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『独裁者と小さな孫』まさしく絶望の旅だった(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は独裁者と小さな孫(英題:The President)です。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:平和でいられないのかな・・・

あらすじ


独裁政権化のどこかの国で……。
大統領は国民から搾取した税金で贅沢な暮しをし、多くの罪なき国民を処刑してきた冷酷で無慈悲な男だった。
そんなある日クーデターが勃発。大統領への報復を狙う民衆たちは暴徒化する。
全国民から追われる身となった大統領とその孫は、貧しい床屋からボロボロの服を奪い、旅芸人のように振る舞いながら、逃亡を図る。




キシュ島の物語』『カンダハール』のモフセン・マフマルバフ監督最新作です。

本作『独裁者と小さな孫』の物語は「大統領のおじいちゃんと小さな孫が、独裁政権がひっくりかえったので逃亡する」と、ド・シンプルでした。

<before>
独裁者1<権力で街中の光を消すことができるぜ!

<after>
独裁者2<NO 権力(しかも賞金首)

いわゆるロードムービーもの、孫は女の子に変装しても違和感がないほどにかわいいので、きっと楽しいシーンもあるんだろうな〜と思っていたらすみませんめちゃくちゃ鬱になります

いやね、この映画の大統領は「わしらがいちばん偉いんじゃー」「歯向かうものは即処刑するんじゃー」とほざいているクズなので、民衆に復讐されたら「ざまあ」な感情がちょっとは目覚めるかと思ったんです。

でも違いました。ふたりの道中はこの世の地獄なので、「もうやめてあげて」な気持ちにいっぱいになります。

周りは大統領を恨んでいるので全員敵!
懸賞金をかけられたので誰も信用できない!
昔の仲間は見るも無残な姿になっている!
しかも人生の希望を根こそぎ奪われるシーンまであるので、Let's ネガティブ シンキン☆がしたいときにはぴったり(?)な映画です。

直接的な描写が避けられているとはいえ、PG12指定は大納得。
今年公開された『ハーモニー』とセットで観れば、この世の絶望をたっぷりと味わえることでしょう。

本作で思い出したのは、戦争でひどい状態になっても、息子にやさしいウソをつき続ける父親の愛を描いた『ライフ・イズ・ビューティフル』でした。

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感動大作として語られることが多い作品ですが、個人的にはこれが超落ち込む映画だったんですよ・・・。いや、もちろん『大統領と小さな孫』よりはまだ希望があるのですが。


本作をオススメできるポイントは、架空の独裁政権下の国を舞台にして、寓話的に戦争と平和という題材を描いていること。
戦争映画の中には、お偉いさんたちの会議シーンが退屈(←頭の悪そうな発言)だったり、実際の歴史を知っていないと楽しみにくいという場合もあるのですが、本作にはそんな心配は無用です。
大統領と孫のふたりの目線での旅を描いているので、とても感情移入がしやすい内容でした。
(PG12指定ですが)子どもにも十分理解できるでしょう。

戦争のエグさをわかりやすく描いているという点では、秀作『猿の惑星:新世紀 ライジング』も思い出しました。


なお、マフマルバフ監督は「芸術(映画)が世の中に変化を起こすことができる」という確かな信念を持っているお方です。
それは、監督の経歴を見ても納得できます。
15歳で地下活動に参加し、17歳より4年半獄中生活を送る。
亡命生活を続けながら10カ国を渡って映画を製作。
祖国イランで作品の上映が禁じられても、たとえ殺されかけても、自分の作りたい映画を撮っているのですから・・・。

本作で主張されているのは、独裁政権を潰したからって平和になるとは限らないという、世の中の真理、そして地獄です。
映画を観れば、本作『独裁者と小さな孫』の中に、監督のメッセージがぎっしり詰まっているということを感じられるはずです。


本作をオススメしにくいポイントは、単純に鬱になりまくる映画であるということ。
公式サイトなどでは「極限の中にもユーモアがある!」と書かれおり、まあ確かにクスッと笑えるシーンもあるんですが、それは映画のごく一部のみ。実際は地獄のような描写が大半です。
デートで観たら、その後の食事が無言になるレベルでキッツいので、心身ともに健康なときに観たほうがいいでしょう。


また、本作は冒頭部分がとても秀逸。ここから一気に映画に引き込まれました。


※ある意味ネタバレなので注意。

ここから不安な未来を否応もなく想像しますが・・・「それ以上」のことがやってくるでしょう。

上映劇場は決して多くはないですが、近くにお住まいで、心にガツンとくる映画を求める方、世界平和を考えたい方に、ぜひおすすめします。

以下、中盤の展開と結末だけネタバレ↓ 鑑賞後にご覧ください。











〜ちょっと笑ったシーン〜

数少ない劇場で笑いが起きたシーンは、大統領が床屋のおじさんを脅迫しながら髭を剃ってもらうところ。
おじさんの「こいつ大統領だよね?」なリアクションにはクスクス、それ以上に手元が狂わないのかハラハラしました。
でもこのおじさん、客が1日に数人しかおらず、廃業寸前のかわいそうな人なんだよなあ・・・やっぱりあまり笑えないな。

あとは大統領と孫が(寒いから)段ボール箱に入って、手だけ出して握手をするシーンにはほっこりしました。かわいいな。



〜地獄のまま〜

本作の何がキツイって、登場人物の誰もが救われていないことですね。
中盤で強姦された女性は殺され、売春婦は生活から脱却することができませんでした。
孫がずっと会いたいと思っていた女の子、アリスの顛末もわからないままです。

極め付けは、離れ離れになった想い女のところにやっとの想いで辿り着いても、ほかの誰かと結婚をして子どもも生まれていて、居場所がなかったという男のエピソード。
このとき、カメラは男の絶望した顔のアップをずーっと映し続けているんですよね。

絶望の対象ではなく、登場人物の表情を映す・・・彼の気持ちが痛いほどわかるので、本当に辛かったです。


〜聞こえない〜

最後に孫は、おじいさんが民衆に血祭りにあげられそうになる声を、「聞きたくない」と拒みました。
ラストカットは孫が海辺で踊るというシーンです。

本作では、独裁政権が滅んでも、報復をされるという出来事が起こる、新たに人を虐げる者が現れるという、負のスパイラルをずっと描きつづけていました。
孫が「聞きたくない」と言ったのは、「(現実の出来事においても)そうした残酷な現実から目を背けていること」のメタファーに思えました。

でも、民衆の中には、大統領を殺すのをよしとはしない、民主化を訴える者もいました。
けっきょく大統領が許されたのかはわかりませんが・・・そうした者が少しでもいるのなら、世界は変えられるのかもしれません。

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2015-12-12 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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非公開コメント

現実と向き合う時
孫がお祖父さんにお話をしてとねだる…。大統領は皇太子にその数奇な譚を語る…。孫はそういう実際ののことではなくてと言う。ナチスの強制収容所での映画(ライフイズビューテフル)みたいな、これはゲームなんだよと言い聞かせるシーンが思い出される。本編ではラストに(こんなゲームは嫌だ)という孫の言葉で終わる。何もR指定にしなくても、映画の語り口そのものが、目を覆いたくなる現実の酷さを子どもには見せられないという愛情をいっぱいに含んでいたー。戦争の暴力テロの連鎖に悩む現代を切り取った現代版の映画(チャーリーの独裁者)!
2016-01-28 03:57 : PineWood URL : 編集
No title
アリスじゃなくて、マリアですね確か。
最後の男の提案こそ、解決策になり得るのでしょうか・・・なにもわからないですね。
2016-08-08 23:14 : URL : 編集
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『君の名は。』
『ゴーストバスターズ(2016)』
『シン・ゴジラ』
『ファインディング・ドリー』

<2016年上半期>
『葛城事件』
『TOO YOUNG TO DIE!』
『貞子 vs 伽椰子』
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『デッドプール』
『アイアムアヒーロー』
『ズートピア』
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<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
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『進撃の巨人 後編』
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『貞子3D2』
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『劇場版銀魂 完結篇』
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『るろうに剣心』
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<2012年上半期公開>
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『ファイナル・ジャッジメント』
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<2011年下半期公開>
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