日本俺らだけアカデミー賞(3年ぶん)結果
<ラジー賞はこちら>
ルールおよび投票跡地はこちら↓
<日本俺らだけアカデミー賞(3年ぶん)」を決めよう! 投票ページ>
タイトルの横に(追加)と書いているのは、投票開始してしばらくしてから追加された項目です。
なお、結果は1ヶ月に渡りブログでアンケートを取った結果と、先月行った【第6回「映画について語ろう会」×シネマレコメンドでの投票結果(5グループに分かれ、ひとグループ3点が与えられる)を合わせたものです。
「語ろう会」では作品賞、アニメーション作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞に投票を行ったため、アンケート結果との違いがありますのでご注意を。
↓
<作品賞>
1位 桐島、部活やめるってよ
43票
2位:横道世之介
26票
3位:凶悪
17票
4位 地獄でなぜ悪い、鍵泥棒のメソッド
13票
6位以降はこちら↓
<投票結果 - 作品賞は?>
本家第36回日本アカデミー賞でも作品賞を受賞した『桐島』が投票開始からぶっちぎりの強さを見せて1位という結果になりました。
『桐島』は「説明がほとんどない」「時系列がバラバラ」「事件がほとんど起こらない」と、わかりやすい大衆向け映画から離れまくっている作品。こういう作品が高く評価されるのはイチ映画ファンとしてとてもうれしい。
また、『桐島』の作中で映画部の顧問の先生が「映画はお前の半径1mをテーマにしろ!」というつまらないアドバイスをするのだけど、本当にこの映画が登場人物の半径1メートルを描いた傑作になっていることがすごい。
[秀逸コメント]
桐島、部活やめるってよ 私が映画の面白さに気づかされた作品であり、世界の見方を変えてもらった作品です。
<アニメーション作品賞>
1位 風立ちぬ
28票
2位 たまこラブストーリー、かぐや姫の物語
22票
4位:おおかみこどもの雨と雪
17票
5位:劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語
13票
<投票結果 - アニメーション作品賞は?>
『たまこラブストーリー』『まどか☆マギカ』が上位に来るという、本家アカデミー賞からは考えられない結果に。ブログの投票では『たまこ』と『風立ちぬ』が絶えずデッドヒートを続けていましたが、「映画について語ろう会」で『数立ちぬ』が6票(2班ぶん)を手にしたために逆転しました。
ちなみに「語ろう会」では『劇場版銀魂 完結編 〜万屋よ永遠なれ〜』にも票が入り、合計11票で実質6位となっています。
[秀逸コメント]
劇場版銀魂 完結編 〜万屋よ永遠なれ〜 アレをイジリ倒してくれただけで親の仇を討ってくれたくらいに感謝
<監督賞>
1位 吉田大八(桐島、部活やめるってよ、紙の月)
41票/30.1%
2位 園子温(ヒミズ、地獄でなぜ悪い)
18票/13.2%
3位 是枝裕和(そして父になる)
12票/8.8%
4位 沖田修一(キツツキと雨、横道世之介)
11票/8.1%
5位 吉田恵輔(ばしゃ馬さんとビッグマウス、麦子さんと、銀の匙 Silver Spoon)
9票/6.6%
<投票結果 - 監督賞は?>
園子温監督は極端に好き嫌いがわかれる監督ですが、コアな映画ファンに支持されて2位に。ちなみに2015年にはその監督の作品が4つも公開されます。
是枝監督は1本のみでも3位にランクイン。さすがはベテランです。
吉田恵介監督は個人的にもっと上位に来てもいいんだけど、観た人が少ないからだろうな。観ればいいと思うよ(とくに『さんかく』)。
[秀逸コメント]
是枝裕和 重いテーマなのに見て疲れない、子役にギリギリまで台詞を教えない本番のリアリティーさが凄い!
<脚本賞>
1位 内田けんじ(鍵泥棒のメソッド)
23票/25.3%
2位 喜安康平&吉田大八(桐島、部活やめるってよ)(追加)
12票/13.2%
3位 早船歌江子(紙の月)
10票/11.0%
4位 足立紳(百円の恋) (追加)
9票/9.9%
5位 西田征史(アフロ田中、小野寺の弟・小野寺の姉)
7.7% (7票/7.7%)
<投票結果 - 脚本賞は?>
内田けんじは『鍵泥棒』において監督も兼任。脚本賞にて1位となりました。ほかにも内田監督は『運命じゃない人』『アフタースクール』など、一貫して監督と脚本の両方を手がけている。寡作だけど、どれも脚本の妙が光る作品ばかり。さらに活躍してほしい映画人のひとりです。
早船歌江子さんは、『紙の月』の原作に登場しないキャラをこれ以上なく上手く動かした手腕が評価されています。
西田征史さんは『TIGER&BUNNY』の脚本もアニメファンから絶賛を受けているようです。
[秀逸コメント]
外山文治(燦燦) 画太郎漫画が頭に浮かぶような話をあそこまでロマンチックに書けるとは
<主演男優賞>
1位 ピエール瀧(凶悪)、神木隆之介(桐島、部活やめるってよ) (追加)
15票
3位 高良健吾(武士の献立、横道世之介)
14票
4位 染谷将太(ヒミズ、寄生獣PART1)
13票
5位 鈴木亮平(HK/変態仮面、TOKYO TRIBE) (追加)
12票
<投票結果 - 主演男優賞は?>
神木隆之介はいろいろな作品にコンスタントに出演しているし、『神さまの言うとおり』ではサイコ野郎に扮するなど、さらに演技の幅を広げた感じ。順当な1位です。
そして同率1位のピエール瀧は『凶悪』の一役だけでもぎとっていった感じ。もう何やっても殺人鬼にしか見えないよ・・・とても『アナ雪』のオラフ役だとは思えない。
<主演女優賞>
1位 安藤サクラ(百円の恋)
36票
2位 二階堂ふみ(ヒミズ、ほとりの朔子)
21票
3位 宮沢りえ(紙の月)
14票
4位 池脇千鶴(そこのみにて光輝く) (追加)
10票
5位 松たか子(小さいおうち、夢売るふたり)、小松菜奈(渇き。、近キョリ恋愛)
6票
<投票結果 - 主演女優賞は?>
『百円の恋』1本だけで、安藤サクラがぶっちぎりの1位に。
単館公開のために観ている人は少ないと思うのですが、個人的に『百円の恋』を観ると主演女優賞は安藤サクラ以外に考えられなくなるレベルだと思う。
彼女はこの映画で「真性のダメ人間がボクシングに熱をあげて、ちょっとだけマシになっていき、最後には驚くほどの変化を見せる」という役を完璧に演じている。その姿だけで泣ける。
極端な役を演じるようなイメージのある安藤サクラですが、『ペタル ダンス』や『0.5ミリ』ではふつうにかわいい女の子を演じていたりもします。
<助演男優賞>
1位 リリー・フランキー(そして父になる、凶悪)
37票
2位 長谷川博己(地獄でなぜ悪い、舞子はレディ)
15票
3位 藤原竜也(藁の楯、るろうに剣心 京都大火編)
12票
4位 菅田将暉(そこのみにて光り輝く) (追加)
11票
5位 池松壮亮(ぼくたちの家族、紙の月) (追加)
9票
<投票結果 - 助演男優賞は?>
リリー・フランキーが『凶悪』の吐き気を催すような邪悪な役から、やさしいおじさんまでを難なく演じきる幅の広さを見せて納得の1位。
『凶悪』のピエール瀧とリリー・フランキーのコンビが、同年公開の『そして父になる』ではふつうの役を演じているというのはもはやギャグの領域ですね。
また、『そこのみにて光り輝く』において、菅田将暉は素晴らしいクズ演技を披露しています。
<助演女優賞>
1位 黒木華(小さいおうち)
29票
2位 深津絵里(寄生獣PART1)
21票
3位 小林聡美(紙の月) (追加)
13票
4位 吉高由里子(横道世之介) (追加)
12票
5位 余貴美子(あなたへ、寄生獣PART1、麦子さんと)
9票
<投票結果 - 助演女優賞は?>
『小さいおうち』で、主役の松たか子を食ってしまうほどの存在感を見せつけた黒木華が1位となりました。ちなみによく間違えられますが、黒木「はな」ではなく、黒木「はる」と読みます。
2位の深津絵里は『PART1』の時点ですごかったのですが、最終形態は翌年公開の『寄生獣 完結編』でしたね。あの表情には感動した!
3位の小林聡美さんは「語ろう会」でも推す声が多かったです。作中で唯一感情移入できる役柄ですし。
<照明賞>
渡邊孝一(許されざる者、東京家族、小さいおうち)
<録音賞>
林大輔(ガール、くじけないで、神様のカルテ2)
<編集賞>
渡部亮平(かしこい狗は、吠えずに笑う)
この3つは実際に自主映画を制作されている神谷兄弟監督が考えてくれました!
以下の記事をお読みください。
<「日本俺らだけアカデミー賞(3年ぶん)」を決めよう! く◯映画学会>
どれも映画を縁の下から支える、重要なものばかりです(たとえば、『セッション』がアカデミー賞の編集賞を受賞しているのはとても納得できます)。
<美術賞>
1位 橋本創「るろうに剣心 京都大火編・伝説の最期編」 (追加)
9票/29.0%
2位 種田陽平(思い出のマーニー、蜩の記)
8票/25.8%
3位 上條安里(永遠の0、おおかみこどもの雨と雪)
7票/22.6%
4位 林田裕至(TOKYO TRIBE) (追加)
4票/12.9%
5位 吉田孝
2票/6.5%
<投票結果 - 美術賞は?>
美術監督というのは、監督や俳優に比べてあまり名前が脚光を浴びないのですが、画(え)が大きな魅力になっている映画においてはとても重要な存在です。
『るろうに剣心』の、邦画とは思えない思えないスケールの大きさは、橋本創さんがいなければ出せなかったものなのでしょう。
<音楽賞>
1位 久石譲(風立ちぬ、かぐや姫の物語)
16票/40.0%
2位 高木正勝(おおかみこどもの雨と雪、夢と狂気の国)
9票/22.5%
3位 黒猫チェルシー&爆弾ジョニー(日々ロック) (追加)、little moa、小野雄紀、山口龍夫(紙の月)、NARASAKI(楽園追放 -Expelled from Paradise-) (追加)
<投票結果 - 音楽賞は?>
音楽界の重鎮、久石譲が貫禄の1位。
『かぐや姫の物語』の「天人の音楽」はそのシーンとのギャップのある曲調のおかげで、頭から離れなくなった人も多いようです。
<外国作品賞>
ゼロ・グラビティ
ふたりのみの投票となったので、そのふたりともが選んだ唯一の作品を選びました。
『ゼロ・グラビティ』は映画界に革命を起こした傑作なので、大量の投票があったとしても本作が選ばれた可能性は高いでしょう。
<主題歌賞>
1位 高橋優「陽はまた昇る」(桐島、部活辞めるってよ)
23票/28.4%
2位 星野源 「地獄でなぜ悪い」(地獄でなぜ悪い)
13票/16.0%
3位 クリープハイプ「百八円の恋」(百円の恋)
12票/14.8%
4位 二階堂和美「いのちの記憶」(かぐや姫の物語) (追加)
9票/11.1%
5位 ASIAN KUNG-FU GENERATION「今を生きて」(横道世之介)
6票/7.4%
<投票結果 - 主題歌賞は?>
これで高橋優を知った人も多いであろう、「陽はまた昇る」が1位に。曲調もさることながら、歌詞も映画とマッチしまくっている名主題歌です。
『かぐや姫』の主題歌「いのちの記憶」も、歌詞により映画に深みを与えています。
【総評】
とにかく『桐島』が強い!
作品賞、監督賞、主演男優賞、主題歌賞の1位は『桐島』であり、脚本賞でも2位です。
『凶悪』の悪役のインパクトがすさまじく、それだけでピエール瀧とリリー・フランキーが票を伸ばしていました。
『冷たい熱帯魚』のでんでんや『十三人の刺客』の稲垣吾郎のように、悪役というのは役者がもっとも輝く瞬間なのかも。『悪の教典』の伊藤英明も素晴らしかったですよね。
なお、本家日本アカデミー賞の結果は以下です。
2012
最優秀作品賞:桐島、部活やめるってよ(吉田大八)
最優秀アニメーション作品賞:おおかみこどもの雨と雪(細田守)
最優秀監督賞:吉田大八(桐島、部活やめるってよ)
最優秀脚本賞:内田けんじ(鍵泥棒のメソッド)
最優秀主演男優賞:阿部寛(テルマエ・ロマエ)
最優秀主演女優賞:樹木希林(わが母の記)
最優秀助演男優賞:大滝秀治(あなたへ)
最優秀助演女優賞 :余貴美子(あなたへ)
2013
最優秀作品賞:永遠の0(山崎貴)
最優秀アニメーション作品賞:STAND BY ME ドラえもん(山崎貴)
最優秀監督賞:山崎貴(永遠の0)
最優秀脚本賞:土橋章宏(超高速!参勤交代)
最優秀主演男優賞:岡田准一(永遠の0)
最優秀主演女優賞:宮沢りえ(紙の月)
最優秀助演男優賞:岡田准一(蜩ノ記)
最優秀助演女優賞 :真木よう子(そして父になる)
2014
最優秀作品賞:舟を編む(石井裕也)
最優秀アニメーション作品賞:風立ちぬ(宮崎駿)
最優秀監督賞:石井裕也(舟を編む)
最優秀脚本賞:渡辺謙作(舟を編む)
最優秀主演男優賞:松田龍平(舟を編む)
最優秀主演女優賞:真木よう子(さよなら渓谷)
最優秀助演男優賞:リリー・フランキー(そして父になる)
最優秀助演女優賞 :黒木華(小さいおうち)
こうして見ると、
『桐島』や『風立ちぬ』やリリー・フランキーや黒木華など一致して受賞している項目がある一方、
『STAND BY ME ドラえもん』や『永遠の0』や『テルマエ・ロマエ』など、大ヒット&宣伝にお金をかけまくった作品は、今回の「俺らだけ」にぜんぜん入ってこなかったりもしています。
本家アカデミー賞は決して的外れではないけど、ところどころ作品の評価よりもお金の匂いを感じるところがある、という印象も受けますね(憶測にすぎませんが)。
ちなみに、つぎの本家日本アカデミー賞(2016年3月4日開催)では、2014年12月に公開された『百円の恋』が対象作品となります。ぜひ、そちらで主演女優賞をもぎ取ってほしいものです。
後は、うん、みんな『横道世之介』をもっと観ろ。
2時間40分という上映時間にビビっているのか、周りでは『桐島』に比べると観ている人が少ないんだよなあ・・・
いい日本映画が、もっと多くの人に観られますように。
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邦画オールタイムベスト10を集計しました - 破壊屋ブログ(こちらでも『桐島』が大人気)
邦画オールタイム色々ベストテン - 破壊屋ブログ
>わかりやすい大衆向け映画から離れまくっている作品。
>こういう作品が高く評価されるのはイチ映画ファンとしてとてもうれしい。
そろそろモールのシネコンに行くと夏休み映画を観に映画館にとって最も太い客であるお子様方(+保護者の皆様)が増えて来ていますが、あの子達が大きくなってもこんな映画を観に映画館に来てくれると良いなあ・・・と願わずにはいられません。
「坊や、ポケモンも良いけどこっちの方が面白いよ?」と「ラブ&ピース」のシアターに子どもを連れ込んでしまう事案を起こさないように気をつけながら・・・。