ここからはじめる 映画『スーパーローカルヒーロー』ネタバレなし感想
今日の映画感想は『スーパーローカルヒーロー』です。
個人的お気に入り度:9/10
一言感想:こんなに愛されるおじさんがいたなんて!
あらすじ
広島県尾道市で、風変わりなCDショップ「れいこう堂」を営んでいるノブエさんは、みんなに愛されているおじさんだった。
映画は、とあるライブ会場からはじまる。そして、ノブエさんは身銭を切りながら震災で傷ついた人たちのために奔走するのだった。
※今回は観ている人が少ないと思うので、ネタバレ部分は書きません。ていうか観ろ(命令)。
本作のジャンルはドキュメンタリー、信恵勝彦というひとりのおじさんを追った作品です。
……重要なことなのでもう一度書きますが、一見どこにでもいそうなおじさんを1時間半にわたって追い続けた作品です。
そんな作品の何がおもしろいんだよ!と思われるかもしれませんが……観てみると驚きました。
なぜなら、このノブエさんというおじさんがめちゃくちゃ魅力的、全力で応援したくなるいい人だったからです。
ノブエさんは「れいこう堂」というCDショップを営んでいるのですが、その店内はツッコミどころだらけです。
ていうか店の外観からアレでした。
※CDショップです
※CDショップです
※野菜も売っています。
あ、これCDショップですよ。熱帯魚が飼われていたりしていますが、CDショップなんですってば。
しかも、ノブエさんは店長にも関わらずほとんどれいこう堂にはいないそうです(なんて店だ)(変わりにノブエさんの友だちが店番をしていたりします)。
なぜかと言えば、ノブエさんは誰かを幸せにするために、人のために毎日どこかへ奔走、またはバイトをしているからなのです。
ノブエさんが助けているのは、地元のミュージシャンだったり、東北大震災で住まいを失った人たちだったりします。
ライブ会場の場所を提案したり、そのライブ自体をお手伝いしたり、ありえないほど低い価格で民宿を借りて提供したり、カンパを集めて(集められなかったたら自分で出す)大変な人に送ったり……
彼の行いはほとんど無償、ギブアントテイクではなくギブアンドギブな感じなのです。
こんな人間がいるのか!と驚けると同時に、この映画を観れば誰もがノブエさんを好きにはならざるを得ないでしょう。
失礼を承知で申し上げるのであれば、この映画の魅力の95%はノブエさんによるものです。
<ノブエさんは最高のおじさんです。
本作で思い出したのは、ひとりの人間の最期を綴った『エンディングノート』でした。
これもどこにでもいそうなおじさんの人生を切り取った作品だったのですが、その「平凡」こそが重要な作品でもありました。
世の中に数ある映画は、天才を主人公にしたり、ほかにはない人生を切り取ったりと、非凡な人を描いていいます。
でも、どこにでもいそうな人(ノブエさんは唯一無二の存在ですが)を主人公にしても映画はおもしろいのです。
この映画が素晴らしいのは、「自分にも何かをしたい」と思わせてくれるところです。
本作には「ローカルな場所から、世界を変える」というメッセージが込められています。
ノブエさんは大震災という大きな被害を受けた人々を、広島県尾道市という非常にローカルな場所から救おうとしています。
それは大きな悲劇や出来事全体からすればわずかな行動なのかもしれないけれど、人を幸せにして、ひょっとすると世界を変えるのかもしれない……
ノブエさんの行動には、それだけのパワーを感じるのです。
作品としては難点もあります。
たとえば、撮影やライティングお世辞にも優れているとは言えず、「ハンディカメラで撮った映像」という感じで、かなりの安っぽさがあります。
正直に申し上げれば、映画の初めのシークエンスである声が聞き取りにくいライブ会場のシーンや、続く「早回し」のシーンだけでは「これは失敗したかな」と思ってしまいました(それ以降の音声は聞き取りやすいのでご安心を)。
また、原子力発電所の問題に対して、はっきりとデモをするシーンがある(再稼働に反対している)ことも人を選ぶポイントかもしれません(これは単純によい、悪いが言えない問題でもあるので、しかたのないことなのですが)。
映画の多くはノブエさんの人となりを、人々がインタビューで語っていくというものなので、やや退屈に感じてしまうところがあるかもしれません。
それだけで、ノブエさんという人のすごさがわかるので、必要不可欠なものなのですけどね。
自分は、この映画がいままでに観たドキュメンタリー映画の中でいちばん好きな作品になりました。
ノブエさんというすごい人がいるんだ、その人のことをなるべく多くの人に知ってほしい……その気概にあふれていたからです。
おそらく、1時間半という短い時間で、ひとりの人間をこれほど好きになれる機会はないと思います。
映画ではノブエさんが子どもと遊んだり、助けた人と話したり、なんでもなさそうなシーンが続くのですが、そのすべてが大切なものでした。
自分にとって『スーパーローカルヒーロー』は、忘れられない、愛おしい作品のひとつになりました。
2015年3月下旬現在は新宿K’sシネマでしか上映がない(4月3日まで)のですが、より多くの人に観てほしい作品です。
自分はこの映画があまりに好きだったので、クラウドファンディングに参加し、公式サイトに名前を載せていただきました(映画のエンドロールで名前を観ることもできます)。
そして……映画の最後にノブエさんがある言葉を告げるのですが……これが何とも素敵なメッセージなのです。
この言葉を聞くためだけでも、本作を観る価値があると言い切ってもいいくらいです。
愛されるひとりのおじさんの正体を知りたい方、人間を愛したい方、自分を変えたい方すべてにおすすめします。
参考↓
スーパーローカルヒーロー | 立誠シネマプロジェクト
EGO-WRAPPIN’からも慕われる、なぜか気になるおじさんを描いた映画『スーパーローカルヒーロー』がつなぐ人と人 | greenz.jp グリーンズ(ネタバレ注意)
一人一人の選択に、小さなことの先に”希望”がある『スーパーローカルヒーロー』×『小さき声のカノン』(前半) | アースガーデン
個人的お気に入り度:9/10
一言感想:こんなに愛されるおじさんがいたなんて!
あらすじ
広島県尾道市で、風変わりなCDショップ「れいこう堂」を営んでいるノブエさんは、みんなに愛されているおじさんだった。
映画は、とあるライブ会場からはじまる。そして、ノブエさんは身銭を切りながら震災で傷ついた人たちのために奔走するのだった。
※今回は観ている人が少ないと思うので、ネタバレ部分は書きません。ていうか観ろ(命令)。
本作のジャンルはドキュメンタリー、信恵勝彦というひとりのおじさんを追った作品です。
……重要なことなのでもう一度書きますが、一見どこにでもいそうなおじさんを1時間半にわたって追い続けた作品です。
そんな作品の何がおもしろいんだよ!と思われるかもしれませんが……観てみると驚きました。
なぜなら、このノブエさんというおじさんがめちゃくちゃ魅力的、全力で応援したくなるいい人だったからです。
ノブエさんは「れいこう堂」というCDショップを営んでいるのですが、その店内はツッコミどころだらけです。
ていうか店の外観からアレでした。
尾道名物、れいこう堂! pic.twitter.com/fokVS3DnkF
— はなうた (@hanauta461) 2015, 3月 10
※CDショップです
三軒家アパートメント、れいこう堂等、尾道良すぎた。 pic.twitter.com/5PZh8PDA3S
— tkt!! (@tacat0) 2015, 3月 13
※CDショップです
れいこう堂!!\(^o^)/久々ー pic.twitter.com/ZTH1fvCgmG
— §サロン薔薇と迷宮§ (@6969bara) 2014, 12月 4
※野菜も売っています。
あ、これCDショップですよ。熱帯魚が飼われていたりしていますが、CDショップなんですってば。
しかも、ノブエさんは店長にも関わらずほとんどれいこう堂にはいないそうです(なんて店だ)(変わりにノブエさんの友だちが店番をしていたりします)。
なぜかと言えば、ノブエさんは誰かを幸せにするために、人のために毎日どこかへ奔走、またはバイトをしているからなのです。
ノブエさんが助けているのは、地元のミュージシャンだったり、東北大震災で住まいを失った人たちだったりします。
ライブ会場の場所を提案したり、そのライブ自体をお手伝いしたり、ありえないほど低い価格で民宿を借りて提供したり、カンパを集めて(集められなかったたら自分で出す)大変な人に送ったり……
彼の行いはほとんど無償、ギブアントテイクではなくギブアンドギブな感じなのです。
こんな人間がいるのか!と驚けると同時に、この映画を観れば誰もがノブエさんを好きにはならざるを得ないでしょう。
失礼を承知で申し上げるのであれば、この映画の魅力の95%はノブエさんによるものです。

本作で思い出したのは、ひとりの人間の最期を綴った『エンディングノート』でした。
![]() | 2462円 powered by yasuikamo |
これもどこにでもいそうなおじさんの人生を切り取った作品だったのですが、その「平凡」こそが重要な作品でもありました。
世の中に数ある映画は、天才を主人公にしたり、ほかにはない人生を切り取ったりと、非凡な人を描いていいます。
でも、どこにでもいそうな人(ノブエさんは唯一無二の存在ですが)を主人公にしても映画はおもしろいのです。
この映画が素晴らしいのは、「自分にも何かをしたい」と思わせてくれるところです。
本作には「ローカルな場所から、世界を変える」というメッセージが込められています。
ノブエさんは大震災という大きな被害を受けた人々を、広島県尾道市という非常にローカルな場所から救おうとしています。
それは大きな悲劇や出来事全体からすればわずかな行動なのかもしれないけれど、人を幸せにして、ひょっとすると世界を変えるのかもしれない……
ノブエさんの行動には、それだけのパワーを感じるのです。
作品としては難点もあります。
たとえば、撮影やライティングお世辞にも優れているとは言えず、「ハンディカメラで撮った映像」という感じで、かなりの安っぽさがあります。
正直に申し上げれば、映画の初めのシークエンスである声が聞き取りにくいライブ会場のシーンや、続く「早回し」のシーンだけでは「これは失敗したかな」と思ってしまいました(それ以降の音声は聞き取りやすいのでご安心を)。
また、原子力発電所の問題に対して、はっきりとデモをするシーンがある(再稼働に反対している)ことも人を選ぶポイントかもしれません(これは単純によい、悪いが言えない問題でもあるので、しかたのないことなのですが)。
映画の多くはノブエさんの人となりを、人々がインタビューで語っていくというものなので、やや退屈に感じてしまうところがあるかもしれません。
それだけで、ノブエさんという人のすごさがわかるので、必要不可欠なものなのですけどね。
自分は、この映画がいままでに観たドキュメンタリー映画の中でいちばん好きな作品になりました。
ノブエさんというすごい人がいるんだ、その人のことをなるべく多くの人に知ってほしい……その気概にあふれていたからです。
おそらく、1時間半という短い時間で、ひとりの人間をこれほど好きになれる機会はないと思います。
映画ではノブエさんが子どもと遊んだり、助けた人と話したり、なんでもなさそうなシーンが続くのですが、そのすべてが大切なものでした。
自分にとって『スーパーローカルヒーロー』は、忘れられない、愛おしい作品のひとつになりました。
2015年3月下旬現在は新宿K’sシネマでしか上映がない(4月3日まで)のですが、より多くの人に観てほしい作品です。
自分はこの映画があまりに好きだったので、クラウドファンディングに参加し、公式サイトに名前を載せていただきました(映画のエンドロールで名前を観ることもできます)。
そして……映画の最後にノブエさんがある言葉を告げるのですが……これが何とも素敵なメッセージなのです。
この言葉を聞くためだけでも、本作を観る価値があると言い切ってもいいくらいです。
愛されるひとりのおじさんの正体を知りたい方、人間を愛したい方、自分を変えたい方すべてにおすすめします。
参考↓
スーパーローカルヒーロー | 立誠シネマプロジェクト
EGO-WRAPPIN’からも慕われる、なぜか気になるおじさんを描いた映画『スーパーローカルヒーロー』がつなぐ人と人 | greenz.jp グリーンズ(ネタバレ注意)
一人一人の選択に、小さなことの先に”希望”がある『スーパーローカルヒーロー』×『小さき声のカノン』(前半) | アースガーデン
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