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無限の中で 映画『きっと、星のせいじゃない。』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

遅れましたが、今日の映画感想はきっと、星のせいじゃない。(原題:The Fault in Our Stars)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:生きているだけで幸せかも(それだけでもないかも)


あらすじ


ちょっと皮肉っぽい女の子・ヘイゼル(シャイリーン・ウッドリー)は甲状腺がんにかかってしまっために、毎日の薬の投与、治療を続けなければならなかった。
ある日ヘイゼルはがん患者の支援団体の集まりで、骨肉腫で足を失った男の子、オーガスタス(アンセル・エルゴート)と出会う。
ヘイゼルは憧れの小説家に会うためにアムステルダムに行くことを夢見ていたが、がんの症状が悪化し、ヘイゼルの医療チームはアムステルダム行きに難色を示すようになってしまう。
オーガスタスは何とかヘイゼルの役に立とうとするのだが……




少し前、ガラケー時代に日本では「ケータイ小説」なるものが流行りました。
その代表格(?)である『恋空』は、少女が暴行されるわ、愛しの彼(金髪)がガンになるわ、病気の苦しみがちっとも描かれないわ、考えなしに赤ちゃんを産もうとしてさらなる不幸の種を増やそうとするわで、子どもに心底読ませたくない最悪のシロモノでした。
この小説とも呼びたくないブツの主人公の初めのセリフはなんと「あ~!!超お腹減ったしっ♪♪」。いま見ても殺意を覚えます。
こんなスイーツ(笑)よりも大喜利状態になっているAmazonレビューを読んだほうがよっぽど幸せになれることは間違いありません。


さて、本作『きっと、星のせいじゃない。』は本国で大ヒットしたティーン向けの小説が原作であり、不治の病にかかるという点で、一見すると日本のくだらねえケータイ小説のように思うかもしれません。

ジョン・グリーン
1944円
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しかし、『恋空』と比べるのもおこがましい、天と地とほどとも思える違いがそこにはありました。
病気の苦しみがしっかり描かれていることはもちろん、世にあるお涙ちょうだいを皮肉るセリフがあったりもするのです。

確かに不治の病が物語の主軸になっているのですが、描いているのは「死んじゃって可哀想」なんて単純なものではありません。
あくまでテーマは、人の生きかたであり、愛おしさに満ちた人生そのものです。
この映画を観た後は、「生きていること」「生き続けられること」の幸せを感じることができるでしょう。

台詞は哲学的であり、病気を抱えた人はもちろん、多くの人が共感できるものになっています。
これは原作のよさと、スマートな演出や『(500)日のサマー』のスタッフが手掛けた洗練された脚本があったおかげなのでしょう。

とくに興味深かったのが、ゼノンのパラドックス(アキレスと亀)の話題。そこには、「わずかな時間しか生きられない」ということの悲しさだけでなく、希望を込めたメッセージをみることができました。


登場人物はわずか数人で、どのキャラクターも魅力たっぷりに描かれていることも大好きでした。
ダイバージェント』でも抜群の存在感であったシャイリーン・ウッドリー、イケメンなだけではなく年相応の「弱さ」を見せるアンセル・エルゴートの演技は文句のつけようがありません。
母親役にローラ・ダーン、主人公があこがれている小説家役にウィレム・デフォーと、大ベテランが抜擢されているところも見どころでしょう。

個人的には、主人公のふたりが「恋人」よりも「友だち」であった時間が長い(かのように思えた)ことも好み。
イチャイチャラブラブなリア充爆発しろではなく、同じような境遇を持ったふたりだからこその、互いを想う気持ち……そうした心情を大切にしているのです。

音楽も秀逸でしたね。

Original Soundtrack
1090円
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誰もが知るポップスはもちろん、「ヴィヴァルディの四季の冬」を流すなど、型にはまらない選曲を楽しむことができました。


タイトルの意味についても触れておきます。

原題の『The Fault in Our Stars』は、シェイクスピアのジュリアス・シーザーの台詞「The fault, dear Brutus is not in our stars, / But in ourselves, that we are underlings.」が元ネタです。
この場合の「Star」は「運命」を意味しており、原題を直訳するのであれば「私たちの星の中の過ち」、意訳するのであれば「運命の欠陥品」となるかもしれません。
この原題は、主人公ふたりそのものを示していると言っていいでしょう。

一方、邦題は『きっと、星のせいじゃない。』という、原題とは正反対の意味に変わっています。
これは「運命のせいじゃない」「私たちが運命を変える」という、運命に抗うかのような意思の強さを感じました。

この邦題には賛否があるとは思いますが、自分は大好きです。
原作小説タイトルの『さよならを待つふたりのために』はやや受け身であるかのようなさびしさをも感じましたが、この邦題はどこかあっけらかんとしていて、主人公ふたりの性格や行動にもじつにマッチしていていました。


「死」で涙を誘うような難病もの、安っぽい恋愛話が嫌いという人にも(むしろそういう人にこそ)観てほしいと思える素晴らしい作品です。
それほど悲劇的な面ばかりが強調されているわけではなく、クスクス笑えるシーンも満載です。
きっと、すがすがしい気持ちで劇場を後にできるでしょう。

「死」そのものよりも、「もっと生きたい」という想いが強調されていることには、名作『マイ・フレンド・フォーエバー』を思い出しました。
世代を問わず、すべての人におすすめします。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。











~主人公語録&辛辣な台詞~

主人公・ヘイゼルはかなりの皮肉屋でしたね。

・悲しい話は人それぞれだけど、ピーター・ガブリエルの歌詞でだいたい解決できるわよ。悪いけど、これが現実。
・ガンの副作用にうつがあるというけど、それは違うわ。うつは「死」の副作用よ。
・サポートグループなんていやだわ。何をやるのも親のためですもの。
・(ガスの余命がわずかだとわかってから)この世は夢工場じゃないってことね。
・「ガスは最後まで笑顔を捨てなかった」と言いたいけれど、現実はそうじゃなかったわ(でも葬式では建前を言ってしまう)
・看護婦さんは「10の痛みを9と言った、あなたは偉いわ」と言ってくれたけど、実際は違うわ。10の痛み(ガスが死ぬという事実)を残しておいただけよ。

ほかにも小説家が「葬式は死んだ者のためではなく、生きている者のためだ」と言ったり、ガスもメタファー(比喩)のためだけに煙草を咥えてみたり、ヘイゼルとガスがいっしょにいるときに『エイリアン2』の「彼女から離れろ、ビッ○!」という台詞を言わせたり、意外と辛辣ですね。好きだけど。

親友のナットを振った女の子のところに、卵をぶつけに行くシーンには大笑い。
ガスは、ビッ○な女の子の母親に「娘さんがあまりにもひどいんで復讐に来ました!部屋に戻ったほうがいいですよ!」と紳士的(?)な態度を取っていましたもの。

小説家がトロッコ問題(ある人を助けるために、別の人を犠牲にしてもよいのかという思考実験)のことをヘイゼルに告げたのは、自身の娘を救うことができず、何としてでも娘に生きてほしいという気持ちがあったからなんだろうなあ……


~なんていいお母さん~

ローラ・ダーン演じるお母さんが、2階からヘイゼルに呼び掛けられるとシャワーを浴びた格好のまま駆け付けるシーンが大好きでした。
一歩間違えば死んでしまう病なのですから、お母さんはいままでもこうしてヘイゼルのことを気にして、すぐに駆けつけるようにしていたんだろうなあ……

しかも、お母さんは男女交際にも理解があり、ガスとのデートも快く了承。
そして、ヘイゼルの死期が近いことをも知りながら、「前向き」であろうともします。

母はヘイゼルが苦しむのを見て「母親なんか辞めたい」と漏らしたこともありましたが、ガスとの出会いを経て「死んでもあなたの母親であり続けるわ」と思えるようになっていきます。

母が「前向き」になったこと、「死んだ後にも人の想いは続く」ということは、ガスの想いともシンクロしていますね。


~無限の間に~

ヘイゼルは、小説家に「君たちは欠陥品だ」などと罵られ激高します。
それはとても容認できるようなものではありませんでしたが、ガスは小説家が言ったゼノンのパラドックスから、以下のことに気づいたと生前葬で語りました。

「0と1の間には無限がある。
0と2の間にも無限はあるし、0と100万の間にも無限はある。
与えられたものの中で、僕は生きたい」


「速いはずのアキレスが遅い亀に追いつけない」というのはネガティブなことにも思えますが、それは「無限」が存在することを示しています。
ガスが気づいたのは、無限には大小があるということ、そして与えられた時間(自分が生きている時間)にも「無限」は存在するということでした。

これはその短い時間でも有意義なことをしたいという彼の心情が表れているようでしたが、さらに時間がほしい(もっと無限がほしい)(もっとヘイゼルといっしょにいたい)というガスの渇望が垣間見えたようにも思えました。


~Okay?~

死ぬ直前のガスは彼に代筆を頼み、つぎの言葉をヘイゼルに残しました。

「100万人の記憶に残るよりも、愛する人がいてほしい。
大好きな君を愛せて幸せだったよ。
俺たちのいない世界を想像したい。
生きていれば傷つくこともあるけれど、その相手は選べるさ
それでいいかい(Okay)?」


ガスは「自分のいない世界」や「太陽にいつか地球が呑み込まれる未来」について語っており、親友のナットも「お前のいない世界なんて無意味だ」と、ガスが死んだ後の話題は作中にたびたび出てきました。
ヘイゼルは、生前のガスに「私と家族にとってあなたが特別なだけじゃなだめ?」と訴えていました。

ガスは、愛したヘイゼルのためを想い、さらに自分たちのいない世界を想像したいと綴ったのです。
それは、ガス自身が(ヘイゼルも)死んでも、自分が愛したヘイゼルがそこにいたこと、ふたりが愛しあっていたという事実はなくならないからなのでしょう。

ふたりの合言葉である「Okay」の後に、ヘイゼルの目の前には満点の星空が見えました。
数奇な運命〈星)を経て巡りあったふたりの物語は、忘れられそうにはありません。

おすすめ↓
#194 きっと、星のせいじゃない。/小さな無限があるから | Tunagu.

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2015-03-07 : 旧作映画紹介 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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非公開コメント

いつも楽しく見てます。
この映画は、ほんと品が良いですよね。

ただ、何かをけなして持ち上げるって手法には賛同いたしかねます。恋空を呼んだ事のない自分ですら、不快感を抱きました。
2015-03-12 12:46 : にし URL : 編集
Re: いつも楽しく見てます。
> この映画は、ほんと品が良いですよね。
>
> ただ、何かをけなして持ち上げるって手法には賛同いたしかねます。恋空を呼んだ事のない自分ですら、不快感を抱きました。

貴重なご意見ありがとうございます。
この書きかたは自分でもあまり比較するのはよくないかな……と思っていたので、実際にご意見をいただけて感謝しております。
今後はこのような書きかたは、自粛します。
2015-03-13 00:15 : ヒナタカ URL : 編集
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