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自己満足上等 映画『百円の恋』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

6月10日よりレンタルが開始された百円の恋の感想です。

安藤サクラ
3051円
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個人的お気に入り度:10/10

一言感想:ダメ人間映画の頂点


あらすじ


斎藤一子(安藤サクラ)は32歳になっても実家にひきこもり、自堕落な生活を送っていた。
一子は妹と喧嘩をしたことにきっかけに一人暮らしを始め、いつもストイックにボクシングの練習をしている狩野祐二(新井浩文)に興味を持つのだが・・・




最高だよコンチクショウ!
えーしれっと満点とつけてしましたが、この映画、ダメ人間賛歌すぎるんだよ!
ていうか登場人物がダメ人間かクズ男しかいないんだよ!
なんだよこの映画(でも最高)!

これまでダメ人間を描いた傑作映画には『バッファロー'66』や『ばしゃ馬さんとビッグマウス』などがありましたが、感動やダメ人間度はそれらを超えるものがありました。
たぶん、自分が本作に感動したのは、主人公と同じダメ人間だからと思うんです。
よく映画で役に感情移入することはありますが、この主人公は自分そのものでした(性別は違うけど)。
できればこの映画のよさがわからない人生を送りたかったよ・・・いいけど。

えーと、ストーリーは
「ダメすぎる人生を送っていた32歳の女がボクシングを始めてがんばる」
と一行だけで説明できてしまうほどシンプルです。作中では大した事件も起きていません。

それでも主人公の心情がほんのちょっぴりの「メタファー」で表現されまくっているため、これ以上なくエモーショナルなのです。
脚本家・足立紳さんは本作で第2回松田優作賞を受賞して注目を浴びましたが、それはもう大・大・大納得できるものでした。

そして、誰もが口を揃えて絶賛するであろう、主演の安藤サクラの素晴らしさ。
彼女はお世辞にも「美人」とは言えないルックスですが、リングに立ったときは女神のように美しく見えるんですよ(決して誇張ではなく)
その「美しい」とは「きれい」ではなく、「人間としての輝き」なんですよね。
前後の展開がなかったとしても、この映画は安藤サクラの体当たり(文字通り)演技だけで感動できると断言できます。
終盤はもう泣いた泣いた、ていうか涙でぼやけてスクリーンがよく見えなかったです。

もうひとつ言っておかなければいけないのは、クリープハイプの主題歌ですね。



正直、映画を観る前は「なんだこの曲」「声が高くて変」と失礼極まりない印象を持っていたのですが(ファンの方ごめんなさい)、映画を観終わってみると最高にハマっている主題歌だと思えるはずです。
つーか、歌詞を反芻するだけで泣けてくるんですけど・・・(本当感情移入しすぎ)

個人的に本作はオールタイムベスト級の大傑作なのですが、決して万人向けじゃありません。
R15+指定なだけにエロもあるし、ダメ人間総出演っぷりは人によっては不快だろうし、コンビニのクズ中年男(坂田聡)は5、6回はぶっ殺したくなるし、比較的まともなコンビニ店員(宇野祥平)はいくらなんでもかわいそうな目にあいすぎです。
でもそれらも、鬱積した作品を構成するために必要なもの。自分にとっては忘れらない作品になりました。

デートや家族とでは全力でおすすめしません。
ダメ人間ばっかり出てきますが、観た後は不思議と元気になれるのもいいポイント。ひとりで泣きたい人に、ぜひおすすめします。

なお、7月には足立紳脚本最新作『お盆の弟』が公開されます。
四十路手前の売れない映画監督が主人公ということで、これもダメ人間臭が半端ないですね。絶対観る。

以下、結末も含めてすさまじくネタバレです 絶対に未見の方は読まないで! 本当に最高の映画だから!↓











本作は「価値」についてのメタファーや伏線が盛りだくさんなのですが、クズ中年が雑誌『プレジデント』を読んでいたのは笑いました。

<(いい意味で)こういうことばっかり特集している雑誌

これを読んでも、金持ちや社長にはなれないよね・・・

一子が、賞味期限切れの弁当をパクっていたおばさんに何度注意されようとも弁当をほいほいあげていたのは、物の価値なんかにそれほど興味がなかったからだと思います。


そして、本作で張られている伏線のほとんどは、主役の一子を「お前は百円程度の価値なんだよ!」といじめぬいているものです

・祐二が落とした100円玉をレジを越えてまで拾ったけど、けっきょく募金されてしまう。
・祐二に動物園デートに誘われるけど、誘った理由は「断らなそうだったから」だった
・32年間守ってきた処女を、クズ中年の強姦で失ってしまう。クズ中年はそのことを「初めての1回や2回、大したことないっしょ」とほざく
・風邪をひいて、祐二に看病されてハッピーかと思いきや、出されたのは世界一マズそうなステーキだった。
・祐二とセックスまでしたけど、いつのまにか豆腐屋の女といい感じになっているのも目撃しちゃう。
・せっかくボクシングでがんばっていても、祐二に「俺、一生懸命やっているやつ、好きじゃねえんだよな」と言われる
・自分を強姦したクズ中年は、何万円もレジの金を盗んでいった。
・弁当おばさんもレジの金を強奪していった。

さらには、ジム長はボクシングの試合に出ることを「しょせんは自己満足」とほざいています。

「一子は百円程度の価値しかない」「ボクシングは自己満足」
そんな鬱積した一子の思いが、「百円!百円!安い~安い~」というウザすぎるコンビニの曲を入場曲に選び、「いいのよ、どうせ百円程度の女なんだから」と吐き捨てたことにつながっていくのです。

そんな自己満足の戦いでも、一子は必死で戦った。
ボッコボコに殴られ、過呼吸になり、血をにじませた。
だけど、こっちから攻撃できたのは、ただ一回のボディーブローだけだった。
結果は、ボロッボロに負けてしまった。

それも当然です。いままでなんの努力もしてこなかった女がちょっとがんばったからと言って、そこまでボクシングは甘くありません。
ジム長は「嫌いな試合じゃなかったけどなあ」とつぶやいて―

一子は、祐二の前で「勝ちたかった!」と涙ながらに訴えます。
百円の価値しかなくても、自己満足であっても、負け続けてきた一子はがんばってきたボクシングで勝ちたかった。それが自分のためだから!
この一子の姿には、泣けて、泣けてしかたがありませんでした。

しかも祐二は「勝利の味ってのは格別だからなあ」とちょっと上から目線の、お世辞にもフォローとは呼べないことを言っちゃう。
そこでクリープハイプの主題歌の「こんなあたしのことは忘れてね」ということばが響く。

彼女はこれからは「負け」ではない、祐二といままでとはちょっとマシな人生を送っていくのではないか―
映画になんかならなくてもいいけど、そういう未来を望みたくなりました。

また、一子が甥っ子にボクシングを教えたことで、甥っ子はいじめっ子に立ち向かえたのかもしれません。
その価値は、きっと計り知れないものだと思います。

おすすめ↓
肉体の軋みが、理想や精神を超える - ユーザーレビュー - 百円の恋 - 作品 - Yahoo!映画
#189 百円の恋/たかが百円されど百円 | Tunagu.

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2015-06-10 : 旧作映画紹介 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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非公開コメント

実はこの映画、映画館でみました。
感動しましたけど、悲しすぎて(。>д<)
特にラスト!
こんな男捨てちまえよ(# ゜Д゜)
と叫びそうになりました。
2015-06-14 12:11 : 名無し URL : 編集
全部読んじゃいました
見たら、絶対ダメージ受けそうなので
たぶん見ないです
案の定ネタバレを呼んだだけで切なくなりました…
影響を受けやすいのは面倒臭いですね。
2015-06-30 11:57 : 鈴木xxx URL : 編集
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『君の名は。』
『ゴーストバスターズ(2016)』
『シン・ゴジラ』
『ファインディング・ドリー』

<2016年上半期>
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『貞子 vs 伽椰子』
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『デッドプール』
『アイアムアヒーロー』
『ズートピア』
『クレしん ユメミーワールド』
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『X-ミッション』
『オデッセイ』

<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
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<2014年下半期>
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『ゴーン・ガール』
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『紙の月』
『近キョリ恋愛』
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<2014年上半期>
『渇き。』
『MONSTERZ』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
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<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
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『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
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<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
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<2012年下半期公開>
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<2012年上半期公開>
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<2011年下半期公開>
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