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あなたの名前 映画『サンバ』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はサンバです。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:暗い未来が待ち受けているのはしんどいなあ……


あらすじ


アフリカからフランスに来て10年になるサンバ(オマール・シー)は、ビザの更新に気が付かなかったことが原因で国外退去命令を受けて拘束される。
移民協力ボランティアのアリス(シャルロット・ゲンズブール)は燃え尽き症候群によって大企業を辞めたことがある女性で、サンバに興味を持つ。
そこに、陽気な移民仲間のウィルソン(タハール・ラヒム)も仲間に加わる。
人種も境遇も、性格も違う3人は心を通わせて行くのだが……




日本でもヒットを記録した『最強のふたり』のエリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督、オマール・シー主演最新作です。

フランソワ・クリュゼ
3063円
powered by yasuikamo

ブログのレビューはこちら→<笑ってもいいさ『最強のふたり』>

『最強のふたり』で“全身マヒの大富豪”と“健康だけど貧乏な黒人”という対照的なふたりを主人公にしたように、本作『サンバ』でもほぼ正反対とも言えるキャラクターが登場します。

それが不法労働を続けるしかない青年“サンバ”と、確かなキャリアを持っていたのに燃え尽き症候群になってしまった女性“アリス”です。

一方は仕事がないけど、その日を暮らすためにたとえ不法であっても仕事を探さなければいけない。
一方は仕事はあるけれど、心を病んで仕事をやめざるを得ない。
対照的な立場のふたり+陽気な仲間のウィルソンが、どのような交流をして、どのように“救い”を得るのか—
そこが見所になっています。

監督は公式サイトのプロダクションノートで「"移民問題"と"燃え尽き症候群"は根っこを同じとしたひとつのテーマである」「日々に忙殺され、“人生のための仕事”のはずが、“仕事のための人生”にいつしかすり替わってしまっていることに気付いた」と語っています。

移民問題は我々日本人にはなじみのないものですが、“仕事”はとても身近なものです。
仕事に悩んだことのある人であれば、ふたりの主人公に大いに感情移入ができることでしょう。
『最強のふたり』と同じく、人生に迷う人にやさしいエールを送っている内容でした。


しかし、この映画が「おもしろいか」と問われると答えに窮するところがあります。

その理由のひとつが、展開にダイナミズムがないことです。
本作はそのシーンのほとんどを会話劇に費やしていると言っても過言ではなく、映画の最初から最後まで本筋というものがありません(ないように思える)。
序盤に出てきたエピソードが後半の伏線になっているところもあるにはあるのですが、それよりも「だらだらと会話が続くだけ」というネガティブな印象が先行してしまっています。

作中の会話の内容はとても尊いものであり、それぞれが確かな意味を持っています。
しかし、映画を娯楽だと考えている方(自分を含む)にはこの点はかなり退屈に感じてしまうのではないでしょうか。

もうひとつの理由が、主人公のふたりが行き着くゴールが“暗い”ものと思えてしかたがない、ということです。
青年・サンバが不法労働を続けているのはまぎれもない事実であるし、悩める中年女性のアリスにもどことなく暗い未来の影が見えています。
さらに、ふたりをいじめるような残酷な事実がつぎつぎ出てくるのですから……。

『最強のふたり』は、回復の見込みのない全身マヒの男性が出てくるのにも関わらず、そんな事実を笑い飛ばしてしまうほどのポジティブさがありました。
しかし、『サンバ』では残酷な事実を笑い飛ばせず、どれだけ主人公たちががんばろうと、残酷な事実には打ち勝てない、というネガティブさを感じるのです。

誰もが知っている明るいダンスをタイトルに冠していることに相対して、暗めの作風です。
『最強のふたり』が好きだった方も、今回は否をつきつけてしまうかもしれません。


もちろん、優れたところも多い作品です。
個人的には物語の始めのカメラワーク、しっかりとリサーチに基づいた移民問題の描写、役者たちの演技だけでも「観てよかった」と素直に思うことができました。

シャルロット・ゲンズブールは『アンチクライスト』『メランコリア』『ニンフォマニアック』に続いて恒例すぎる病んだ役なのですが、本作では笑顔も観られて、コメディらしいシーンも多くてなんとなくほっとしました。
『ニンフォマニアック』を観ておくと、ちょっとニヤリとできるシーンもあったりします。

単純な映画のおもしろさを追求する人にはおすすめしませんが、『her/世界でひとつの彼女』のような会話劇中心の映画が好きな方、仕事に悩んでいる方、移民問題を考えたい方はぜひ劇場へ。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。










〜始めのカメラワーク〜

物語の始め、華やかな結婚式で、ウェディングドレスに入刀がされていました。
カメラは奧の厨房に入っていきます。シェフたちが腕をふるって数々の料理を作っていました。
さらに奧に行くと、シェフとは違う安っぽい制服に身に包んだサンバの姿が見えました。

華やかで恵まれた世界の「奧のさらに奧」には、恵まれない環境で労働をしている人がいる、ということをわずかな時間で描くこのシーンはうならされました。


〜逃げなければならない〜

観た人すべてに痛烈な印象を残したのは、サンバが警備員の仕事をしたときのエピソードでしょう。
サンバは侵入者を捕まえて押さえつけるのですが、そこに警察が来るとわかると、仕事仲間に「早く逃げろ!」と言われるのです。
せっかくの貢献があっても、逃げなければならない(逮捕される)とは……悲しくてしかたがありませんでした。

この前に、サンバがショッピングモールのゴルフのマネキンで楽しそうに遊んでいたところを見せているのも意地悪だよなあ……。


〜ニンフォマニアック 番外編〜

苦笑してしまったのは、アリスが「昔セックスに溺れたことがあるの」と告白すること。
アリスは一応「冗談よ」と言うのですが、『ニンフォマニアック』であんな役を演じていたシャルロット・ゲンズブールが言うんだから冗談に聞こえません。

そういえば、『ニンフォマニアック Vol2』でも黒人男性とアレするシーンがあったよね……ちょっと偶然にしては出来過ぎです。


〜コカ・コーラのCM〜

ほかにも
サンバのおじは出て行けと言ったり、
日雇いの仕事にみんながむらがったり、
せっかく(ウィルソンのおかげで)サンバとアリスがいい雰囲気になりかけたのに配水管が壊れたり、
ゴミ分けの仕事が本当にいやだったり、
とネガティブなシーンが多めです。

でも、ビルの窓清掃をしていたウィルソンがコカ・コーラのCMを真似るシーンには救われました。

陽気なダンス<楽しそう

このCMの元ネタが見つからなかったのですが、以下はちょっと似ていますね。いいCMだなあ……






〜ウィルソンのおかげ〜

本作では、主人公ふたりが病んでいるからこそ、ウィルソンというキャラクターがとても重要になっています。

ウィルソンとサンバが警察から屋上まで逃げたとき、ふたりは(靴を捨ててしまっても)笑い合うことができました。

ウィルソンはいつでも明るいですし、アリスをの部屋のインターホンを押して強制的に話合わせようとしたりもしてくれます。

序盤のほうに、サンバがアリスのことばを聞いて告白だと勘違いしてしまい、気まずい雰囲気になったシーンがありました。
そんなふたりは、ウィルソンの仲介もあって徐々に親密になっていきます。
“ふつう”になろうとしていたアリスが、サンバと“ふつう”ではないようにキスをすることができたのも、ウィルソンがいたおかげなのでしょう。

ふたりがなかなかハグすらしようとしないのに、ウィルソンのほうは彼女に再会した瞬間にキスをして、一目もくれずにベッドでくんずほぐれずな状態になったのは笑いました。
ウィルソンくらい、コミュニケーションは直接的でもいいのかもしれませんね。

また、ウィルソンが「ブラジル人だと職を得やすい」という理由で、ちゃっかりとブラジル人っぽい名前を使っているシーンも大好きでした(しかもブラジルの首都がブラジリアであることも知らない)。
これは、サンバが“しかたなく”名前を変えていたこととは対照的です。
“しかたない”ことがあっても、人生がうまく行くように利用したり、自分がいいと思うことをやる(好きな名前を使う)、というぐらいでもいいのかもしれません。


〜あなたの名前〜

サンバはその名前に反して、踊りが苦手でした。
サンバは不法労働を続けるため、自分の名前を変え続けなければなりませんでした。

そんなサンバに対して、別れ際にアリスはこう言ってくれます。

「私があなたの名前を呼ぶわ。そして、踊り続けるの」

名前とは、その人を示すアイデンティティであり、なくてはならないものです。
“仕事のための人生”のせいで、自分の名前を変えざるを得なかったサンバ……彼にとって、自分の名前(しかも明るいダンスの名前)を呼んでくれる人がいるというのは、何よりの救いであったはずです。

テーマ : 映画情報
ジャンル : 映画

2015-01-08 : 映画感想 : コメント : 1 : トラックバック : 0
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非公開コメント

No title
地元でも公開されました。ヒナタカさんだけでなく方々で「最強のふたり」のような感動を期待するな!と言われているのに観に行ってきました・・・。

>しかし、この映画が「おもしろいか」と問われると答えに窮するところがあります。
貧乏でも友達がいて、たまにパーティなんか開いちゃったり、小さな幸せを楽しみに生きて行けるという所が唯一ポジティブに見れました。

>どれだけ主人公たちががんばろうと、残酷な事実には打ち勝てない、というネガティブさを感じるのです。
かと言って強引なミラクルハッピーエンドにしたら非難轟々でしょうし、悲しいけどこうするしかないのかな・・・と思います。

>〜逃げなければならない〜
まともに真面目に生きる為に法を犯さねばならないとか、凄い矛盾ですよね。社会制度をどうにかする事が仕事な人達はこれを真剣に・・・考えてくれてるのでしょうけど。

>〜コカ・コーラのCM〜
ウィルソンは本当に本作の清涼飲料水のような奴でした!スカっとさわやか!!

余談ですが、サンバがゴミ処理場で分別の仕事をしているシーンに驚きました。フランスではこんな事を人件費かけてやっているのですね。さすが環境大国です。実はゴミ処理場で働いた経験が有るのですが、高度経済成長時の数々の公害を教訓にした日本ですら、まだ「燃えるごみ」と書かれた袋に入っていれば収集車からピットへ落として焼却炉に放り込むだけです。
※包装のアルミ箔を燃やすと高温で蒸発し煙突にこびり付いて塞いでしまったり、ライターやカセットボンベを「燃えるごみ」に入れる不届き者がいて、爆発事故などもしょっちゅう起きます。
自分の職場にはこれで指を無くした人もいました。本当にやめてください!
2015-02-18 01:13 : 毒親育ち URL : 編集
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<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
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