ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

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『グランド・イリュージョン2 見破られたトリック』真実はここに(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はグランド・イリュージョン 見破られたトリック(原題:NOW YOU SEE ME 2)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:ごめん、やっぱりツッコませて

あらすじ


マジシャン集団のフォー・ホースメンは、マジックとイリュージョンで不正に搾取された金を奪取し、人々の注目の的になっていた。
彼らはハイテク企業の不正を暴こうとするが、何者かによっては失敗に終わる。その裏にはウォルター(ダニエル・ラドクリフ)という科学者の存在があった。




華麗で大胆なマジックを題材とした映画『グランド・イリュージョン』の続編です。

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前作のレビュー↓
いま、君が見ている 映画「グランド・イリュージョン」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

前作は細いところに目をつぶればやたらめったら楽しかったので、今作も大いに期待していました。
監督が『トランスポーター』『タイタンの戦い』のルイ・レテリエから、前作の魅力を台無しにした駄作『G.I.ジョー バック2リベンジ』のジョン・チュウにバトンタッチしていたのでイヤな予感がしましたが、そこは問題まあちょっとはあったかもしれないけどなかったです。
しっかり前作の魅力と欠点を受け継いでいました。超・超・超楽しかった!

魅力についてはネタバレなしで、以下に全力で書いております↓
<『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』をより楽しむための5つのポイント | シネマズ by 松竹>


……さてさて、小文字で書いたように、本作は手放しで絶賛できないわけで。何より「そのマジックは無理だろ!」「催眠術が無敵すぎるだろ!」といったツッコミどころが満載なんですよね。
劇中のマジックそのものはすべて現実でも可能なものであり、実際に特殊効果なしの「本物」がスクリーンに映し出されてはいるのですが、「その状況的に不可能に感じてしまう」ものが多いのです。

マジシャン集団フォー・ホースメンが派手なマジックで人々を魅了して目立ちまくっているのに、彼らがほぼ変装をしないまま潜入ミッションをしているのがそもそも変です。誰かに顔見られた瞬間、「あっフォー・ホースメンだ!」って言われるんじゃね?
彼らに必要なのは、マジックの技術はもとより『ミッション・インポッシブル』にあるような顔をベリィって剥がす変装技術だと思う。

前作でも思っていたのですが、この映画に必要なのは圧倒的な「小二病」の力なんです。
明らかに無理だろ的なツッコミをしてしまうのは野暮、無垢な子ども時代になんでも楽しめて、すげー!かっこいいー!と興奮していたときの病気にかかればマジで幸せ。そういうもんです。少年の心に戻りましょう!戻れよ!(自分に催眠術のスキルはありません)

まあ今回は脚本段階から「もうちょっとやりようなかったか」としか思えない、ツッコミどころか「ノイズ」と言ってもいいくらいに杜撰なシーンがあったんですけど……。そこをパワーアップしてどうする!
もう少しくらい、「気持ちよく騙される」ための工夫が欲しかったですね。

あと終盤のとある展開は、別の意味でまったく飲み込めないというかかなりイラっとしたよ?
何言ってもネタバレになるから↓に書きますけどさ。

そうそう、地味に邦題(サブタイトルのほう)がよくないよね。内容に即していないよ?


そんな不満はともかく、自分がこの映画が好きな理由は、とにかく「どんどんマジック出そーぜ!」「どんでん返ししてやろーぜ!」なサービス精神、ケレン味にあふれまくっているから。
細かいことを気にせず、ただただ楽しい映画を期待すれば、存分に満足できるんじゃないでしょうか。

ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター)のクズ男っぷりを観たい方はぜひどうぞ。
マジック好きな方はもちろんのこと、『君の名は。』が満席で入れなかったカップルにもオススメですよ。

ハリー・ポッターがクズい<クズオーラが半端ないハリー

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2016-09-04 : 映画感想 : コメント : 5 : トラックバック : 0
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『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影』シャドウ感ねえ!(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>(原題:Teenage Mutant Ninja Turtles: Out of the Shadows)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:安心と信頼のマイケル・ベイ節炸裂(上映時間短め)

あらすじ


タートルズの宿敵シュレッダー(ブライアン・ティー)は、バクスター博士(タイラー・ペリー)の協力で脱獄し、再びニューヨークを大混乱に陥れようとしていた。
さらに、ビーバップ(ゲイリー・アンソニー・ウィリアムズ)とロックステディ(ステファン・“シェイマス”・ファレリー)もシュレッダーの仲間に加わり、悪の帝王クランゲも異次元から襲来する。
タートルズたちはこの強敵たちに勝てるのか!?




アメリカンコミックの実写映画化作品であり、2014年に公開されたリブート作『ミュータント・タートルズ』の続編です。

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前作のレビューはこちら↓
まさに10代のヒーロー 『ミュータント・タートルズ(2014)』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

なぜか今回のタイトルが、ミュータント・タートルズ→ミュータント・ニンジャ・タートルズと、「ニンジャ」が付け加えられていますが、これは邦題をつける担当者の「なんでニンジャをアピールしていないんだよ!」という魂の叫びなんですかね?まあどっちでもいいか。

えー、でね、本作の感想ね。
キモかわいいカメたちが飛んだり跳ねたり、おバカな敵たちと戦っててちょう楽しかったです。おしまい。
……うん、もうそんなんで終わっていい内容なんだもん。


本作の何がすごいって、前作に引き続きハリウッドの破壊王マイケル・ベイが制作を務めており、その作家性がめっちゃ現れているということ。
具体的には、
(1)動きまくるカメラワーク
(2)ツッコミどころ満載のシナリオ
(3)しょうもないギャグ
あたりに集約されます。これでベイが監督じゃないってどういうことだってばよ。

とくに(1)はなかなかヤバいですねえ(褒めています)。
カメラが被写体に近すぎ、その被写体に合わせてグワングワン動きまくっているので、ときどきどーなってんだかわからなくなるのは『トランスフォーマー』のアクションそのまんまです。
まあこれもサービス精神満点で楽しいんでいいでしょう。

バカなキャラのしょうもない発言に対し、マジメなキャラが白い目で見るというギャグが多かったのがうれしかったですね。
作り手が「バカなキャラ多すぎたやべっ」という欠点をわかってんじゃん!やるじゃん!(上から目線)

そして旧アニメ版などを観た方にはおなじみの「クランゲ」のほか「ロックステディ&ビーバップ」という悪役が登場するのがいいですね。
クランゲのキモさが実写でさらにエンガチョな感じになっている(褒めています)のが素敵です。

何よりテンポがよく、上映時間が2時間に収まっており(それでも前作よりは10分長い)、気楽に頭空っぽで観られるのが最大の利点でしょう。
退屈しないような工夫は随所に凝らされているので、期待せずに観に行ったらとっても楽しめると思います。


まあストーリーは大したことがないです(わかっていました)。
中盤からタートルズたちがとあることで悩むようになるんだけど、それの解決方法がいくらなんでも性急すぎます。
「あの描写意味ないじゃん」「敵のニンジャ部隊が雑魚すぎ」など、ツッコミどころがいくらでも出てくるガバい脚本は一周回って楽しかったです。


また、吹き替え版で観たのですが、これもよかったです。
メインの4人のキャラとのマッチっぷりはもちろんですが、黒人の科学者に屋良有作、ボスキャラのクランゲに玄田哲章と、シュワちゃんの吹き替えをされていた大御所が両方出演されているのがたまりません。

宮川大輔&藤森慎吾の関西弁の吹き替えも、これなら十分にあり。
おふたりは関西弁でのアフレコに不安を感じていたそうで、なんだか好感が持てますね。存分に上手かったです。

ミュータントタートルズおバカなふたり<このふたりのキャラも大好きですよ。

『君の名は。』の大ヒットも手伝って劇場はガラガラ、初登場10位スタートというかわいそうなことになっているだけに、おすすめします。
『君の名は。』は一生忘れられない作品ですが、本作はとりあえず観ていただき1時間程度で忘れてしまっていい内容でした(どちらがいい悪いという話ではなく)。

一応続編なので前作を観ておいたほうがいいですが、基本的にアクションばっかなんで今回からでも楽しめます。2Dか3Dかはお好みで選びましょう。
頭空っぽなアクション映画を期待する人は、ぜひ劇場へ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ ツッコミ入れているだけです。

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2016-08-30 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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リブート版『ゴーストバスターズ(2016)』女性蔑視運動を跳ね返せ!(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はゴーストバスターズ(2016)です。


個人的お気に入り度:7/10(3Dで観れば9点)

一言感想:吹き替え3Dがベストチョイスだよ!

あらすじ


コロンビア大学の物理学者エリン(クリステン・ウィグ)は、旧友アビー(メリッサ・マッカーシー)が自分と共同発表した幽霊研究本を、許可なくAmazonで販売していることを知る。
なりゆきでエリンは、アビーとその相棒ホルツマン(ケイト・マッキノン)とともにゴーストの調査に向かうのだが……。




1980年代に一世を風靡したアクションコメディ『ゴーストバスターズ』のリブート(仕切り直し)作品です。

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本作が何より話題を集めたのは主人公4人が、オリジナル版のさえないおっさんたちから、全員女性になったということ、
公開された予告編が大ブーイング状態になっていたということ、
そのことを起因として、本作が女子蔑視運動に巻き込まれたことでした。

※詳しくはこちらで↓
<町山智浩 共和党大会とオルタナ右翼とゴーストバスターズ出演者ヘイトを語る>
※自分もこちらの記事に書きました↓
<『ゴーストバスターズ』を観る前に知ってほしい10のこと これを読めばもっと楽しめる! | シネマズ by 松竹>
※全米公開直前のIMBdの点数も酷いことになりました。

こんな、観ていない映画にやっかみをかけたり、出演者に差別的ツイートをする連中を気にすることなんかありません。
映画本編は本気で楽しくて、ほっこりと幸せになれる内容なんですから。

それどころか、この映画は世界中に溢れている女性蔑視を皮肉っている場面があったりするんですよね。
具体的には、『マイティ・ソー』の主演としてもおなじみのクリス・ヘムズワースのキャラ。こいつがいろんな意味で最高で最低で、女性ヘイト運動をしていたク◯野郎どもをおちょくっている感じがすんばらしいのです。

残念なイケメンクリスヘムズワース<史上最高に輝いているクリヘム

何より本作で言っておかなければならないことは、3D演出が最強クラスであること。
具体的にはスクリーンから「ハミ出」ます。これで往年のゴースト退治のビームが飛び出すんですよ!はいもう絶対に!3Dで!観ろ!!!!!!



そしてね、2回目を吹き替え版で観たのですが、こちらもまた最高。
主役ふたりを演じた友近と渡辺直美はまったく問題ない上手さであるし、ちょっとドスを効かせた声になっている朴璐美さん、おばちゃんっぽさがはまりすぎなくじらさん、森川智之さんは残念なキャラでも相変わらずのイケボ(イケメンボイス)を披露って最高か!
そんなわけで、吹き替え&3Dでみんなが幸せになることを強く訴えておきます。

ちなみに森川智之さんは、放送中のアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』でも、吉良吉影という変態殺人鬼を楽しそうに演じられています。いいぞもっとやれ。

日本の公式MVでは南海キャンディーズしずちゃんと椿鬼奴も出演しているんだけど、このふたりをちょい役に回して、朴璐美さんとくじらさんという本職声優の方をメインに迎えたのも英断でしたね。

あとね、ホルツマン(ケイト・マッキノン)というキャラがこれまた最高です。ぱっと見ではちょっとイっちゃっている性格なんだけど、作中では3、4回惚れるポイントがありますからね。

本作の問題点は、わりとどうでもいい下ネタ&ギャグまじりの会話が多いこと。
一応、序盤は旧友の下ネタにうんざりしていることなどがストーリーと絡んでいたりするのだけど、その多くはなくても本筋には関係ない感じ、ストーリーのテンポも悪くなっています。
これは、同じ女性コメディアンが脚本を手がけていた『デンジャラス・バディ(原題 THE HEAT)』と同じ印象でした。

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※楽しい映画なんだけどね。

本作の根底には、理系女子(略してリケジョ)、もっと言えばオタクな女子たちを応援するメッセージがあったりするんだけど、けっきょくは「数撃ちゃ当たる」なギャグに飲み込まれてしまって、あまり目立っていません。
このギャグ:シリアス=50:1くらいのバランスは意図したものなのでしょうですが、個人的には10:1くらいの割合が好みですね。4人のコメディエンヌによるギャグを存分見せたかったのはよくわかります。


でもそんな不満も、終盤のスペクタクル、カッコよすぎる「決め画」の連続を観ればすべてが許せます。
3Dで観れば、より「なんちゅうもんを見せてくれるんや……」と大感動できるでしょう。

なお、映画ネタがそこそこあるので映画ファンであればより楽しめる、オリジナル版『ゴーストバスターズ』のネタもあるのでファンならそこも楽しめるという要素もあります。
それでいて、メインのストーリーは前作を観ていなくてもまったく問題なく楽しめるのも長所。極めて万人向けな作品と言えるでしょう。

多少の下ネタはありますが、G(全年齢)指定でまったく問題のない塩梅。その下ネタは吹き替え版ではよりマイルドになっています。
ぜひご家族で、吹き替え&3D版でご覧ください。エンドロール中におまけがギッチリとあるのでぜひすべてご覧ください!GHOST BUSTERS!

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2016-08-21 : 映画感想 : コメント : 13 : トラックバック : 0
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『ジャングル・ブック(2016)』変わっていく価値観(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はジャングル・ブック(2016)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:超優等生だな!×モフモフかわいい!

あらすじ


少年モーグリ(ニール・セディ)は、黒ヒョウのバギーラから自然の厳しさと生き抜くための知恵を教わり、母オオカミのラクシャから惜しみない愛を注がれ、たくましくジャングルで生きていた。
しかし、人間への復讐心に燃える恐ろしいトラのシア・カーンは「人間はジャングルの敵だ!」と主張したため、オオカミたちのコミュニティに大きな動揺をもたらした。
バギーラはモーグリを人間の村まで導こうとするが……。




アイアンマン』『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のジョン・ファヴロー監督最新作にして、ラドヤード・キップリングの小説を映画化した作品です。
同作はディズニーアニメ版が有名で、タイトルを聞いてこちらを連想する方も多いのではないでしょうか。

ジャングル・ブック (新潮文庫)
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今回の2016年版『ジャングル・ブック』はこちらのような完全なアニメーションではなく、主人公の少年だけが本物で、残りのジャングルの風景や動物はすべてCGで表現しています

ジャングルブック全部がCG<スタジオ内ですべて作っております。

はい、とんでもないですね。
特筆すべきは動物たちの質感で、歩くたびに光の当たり方が変わったり、水に濡れた後の毛並みなど、マジで本物としか思えません。
最近では『ファインディング・ドリー』や『ペット』など、デフォルメされた動物たちによる可愛いアニメ映画が生まれていましたが、本作はその真逆を突っ走っています。

それでいて、出てくるリアル動物たちが可愛いの!モッフモフなの!
とくにクマのバルーのお腹に乗っかりながら、川を下っていくモーグリには「お前ちょっとその場所代われ!」と言いたくてしかたがない。
ディズニーアニメ版でもたいがいうらやましかったんですが、リアルになることでこんなにも妬ましくなるなんて!

Hallmark Disney <BEFORE

ジャングルブックバルーかわいい<AFTER

パディントン』と同じく、リアル系のクマに萌えたい方はもう必見なのではないでしょうか。


で、物語のほうなんですが、これがもう全方位的によくできていて、もはや脚本の優等生ぶりが鼻に付く勢いですよ!(『シンデレラ』もそんな感じだった)
「コミュニティの形成」「価値観の変化」について過不足なく描かれ、しかもメッセージが一元化しておらず、多様な価値観を持って描かれるんですよね。
しかも複雑で、世界中にあふれている問題を子どもにもわかりやすく伝えているんだわ。ズートピア』の再来か!
メッセージがやや一元化していた『ファインディング・ドリー』、設定やメッセージを全部吹っ飛ばして「ドタバタやってりゃそれでいいんじゃね?」な『ペット』とは対照的だなあ。

このへんは以前にも紹介した以下の記事で書いています↓
<『ジャングル・ブック』を観る前に知ってほしい10のこと!これは新たなディズニーの傑作だ! | シネマズ by 松竹>

あと、ディズニー映画版は物語の展開と帰着が「人種差別的である」と批判を浴びていたんですね(個人的にはそうは思わないけど)。
でも今回の映画では微塵もそういう批判が思いつかない。ポリティカル・コレクトネス的に完全に正しいことも、本作の美点でしょう。


そうそう、字幕版と吹き替え版(MX4D版)で2回観たのですが、どっちも最高だったということを強く言っておきたいです。
このへんのことや、悪役のトラのシア・カーンの魅力については人間映画Wikipediaとも語りました。



※音量バランスミスっててごめんなさい。
※ラジオの後半は激しくネタバレです。
※人間映画Wikipediaは「吹き替え版でキング・ルイを演じた石原慎一さんがいかにすごい人かを知れ!アニメ『レッドバロン』の主題歌の『戦え!レッドバロン』を聴け!このボケが!」と暑苦しく語っておりました。


しかも字幕版ではコビトイノシシ役を監督のジョン・ファブロー、インドオオリス役をなぜかサム・ライミが演じていることも聞き逃せませんね。


ともかくよくできた映画であり、老若男女に分け隔てなくオススメできます。
3D効果はそこそこレベルなので、今回は2Dでも十分でしょう(4D演出はなかなか効果的)。
ぜひぜひ、家族でご覧ください。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2016-08-18 : 映画感想 : コメント : 9 : トラックバック : 0
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『X-MEN:アポカリプス』神ではない存在(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はX-MEN:アポカリプスです。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:いつも通りで、集大成

あらすじ


1983年、ミュータントの始祖でもあるアポカリプス(オスカー・アイザック)が、突如として長い眠りから復活した。
アポカリプスはマグニートー(マイケル・ファスベンダー)をはじめとした4人のミュータントを率いて世界の破壊と創造に臨む。
一方、アポカリプスの存在と考えを知ったプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)は、ミスティーク(ジェニファー・ローレンス)たちとともにその野望を阻止しようと奔走する。




新生した『X-MEN』シリーズ、『ファーストジェネレーション』『フューチャー&パスト』に続く新3部作の完結編(?)です。

X-MEN:ファースト・ジェネレーション [Blu-ray]  X-MEN:フューチャー&パスト ローグ・エディション(2枚組) [Blu-ray]<新3部作のうちふたつ

X-MEN <特別編> [DVD] X-MEN2 (吹替版) X-MEN:ファイナルディシジョン [DVD]<旧3部作(時系列としては後)

ウルヴァリン:X-MEN ZERO [Blu-ray] ウルヴァリン:SAMURAI [DVD]<こっちも一応関わってきます。

ブログで書いていたレビュー↓
新シリーズの幕開けにふさわしい面白さ「X-MEN ファーストジェネレーション」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
過ぎ去りし過去 映画「X-MEN: フューチャー&パスト」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
ウルヴァリンは二度死ぬ?「ウルヴァリン:SAMURAI」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

新3部作と言っても、『アメイジング・スパイダーマン』のような「はじめから仕切り直し」にしているわけではなく、旧3部作と地続きの「過去」を描くようになっています。
『スター・ウォーズ』シリーズで先にエピソード4から描き、後にエピソード1が公開されたのと似ていますね。

それだけだったら単純なんだけど、『フューチャー&パスト』ではタイムパラドックスっていうか、作中で「過去のリセット」が行われているので、非常にややこしいことになっています。
このあたりは深く考えると頭が痛くなるし、なんか矛盾が見つかりそうなので、あまり触れないほうが幸せになれそうですね(もちろん深く考える楽しみもありそうだけど)。

さてさて、本国ではそこそこに賛否両論が聞こえてきた本作、結論から言えば個人的にはちょっとイマイチでした。
恒例の箇条書きをします。

(1)各キャラクターの掘り下げが浅い
限られた上映時間ではしょうがないことでもあるのですが、キャラクターが多すぎるためにそれぞれの描写が少なくなってしまっています。
味方サイドは十分によかったのですが、敵サイドの3人の手下は「洗脳されてついてきたの?」というくらいの印象しかない。これはモヤっとします。
(個人的には問題なかったのですが、4つくらいの視点が並行して展開する序盤は人によっては受け入れにくいかも)

(2)マグニートー(敵)の境遇がちょっと納得いかない。
前作のマグニートーは破壊しまくり、人類に宣戦布告したに等しいのに、また同じようなことで葛藤しなくても……と思ってしまいます。
しかも、今回のマグニートーは「えっ?」と驚く姿で登場します。いや、これは同情するんだけど、前作の展開からすると納得ができない……。
それだけだったらまだいいんだけど、後半のあの「事実」は序盤のこの描写を台無しにしちゃっていると思う。

(3)既視感が強い
メインのふたりである、プロフェッサーXとマグニートーの行動と関係が「またかよ」という感じで、少しがっかりしてしまいました。
いや、このふたりの関係こそがこのシリーズのミソであり、これがあってこそ大好きだったのですが……前作で存分に描かれてきたので、今回は違う切り口を期待してしまったのです。※もうこの2人のケンカとイチャイチャを楽しむシリーズかと開き直ったらいいじゃんという大納得の意見をいただきました。
それ以外にも、世界の建物が浮いて壊されるという画は『アベンジャーズ』『インデペンデンスデイ・リサージェンス』で観たばかりなんですよね。
序盤の森の中などのパーソナルな場面での画は洗練されているので、余計にもったいないです。

こういうのはどこかでみたなあ<ハリウッド映画でもう100回は観た光景

(4)バトルのカタルシスに乏しい
序盤から圧倒的な力をアポカリプスが見せつける……のはいいのですが、バトルに入るとその攻撃は意外と地味です。
もうちょっとだけでも、ラスボスの派手な見せ場がほしかったですね。

(5)あの人のあの扱い
もうネタバレだからいっさい書けないけど、笑っていいのか対応に困るシーンがあります(悪い意味で)。
この扱いはあのキャラが好きな人ほど納得ができなさそうだな。


おもしろいのは、1983年という時代背景を生かしていること。
『ファーストジェネレーション』でも1964年にキューバ危機が起きようとしていたことが物語と密接に絡んでいましたが、今回は各国が核兵器を保持していた時代ということがけっこうミソになっています。

また、役者の演技も、ここに来て完成されつつあります。
とくにマイケル・ファスベンダーとジェームズ・マカヴォイという主演ふたりはさらに圧巻の演技、この『X-MEN』というサーガの中で際立ったキャラクター性を見せています。

キャラとしては、「ナイトクローラー」が超魅力的でした。

X-MEN CLASSIC ナイトクローラー バストスタチュー<これはなんかちょっと違うけど。

なんていうか、純朴な青年でカワイイんですよね。『X-MEN2』でもこのキャラが出ていたのですが、今回はさらに萌えられました。
ちなみにナイトクローラーを演じたコディ・スミット=マクフィーは、『ぼくのエリ 200歳の少女』のリメイク、『モールス』でこれまた純粋な少年を演じていたりもします。


今回のボスキャラ、アポカリプスの思想、キャラクター性も奥深いですね。

X-MEN EVIL MUTANTS アポカリプス フィギュア<これもなんかちょっと違う

彼はミュータントたちを「息子」などと呼び、慈愛に満ちているように見える反面、劣っている人間たち(ミュータント以外)を根絶やしにしようとする「適者生存」「選民思想」的な考えの持ち主です。
アポカリプスは、その名が示すとおり終末預言という意味での「黙示録」を擬人化したような悪なのでしょう。

また、本作の日本のキャッチコピーは「最後の敵は、神」になっていますが、アポカリプスを客観的に見れば、決して神と呼べる人物ではないような気がします(一応神として崇められている描写はあるのですが)
本国のキャッチコピーは「ONLY THE STRONG WILL SURVIVE(強き者だけが生き残る)」。こちらのほうが、アポカリプスの選民思想が出ているものになっていますね。

ちなみに、アポカリプスを演じたのは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のポー・ダメロンや『エクス・マキナ』のメガネハゲヒゲを演じていたオスカー・アイザック。相変わらずのカメレオンっぷりがすげえよ(まああのメイクなら誰でも変わるけど)

しかも奥さん(主婦層にアピール)、吹き替え版でアポカリプスを演じるのは松平健なんですって!
以下の動画でも暴れん坊将軍の声が合いすぎていることがよくわかりますねえ。



そうそう、『フューチャー&パスト』で大活躍だったクイックシルバーが今回も最高でしたね!
もう中盤の彼のあのシーンだけで大満足できるってもんです。

RCOTOCOS xメン クイックシルバー ウィッグ xmen かつら コスプレ グッズ 小物 道具 コスチューム 仮装 x-men Quicksilver Wig Costume Cosplay Goods<コスプレもできます。


なお、メインのストーリーラインはシリーズ未見でも楽しめますが、細かいキャラの心理は『ファーストジェネレーション』『フューチャー&パスト』を観ておかないとさっぱりわかりません
自分は両作品の記憶がだいぶ薄れていたので、「これ誰だっけ?」な戸惑いも少なからずありました(ファンの方、ごめんなさい)。
なるべく、両作品を直前に復習したほうがよいでしょう。
ちなみに、先着入場者30万人限定で『フューチャー&パスト』 が見られるプレミアム・カードがプレゼントされているようなので、先に本作を観てから『フューチャー&パスト』を振り返るのもいいかもしれませんね。

いままでの映画『X-MEN』シリーズにあった「偏見や迫害をされるミュータントたち」「理念と理念のぶつかり合い」を描く、尊い精神性が存分にあらわれている作品です。
このシリーズの集大成的な作品として、ファンであれば大いに満足できるでしょう。

2Dで観ましたが、いままでのシリーズに比べれば3D映えしそうな画がいくつかあったので、3Dでもいいでしょう。
エンドロール後に恒例のおまけがあるので、最後まで観ましょう!

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2016-08-13 : 映画感想 : コメント : 11 : トラックバック : 0
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映画『ペット』リアリティとコンセプトをぶち壊せ!(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はペット(原題:The Secret Life of Pets)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:シークレット感ねえ!

あらすじ


ニューヨークで暮らすテリアのミックス犬のマックスは、大好きな飼い主ケイティと幸せな毎日を送っていた。
ある日ケイティは連れてきた毛むくじゃらの大型犬デュークを連れてくる。
マックスとデュークは反発し合うことになるのだが……。




えーとね、本作についてはいろいろと言いたいことがあるんですが、とりあえずうんざりするくらい劇場で流れていた予告(特報)だけを知って、後はなんの予備知識もなく観ればいいんじゃないかと思います

だってもう「楽しかった!」で終わればいい映画なんだもん。
アニメでワンちゃんやネコちゃんがあっと驚くことをしまくる。それだけでいいです。子どもも大人も劇場へGO!


まあそれで終わっては何なので、もうちょっと語りましょう。
本作はハリウッドの3DCGアニメ映画を手掛けてる台頭、ピクサー、ドリームワークスに次ぐ第3勢力イルミネーション・エンターテインメントによる最新作です。

怪盗グルーの月泥棒 (吹替版) 怪盗グルーのミニオン危機一発 (字幕版) ミニオンズ [DVD]
イースターラビットのキャンディ工場 [DVD] ロラックスおじさんの秘密の種  [DVD]<こんな感じのラインアップ

その作風を乱暴に言えば、いい意味での勢い任せ。
教訓とかしんみりとしたドラマとかそっちのけで、キッチュなキャラたちのドタバタギャグ、アクションの物量で攻める感じは嫌いではありませんよ(上から目線)。

で、本作はイルミネーション・エンターテインメントのそんな作風が全開です。
細けえことはいいんだよ!な展開のごり押しはもはや美点。
ご都合主義とか考えるのはもはや野暮。
しんみりした展開はクローズアップせず、「それよりも子どもが大好きなドタバタやろーぜ!」なことばっかりする心地よさ。

ファインディング・ドリー』で「タコのハンクがなんでもできすぎじゃない?」と不満を持ってる方はぜひ本作を観てみましょう。そんなレベルじゃない。リアリティとか必然性とかどうでもよくなるから。

ていうかさ、本作は「飼い主がいない間、ペットたちは何をしているんだろう?」という『トイストーリー』ライクなコンセプトであって、そういう「人間が知らないペットたちの姿」を見せるんだと思っていたんですよ。まあそうだったんだけど、なんかそういうんじゃなかった
ネタバレになるので↓に書きますが、とりあえず原題が「The Secret Life of Pets」のくせにシークレットな感じがいっさいないのが素敵。コンセプトぶっ壊れてんじゃねーか。

あとは日本語吹き替えキャストが素敵ですね。
・主役の犬、マックス&デューク:芸人バナナマンの設楽&日村
・太った姉御肌の猫のクロエ:永作博美
・やさしい飼い主のケイティ:佐藤栞里
・動物を見ると食欲が抑えられない鷹のタイベリアス:宮野真守
・物知りのバセットハウンドの老犬ポップス:銀河万丈
・愉快で陽気なモルモットのノーマン:梶裕貴
・態度の大きな野良猫スフィンクスのオゾン:山寺宏一
という豪華布陣。バナナマンのふたりも超うまいので問題ありません。

なによりもねえ……元気で可愛いポメラニアンのギジェットを演じる沢城みゆきさんが最高なんですよ。

ペットギジェット<右の子は萌えキャラです。

さらに、ウサギのスノーボールというキャラが明らかに「精神病院から抜け出したような狂人」として描かれていて、しかも声が中尾隆聖さんなんですよ。フリーザ様がめちゃくちゃ早口でキチ◯イな行動しまくるので最高だったぜ!

ペットフリーザ様<予想外にイっちゃっているキャラです。

フィギュアライズスタンダード ドラゴンボール フリーザ (最終形態) プラモデル<同じ声です。

字幕版は全国で7館しかないんですが、このクオリティなら大人も日本語吹き替え版で大満足できるでしょう。


いろいろ書いてきましたが、お話のほうは大したことがないというか、むしろすんげえ教育上悪いんじゃないかと(笑)。
いやあ主人公のあの行動がどーとかこーとか、文句のひとつも言いたいではないですか。まあこの映画についてはそれも野暮なんですが……。

ストーリーは二の次どころか三の次、作画スタッフが過労死するんじゃないかと思うくらいの圧倒的なサービス精神と、これでもかというアクションの応酬が本作の見どころだと断言します。
いやもうアクションのバリエーションだけで楽しくってしかたがない。路地裏の洗濯物干しを利用しまくったシーンは『アラジン』を思わせました。

そんなわけで、ウサギのキャラをおもとしてクレイジー(超誉めてる)すぎる作品ですが、ゲラゲラ笑えて何となく幸せになれる映画でした。

2Dで観ましたが、3Dを意識した画も満載なので3Dでもいいでしょう。
頭空っぽで観られる映画を期待している方に、大プッシュでオススメします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2016-08-12 : 映画感想 : コメント : 8 : トラックバック : 0
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『ロスト・バケーション』島の形の意味とは?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はロスト・バケーション(原題:THE SHALLOWS)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:サメ映画万歳!

あらすじ


医学生のナンシー(ブレイク・ライヴリー)は休暇を利用し、亡き母が教えてくれた秘密のビーチへ来ていた。
透き通った海でサーフィンを楽しむ彼女を、1匹の巨大な人食いザメが襲う。




サメが出てくる!美女とバトる!
そういう映画です!
ほら!とっとと観に行った!(乱暴な説明)


以下にも本作がすんげーおもしろかった理由を書きました。

<『ロスト・バケーション』は新たなサメ映画の傑作!全映画ファンが観るべき10の理由 | シネマズ by 松竹>
※ちょっと補足:shallowの意味を形容詞の「浅い」「浅薄な」しか書いていなかったけど、名詞の「浅瀬」を先に書くべきでしたね。Theがついているし。


最近、サメ映画のひそかなブームが来ていると思うのですよ。
ニコニコ動画では『シャークネード』ほかサメ映画8作品が連日放送され「午後のロードショー」で4週連続のサメ祭りが開催、漫画『姉のおなかをふくらませるのは僕』3巻では女子小学生と女子高生が熱くサメ映画について語ったりしているんですから。


※こういう女子が現実にも存在すると信じています(願望)

しかも奥さん!(主婦層にアピール)
10月2日まで、サメをたっぷり展示している海のハンター展が東京の上野で開催されているんですぜ!


そしてそして、動画でのク◯映画レビューで人気を博したばかりか、サメ映画の啓蒙活動に励む知的風ハットさんという素晴らしいお方まで現れました。
氏のゆっくりサメ映画レビュー動画を観れば、短時間でサメ映画がいかに素晴らしいかをそして時間の無駄としか思えないブツが多いかも知ることができるでしょう。

<以下はオススメのサメ映画だよ!>

ジョーズ [Blu-ray]<サメ映画というかモンスター映画の金字塔

ディープ・ブルー [Blu-ray]<いわゆる「死亡フラグ」を崩しまくった名作

シャークネード [DVD] シャークネード カテゴリー2 [DVD] シャークネード エクストリーム・ミッション [DVD]<サービス精神満載。とくに2は神!

パニック・マーケット DVD<ついにサメがスーパーマーケットに進出!

ゴースト・シャーク [DVD]<設定で出落ちかと思ったらけっこう楽しい

<あんまりおすすめしない>

ビーチ・シャーク [DVD]<冒頭からちょっと…。ハルク・ホーガンの娘が出演。

ダブルヘッド・ジョーズ [DVD] トリプルヘッド・ジョーズ [DVD]<頭が増えれば面白さも倍。そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。

<アレ>

ジュラシック・シャーク [DVD]IMDbで驚異の1.5点。ていうかサメはほとんど出てこない。

※こちらもぜひ参考にしよう!
<【目次】『かあさんこのサメどうかしら』レビュー作品一覧 - かあさんこのサメどうかしら>

とまあサメ映画は玉石混合、路傍の石にも満たないアレも存在するわけですが、「おれのかんがえたさいきょうのサメが出て来ればいいんだ!」「美女とサメがあればそれでいいんだ!」という映画も世の中に必要だと思うんですね(しみじみ)。
『ジョーズ』以外の上記に挙げた作品は、観る人の人生に何の影響も与えないでしょう(もちろんいい味で)。

で、ここに来て『ロスト・バケーション』という、小細工なしの直球勝負、B級ではないA級のサメ映画が生まれたわけですよ。
待った……待った……この映画を待っていましたよ!(震えながら)

キレのある映像の編集、『ジョーズ』ばりの恐怖、『トレマーズ』のような一定のルールで戦うおもしろさ、『127時間』並の極限サバイバル、そして『ゼロ・グラビティ』のようなメッセージまでもがある。
幸せか!ここに来てサメ映画の名作を劇場で堪能できるなんて幸せか!

ロスバケ画像<画も格調高い仕上がりです。

現在は『シン・ゴジラ』という規模も被害もマキシマムなモンスター映画も公開されていますが、この『ロスト・バケーション』はまったく逆。超ミニマムな場所での人間とモンスターの戦いを描いているというのもいいですねえ。


なお、単純明解な内容と思われがちですが、序盤の会話からその後の展開をほめのかしているなど、脚本には相当に手が混んでいます(2回観なければ気づけないところもあったほど)。
ぜひ、会話の隅々までよく聞いておくことをオススメします。

なお、劇中で登場するホオジロザメはメスとのことです。傷だらけだったのは、メスのほうが交尾による大きな傷跡が残っている個体が多いことを反映したから。そういう設定もちゃんとしていますね。

アニア AS-07 ホオジロザメ<映画を観るとなんだか愛おしくなってくる

注意しておくことは、PG12指定でありかなーり「痛い」描写があることかな。あのシーンは目を背けること必至です。
これくらいであれば、トラウマをむしろいい思い出に昇華できると思うので、ぜひお子さんにも観てほしいですけどね(ゲス顔で)

そのほかでとくに言うことはありません。
いまの夏の時期にぴったり、誰にでも楽しめる優れた娯楽映画です。とっとと観に行きましょう。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2016-07-29 : 映画感想 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』超万人向けの家族の物語だった!(ネタバレなし感想+B級映画愛に溢れたシーン)

今日の映画感想はトランボ ハリウッドに最も嫌われた男です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:A級&B級映画好きでよかった!

あらすじ


着実に脚本家としてのキャリアを積んできたダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)は、第2次世界大戦後の冷戦下に起きた「赤狩り」の標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒否したことで投獄されてしまう。
釈放後、彼は偽名で執筆を続け『ローマの休日』をはじめ数々の傑作を世に送り出す。




オースティン・パワーズ』『ミート・ザ・ペアレンツ』のジェイ・ローチ監督最新作です。

本作は「第2次世界大戦後の冷戦下でのハリウッド内幕もの」という、現代人からすればちょっとなじみのないものです。
主人公のダルトン・トランボという名前も、よほどの映画通でないと知らないでしょう。


ダルトン・トランボ: ハリウッドのブラックリストに挙げられた男
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トランボがどういう人物であるかを簡単に説明すると、
・あの超名作『ローマの休日』の脚本家
・そうにも関わらず、共産主義者を糾弾する「赤狩り」に巻きこまれた
・以後、ずっと偽名を使ってコソコソと仕事をするしかなかった
というお方です。

本作がうまいのは、「ぜんぜん知らない時代のぜんぜん知らない人物の伝記もの」でありながら、予備知識がなくてもわかりやすい、お堅い内容ではないということ。
映画に詳しくなくても問題なく理解できるうえ、当時の映画を観ておくとさらにオイシイという素敵なバランスなのです。

なぜなら、登場人物がきちんと整理されていることはもちろん、主人公の家族の物語に的を絞っているからなんですね。

この家族の物語がどういうものかと言いますと、「パパがいつも仕事ばかりで構ってくれない!」「ていうか仕事を家に持ち込みすぎ!」「私たちの生活をないがしろしすぎ!」という「父親が責められるあるある」なんです

家族で本気の喧嘩をしてしまうなどの辛いこともあるけど、それ以上にその生活は愉快。「(トランボという名前を隠すために)こんなことしていたのかよ!」などといった驚きもあって、なんとも楽しい。
そんなわけで、本作はクスクス笑えるコメディーシーンも満載なのです

そうそう、共産主義者への迫害という出来事は、いまの日本人には理解しにくいところがありますが、本作ではそこを「なんで共産党が恨まれたの?」「共産党ってなに?」という疑問に、劇中で「幼い子どもに教えてあげる」ことでわかりやすく答えているのもじつにうまいですね。
観客も、大人が子どもにわかりやすく教えるという形で、当時のことをすんなり飲み込めるのです。

もちろん家族の物語だけでなく、主人公トランボのプライドや、友人との和解や衝突といったドラマも過不足なく込められています。
本作は、観る人によって共感できるところがけっこう異なるのかもしれませんね。


また、ポスターは偏屈なおっさんの画ということで華なんていっさいないですが、娘役のエル・ファニングちゃんがとにかくかわいい、目に入れても痛くないほどにかわいい、世界一かわいい、宇宙一かわいい、娘にほしいということは言わずに入られませんね。

エルファニングかわいい<KAWAII!

エルファニング抱きつき<ちょっとそこ代われ

そのほかのキャストでは、ヘレン・ミレン様がくっそイヤな女性記者を演じているのがたまりません。

性格悪いヘレン・ミレン<超性格悪いです

主人公を演じるブライアン・クランストンとの、還暦越えのベテラン俳優同士の演技合戦もたまんないものがありますね。


さてさて、本作は予備知識なく楽しめる、「ハリウッド内幕もの」の初心者にも超オススメの作品なのですが、それでもつぎの人物を知っておくといいでしょう。

カーク・ダグラス……歴史大作『スパルタカス』の主演・製作総指揮を務めた映画プロデューサーにして俳優。じつはマイケル・ダグラスのお父さん。
ロナルド・レーガン……元アメリカ合衆国大統領。じつは俳優としての活動も有名。
ジョン・ウェイン……『駅馬車』などで知られる、西部劇や戦争映画で大活躍した大スター。戦争映画で主演を務めていたことが多かったものの、戦争には行ってない。

あとは、同じく当時のハリウッド事情と『スパルタカス』を茶化しまくったコメディ『ヘイル、シーザー』を観ておくとさらに飲み込みやすいでしょう。

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というよりも、何度も書いたように『トランボ』はかなりわかりやすい内容なので、ぜひ『トランボ』→『ヘイル、シーザー!』という順番で見てほしいですね。
本作『トランボ』を観ておくと、いかに『ヘイル~』が皮肉に満ちたコメディーであったかに気づけるでしょう。


個人的に、本作にもっとも近いと感じたのが、『ウォルト・ディズニーの約束』です。

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こちらもちょっとマニアックな映画の裏話が展開しながらも、そのじつ偏屈な人間たちのドラマを愛おしく描いた秀作でした。

そうそう、本作はぜひB級映画ファンにもオススメしたいですね。
これがなぜかは若干のネタバレになるので下に書きますが、もう嬉しいというかゲラゲラ笑いました。
世にいるB級映画ファンは「よく言ってくれた!」と思うことでしょう。

そしてねえ……この映画、エンドロールが超必見なんですよ。
帰る人はいないとは思いますが、最後までじっくりと観ることをおすすめします。


そしてそして、本作はIMDbで7.5点Rotten Tomatoesで75%と、本国で十分に高評価だったのですが……公開されたばかりでの日本での評価も並々ならぬものになっています。

(以下、25日21:00ごろの記録)
Yahoo!映画レビュー:4.3点
ぴあ映画初日満足度ランキング:第3位(91.7)
Filmarks:3.9点(5点満点中)
coco映画レビュー:100%

しかもTOHOシネマズ シャンテでは、客席数がもっとも多い劇場で、土日全8回中6回が満席となるほどの賑わいを見せているのだとか。

同じくハリウッド内幕ものだった『ヘイル~』が、やんわりと不評だったことを踏まえると、この数字は驚異的です。
極めて万人が楽しめた映画と言っていいのではないでしょうか。


難点を挙げるなら、序盤が当時のハリウッドの「大人の事情」を細かく描いているため、人によってはやや退屈に感じるかもしれないこと。個人的には、ここはもう少しカットしてもよかったですね。

最大の難点は、公開館が現在20しかなく、時期がバラバラだということかな。
これはミニシアター系での公開ということが本気で惜しい、多くの人が楽しめる作品なんですから。わかったら、ほら近くに劇場がある人はほら行った!

以下、B級映画愛に溢れたシーンだけネタバレで書きます↓ まだ公開館数が少ないので今回はここだけ。これを読むと興味が出てくるかもしれないけど、なるべく読まずに映画館に行ったほうがいいと思うよ!

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2016-07-25 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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『ファインディング・ドリー』障がい者のあり方を描いた映画だった(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はファインディング・ドリーです。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:あの忘れん坊の冒険と成長が観られてよかった!

あらすじ


ナンヨウハギのドリーはすぐに何でも忘れてしまう欠点を持っていた。
そんな彼女に幼いころの両親の記憶が戻ってくる。カクレクマノミのニモと、その父親マーリンは、ドリーの両親を探す旅に同行しようとするが・・・。




日本でも絶大な人気を誇ったアニメ映画『ファインディング・ニモ』の13年ぶりとなる続編です。

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↓今回はこちらに、本作がどれだけ「障がい者を描いた映画」だったかということを書いたよ!
<『ファインディング・ドリー』“欠点”を含めた魅力的なキャラクターを読み解く10の盲点 | シネマズ by 松竹>
(大きなネタバレはないけど、予備知識なく観たい方はご注意を)

これは、「短期記憶障がい(short-term memory loss.)」を持つ女性(ドリー)の、冒険と成長の物語なんですよね。
前作のドリーはクジラと話せるという「能力」が役に立ったわけですが、今回は短期記憶障がいそのものを「優れた個性」として捉えるようになっていきます。

ドリーちょっと前のことを<ドリーはちょっと前のことを忘れてしまいます。

これは、努力しても治せないあらゆる障がいを持つ方にとって福音となる……なんとも志の高い映画ではありませんか。
(しかも、ほかの登場人物(魚)も障がいを持っている者ばかりなんですよね)

よくできてるなあと思ったのが、ドリーがすぐに物事を忘れてしまうことがストレスにならないように調整されていること。
「観客は知っていることを、主人公のドリーがつぎつぎに忘れてしまう」という展開ばかりが続くのではなく、ドリーが自分の障がいを知っているからでこその工夫したり、ドリーが重大なことをしでかしたときに怒られたりしたり、同じように障がいを持っているキャラを活躍させたりすることで、イライラしないようになっているんですね。

あと、ドリーは有能なキャラたちに助けてもらうのですが、その彼らがいなくなったときの不安が半端ないというのうまいですね。彼女の欠点そのものが、サスペンスとしても機能しているのです。

キャラクターは上の記事で書いた通り、(アシカのふたり以外)みんなすぐに大好きになりました。
これは吹き替え声優の貢献も大きいですねえ。ピクサーの吹き替えの中でも木梨憲武と室井滋のコンビはとくにハマっているのではないでしょうか。
今回はタコのハンク役の上川隆也、ジンベエザメのデスティニー役の中村アンもベストマッチでした。

声も含めてデスティニーのことが大好き!<声も含めて大好きなキャラです

さてさて、全体的にはまったく退屈することなく、大いに楽しめたのですが……諸手を挙げて賞賛できないところもあります。
個人的に気になったのは以下です。

(1)いままでの作品にあった展開の焼き直しが多い。
「前作でトラブルメーカーっぽかったキャラを主役にする」というのは『カーズ2』と共通しています。
また、『ファインディング・ニモ』とまったく同じサスペンスシーンもありました(ファンサービスと捉えたほうがいいかも?)
安心して観られるものの、やや新鮮味が薄いというのが正直なところです。

(2)世界が狭い
今回はカリフォルニアの海洋生物研究所がおもな舞台となるのですが、基本的に「そこだけ」です。
オーストラリアのグレート・バリア・リーフから物語がスタートするのに、すぐに到着しちゃうのもいかがなものかなあ(カメのクラッシュが海流で運んでくれたとはいえ)。
前作も「長い移動距離」を感じさせてくれないのが欠点と思っていたので、今回でその印象がさらに強まったのは残念でした。
※以下の意見をいただきました。
オーストラリア→カルフォルニアへの移動については、人気の海亀クラッシュを見れたのでそれはそれで楽しかったですが、例えばタンカーのバラスト水を使って移動するとかワンロジック欲しかったです。


ドリーの距離<この距離なのにすぐ着きます。

(3)13年ぶりの続編なのに、作中では1年しか経過していない
『トイストーリー3』は11年ぶりの続編として、人間の主人公に同じくらいの年をとらせていたのですが……『ファインディング・ドリー』では1年しか経っていないという設定でした。
これは一概には欠点と言えないのですが、個人的にはキャラと同じように年月を感じさせているほうが好きです。大人になったニモを観てかったですしね。
※以下の意見をいただきました。
たしかに違和感はありましたし、成長したニモも見たかったですが、カクレクマノミは生活域(縄張り)で一番身体の大きい個体がメス化すると「ダーウィンが来た!」で見たことがあり、マーリンがメス化しないようにあえて1年後にしたのでは?と無理矢理納得しました。


(4)ニモの活躍が少ない
前作の主人公であったニモが、親であるマーリンに皮肉を言ったりたしなめたりするだけの役割だったのは残念かな。
明らかに危険な旅に子どものニモを同行させるというのも違和感あるよなあ(なおさら時間を経過させて、大人のニモを登場させたほうがよかったのでは?)

(5)吹き替え版での研究所のアナウンス役が八代亜紀(字幕はシガニー・ウィーバー)
研究所のアナウンスは、その国の著名人が本人役で務めています。
おかげで吹き替え版では「なんで八代亜紀がカルフォリニアで日本語のアナウンスしてんねん」というツッコミどころがあります(笑)。
まあ楽しかったし、これも欠点とは呼べないけど。

(6)タコのハンクがなんでもできすぎ
本作のキーパーソンであるタコのハンクは、明らかにタコの範疇を超えた能力を発揮します。いや、発揮しすぎで「どこまでお前有能やねん」とツッコミたくなくるのです。
これは「(足をなくしている)ハンディキャップなんてたいしたことがないじゃん!」ということにもつながるし、彼の有能っぷりをむしろ楽しむべきなのでしょうけどね。

タコのハンク<水がないところでも超スピードで動くタコ

ちなみに、本作の海洋生物監修はさかなクンが務めているので、ぜったいこのタコの活躍にツッコミを入れただろうなあ〜と思っていたら、さかなクンは「どんな役であれ、タコちゃんが出ると、タコちゃん出たーー!!と大喜びしちゃう」「動きと言いタコちゃんの習性と言い、すばらしく表現されていました」「実際にタコは海の中でも孤独を愛する生き物なんです」と心の底からうれしそうに解説していたので、なんだか自分が恥ずかしくなりました。ていうかさかなクンが「ハンクさん」とさん付けで呼んでいるのがいいなあ。


※パンフは必携かもしれない

ちなみに現実世界でもタコはマジで能力の高い動物なので、本作ではそれをさらにオーバーに描いた、と考えれば問題なく受け入れられるかもしれませんね。

ただものじゃない。タコのハイスペックさがわかる22の事実 - エキサイトニュース

(7)ちょっと不愉快なネタがある
2匹のアシカのシーンはギャグとしては笑えず、むしろ不愉快であると感じました。
上の記事で書いた通り、これは知的障がい者へのいじめのメタファーであり、そもそもギャグでないにしても、ほかの描き方がなかったのかなと考えてしまいます。

(8)エンドロール後の1シーン
エンドロール後におまけがあるのでぜひ観て欲しいのですが・・・わりとこれはこれでモヤっとするんですよね。

(9)メッセージが一元化しすぎ
昨今のディズニー・ピクサー作品は、『ズートピア』をはじめ多様な人に向けてのメッセージ性を訴えていることが多かったのですが、本作では主人公のドリーが言っていることにやや一元化しすぎている印象があります。
たとえば「狭い研究所ではなく外の世界のほうが幸せ」ということが論じられいるのですが、できれば「研究所で暮らしてもいい」という「幸せの選択肢」も描いてほしかったですね。
(アナウンスで「海洋生物研究所の仕事は、助けて、治して、海に返すことです」と言っているので、そもそも研究所は病院のメタファーであり、ずっとその場所にいるべきではない、とうことが提示されているのかもしれません)。


好きな映画なのに気になったことを9個も挙げてしましたが、どれもこれもアニメーションの質、全体的な楽しさからすれば重箱の隅をつつくようなものです。

つぎからつぎへと楽しい画が展開、見つからないように動くサスペンス、迫力のアクション、くすくす笑えるギャグもたっぷり。まさに子どもから大人まで、誰もが楽しめる作品です。
何より、障がいを持つ人へのメッセージを、子どもにもわかりやすい形で描いているのが大好きなのです。

前作『ファインディング・ニモ』を観ていなくても問題はありませんが、観ているとうれしいネタもありますよ。
迷うことはありません。すべての人にオススメします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2016-07-21 : 映画感想 : コメント : 9 : トラックバック : 0
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『人生は狂詩曲(ラプソディ)』イギリスのEU離脱が話題のいま観るべき映画!(ネタバレなし感想)

今日の映画感想は人生は狂詩曲(ラプソディ)です。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:お国柄があらわすぎな超楽しいミュージカル

あらすじ


吹奏楽団〈サン・セシリア〉は、見事欧州決勝コンクール進出にこぎつけるが、チームの要であるトランペット奏者のウィリーが演奏直後に舞台上で突然死してしまう。
メンバーたちはエースを失ってしまうが、彼の死を無駄にしないためにもメンバーたちはある作戦を思いつく。それは、ライバルチーム〈アンナバン〉の天才トランペット奏者、ユーグをチームにスカウトし、勝ち上がることだった。




ベルギーを舞台にした音楽映画です。
観る前に知っておくといいのは、ベルギーでは北部がオランダ語、南部はフランス語と、国を分断する形でふたつの言語が存在していることです。


この南北で使用言語が違うことは、そのまま地元愛の強さとなり、相手が乗っている車種や仕事のやる気など、些細なことまでいちいち小競り合う原因にもなっているのだとか。

本作『人生は狂詩曲』では、この言語が違う地域での小競り合い(ときどき仲がいい)の構造を、そのまま吹奏楽チームの対立として描いています
何せ、吹奏楽のライバルチームどうしが、妙なプライドを持って腹の探り合いをしたり、天才トランペット奏者を引き抜こうと画策したり、いい意味でセコいお話なのですから。
お国柄をそのまま物語の発端に絡めている、このアイデアがまず秀逸ですね。

しかもねえ……この天才トランペット奏者が鼻持ちならないというか、そんなにいいやつじゃない、それどころか「自分の作った曲じゃないと出場してやらない!」とほざく超迷惑なやつなんですね。

人生はラプソディ1<天才だけど超迷惑です。

まあはっきり言えば主人公のクセにムカつくわけですが、彼には彼なりの矜持があり、憎めないようなキャラにしているのがうまいですね。
あんまり性格がよくないやつが主人公というのも、まわりまわって本作の魅力になっています。


本作はイギリスのEU離脱が話題になっているいまに観るといいのではないでしょうか。

映画の舞台となるベルギーは、言語対立により国家分裂の危機にたびたびさらされてきました。
近年ではようやく政府や学校が言語ごとに分かれる仕組みが整えられ、その対立は緩和され、ベルギー人は地元に深く思い入れを示すようになったのです。

こうして対立があったものの、妥協や和解により連邦国家となったベルギーは、さまざまな国の共同体となったEUの縮図のようです
(しかも、ベルギーの首都ブルッセルにはEU本部が置かれていたりもします)
この映画で描かれている対立も、そのままEUのことにも置き換えられそうです。

しかも、この映画では「小さいことで言い争ったりするのはバカバカしくね?」という、客観的な目線での「問題の見かた」も提示されています。
いまのイギリスのEU離脱騒動も、何も知らなかった民衆が「この政治家は信用ならねーから、言っていることの反対の離脱のほうに投票しよー」→マジで離脱の投票が過半数を超えた→民衆「え?EU離脱ってそんなにヤベーことなの?」っていう理由で起こった(注:管理人の見識です)んですから。同じくらいバカバカしいです(起こっていることは本気でシャレにならないけど……)

また、移民問題を皮肉っているように思えるのがおもしろいですね。
なにせ、物語は吹奏楽団のエースが突然死して、代わりに来たライバルチームの天才が超迷惑な奴だったというもの。
イギリスがEU離脱をしようとしているのは、同じく「迷惑な移民に来られてしまうと困る!」というのも理由のひとつみたいだしね(もちろん移民はそういう人ばかりじゃないですし、根本的な問題は福祉や政治体制なのですが)。


そして、そんなお国柄やEUの皮肉はどうこう抜きに、本作は超楽しいです
吹奏楽シーンだけが音楽の魅力と思うことなかれ、本作は『レ・ミゼラブル(2011)』『シェルブールの雨傘』『TOKYO TRIBE』のように、登場人物の会話がミュージカルになっているのです。

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TOKYO TRIBE/トーキョー・トライブ [DVD]
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とはいえ、『レ・ミゼラブル』『シェルブールの雨傘』『TOKYO TRIBE』の「会話のミュージカル率」がそれぞれ95%、100%、85%だったのに対して、『人生は狂詩曲』は60%くらいの塩梅になっています。個人的にはこれくらいが見易くてちょうどいいですね。

そしてねえ、そのミュージカルシーンのだいたいが幸せいっぱいなんですよ!
なにせ、主人公が「愛している!」と歌いながら歩くと、周りの人たちがそれを祝福するためにまた歌う、というシーンがあるくらいなんですから。

このミュージカルでみんなが歌う!踊る!楽しい!という感覚は、『(500)日のサマー』の1シーンを超えていました。

(500)日のサマー (吹替版)
(2013-11-26)
売り上げランキング: 8,122
※ちなみに『モテキ』では、『(500)日のサマー』をいい意味でパクったシーンがあります。

そんな幸せいっぱいのミュージカルシーンに、兄弟の確執や違う価値観を持つ者たちの和解のドラマ、コミカルでクスクス笑えるシーンが合わさり、そしてラストシーンは超爽快!というエンタメとして理想的な作品に仕上がっていました。

上映館はシネマート新宿、シネマート心斎橋、シネマスコーレ(名古屋、7月23日より)のみ3館と超少ないですが、『シング・ストリート 未来へのうた』に引き続き、優れた音楽映画を観たい方はぜひ。オススメです。

テーマ : 映画レビュー
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2016-07-19 : 映画感想 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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剛力彩芽のゴリ押しっぷり
真のレゴムービーの日本版予告編


<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

守銭奴すぎるバンナムの課金ゲーム

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