分だけではないと信じています。
公式サイトで誰もが応援したくなる主人公☆と書かれてあったのは苦笑いするしかありませんでした。
もうひとつは終盤の展開。いくらなんでもムチャクチャすぎます。
この手の映画で笑うのは周りのお客さんに悪いと思って我慢していたのですが、とある不意打ちのキャラの登場には声をあげて笑うしかありませんでした。
これが笑いを取りに行ってなかったらなんだと言うんだよ。本作はベタな展開を詰め込んでいるので展開の9割がたが読めるのですが、さすがにここだけは予想外でした。
ハン・ヒョジュがキャスティングされていますが、とくに韓国人である必然性はなかったです。
一応言葉の壁でギクシャクしている病描写はあるのですが、外国人でなくても物語は成立しています。
ほかにも全編ツッコミどころだらけで、とくに始終つきまとう都合の良さや、生田斗真演じるキャラのハイスペックっぷりなどはさすがにありえねーです。
たぶん、タイトルをMIRACLEを付け加えたのは、展開をすべて奇跡にしてしまえばご都合主義だと思われないんじゃね?という打算なのではないでしょうか。
そんなんじゃ観客は騙されませんよ……“クリスマスの奇跡”をうまく物語に落とし込んでいた『東京ゴッドファーザーズ』を見習ってほしいです。
中村 航による原作もこんな無茶な話なのでしょうか……。
![]() | 中村 航 648円 powered by yasuikamo |
また、本作は(原作も含めて)山下達郎の“クリスマス・イブ”をモチーフにしています。<歌詞はこちら>
その狙いもよくわかるのですが、この曲がかかるまでの展開が雑すぎて、名曲までもが台無しになっているような印象も受けました。
いいところもあります。
まずは榮倉奈々の存在感。“本当は幼なじみのことが好きだけど、それを隠して応援する”という男勝りな女の子を好演していました。
本作では『メリー・ポピンズ』のように実写とアニメーションが融合しているシーンがはさまれるのですが、その出来もかなりよいです。
「デビクロくん」の造形やキャラ設定も納得できるものでしたし、劇団ひとりの声もハマっていました。

※キャラデザはアンパ○マンがコスプレをしたようにしか見えないとツッコミをいただきました。
犬童一心監督の細かい演出も上手く、話のことを考えなければ(そこがいちばん重要なポイントなんだけど)決して悪い映画ではありません。
そんなわけで脚本ですべてが台無しになっているアレすぎる内容なのですが、ク○映画成分を摂取しきれていない方は観てみてもいいんじゃないでしょうか……でもほかの優れたクリスマス映画を観たほうがいいと思います。
言い忘れていましたが、生田斗真の出番はかなり少ないです。ファンにとっては彼の役柄も含めてキッツい内容だと思うので、お気をつけて。
↓以下、結末も含めてネタバレでツッコミです。
※役名でなくキャストの名前で書きます。
〜生田斗真は超ハイスペック〜
相葉雅紀はコミックマーケットっぽいところで、学生時代の友人の生田斗真と出会います。
そこで生田斗真が放ったことばがこちら。
「あれ俺なんだよね(1000万部を突破した漫画のポスターを指差しながら)。もうデイトレーダーしてはこの上はなくなったから、漫画でも描こうと思ってさ」
うん……幻聴……?
生田斗真は大学卒業後に海外でデイトレーダーとして頂点に立ち、さらに漫画家として成功して1000万部突破していたんです。
こんな人間が存在するのでしょうか(いねーよ)。
〜生田斗真は情緒不安定〜
ハイスペックっぷりを1億歩譲って「映画だから」で許容するとしても、その後の生田斗真の葛藤は安すぎました。
・(コミケ会場を見ながら)「ああいう作品はいいよなあ、商業にまみれていないって言うかさ」
その後、生田斗真は漫画が描けなくなり、漫画も休載してします。
仕事場での生田斗真の説教がこちら。
「お前の原稿はなんなんだ?もっと読者のことを考えて描けよ!俺はそう考えながら成功してきた。1000万部って言ってもな、上には上がいるんだよ」
その数秒後に、生田斗真は手のひらを返してこう言います。
「いや……やっぱり間違っている。お前は好きなものを描けばいい」
どっちやねん!
いや、後者のほうが本音っていうことはわかるんですけど、とくに何の物語上の展開がないまま正反対のことを言うから生田斗真が情緒不安定にしか見えないよ!
ちなみに、この情緒不安定なときに生田斗真は謎の屈伸運動をしていました。それで葛藤を表しているつもりなのかよ……<ふつうに運動しているみたい
あ、ちなみに生田斗真は失って初めて大切なものに気づいたみたいで、別れたハン・ヒョジュとヨリを戻すと漫画も描けるようになってハッピーエンドでした。どうでもいいですね。
〜いつもニコニコ!這い寄る犯罪者の相葉雅紀!〜
相葉君はハン・ヒョジュと曲がり道でぶつかって、その見た目が自身の「デビクロ通信」という妄想で描いていた「運命の人」そっくりだったために恋に落ちます。
それはいいんだけど、相葉君はそのときにぶつかって壊してしまったヒョウの置物の足を持ち帰って「今度会うときに返そう(ウフ♡)」とほざいています。
その場で返せよ!
パクってんだよね?ふつうに最低だろ。
※以下の意見をいただきました
豹の足はヒョジュが立ち去った後、植え込みの中からでも見つけたんじゃないでしょうか?
あの時点では彼女の素性もわからず、返しにいきようがないので、パク犯扱いはさすがに気の毒かなって気がします。
それでも「(安奈の前で)運命の人に出逢ったんだ~ルンルン♪」ではなく、「大事な物みたいなのに悪かったな」くらいの態度は取ってほしかったですが。
ちなみにこの置物はモニュメントの模型として大事なものだったので、ハン・ヒョジュは足の代わりにスプーンを使っていました。映画のクライマックスよりよっぽど泣ける描写だよ。
えーと、ほかの犯罪行為なのですが、相葉君は「デビクロ通信」のビラをテロのようにまき散らすばかりか、ビラを警察のポスターの上に張ります。
こんな度胸があるならハン・ヒョジュに即効で告白できそうですねー。
無断で張っている時点で犯罪の可能性があるのに、わざわざ警察のポスターの上に張って挑発している相葉君はもう捕まればいいんじゃないかな。
また、後で掲示板には「デビクロ通信お断り」と書かれていました。嫌がられてんじゃねーか。
そういえば、幼少時の相葉君はビルの屋上にデビクロ君の落書きをしていました。<これも犯罪です。
まあね、子どものやっていることだから許されるかもしれないけどね。このころから犯罪予備軍だったと思うと末恐ろしいですね。
世の中の映画には少なからずや犯罪行為をしているシーンがある(たぶんしていないほうが少ない気がする)のですが、本作はさすがに許容範囲を超えています。
〜榮倉奈々とハン・ヒョジュのギャップ〜
イジりすぎたので、ちょっと褒めます。
この映画ですばらしいのは、ハン・ヒョジュという超絶美人を配役したことにより、榮倉奈々という人物の魅力を際立たせていること。
ヒョジュは世界的なトップアーティストなのですが、榮倉奈々は鉄鋼業で地道な作業をしていて化粧も好きではない“ガサツな女”です。
「才色兼備な女性が運命の人だったら、自分叶わない」という想いを、榮倉奈々の細かい視線や、“手のきれいさ”で表現するのはじつに上手いものでした。
榮倉奈々が「私を練習台にして告白してみろ!」と相葉君に言うんだけど、いざ相葉君が告白をしようとすると「はい、練習終了!」といやがってしまうのもよかった。少女漫画的なベタな展開がしっかりと成立しています。
ところが、そんな上手く出来ている三角関係(実際は生田斗真を入れて四角関係)にもノイズが入ります。
ヒョジュが相葉君を「ごめんなさいって言っているのがハトそっくり!」と言うのは誰が得する展開なのでしょうか。<答えはハトです。
はじめにヒョジュは韓国語でハトって言っていて、後で「ああ、あのとき言っていたのハトだったんだ〜」とわかるのですが、だからどうした。ギャグとしておもしろくねーよ。
あ、でもヒョジュの行きつけの居酒屋の店員が温水洋一だったのはちょっとおもしろかったです。
〜タクシーや電車は存在しません〜
クライマックスで、榮倉奈々は作ったオブジェで賞を取ったため3年間フランスに向かいます。
榮倉の本当の想いを知り、ヒョジュに「いま空港よ!」と教えられた相葉君は空港に向かいます。走って。<雪の中を走ります。
<転びます。
※『幻の湖』ではありません。
<同人誌の仲間が偶然助けてくれたよ(これがクリスマスの奇跡☆)
スー、ハー、スー(ツッコミの準備)
携帯に連絡しろよ!
ていうかタクシー使えよ!
あ、でも雪が降るというクリスマスの奇跡(こればっかりだな)が起きて、飛行機に遅れが生じていたから間に合ったという展開はよかったです。
〜振り返ればやつがいる〜
えーと、↑の相葉君の雪の中のランニングは笑いをこらえるのに必死だったんですが、つぎに訪れる展開には腹筋が崩壊しました。
中盤に本屋の店長(小市慢太郎)がコンテストで優勝するほどのコスプレイヤーであることが判明(マジでびっくりだよ)し、それが原因で女房と別れたことも明らかになります。
で、クライマックスでは店長は雪が降る中、女房と子どもの前にコスプレをして突っ立っているのです。<きれいだねえ
<幼女「寒いな〜」
<幼女「あれ?」
<後ろを振り返ると
<こんな格好をしたおっさんがいた!
無理です。マジで無理です。こんな展開をまともな神経で受け入れる度量はないです。
このあとおっさんがコスプレ姿のまま笑顔の女房と抱きついてハッピーエンドなんですけど、マジで意味がわかりません。誰か助けてください。
〜非リア充の気持ち〜
この映画でもったいないなあと思ったのは、せっかくのデビクロ君の設定をちっとも活かせていないこと。
デビクロ君は「デビルクロース」で、サンタの悪い心から生まれた存在で、相葉君の「うまくいかない」心境とシンクロしています。
つまり、デビクロ君はクリスマスにぼっちである非リア充の気持ちそのものっぽくなっているのです(一応、それだけでなく哲学的なこともいろいろとデビクロ通信には書いています)。
でも本編のデビクロ君は相葉君にたまに文句を言ったり、最後に雪を降らせたりするだけ。
相葉君が妄想(アニメーションシーン)の中でリア充をメチャクチャにするのかと思いきや、カップルにも「デビクロ通信」を配っているだけです。
非リア充の嫉妬心なめんな。そこはデビクロ君が盛大にカップルを爆発させるところですよ。
ヒナタカさんの文のおかげでいつも楽しく拝見させてもらってます。
レビューを見ると同サイトの「すべては君に逢えたから」と同じ匂いがしましたね…w
とりあえずジャニーズ出しとけ、恋愛映画にしとけと内容がスッカラカンな印象に感じました。
非リアでも面白いという恋愛映画はあるといいんですが(恥ずかしながら映画には詳しくありません…)
最近のお勧め映画はMOVIE大戦フルスロットルですね。
登場するライダーが絞られているぶん、手堅くまとまっていますし、ドライブのピース綾部の演技も思いのほか良かったですよ。WのAtoZには及ばないかもしれませんが、近年のライダー映画ではよく出来ていると思います。というか最近のライダー映画は激突ものが多くてうんざりです…平成対昭和はそこそこ楽しめましたが。
駄文&長文失礼致しました。
相葉くんの邪悪さは、映画CMで感じてましたが
ここまで面白いとは(笑)
あと、ヒナタカさんには悪いですが写真のデビクロ君は
アンパンマンがコスプレしている様に見えます(笑)
なんかやたらいろんな人に薦められているので明日観ます!
> 相葉くんの邪悪さは、映画CMで感じてました
悪意をなく人を傷つける邪悪さに満ちていましたよ!
> あと、ヒナタカさんには悪いですが写真のデビクロ君は
> アンパンマンがコスプレしている様に見えます(笑)
本当だ!気づかなかった(笑)
あの時点では彼女の素性もわからず、返しにいきようがないので、パク犯扱いはさすがに気の毒かなって気がします。
それでも「(安奈の前で)運命の人に出逢ったんだ~ルンルン♪」ではなく、「大事な物みたいなのに悪かったな」くらいの態度は取ってほしかったですが。
ビルの落書きもまぁ、子供のやる事なのでギリギリセーフな気もするような、しないような……
ビラ貼りについてはフォロー不可能ですね(笑)。
生田斗馬の設定とコスプレ店長のくだりは常軌を逸してました。
あ、あと私はデビクロくんいいと思いますよ!
デザインや動きも可愛いですし、劇団ひとりの甲高いダミ声?もハマってました。
> あの時点では彼女の素性もわからず、返しにいきようがないので、パク犯扱いはさすがに気の毒かなって気がします。
> それでも「(安奈の前で)運命の人に出逢ったんだ~ルンルン♪」ではなく、「大事な物みたいなのに悪かったな」くらいの態度は取ってほしかったですが。
なるほど!あのあとの相葉くんの態度にムカつきすぎたので勘違いしていました……ありがとうございます。訂正させてください。
コスプレ店長のくだりになぜOKが出たのか、経緯を知りたいです。