映画『PAN パン ネバーランド、夢の始まり』が全米でネガティブに捉えられているふたつの理由
現在公開中の映画『PAN ネバーランド、夢の始まり』はかなーりお気に入りの作品なのですが・・・じつは全米での評価が芳しくありません。
Imdbでは6.0点、Rotten Tomatoesでは26%とイマイチパッとしていていないのです。
さらに興行成績は初登場3位、(莫大な制作費をかけたために)利益率で考えれば『ファンタスティック・フォー』よりもコケているという有様なのです。
なぜこうなったのかといえば・・・映画の出来と関係ないところでネガティブに捉えられる要素があることが理由でしょう。
そのふたつの理由を書いてみます。
(1)タイガー・リリー役にルーニー・マーラを配役した。
もともとタイガー・リリーはネイティブ・アメリカンを思わせるキャラクターでした(原作小説では“有色人種”として書かれています)。
しかし、本作では白人であるルーニー・マーラがこの役を演じるということで批判が殺到、彼女の降板を求める署名運動まで起こったのです。

※同じキャラです。
「タイガー・リリーのイメージとは違う」、「ネイティブ・アメリカンの女優から仕事を奪った」、「ネイティヴ・アメリカンの文化は歴史上重要であるのに、それを映画の中で隠そうとしている」と怒られているというわけです。
ジョー・ライト監督自身は「ネバーランドの部族は、世界中のあらゆる人々が混在する設定にした。そのため、スクリーン上には幅広く、さまざまな文化を反映している」と語っていましたし、映画の中でルーニー・マーラはさすがと言える存在感を見せていました。
1953年版の実写映画では、むしろタイガー・リリーの役柄が差別的であると批判を浴びていたこともあるので、この配役は差別的な批判を避けての決定なのではないでしょうか(けっきょく、逆効果になってしまったようですが・・・)。
批判の意見も理解はできるのですが・・・ここまでルーニー・マーラの配役に度を超えて否定的な要素があると、逆差別的に思えて仕方がありません。
(2)作中で海賊たちがニルヴァーナの楽曲を合唱している
海外では、ニルヴァーナは神格化されているほどに人気のあるグループです。
作中ではニルヴァーナの超有名な楽曲を「悪役」である海賊たちに歌わせているために、「名曲を汚すな!」「時代背景(本作は第二次世界大戦中の話)とも関係ないだろ!」と怒られているというわけです。
※この曲を海賊たちが大合唱するうえ、その歌詞は物語の展開とも関係しています。
※作中ではこちらのラモーンズの楽曲も海賊たちが歌います。
海外の評判を見てみると、この海賊たちが「Smells Like Teen Spirit」を歌うシーンは、「これまで見たこともないくらいにファ◯キングだ!」「馬鹿げている」「ありえねえ」などと罵詈雑言の嵐でした。
あまりニルヴァーナになじみのない日本人からすると、「そんなに悪くない」「むしろ海賊の悪どさが出ていて好きなんだけど・・・」と思うのですが、確かに大好きなアーティストの楽曲を悪役に歌わせているというのは、いい気はしないかもしれませんね。
とりあえず言っておきたいのは
・上の(1)(2)で挙げたネガティブな要素は、あまりピーター・パンやニルヴァーナに思い入れのない日本人には関係ない
・作品はゴージャスなCGで彩られた胸踊る冒険譚活劇なので、親子で観に行って損はない
ということです。
(邪推であるかもしれませんが)このふたつのネガティブな要素が興行成績、評価にも少なからずや影響していると思います。
人種差別などを描くことで問題提起をする映画はありますが、本作はあくまで『インディー・ジョーンズ』のような冒険を、ファンタジー世界において楽しめるという夢のような作品なのです。
こうした映画本編と関係ないネガティブな要素を気にせず、楽しい夢をみることを期待して、劇場に足を運ぶことをおすすめします。
参考↓
<『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』ジョー・ライト監督インタビュー 海賊がニルヴァーナを歌う理由とは? | ガジェット通信>
映画本編の感想↓
<映画『PAN パン ネバーランド、夢のはじまり』黒ひげが本当に望んでいたこととは?>
(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
Imdbでは6.0点、Rotten Tomatoesでは26%とイマイチパッとしていていないのです。
さらに興行成績は初登場3位、(莫大な制作費をかけたために)利益率で考えれば『ファンタスティック・フォー』よりもコケているという有様なのです。
なぜこうなったのかといえば・・・映画の出来と関係ないところでネガティブに捉えられる要素があることが理由でしょう。
そのふたつの理由を書いてみます。
(1)タイガー・リリー役にルーニー・マーラを配役した。
もともとタイガー・リリーはネイティブ・アメリカンを思わせるキャラクターでした(原作小説では“有色人種”として書かれています)。
しかし、本作では白人であるルーニー・マーラがこの役を演じるということで批判が殺到、彼女の降板を求める署名運動まで起こったのです。


※同じキャラです。
「タイガー・リリーのイメージとは違う」、「ネイティブ・アメリカンの女優から仕事を奪った」、「ネイティヴ・アメリカンの文化は歴史上重要であるのに、それを映画の中で隠そうとしている」と怒られているというわけです。
ジョー・ライト監督自身は「ネバーランドの部族は、世界中のあらゆる人々が混在する設定にした。そのため、スクリーン上には幅広く、さまざまな文化を反映している」と語っていましたし、映画の中でルーニー・マーラはさすがと言える存在感を見せていました。
1953年版の実写映画では、むしろタイガー・リリーの役柄が差別的であると批判を浴びていたこともあるので、この配役は差別的な批判を避けての決定なのではないでしょうか(けっきょく、逆効果になってしまったようですが・・・)。
批判の意見も理解はできるのですが・・・ここまでルーニー・マーラの配役に度を超えて否定的な要素があると、逆差別的に思えて仕方がありません。
(2)作中で海賊たちがニルヴァーナの楽曲を合唱している
海外では、ニルヴァーナは神格化されているほどに人気のあるグループです。
作中ではニルヴァーナの超有名な楽曲を「悪役」である海賊たちに歌わせているために、「名曲を汚すな!」「時代背景(本作は第二次世界大戦中の話)とも関係ないだろ!」と怒られているというわけです。
※この曲を海賊たちが大合唱するうえ、その歌詞は物語の展開とも関係しています。
※作中ではこちらのラモーンズの楽曲も海賊たちが歌います。
海外の評判を見てみると、この海賊たちが「Smells Like Teen Spirit」を歌うシーンは、「これまで見たこともないくらいにファ◯キングだ!」「馬鹿げている」「ありえねえ」などと罵詈雑言の嵐でした。
あまりニルヴァーナになじみのない日本人からすると、「そんなに悪くない」「むしろ海賊の悪どさが出ていて好きなんだけど・・・」と思うのですが、確かに大好きなアーティストの楽曲を悪役に歌わせているというのは、いい気はしないかもしれませんね。
とりあえず言っておきたいのは
・上の(1)(2)で挙げたネガティブな要素は、あまりピーター・パンやニルヴァーナに思い入れのない日本人には関係ない
・作品はゴージャスなCGで彩られた胸踊る冒険譚活劇なので、親子で観に行って損はない
ということです。
(邪推であるかもしれませんが)このふたつのネガティブな要素が興行成績、評価にも少なからずや影響していると思います。
人種差別などを描くことで問題提起をする映画はありますが、本作はあくまで『インディー・ジョーンズ』のような冒険を、ファンタジー世界において楽しめるという夢のような作品なのです。
こうした映画本編と関係ないネガティブな要素を気にせず、楽しい夢をみることを期待して、劇場に足を運ぶことをおすすめします。
参考↓
<『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』ジョー・ライト監督インタビュー 海賊がニルヴァーナを歌う理由とは? | ガジェット通信>
映画本編の感想↓
<映画『PAN パン ネバーランド、夢のはじまり』黒ひげが本当に望んでいたこととは?>
(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
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No title
wikipediaによれば総合的には「アクション要素や脚本は素晴らしいがそれでも前日譚としての不発感がある」との評価の様ですが…なるほどそういう背景もあるのかもしれませんね。
昔と比べると現代の方が人種に対して寛容ですしその意味では原典通り米国原住民にした方がとの意見も御尤もだと思いますがライト監督の意見も一理あると思いますしこの作品の場合人種差別問題提起のための作品じゃないしタイガー・リリーが米国原住民か否かというのは重要なことでもないだろうって思います。
NIRVANAに関してはそりゃファンにとっては悪役が歌ってるというのもいい気はしないっていうのもわからんでもないですが別にそれで穢れるようなこともないだろうって思います。
時代背景云々もそういうのは問題ではないだろうって思います。それよりも歌詞の内容見てみましたが確かにリンクしてるように見えるので歌わせたのはそういう意味じゃ間違いでもないだろうと思います。
そうはいっても「嫌なものは嫌」なので半ば仕方のないところもあるのでしょうが「でもそれ等の批判って作品の本筋とは関係ないよね」と訊かれて否定できることではないですからねえ…。
昔と比べると現代の方が人種に対して寛容ですしその意味では原典通り米国原住民にした方がとの意見も御尤もだと思いますがライト監督の意見も一理あると思いますしこの作品の場合人種差別問題提起のための作品じゃないしタイガー・リリーが米国原住民か否かというのは重要なことでもないだろうって思います。
NIRVANAに関してはそりゃファンにとっては悪役が歌ってるというのもいい気はしないっていうのもわからんでもないですが別にそれで穢れるようなこともないだろうって思います。
時代背景云々もそういうのは問題ではないだろうって思います。それよりも歌詞の内容見てみましたが確かにリンクしてるように見えるので歌わせたのはそういう意味じゃ間違いでもないだろうと思います。
そうはいっても「嫌なものは嫌」なので半ば仕方のないところもあるのでしょうが「でもそれ等の批判って作品の本筋とは関係ないよね」と訊かれて否定できることではないですからねえ…。
勉強になります
ヒナタカさん解説ありがとうございます。
あまりにも評価が低かったんで何でだろうと思ってたらそういう事だったんですね…
有色人種の登場人物を白人に変えたのは「エアベンダー」でもやってましたけど
エアベンダーほど露骨に差別感たっぷりって感じではなかったですけどね…
(シャマランを貶しているわけではなく、あくまで制作会社に問題があったと思っています)
歌に関してはもうこれは正直「知らねえよそんなのwwww」としか言えないですね。
それだったらキングスマンで人類滅亡の歌に「Give it up」使ったから
KC&the Sunshine Bandのファンは怒るのか?って話ですし
いちいちそんな事に目くじら立ててどうすんの?って思いますね。
あまりにも評価が低かったんで何でだろうと思ってたらそういう事だったんですね…
有色人種の登場人物を白人に変えたのは「エアベンダー」でもやってましたけど
エアベンダーほど露骨に差別感たっぷりって感じではなかったですけどね…
(シャマランを貶しているわけではなく、あくまで制作会社に問題があったと思っています)
歌に関してはもうこれは正直「知らねえよそんなのwwww」としか言えないですね。
それだったらキングスマンで人類滅亡の歌に「Give it up」使ったから
KC&the Sunshine Bandのファンは怒るのか?って話ですし
いちいちそんな事に目くじら立ててどうすんの?って思いますね。
2015-11-04 20:30 :
ラリーB URL :
編集
Re: 勉強になります
ラリーBさんのコメントを受けて書いたところもあったので、とてもうれしいです。
いいこまさんの言うとおり、本作は「前日譚としてはちょっと」な点も批判されているのですが・・・まあそれはそれで。
>歌に関してはもうこれは正直「知らねえよそんなのwwww」としか言えないですね。
けっこうこの歌の歌詞がラストに生きているので、いい使い方だと思うのですけどね。ファンは寛大な心で受け入れてもいいんじゃないかと。
いいこまさんの言うとおり、本作は「前日譚としてはちょっと」な点も批判されているのですが・・・まあそれはそれで。
>歌に関してはもうこれは正直「知らねえよそんなのwwww」としか言えないですね。
けっこうこの歌の歌詞がラストに生きているので、いい使い方だと思うのですけどね。ファンは寛大な心で受け入れてもいいんじゃないかと。
2015-11-04 21:44 :
ヒナタカ URL :
編集
No title
もともと原作の「子どもキレイ、大人キタナイ」な世界感が幼稚園の頃から偽善的に感じて嫌いだったのですが、昨今流行りの古典児童文学の悪役再考察作品が好きなのと、ピーターとフック船長が実は親友同士だった!という、「雪の女王とアナが姉妹」「マレフィセントで八日目の蝉」以上の衝撃に打たれて観て来ました。
楽しめました!けど、けっきょくピーターとフックの確執の謎は明かされず、というかあれだけ強い絆で結ばれた二人がいつか宿敵同士になってしまうかと思うと悲しいラストに見えました。
>1953年版の実写映画では、むしろタイガー・リリーの役柄が差別的であると批判を浴びていたこともあるので
>、この配役は差別的な批判を避けての決定なのではないでしょうか(けっきょく、逆効果になってしまったようですが・・・)。
メンドクセエ・・・心底メンドクセエ・・・でも今年の「ファンタスティック・フォー」のジョニーは許せないよ!絶対に許せないよ・・・?
(この改変のおかげでスーとも義姉弟になってしまったし)
「マイティ・ソー」のヘイムダルも北欧神話は黒人の存在を否定してるように見えてしまうから・・・て配慮説もあるそうですけど。
(でもホーガンは原作でも北欧神なのに思いっきりアジア人な容姿なので、浅野忠信さん起用には歓喜しましたけど!)
でもやっぱり「画面が○○人だらけ」を理由に原作と人種は変えちゃイカンと思います。
>(2)作中で海賊たちがニルヴァーナの楽曲を合唱している
海賊も歌ってましてけど、殆どは子どもの頃誘拐されてずっと苦役させられている工夫の皆さんだったような・・・なので、この記事を読むまで「お仕事がんばろう!」的な歌かと思ってました!
楽しめました!けど、けっきょくピーターとフックの確執の謎は明かされず、というかあれだけ強い絆で結ばれた二人がいつか宿敵同士になってしまうかと思うと悲しいラストに見えました。
>1953年版の実写映画では、むしろタイガー・リリーの役柄が差別的であると批判を浴びていたこともあるので
>、この配役は差別的な批判を避けての決定なのではないでしょうか(けっきょく、逆効果になってしまったようですが・・・)。
メンドクセエ・・・心底メンドクセエ・・・でも今年の「ファンタスティック・フォー」のジョニーは許せないよ!絶対に許せないよ・・・?
(この改変のおかげでスーとも義姉弟になってしまったし)
「マイティ・ソー」のヘイムダルも北欧神話は黒人の存在を否定してるように見えてしまうから・・・て配慮説もあるそうですけど。
(でもホーガンは原作でも北欧神なのに思いっきりアジア人な容姿なので、浅野忠信さん起用には歓喜しましたけど!)
でもやっぱり「画面が○○人だらけ」を理由に原作と人種は変えちゃイカンと思います。
>(2)作中で海賊たちがニルヴァーナの楽曲を合唱している
海賊も歌ってましてけど、殆どは子どもの頃誘拐されてずっと苦役させられている工夫の皆さんだったような・・・なので、この記事を読むまで「お仕事がんばろう!」的な歌かと思ってました!
2015-11-04 22:07 :
毒親育ち URL :
編集
Re: No title
>でも今年の「ファンタスティック・フォー」のジョニーは許せないよ!絶対に許せないよ・・・?
> (この改変のおかげでスーとも義姉弟になってしまったし)
あの改変は意味不明でしたよね・・・きょうだいの確執や仲の良さなんててんで描かれないし。あれに比べれば本作はマシどころじゃありません。
> (この改変のおかげでスーとも義姉弟になってしまったし)
あの改変は意味不明でしたよね・・・きょうだいの確執や仲の良さなんててんで描かれないし。あれに比べれば本作はマシどころじゃありません。
2015-11-04 23:22 :
ヒナタカ URL :
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承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2019-08-06 18:30 :
:
編集